「とにかくこの時代で、そのアクシズに関係のある事件が、原因かもしれない。それを突き止めなければ……!」
「22世紀が……地球の未来が危ない!!!」
のび太とドラえもんは、急いで部屋を後にし、外に出ようと階段を駆け下りた。しかし……
「でも、そのアクシズを手掛かりに、どこで何を調べるのさ!?」
「う~んそれなんだけど……どこが手ごろかな……図書館か?」
急ぎ足を止め、考え込むドラえもんだった。その時。
「ここで、臨時ニュースをお伝えします。」
今のテレビの音が、のび太とドラえもんを引き付けた。
「資源採取用小惑星、フィフス・ルナが地球に向けて進行していることが判明いたしました。地球とフィフス・ルナの距離は刻一刻と近づいており、場合によっては地球への落下・衝突が考えられます。観測班の情報によりますと、落下予測地点はチベットのラサとされていることが分かりました。」
「ドラえもん……小惑星ってなんか、でかい隕石みたいだね。」
のび太はテレビに映ったフィフス・ルナを見て感想を述べた。
「このことから、先日声明の発表があった、ネオ・ジオン総帥”シャア・アズナブル”の地球連邦政府に対する、コロニー・スウィートウォーターを領土とした、独立宣言との関係性も考えられるという声も上がっております」
次にその総帥とされる、金髪のオールバックで、赤い軍服が特徴のシャア・アズナブルの姿が映し出された。
「地球連邦政府が、スウィートウォーターの主権を認めない場合、我々は地球連邦軍の中心であるラサに対して、直接的な攻撃を行う。」
シャア・アズナブルの声が野比家の居間に響き渡った。
「この件について政府は、現時点で何もコメントを述べておりません。なお、フィフス・ルナ落下による日本への被害、津波の心配はございません。」
テレビからは臨時ニュースの乾いた声が聞こえてきた。
「嫌ねぇ……小惑星ってあんな大きな石がポンポン地球に落っこちてきたら、たまったもんじゃないわ。まあ、日本に落ちないだけマシかもしれないけど……。」
テレビを見ていたのび太のママが、ニュースを見て少し憂鬱になっていた。
居間の入り口から、小惑星落下のニュースを見ていたのび太とドラえもんは……。
「……ドラえもん、まさか……!!」
「これだ!ひょっとしたら、この小惑星の落下に、何かあるかもしれない!例のアクシズにも!」
「そうと決まれば……!!」
のび太はこぶしを握って気を入れると同時に、ドラえもんとともに家を飛び出した。
「とにかく空き地に向かおう!そこで宇宙へ行く手段を出す!!」
「宇宙救命ボート!?」
「でも急ぐんだ!タイム電話や歴史書と同じように、秘密道具もタイムパラドックスで次々と消えかかっている!!」
ドラえもんは足を速めた。
「一気に全部消えたりはしないの!?」
「そういう事例もあったりするけど、今回はどうやら個別にタイムラグがあるみたい。だから幸いにも、みんな一度に消えることはないみたいだ。頼む……まだ消えないでいてくれよ!!」
そういう急ぎの問答をしながら走っていると、ドラえもんとのび太は空き地についた。
「ドラえもん!早く宇宙ボートを!!」
のび太は促したが、すでにドラえもんはポケットから宇宙救命ボートを探し出していた。
「……よかった、まだあった!!宇宙救命ボート~!!」
宇宙救命ボートを出すや否や即座にハッチを開け、二人は中に駆け込んだ。
「フィフス・ルナがもうどこにあるかはわかっているんだ。あとはその座標を手動(マニュアル)入力して……」
ドラえもんはボートのコンソールパネルを操作し、急いで座標を入力した。入力が終わると音が鳴り、緑色の進行に影響がない画面が表示された。
「よし、出発~!」
ドラえもんの声に応じるかのように、宇宙救命ボートのブースターから火が吹き、地上から宇宙に向かって飛び立っていった。
「フィフス・ルナに着いたらどうするの?」
のび太は座り込んで、これからどうするかを聞いた。
「まずフィフス・ルナの地球への落下を阻止しよう。となると、フィフス・ルナの進行方向を変えるか、あるいは完全に破壊するか……それもなるべく早く。もたもたしていると秘密道具が消えてしまって、何もできなくなる。」
のび太は先ほどの消えたタイム電話をもう一度思い出し、悠長にしていられないと思うと内心落ち着いてはいられなかった。
「そうだ、テキオー灯を当てておこう。宇宙に出るから。」
ドラえもんはポケットからテキオー灯を取り出し、のび太に当て、そして自身にも当てる。こうすることで24時間、温度、重力、圧力、光、大気など、環境を形成するすべての要素に適応し、水中や宇宙空間でも、地上と同じように過ごすことができる。
「さあ、そろそろつくよ。」
ドラえもんがコンソールパネルを操作すると、外の様子が画面に表示された。画面には、フィフス・ルナが映し出された。
「うわ、間近で見るとでかい!!……あれ?でもなんか隕石の周辺が光でチカチカしてない?」
のび太の言うとおり、電球やイルミネーションが点滅するかのようにフィフス・ルナの周辺で数々の光が点滅している。
「これは……戦闘が始まっているのか!?ミノフスキー粒子の濃度と流れが乱雑だ!」
「戦闘って、何と何が戦ってるのさ!?」
「さっきニュースに出てた、シャア・アズナブルが率いるネオ・ジオンの軍だろう。本当に落下させるのなら、邪魔させないためにも護衛はつけるだろう。」
「じゃあ、そのシャアって人、ほんとうにあの小惑星を落として、地球をつぶすつもりなのかな?」
「それに対抗して、地球連邦軍が戦ってるんだ。こんな小惑星が地球に接近してるってなれば、地球連邦軍も黙っちゃいない。」
ドラえもんとのび太を乗せた宇宙救命ボートがフィフス・ルナにさらに接近する。すると、宇宙救命ボートのそばを、何かが横切った。
「な、なに!?今なんか通ったよ!?」
すると、似たようなものがもう一度横切った。今度はのび太の目にドラえもんの目にもしっかりとらえることができた。
「……ロボットだ!!ドラえもん、宇宙空間をロボットが飛んでるよ!!」
「あれはモビルスーツ……地球連邦軍のだ!!」
のび太とドラえもんが通ったモビルスーツの群れは、薄いグリーンが特徴のジェガンだった。
「あのロボットたちが、隕石を止めに行くのかな?」
「フィフス・ルナの周辺はもうかなり戦場化してるみたいだな。」
のび太は、次々とフィフス・ルナに向かって飛んでいくジェガンを一機一機目で追っていく。が、ジェガンのうち何機かはフィフス・ルナから飛んできたビームに直撃し、到達できず途中で爆発してしまう。
「あ~っ!やられちゃった!」
「ネオ・ジオンの攻撃は想像以上に激しいようだ。小惑星からくる攻撃に気を付けて!」
宇宙救命ボートはフィフス・ルナからくるビームの流れ弾をよけつつ、フィフス・ルナに徐々に接近していった。接近するにつれて、ネオ・ジオン軍のモビルスーツ、”ギラ・ドーガ”や、赤い色が特徴の戦艦”ムサカ級”が見えるようになってくる。
「戦艦まで……ここまでの戦力をそろえていたなんて……見つかって攻撃を受けたらひとたまりもないな。どちらと鉢合わせするにしろ相手は軍人だ。見つからないようにしよう。」
ドラえもんはなるべくネオ・ジオンの視界に入らないよう、慎重に隠密にボートを進めた。
やがてボートはフィフス・ルナの地表に着陸した。
「……今のところ、だれにも見つかってないね。」
「スモールライトを使って小さくしてみない?そうすれば簡単に……。」
「僕もそれを考えたけど、遅かったよ。」
「まさか、スモールライトも消えたの!?」
ドラえもんはのび太の問いにお手上げのポーズをし、すでにスモールライトがないことを示した。
「こうなったら、今ある分の道具で何とかするしかない。」
「何があるの?」
「……この高性能爆弾しかないな。」
「そ、それって……!!!」
のび太はドラえもんが出した高性能爆弾に見覚えがあった。ドラえもんがネズミへの恐怖のあまりに取り出した危険アイテム、”地球破壊爆弾”の見た目そのものだったのだ。
「地、地球破壊爆弾じゃないか!!いくら小惑星破壊するって言ってもこれじゃ地球も一緒にふっとんじゃうよ!!」
「うん、見た目はそうだ。でもこれはその地球破壊爆弾じゃない。それよりも出力がうんと下の、小惑星を破砕するための建設用爆薬なんだ。以前僕が出した地球破壊爆弾は、地球クラスの惑星用のものになる。」
ドラえもんはそう言いながら、高性能爆弾が作動するかチェックする。うまいこと点火したが、まだ爆発させるわけにはいかないので、すぐさま消した。
「よし、行こうのび太君!」
ドラえもんは宇宙救命ボートを勢い良く開け、フィフス・ルナの地表に飛び出した。
その瞬間広がった光景は、ネオ・ジオンのギラ・ドーガと、連邦軍のジェガンが戦っている戦場の図だった。
「すごい迫力……。」
のび太はうろたえた。
「ひるむなのび太君!時間がない!!」
「うん!……あれ?」
のび太が進もうとすると、彼の視界にあるものが入った。
ジェガンとは違う、角が生えた複眼の緑と紺色のモビルスーツ”リ・ガズィ”と、そこらへんのとは明らかに兵装が豪華な赤いモビルスーツ”サザビー”。2機のモビルスーツが対峙している場面だった。
「あれも地球連邦軍のロボットかな?なんか他のやつとちょっと違う。」
「見るからに、並のパイロットじゃなさそうだね……そうだ!」
ドラえもんはポケットから秘密道具を取り出した。
「糸なし糸電話~!」
糸なし糸電話。名前の通り、糸電話の鳴りをしているが糸がなくても通話ができる。
「糸なし糸電話?誰と電話するのさ。」
「この糸なし電話には、盗聴機能もあるんだ。これをあの赤いのと緑のやつに向けてみて、中の人の声を盗聴できる。さっきからあの対峙しているモビルスーツたちに通信の電波らしきものが飛び交っているんだ。その通信を盗聴できれば、何かわかるかもしれない。」
ドラえもんは二つ出した電話のうち一つをサザビーとリ・ガズィに向け、もう一つをのび太に手渡した。
「よし、聞いてみよう!」
ドラえもんとのび太が、それぞれのモビルスーツに向けて糸なし電話を向け、耳を澄ましてみた。すると、スピーカー越しの若干ノイズの入った声が聞こえてきた。
「なんでこんな物を地球に落とす!?これでは、地球が寒くなって人が住めなくなる!
核の冬が来るぞ!」
この声は、リ・ガズィから聞こえてきた。
「地球に住む者は自分達の事しか考えていない。だから抹殺すると宣言した!」
今度は、サザビーから。すると、サザビーは持っていたライフルを撃ち、ビームが放たれた。リ・ガズィは難なくビームを回避する。
そんなリ・ガズィを追撃するかのように、サザビーの背部から赤い筒のような砲塔、”ファンネル”が一機飛び出し、リ・ガズィを追尾し、射撃していく。
「人が人に罰を与えるなどと!」
リ・ガズィも負けじとライフルを発射した。サザビーも難なく回避するが、そのすきを突いたのか、リ・ガズィはいつの間にか一気に距離を詰め、接近戦に持ち込み、ビームサーベルを取り出した。
リ・ガズィのビームサーベルはサザビーの装甲をかすめ、サザビーも対抗すべくビームトマホークを取り出した。
リ・ガズィとサザビー、二つのビームサーベルが衝突し、鍔迫り合いとなった。
「私、シャア・アズナブルが人類を粛清しようというのだ、アムロ!」
「エゴだよ、それは!」
「地球が持たん時が来ているのだ!!」
シャアの声とともに、サザビーは鍔迫り合いとなっているリ・ガズィを払いのけた。
「……どうやら、あの赤いモビルスーツに乗ってるのが、シャアみたいだ。」
ドラえもんは糸電話を外してのび太に解説する。
「本当に、地球をつぶす気だなんて……!」
地球にフィフス・ルナを落とし、破壊しようとする人間が目の前で戦っている。改めて危機に直面し、戦慄するのび太。
「とにかくこのまま放っておけば、地球の未来がなくなる可能性があるのは確かだ!!僕たちもこのフィフス・ルナを止めるんだ!」
「どこに、爆弾を仕掛けよう!?」
「フィフス・ルナは核エンジンで動いているみたいだから、動力部がいいかもしれない。」
いざ爆弾を設置しに行動しようとしたその時……
「おい!そこで何をしている!?」
スピーカー越しの声が響き渡った。
のび太とドラえもんの後ろには、サザビーの兵装を少し控えめにしたようなモビルスーツ、ヤクト・ドーガが立っていた。