そして████になった転生者   作:にわかネット文化ファン

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世界のYuica!?

気がつけば、唯華は博物館を歩いていた。夢だということは理解できていた。

そこには自分の記憶や大切にしてきたものが展示されていた。

色々なコンクールで優勝した記憶、そこでもらったトロフィー、

かこのために手に入れたプレゼント、パンフルート・・・。

だが、どうしてもモザイクがかかっていて見えないものもあった。

それは悲しくて、辛くて、忘れたい記憶。

当然、そんなものは見たくなかったので無視しようと・・・

 

「だから見ろって言ってるんですの!

 

「夢の中でも俺を殴るのかよ!?」

 

気がつくと、彼は病院のベッドの上だった。

 

「だ、大丈夫なの?」

 

「ああ、大丈夫だ、かりん。阿見莉愛の奴が夢の中でも理不尽に暴力を・・・。

あれ?なんで俺入院してんの?血反吐は吐いてないし、文学はやってないし・・・」

 

「どういうわけか病院に吹っ飛んできて、意外と大怪我だったから入院させられたの」

 

「・・・思い出したよ」

 

その瞬間、ドアが吹っ飛ばされた。環いろはが入ってきたのだ。

ちなみに、吹っ飛ばされたドアは窓ガラスを突き破った。

 

「・・・唯華さん、さっきはごめんなさい」

 

「せめて言葉と行動を一致させよう?あと、怒ってないから。暴力は日常茶飯事だし」

 

「後で弁償が待っているに違いないの」

 

「本当のことを言うと、もう唯華さんに教えてもらわなくてもいいんです。

それなのに、さっきはつい誤解しちゃって・・・」

 

「まあ、誤解は誰にでもあるもの・・・えっ、教えてもらわなくてもいい?」

 

「はい、自分で唯華さんの投稿した動画を見て、自分で練習したんです」

 

唯華は嬉しいような悲しいような気分になった。

原作とやらが始まる前、彼は里見メディカルセンターでヒノカミ神楽を披露したことがある。

院長とその娘の里見灯花、柊ねむ、そして環姉妹の前で。

その後、いろはからヒノカミ神楽を教えて欲しいと頼まれた。

ういたちに見せるためだと言っていた。

病院だと、どうしても娯楽が少なくなるから。

 

「・・・駄目だ、俺でも何十回と血反吐を吐いたんだ。

君の体で耐えれるかわからない。君を死なせるような真似はしたくない」

 

「そんな・・・!お願いします・・・!」

 

「駄目なものは駄目だ。帰ってくれ」

 

しかし、よくよく思い出したら彼女はマギレコとやらの主人公だった。

つまり、魔法少女だ。魔法少女であれば練習もいくらか余裕になるであろう。

 

「・・・念のため、見せてもらえるか?」

 

「はい、ちょうど神楽鈴を持ってきていたので」

 

「それ俺のじゃん。持ってきてくれたのは嬉しいけど」

 

いろははヒノカミ神楽を静かに、美しく舞い始めた。

微かにゴオオオという呼吸音も聞こえてくる。全集中の呼吸だ。

彼女は完全にヒノカミ神楽を体得していた。

唯華が十年以上もかけて体得したそれを、彼女は動画を見て体得したのだ。

悔しかったけど、仕方がないとも思った。

ならば、もっと練習して彼女が追いつけないところまで行けばいいのだから。

円舞、碧落の天、烈日紅鏡、灼骨炎陽、陽華突、日暈の龍・頭舞い、斜陽転身、飛輪陽炎、

輝輝恩光、火車、幻日虹、炎舞・・・。

彼女は十二の型を完全にこなしていた。

 

「・・・ふう、やっぱり疲れますね」

 

「やめたk」

 

「それ以上は言っちゃだめなの!」

 

かりんに殴り飛ばされた。

 

「・・・いろは、おめでとう」

 

「・・・ありがとうございます!」

 

「お礼を言うのはこっちだよ。ヒノカミ神楽が伝承されたわけだから」

 

唯華は自分の仕事が一つ終わったのを感じた。

 

「すごかったです、いろはさん!」

 

「すっごくCoolだったデース!」

 

理子と知らない外国人女性がいつの間にか病室に入っていた。

神楽を見るのに夢中で気づかなかったのだ。

 

「はい、唯華お兄さん、朝ご飯持ってきましたよ

風邪引いたのに無茶しちゃだめですよ。阿見莉愛さん怒ってましたから」

 

「ありがてえ・・・それはそうと、退院した後が怖い」

 

「それはそうと、わたしもヒノカミ神楽踊れるようになりましたっ!」

 

「へっ?」

 

そういうと、理子はいろはから鈴を借りて、綺麗に神楽を舞った。

彼女と同じ歳だったときは、血反吐を吐いていたはずなのだが。

どうにもマギウスの魔法少女至上主義は微妙に正しかったようだ。

 

「いいね、理子!すっごくKAWAIIデスネー!」

 

「ありがとー、アシュ!」

 

「・・・」

 

彼は茫然とした。

 

「ところで、この人はもしかして・・・Yuicaデスカ?」

 

「そうだよー!」

 

アシュと呼ばれた少女は目を輝かせた!

 

「初めまして、Yuica!私はアシュリー・テイラーデス!

アナタのこと理子からたくさん聞きマシタ!それに、アメリカでも有名デス!」

 

「先輩、また何かやっちゃったの?」

 

「すまん、心当たりが多すぎて・・・」

 

「じゃあ・・・Last and First Men!KAWAIIものじゃなかったけど、すっごくCoolデシタ!」

 

「おお、確かに作った覚えあるな!」

 

一時期、架空の歴史の年表を作るというのがアメリカで流行した。

そして、唯華はアメリカのネットに自作の年表を投稿したのだ。

およそ二十億年分の歴史が詰まったLast and First Menはすごくバズった。

第一次大戦後の英仏戦争から、海王星の〈第十八期人類〉までというスケール・・・。

ぶっちゃけると、前世のSF小説をだいぶ参考にしたが。

 

「私の好きだったのは〈はーつ・おぶ・あいろん!〉デス!・・・ダディも好きデシタ!」

 

「おお、あれか!確かにアレは自信作だったな」

 

当時、無料の戦略ゲームを欲していたアメリカ人のために作ったゲームだ。

・・・ゲーム内の史実上の人物が全員、可愛い少年少女になってるが。

噂によると、このゲーム内に登場するヒトラーは今のドイツでも合法らしい。

なにしろ、可愛いショタだからだ。決して、ちょび髭のオッサンではない。

 

「一つ不満なのが、バチカンの強さと教皇のデザインデス!」

 

「あはは・・・」

 

唯華のおふざけにより、バチカン市国がラスボス級になってしまったのだ。

人的資源もソビエトを超えていて、政治力もトルコを圧倒している。

そして・・・教皇のデザインだけが史上最悪の独裁者全員を合体させたものになってしまった。

余談だが、キリスト系カルト集団は十字軍を神浜に派遣しようとしたらしい。

 

「もっと好きなのが、Green Girlデス!」

 

「へっ?」

 

「これデス!これ!」

 

アシュリーはスマホで画像を見せてくれた。

それは、例のアレだ。九歳のかこをモデルにした絵だった。

クリスマスツリーと共に飾られていた。

 

「・・・ロックフェラー・センターに飾るって本当だったの?冗談かと思ってたんだけど?」

 

「すっごくkAWAII絵デス!さすがはYuica!」

 

「???」

 

「唯華先輩がフリーズしてるの!?」

 

唯華は考えるのをやめた。

まさか、文化侵略が日本ではなくアメリカで進んでいるとは思わなかったのだ。

まあ、マギレコ世界だから多少はね?

 

「・・・たまげたなあ」

 

「GOROKUデスネ!アメリカではすっごく流行してマース!

それのおかげで、人種差別が減りマシタ!もしかして・・・」

 

「いや、さすがに作ってないって。広めはしたけど

 

いろはは茫然としていた。唯華がそこまですごい人だとは思わなかったのだ。

かりんはまだ茫然とはしていなかったが。アリナの影響が大きい。

 

「あっ、Yuicaさんに会わせたい人がいるんデス!入って、ドウゾ!」

 

病室に爽やかそうな好青年が入ってきた。

 

「どうも、唯華さん。僕は瀬宮勝と言います!」

 

「マサルは私のステイ先のルームメイトデス!」

 

お互い、目を見てわかった。

 

(転生者かよ・・・)

 

(僕以外にも転生者がいたんですか・・・)




かこ「あれ、これって・・・」

フェリシア「すげーじゃん!かこが世界進出か!」

あやめ「すっげー!」

ななか「・・・お父さん、あの世で唯華さんを殴ってください」

葉月「待って!包丁しまって!」
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