ドラえもん~のびたの逆襲のシャア~   作:Gunninja

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第6話 脱出!!

「ここも、もうだめか……。」

 

 

リ・ガズィを駆るアムロ・レイ。ロンド・ベルに所属する階級は大尉のモビルスーツパイロットである。

 

全方位モニターに映る景色は、フィフス・ルナが真っ赤に燃え盛る光景だった。もはや限界といったところだった。

 

 

「くそっ……シャアを阻止できず、ただこいつが落ちていくのを黙ってみてるしかないなんて……!」

 

 

フィフス・ルナが限界阻止地点を突破してしまえば、もうどうすることもできない。フィフス・ルナは連邦政府の中心であるチベットのラサに落ち、その周辺は甚大な被害に見舞われるだろう。

 

事前のブリーフィングで近隣の退避状況は聞いたものの、退避したのは連邦軍の上層だけだ。逃げ遅れている人間は何人もいる。自分はそんな人たちをただただ見殺しにすることになるだろう。

 

無念極まりなく、悔しいという感情で片付けられるような感覚ではなかった。

 

その時、リ・ガズィのレーダーに反応があったのをアムロは気づいた。

 

 

「これは……ジェガン?連邦のジェガン隊は引き上げたはずだ。まだ1機残っているとは……。」

 

 

レーダーにポツンと1機映る反応を目にした、その直後だった。

 

 

(わーっ、やられる!!)

 

(たすけてっ!!)

 

 

アムロの脳内に直接そんな声が響いた。

 

 

「なんだ!?子供の声!?」

 

 

声のもとを探ろうとアムロはあたりを見回した。

 

 

(今度こそ死ねぇっ!!)

 

「今度は……ネオ・ジオンのシャアの近くにいたやつか。」

 

 

もう一度、ジェガンの反応が映ったレーダーがアムロの目に入った。すると、もう一度、助けを求める声が聞こえた気がした。

 

 

「しかし、こんなところに子供なんているはずないのにどうして……?」

 

 

レーダーに映るジェガンの反応が目に入るたびに、助けを求める子供の声がアムロの脳内に響き渡る。

 

まさか、そのジェガンの中にその子供が乗っているんじゃないだろうな?ふとアムロはそう思った。

 

 

「そこにいるのか……?ならば待ってろ!」

 

 

アムロはリ・ガズィを加速させ、反応のあるエリアに向かった。そこに着くまではそう時間がかからなかった。

 

リ・ガズィが到着すると、そこにはジェガンにビームサーベルを突きつけているヤクト・ドーガの姿があった。

 

 

「ジェガンの生き残りか!?」

 

 

アムロはヤクト・ドーガに気づかれないように静かにリ・ガズィのライフルを構え、狙撃した。

ビームはヤクト・ドーガのビームサーベルを撃ち落とした。

 

 

「ロンド・ベルか!!」

 

 

そして今に至る。

 

 

「もうフィフスは阻止地点突破してんだぞ!なんでまだいるんだよ!!」

 

 

ヤクト・ドーガはライフルを構えてリ・ガズィのほうに向いた。ヤクト・ドーガが発射する前にリ・ガズィはビームライフルを連射してけん制する。撃とうとしたものの、一旦ギュネイは回避した。

 

そして再度ギュネイはライフルを撃とうとするが、ビームが出なかった。引き金を引く音だけがこだまするだけだった。

 

 

「弾切れか!!」

 

 

ビームアサルトライフルは残弾数ゼロ。ビームサーベルも紛失。ファンネルもすべて撃墜され、ヤクト・ドーガには武装がもうない状態だった。

 

 

「……俺が逃げるしかないなんて!!」

 

 

フィフス・ルナもかなりギリギリのところまで来ていることもあり、ギュネイの乗るヤクト・ドーガは退却した。

 

ヤクト・ドーガが引き下がったのを確認すると、リ・ガズィはライフルを下ろした。

 

 

「あのモビルスーツは……味方かな?見た感じさっきジェガンと一緒にいたから……。」

 

 

ドラえもんはリ・ガズィのほうを見て警戒する。すると、ジェガンに通信が入ってきた。

どうやらリ・ガズィからのようだと判断すると、ドラえもんは通信を開いた。

 

 

「君たち、大丈夫か?」

 

 

ジェガン内に響いたアムロの声が、先ほどシャアと対峙していたリ・ガズィの声と間違いなく一緒だと、ドラえもんは判断した。

 

 

「は、はい、なんとか……。」

 

 

すると、周りが先ほどよりさらに揺れだした。

 

 

「ここはもうだめだ。早く脱出するぞ。フィフスが地上に落下する。」

 

 

リ・ガズィが先導し、それにのび太たちの乗るジェガンが追従してフィフス・ルナからの脱出を図った。

 

 

「あの……よく僕たちがここにいることわかりましたね?」

 

 

通信回線開きっぱなしの状態であることが分かったのか、のび太はジェガンを進めながらリ・ガズィのアムロに対して質問する。

 

 

「そりゃあ、レーダーを見ればわかるさ。連邦のジェガン隊はすでに引き上げた状態なのに、一機残っていれば何かと思うさ。」

 

「もう小惑星が間もなく大気圏に突入するっていうのに……なんかすみません。」

 

 

見知らぬリ・ガズィパイロットの善意に申し訳なく思うドラえもんだった。

 

 

「それになんだか、君たちの声が聞こえた気がしたんだ。」

 

「声?」

 

 

リ・ガズィのパイロットの突然の話にのび太たちは首を傾げた。

 

 

「助けを求める君たちの声さ。レーダーでジェガンの反応をキャッチした時に、君たちの声が聞こえた気がしたんだ。」

 

 

そんなはっきり聞こえるぐらい助けを求めたっけ?と疑問に思うのび太。

 

 

「はっきりとは聞こえないさ。ただ、なんとなくそう思った……いわゆる勘ってやつかな?それに声を聞くからに、子供の声だった。連邦軍にも若いパイロットはいるけど、いくらなんでも君たちのような子はいないさ。そんなのがジェガンに乗っていること自体も異常に思えてね。」

 

「すごい……まだ会ってすらもいないのに!!」

 

「ほとんど当たってる……!」

 

 

リ・ガズィのパイロットとは顔も合したこともないのに、自分たちのことと状況をあたかもお見通しかのようにズバズバあてられ、のび太とドラえもんは驚いた。

 

 

「それで勘に従っていってみると、ヤクト・ドーガに襲われてる君たちがいたんだ。」

 

「あの……超能力者(エスパー)か何かですか?」

 

「よく言われるけど、そんな便利なもんじゃないよ。ただちょっとだけ……ほんの少しだけ勘がいいってぐらいさ。」

 

 

のび太の質問にアムロは淡々と返答した。

 

 

「そんな便利な力があれば、もはや止められないこのフィフス・ルナの落下を阻止できればどれだけいいものか……。」

 

 

アムロはリ・ガズィを加速させるなか、つい愚痴をこぼしてしまう。

 

 

「……そうだ!爆弾!!ドラえもん、爆弾どうしたの!?」

 

 

のび太は高性能爆弾を動力部に仕掛けてフィフス・ルナを爆破させることを思い出したが、先ほどのヤクト・ドーガに邪魔されたことで、最後までしっかり設置できたのかどうかがうやむやだった。

 

 

「うん、設置はできてる。あとは起爆装置を押すだけだけど、威力が威力だからこのフィフス・ルナを完全に脱出してからじゃないと、僕たちも危ない。」

 

 

このドラえもんの話は、リ・ガズィの中のアムロにも聞こえていた。

 

 

「爆弾?君たち、これを爆破させにここにきたのかい!?」

 

 

アムロの中では、テロを想定して年端も行かない子が銃や爆弾を持つことがあったとしても、小惑星を破壊するほどの爆弾を持つことはあまり考えられなかった。そのためかのび太やドラえもんがフィフス・ルナを破壊しようとしていることを信じられず、驚きを隠せなかった。

 

子供ならではの質の悪い冗談にも一瞬聞こえたが、直後に持ち前の勘からかなんとなくうそを言ってるようにも思えなかったのだ。

 

 

「……ここで今更な文句を言うようでなんだが、フィフス・ルナはすでに大気圏間近だ。仮にこんなところで爆破させ、落下を阻止して地表に被害がなかったとしても、フィフスの粉塵がオゾン層を覆いつくしてしまう。」

 

「……そうなると、どうなるのドラえもん?」

 

 

アムロの解説をさっぱり理解できなかったのび太はドラえもんに聞いた。

 

 

「う~ん。大量の砂ぼこりで空がすっぽり覆われるんだ。そうすれば太陽の光が地球に行き届かなくなって、ずっと夜の日が続くようになる。そうすると、気温もだんだん下がっていって、作物も育たなくなって、人が住んでいられないような環境になる。春夏が来ることもないから、永遠に寒いまま。」

 

「え!?それじゃあ、ずっと冬になるってことなの!?」

 

「それが、核の冬だ。」

 

 

アムロはとどめを刺すかのように締めくくった。

 

 

「そうなるのに、爆発させて大丈夫なの!?」

 

「ふふふ。その点に関してもちゃんと知っててあの道具を出したさ。」

 

 

意外とちょっとの判断ミスで大変なことになる瀬戸際なのに、余裕の表れなのか不敵に笑うドラえもん。

 

 

「まあ、ほんとだったら進行方向変えて、地球から離すのが理想だったけど、状況が状況だったからこんな荒っぽいことになっちゃったけど。まあ、とにかく急いでここをはなれよう。」

 

 

ドラえもんがそう言った直後、後方から誘爆が起こり始めていた。フィフス・ルナの中に残されている易燃性物質などが摩擦熱で引火し、ところどころで爆発が起こっているのだ。まさにフィフス・ルナの終わりを告げるかのような光景が広がっていた。

 

 

「あわわ……ど、ドラえもん!」

 

 

のび太はそれを目撃すると、焦り始めた。それが聞こえたのかアムロも急ごうと加速することに意識する。

 

しかし、リ・ガズィの速度はすでに限界に達していた。これ以上スピードは上がらないし、無理に上げようとすればオーバーロードを起こして機体が爆発することもある。

 

 

「……あれは?」

 

 

どうにかならないかと模索していると、アムロの目にはとある飛行機のようなものが映った。

 

 

「……リ・ガズィのBWS!!」

 

 

逃げ道の先にはリ・ガズィ専用のオプションパーツ、BWS(バックウェポンシステム)が宙に浮いているのが見えた。

 

 

このBWSとリ・ガズィが合体することで、戦闘機のような高機動形態となる。ちなみに、ビームキャノンなどの火力系も追加搭載されているため、機動力を生かした一撃離脱の戦法を利用して、対艦戦を行うこともできる、まさにリ・ガズィの増強パーツである。

 

 

「そうか……俺が最初につけてきて、途中で分離したものがここに流れ着いたのか。」

 

 

リ・ガズィのBWSは主にあらかじめ出撃前に装着され、途中で弾薬がなくなったり、機動系統の破損などで、分離して使い捨てにされるのが大半であり、戦闘中の装着・再装着事例はほとんどないといわれていた。

 

しかしアムロはある程度の遠隔誘導や、最低限のドッキング・コントロールが可能な相互通信システムが搭載されているという仕様がリ・ガズィにあることを聞いていたので、アムロはBWSを再利用できないか、ドッキング用の相互通信システムを呼び起こし、リンクを試みた。

 

すると、システムには緑のラインの上に「BWS Available(使用可能)」と書かれた文字が表示された。

 

 

「よし、まだ使えるみたいだ。ならば……」

 

 

アムロはBWSにリ・ガズィを接近させる。

 

 

「あれ?何をする気なんだろう?なんか壊れた飛行機みたいなのが見えるけど。」

 

 

のび太はアムロがとった行動を理解できず、不思議がった。

 

するとリ・ガズィはシャツを頭から着るかのように、BWSの下から潜り込んで合体した。リ・ガズィは一機の戦闘機になった。

 

 

「わ!ロボットが飛行機になった!!」

 

 

のび太もテレビのロボットアニメでこういったシーンを何度か目にしたことがあったので、目の前でそれが起こって感激した。ロボットアニメのロマンをくすぐられる光景だった。

 

 

「君たち。これで飛行機ができた。これで早く帰れるぞ。上に乗りたまえ。」

 

 

アムロの誘導で、のび太たちのジェガンはサーフボードに乗っかるような感じでBWS形態のリ・ガズィ上に乗った。

 

 

「よし、乗ったな?振り落とされるなよ。」

 

 

アムロはリ・ガズィをフルスロットルにし、一気に加速させた。モビルスーツとして動いていたリ・ガズィよりも断然速い。

 

 

「あわわわわわわ!!」

 

「すごいG(重力加速度)だ!!」

 

 

のび太とドラえもんは、リ・ガズィの速度によってできたGに圧迫されていたが、何とか失神できずにいた。

 

ジェガンを乗せたリ・ガズィはあっという間にフィフス・ルナを脱出したが。外は入ってきた時より真っ赤だった。もう大気圏突入寸前なのだ。

 

 

「間に合うか!?」

 

 

正直アムロも地球の重力圏に引っ張られないか心配だった。下手すれば重力圏に引っかかると抜け出せなくなってしまい、そのまま地球に落下し、流れ星となって燃え尽きてしまうだろう。が、めげずに脱出することに専念した。

 

フィフス・ルナからはだんだん距離が離れていく。

 

 

「よし、そろそろいいかな。爆弾、発破!!」

 

 

ドラえもんは高性能爆弾のリモコンを取り出し、スイッチを押した。そして数秒ほどのタイムラグの後、フィフス・ルナの動力部付近から、間欠泉のように一筋の光が噴き出るのが見えた。そして光の筋が2つ、3つ、4つとだんだん増えていき、やがて爆発した。

光は自分たちのところに届いていないように見えるが、それより早く見えない爆風がものすごい速度で、ジェガンとリ・ガズィを押し上げる感じで吹き飛ばす。

 

 

「うおおおおおおおおおっ!?」

 

 

後方からの爆風による追い風でリ・ガズィはさらに加速し、中のアムロは圧迫されていた。

 

 

「わーわわわ!ど、ドラえも~ん!!」

 

「ちょ、ちょっと威力強すぎたかな!?」

 

 

ジェガンの中はかなり揺れていて、のび太は逃げ切る前に壊れるんじゃないかと不安になっていた。

 

幸いにもこのフィフス・ルナの爆風により、重力圏に飲み込まれかけていたリ・ガズィたちは脱出に成功し、地球に落下する危機からは免れた。

 

安全を確認すると、リ・ガズィのアムロは後方を確認し、フィフス・ルナが大気圏寸前で爆破四散していく様を目にした。

 

 

「本当に爆破したのか。しかしこれでは……。」

 

 

アムロは先ほどのび太たちに説明した核の冬に危惧していた。ドラえもんは大丈夫とは言っていたが、それが確かなものでなければ、フィフス・ルナの細分化した破片はオゾン層に広がり蔓延し、空を覆いつくすことになるだろう。結果、逆効果になってしまう。

 

その時だった。

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

フィフス・ルナを中心に周辺から光の粒子のようなものが発生し始めた。

 

 

「何が起こってるの?」

 

「これが大丈夫と言ってた理由さ。」

 

 

予想外の光景に不思議がるのび太の隣でドラえもんは予想通りといった余裕の顔を見せていた。

 

 

「もしも大気圏前でフィフス・ルナを普通の爆弾で爆破していたら、あのモビルスーツのパイロットさんが言ってたように、粉塵がオゾン層……空を覆いつくして太陽を遮ってしまう。しかもそれは、軌道上に引っかかってしまえば、下の地表に向かって落ちることもないからその空の上でとどまって、なかなか晴れないものになる。」

 

 

ドラえもんは、爆発し光の粒子になりつつあるフィフス・ルナを指して言う。

 

 

「それで今回僕が使った爆弾はね、今回みたいに誤って大気圏間近で大型の小惑星を爆破させてしまった時の為に、”スペース・デブリ”処理機能が強化されているんだ。」

 

「スペース・デブリ?」

 

「宇宙のごみだよ。宇宙ではごみ一つだけで大事故につながることもあるからね。」

 

 

宇宙空間に衛星やロケットの破片などのごみが発生すると、その軌道上に乗っかって地球の周りを回り続けるのだ。それの何が問題なのかというと、速度である。低軌道のところでもその速さは秒速約7~8km。自動車の法定最高速度(日本国内で時速60km。これを秒速に直すと16.67m。)の約400倍の速度なのだ。宇宙空間、特に軌道上で仕事をするということは、そんな超高速物体が常に飛び回っている中で自身の命を守りながら作業をしなければいけないという、リスクに見舞われることになるのだ。当然激突すればもはや命はないだろう。デブリが発生すればそれだけで一撃必殺の凶器となるのだ。

 

 

「で、話を戻すけど、このスペース・デブリ処理機能によって、オゾン層に粉塵が蔓延するようになったとしても、その砂ぼこりの一粒一粒が特殊なエネルギーの膜で覆われるんだ。成層圏付近で留まることがないように、軌道から自動で脱出して重力圏に吸い付いて速やかに下に落ちるようにね。光の粒子が出ているのはそのエネルギーのためなんだよ。」

 

「え?その砂が落ちてきたら、下が砂だらけになっちゃうじゃん。」

 

 

のび太の頭の中では、空から砂の雨が降ってくるイメージが描かれていた。

 

 

「砂は地面に到達する前に、大気圏の摩擦熱で燃え尽きて消えてなくなるよ。それが僕らがいつも見てる流れ星さ。」

 

 

流れ星の大きさとは、実際砂粒ほどである。それが大気圏で燃え尽きて光って見えるのだ。

 

 

「これで、このフィフス・ルナの爆発で起こった砂ぼこりは空の上で留まることなく、みんな流れ星になって落ちて消えていく。太陽が遮られることはないよ。」

 

 

ドラえもんは、成層圏付近で光の粒子となって散り散りになっていくフィフス・ルナを丸で囲むように手を動かした。

 

 

「さあ、これだけの砂粒が下に落ちるんだ。ちょっと不謹慎だけど、流星群がみられるよ。」

 

 

ドラえもんの言うとおり、フィフス・ルナから発生した光の粒子の大群は、一つ一つが光線のような流れ星となって、地球に降り注いだ。どれだけあるかわからないほどの砂粒一つ一つが束になって流れることで、軌道上から流星群が降り注ぐ様となって見える。

 

流れ星はドラえもんの言う通り地表に到達することなく、燃え尽きて消えていく。まさに、流れ星は一瞬の出来事を改めて証明するかのように。

 

 

・・・

 

 

そして、フィフス・ルナから光があふれている光景は、ロンデニオン行きのシャトルからも見えた。

 

 

「すごいきれい……!!あれ全部流れ星かしら!?」

 

 

しずかはフィフス・ルナの光に見とれていた。

 

 

「幻想的だな……生きているうちに宇宙でこんなものがみられるなんて。」

 

 

ハサウェイは驚きと感激を同時に味わっていた。

 

 

「……もう奇跡よこれ。隕石が突っ込んで終わりっと思ったら、こんなことになるなんて……。」

 

「映画みてぇだ。」

 

 

クェスとジャイアンも先ほどのパニックがあたかもなかったように、窓の外を見つめた。

 

 

「た、助かったの僕たち……?」

 

 

スネ夫は窓の外を見ることなく、うずくまっている状態で安全確認のために顔を上げた。

 

 

「いいから見てみろよお前も!」

 

 

うずくまるスネ夫をじれったく思ったジャイアンは無理やりスネ夫を窓に近づけ、光あふれる成層圏の様を見せた。

 

 

「うわー!映画みたい!!」

 

「さっき俺が言ったっつーの!」

 

 

感激して見とれるスネ夫の頭にツッコミを入れるジャイアンだったが、スネ夫は感激のあまり、痛みを感じてる余裕はなかった。

 

そんなジャイアンたちの声を聞いたのか、フィフス・ルナの接近に恐怖し身をかがめていたほかの船客も、次々と窓の外を見て、ロマンに浸っていった。

 

ただ一人、未だ恐怖で身をかがめ神頼みをするクェスの父親アデナウアーを除いては。

 

 

・・・

 

 

「フィフス・ルナの破壊により、結果として地球への落下は阻止できた。しかも、大気圏付近で爆破させたにもかかわらず、核の冬までも回避した……ありえないほどの奇跡だ。」

 

 

あまりの予想外の出来事にアムロは感激と驚愕を同時に味わっていた。そんなありえないことを、見知らぬ年端も行かない少年たちがやってのけたことを、何よりも驚愕していた。

 

 

「こんなことをしでかすなんて……君たちは一体……!?」

 

「ふふふ。そんな大したものじゃないですよ。」

 

 

驚愕するアムロを翻弄するかの様に、ドラえもんは不敵に笑った。

 

 

「僕はただ、何をやってもまるでダメなある少年を助けに、未来からやってきたネコ型ロボットですよ。」

 

「まるでダメな少年って僕のこと!?」

 

 

逃がさんとばかりののび太のツッコミがジェガンのコックピット内で響く中、前方から白い宇宙戦艦が見えてくるのが分かった。

 




オリジナルの秘密道具が出てくるこというのを忘れてたので、ここで説明します。

●小型Iフィールド発生器

基本的なところは宇宙世紀ガンダムに出てくるものと同じだが、時が経つにつれて小型化にされたもの。

衣服のポケットに入れられるサイズのため、これさえ持っていればどこでもIフィールドが発生させられる。

ただし小型化するにつれて、等身大の人間がモビルスーツを相手に真っ向から戦うことは想定されずに企画されたため、出力も弱まっており、巨大なモビルスーツのメガ粒子砲などは防げない。


●高性能爆弾

水田わさび版ドラえもんでも同じ名前のものが地球破壊爆弾と同一のものとして登場しているが、こちらは地球破壊爆弾と同じシリーズであり、小惑星の破壊用に出力がスケールダウンしたもの。

主に宇宙空間での建築作業などで、障害となる小惑星があった場合に破壊できるようにつくられた。

しかし、その対象となる隕石や小惑星を大気圏付近などで爆破してしまった場合、スペースデブリ自動処理機能として、飛び散った破片は自動的に細分化され、自動的に大気圏で燃え尽きるなどして自ら消えるようにエネルギーが付着するようになっている。その時外からは光の粒子が発生しているように見える。


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