仕事の事情がいろいろ変わって、かなり遅くなりました。
地球連邦軍外郭部隊ロンド・ベル隊の旗艦であり、砲撃戦能力とモビルスーツ運用能力を重視した、新たな連邦軍の主力艦艇、白いカラーが特徴のラー・カイラム。その艦の後方の着艦用甲板に、ジェガンを乗せたリ・ガズィが着艦した。
リ・ガズィは流れるように艦内のドッグに入っていき、専用のハンガーにドッキングすることで止まった。リ・ガズィが止まることを確認すると周りにいた整備班たちがリ・ガズィに寄って来た。
「アムロ大尉、どうしたんですこのジェガンは!?生き残りですか?」
整備員の一人、アストナージ・メドッソが、リ・ガズィからアムロが出てくるのを確認してから質問した。
「……みたいなものさ。アストナージ、中にいるのは一応お客さんだから、念のため救護班もスタンバらせておいてくれ。」
そういいながらアムロがコックピットハッチから飛ぶと、無重力の中をふわっと浮いた。
「お客さん?軍人じゃない誰かが乗ってるのかな?」
アストナージがリ・ガズィからジェガンのほうに目をやると、ジェガンのハッチが開いた。中からのび太が出てきたのがアストナージの目に入った。
「子供!?なんだ、また子供か!!」
アストナージはデジャブを覚えていた。
彼はロンド・ベル隊、ロンド・ベルに配属される前に、反連邦政府組織エゥーゴで整備士として所属していたことがあり、その時に未成年がモビルスーツを動かす光景を目にしたことがあるのだ。
のび太がジェガンから出入りする瞬間を見て、アストナージはその時のことを思い出していた。
「やれやれ。ジュドーの時と言い、なんでこうも子供が乗るモビルスーツに縁があるのかねぇ。」
アストナージはその時持っていたスパナで頭をかいた。
「まあ、いいんじゃないかい?大の男が大半占めてるんだから、少しはドックも平和になるだろうよ。」
「ケーラさんよぉ、お前はガキどもがはしゃぎまわる中で作業するしんどさが分からんだろうに。」
後ろから聞こえてきた金髪の女性兵士、ケーラの声にため息をつくアストナージ。
「ドラえも~ん。なにしてんのさ、早くいくよー?」
ジェガンから一番に出たのび太は、ドラえもんが残っている後ろのジェガンのコックピットに声をかけた。
「待って待って。すぐ行く。」
そういうとドラえもんはハッチから顔を出した。その様子がアストナージの目に入ると……。
「なんだありゃ!?子供の次はタヌキか!?どういう取り合わせだ!?」
「僕はタヌキじゃない!!ネコ型ロボット!!」
ドラえもんがタヌキと言われての、おなじみのパターンである。
「ネコ型……見えるようなそうでもないような……。」
自身の言う猫の基準にドラえもんはなかなか当てはまらなかったのか、ケーラはドラえもんを猫としてとらえるのに少し迷った。
「君たち、こっちだ。」
アムロはジェガンから出てきたのび太とドラえもんを確認すると、手招きした。
のび太とドラえもんは手招きするアムロのほうに向かっていった。
「本当に子供が乗っていたんだな……あと一人は、ロボットらしいが。」
モビルスーツを降りてからは初対面となるアムロとのび太とドラえもん。
アムロはまじまじと二人を見た。特にドラえもんのほうは、自身が今まで見たことのないものなので、あまりの珍しさに見ている時間が長かった。
「これから僕らはどうなるんでしょう?えっとその……」
「ああ、まだ名乗ってなかったな。俺はアムロ。アムロ・レイだ。このロンド・ベル隊で大尉としてモビルスーツに乗っている。」
アムロは後ろでダメージを修理されているリ・ガズィを指さしながら自己紹介した。
それにつられてのび太とドラえもんも自己紹介する。
「野比のび太です。小学5年生です。」
「僕ドラえもんです。アムロ大尉、先ほどは助けていただいて、ありがとうございます。」
「なんの。君たちがいなければ、フィフスはあのまま地球に落ちて、シャアにやられるのを見ているだけだった。」
アムロはのび太とドラえもんの順に握手を交わした。
「小学生か……本当に若い子供が乗っていたとは。まあそれもひっくるめて聞きたいことは山ほどあるが……。」
といってアムロがドラえもんたちに質問しようとすると、艦内放送の呼び出し音が鳴る。
『アムロ大尉。アムロ大尉。至急ブリッジにまで来てください。』
「……説明しなきゃいけないのは俺も一緒か。すまないが、君たちもついてきてくれ。」
アムロはのび太とドラえもんを案内するのも込めて、誘導しつつブリッジに向かった。
ブリッジに入ると、慌ただしい喧噪で包まれていた。
「戻ったか、アムロ。」
ブリッジで先に声をかけたのは、艦長のブライト・ノアだった。
「ブライト、こっちもいろいろ説明……および報告しないといけないことがある。」
「ああ、では聞かせてもらおうか。突然消えたフィフス・ルナについてな。」
まずアムロは戦況報告を行い、その中で自身が目撃したフィフス・ルナが光の粒子となって爆破四散した結果について、ことの顛末を告げた。
「……話だけを聞くと、本当に小説か漫画みたいな話だ。アムロかそのほかのニュータイプじゃなかったら、一年戦争のときみたくまたヒスを起こしてぶん殴ってたかもしれん。」
最後の言葉に少し過敏に反応したのび太だった。ぶん殴るという暴力的なことは日ごろからジャイアンにやられていたので、癖になっていた。
「だが現実になった。それを今から説明する。この二人についてな。」
のび太とドラえもんはアムロの前に出た。
「艦長のブライト・ノアだ。よろしく頼む。」
「ドラえもんです。えっと、信じてもらえるかどうかはわかりませんが……。」
(……ロボットと言っていたが、ハロの系統か?)
ドラえもんは、自身が未来から来たネコ型ロボットであること。その未来に存在する道具を使ってフィフス・ルナの落下を阻止したことを説明した。
この戦いにあまり関係がなさそうなドラえもんとのび太が、なぜフィフス・ルナを止めに来たのかという理由として、自分たちの住んでいる未来の世界が消えかかっていて、このフィフス・ルナの落下およびシャアの反乱が何か関係しているかもしれないということを告げた。
「未来の世界が消えかかっている、タイムパラドックスか。ますます小説だな。にわかに信じがたいところだが、現にフィフス・ルナがああやって派手に消滅したのを目にしてしまったのもある。」
ブライトは頭の中がごっちゃになっていた。にわかに信じられない思いと、信じられないものが実現し、それが結果をだしてしまったために認めざるを得ないことが交錯しているのだ。
「その未来の消滅に、シャアの動きが関わっているとはな。」
「それで、ブライト艦長。”アクシズ”に何か心当たりはないですか?」
取り付く島を得たかのように、ブライトはドラえもんのアクシズの言葉に反応した。
「アクシズと言えば、旧ジオン公国軍がアステロイドベルトにて資源採掘用として開拓した小惑星のことだ。中継基地として使われていたが、当時の戦争が激化するにつれて、要塞に改造されていったものだ。」
ブライトはブリッジから展望できる宇宙空間の遠くのほうを見た。
「ドラえもん君、アクシズがどうかしたのかい?それがもしやシャア……未来の消滅に?」
アムロがドラえもんを後ろから覗き込むように質問してきた。
「はい、実は……。」
ドラえもんは、未来の消滅の際に、歴史書の最後にアクシズの文字が書かれていたことを伝えようとしたその時だった。遮るようにラー・カイラムの通信が入るベルが鳴った。
「艦長、アナハイムより入電。アムロ大尉に、例の件に関してです。」
「繋いでくれ。」
話の途中だったが、ブライトは迷わず通信のほうに耳を向けた。
ブリッジの通信用モニターのスクリーンには、ケーラとは違う金髪の女性の顔が映った。
「あ、つながったつながった。アムロ、聞こえる?」
「ベルトーチカ・イルマか!!」
返事をするようにアムロは反応した。
「きれいな人だなー。」
「あら?見かけないかわいらしいお客さんね。」
自身に見とれているのび太にベルトーチカは気づいた。
「彼らはのび太君とドラえもん君だ。諸事情があって今ロンド・ベルでかくまっている。」
「……つくづく思うが、うちはほんと託児所じゃないんだがな。」
ベルトーチカにのび太たちを紹介するアムロの後ろで、ブライトはため息をついた。
のび太たちだけに限らず、ブライト・ノアが艦長として就任した船には、大体子供が乗っていることが多かったのだ。先ほどのアストナージの子供に縁がある話も、そこから来ていたりする。
「初めましてのび太君。ドラえもん君。私はベルトーチカ・イルマ。そこにいるアムロ大尉の”(将来的な)お 嫁 さ ん” よ。」
ベルトーチカの強調した発言により、アムロをはじめとしてブリッジクルーは噴出した。
「え!?アムロ大尉、結婚してたんですか!?」
思わずのび太は真に受けて驚いた。
「ベル!余計な冗談はよせ!」
「あら冗談だなんてひどいわアムロ。私たちは深く愛し合ってもうずいぶん経つじゃないの。そんな日々を迎える中で、あんなことやこんなことも……あれも全部遊びだったというのね!?」
「ああ、もう!話をややこしくするな!」
ラー・カイラムのブリッジで繰り広げられるアムロとベルトーチカの夫婦漫才に、クルーからのクスクスという笑い声が響き始めた。
「……話はそこまでにして。アナハイムから直接かけてきたということは、”アレ”に関することじゃないのか!?」
「そうそう。ちょいと色々とややこしいこともあったりするから、もうアムロに直接見てもらったほうが早いと思ってね。」
先ほどのおちゃらけた表情から、まじめな顔になるベルトーチカ。
「そうだな。シャアの動きが分からなくなった以上、警戒もかねて”アレ”の準備も急がねばな。ちょうどいいからそっちに見に行くことにするよ。場合によってはその場で受け取ろうとも……。」
「じゃあオクトバーさんにもよろしく言っておくわ。ご飯とお風呂炊いて待ってるわねんダーリン♪」
「ベル!」
アムロが叱ろうとすると通信回線は切れ、モニターからベルトーチカの顔は消えた。
「……ブライト、月に行く。」
「そうだな。いつでも例のものが動けるようにしておいたほうがいい。」
アムロはそういうと、ブリッジを出て格納庫に向かおうとする。
「2年もかけて我々ロンド・ベルはすべてのコロニーを調査した。だが、シャアが動いていることは、うわさですらも聞くことができなかった。その水面下で軍備ができていたとすれば、もはや悠長にはしていられないだろう。」
格納庫に通じる廊下を進むアムロの後ろでブライトが言う。
「じゃあなんで、シャアが軍の準備をしているのが分からなかったんでしょう?」
ドラえもんが質問した。
「一般人がガードしちまうのさ……。」
「どうして!?地球がピンチだっていうのに!みんなの地球でしょ!?」
のび太はブライトに訴えた。
「地球連邦政府は地球から宇宙を支配しているが、これを嫌っているスペースノイドは山ほどいる。」
「ああ、だからシャアの味方をするんですね。」
「どういうこと?ドラえもん?」
「地球に住む人たちが、宇宙でコロニーに住む人たちをいじめてるともいえるんだよ。思ったより地球と宇宙の関係は根深いみたいだ。」
「そんな……そんなことって……。」
正直、のび太の中では悲しいことであるとわかっていても、事態のスケールのでかさに頭が追い付いていけなかった。
そんなこんな話をしていると、アムロたちは格納庫に着いた。
「アストナージ。ゲタの用意はどうか?」
「外に用意してます!」
「下駄?下駄なんかどうするんだろう?」
アムロとアストナージの言うゲタの言葉にのび太は疑問を抱いた。
「……そうだ。君たちはどうしよう?ラー・カイラムも絶対安全とは言えないから、このまま月に行くついでにフォン・ブラウンにでも下したほうが安全じゃないのか?」
アムロはカタパルトデッキに降りる前に気が付いてドラえもんたちのほうを向いた。
「そうだな、ここはもはや戦場だ。いくら君たちが未来のこと知ってるとはいえ民間人だ。様々な意味で失うわけにはいかない。」
「そうだ!僕たち民間人だった。」
ブライトの言葉に、自分たちの立場を思い出すドラえもん。
「え?ここにはいられないの?」
「モビルスーツを動かせるわけじゃないだろう?それを考えたら無理に前に出て戦うよりも、間接的に支援したほうがいいかもしれない。」
ブライトはのび太に提案した。
「そのことについては、追々相談することにしよう。君たちに助けられて、今後も協力してほしいのは事実だ。」
アムロはそう言いながら、カタパルトデッキのほうに降りた。そこには、平べったいデザインのモビルスーツ運搬用宇宙艇、ベースジャバーがあった。
「あれが……ゲタ?」
のび太にとって思っているゲタとは全くかけ離れたものが見えたことに、混乱した。
「あれはベースジャバーって言って、モビルスーツを乗っけて飛ぶものなんだ。モビルスーツって人型だろ?あの上に乗って立てば下駄をはいてるように見えるから、ゲタってみんな言うのさ。」
アストナージはベースジャバーを指さしてのび太に解説する。
「のび太君、ドラえもん君、乗りたまえ。まだ第2波はないはずだ。今のうちなら君たちを安全に送り届けられるだろう。」
アムロはベースジャバーのコックピットから顔を出しながらのび太たちを誘導した。のび太たちはアムロに誘導されるままにベースジャバーのコックピットに乗り込むと、キャノピーは閉ざされ、ベースジャバーの乗るリフトはカタパルトデッキまでスライドする。
宇宙空間が見えるところまで来ると、ベースジャバーは最大火力でのバーニアを吹かし、カタパルトから射出され、宇宙空間に飛び出た。
ベースジャバーがラー・カイラムから出発して数分後、アムロは行き先を月のアナハイムに設定し、オートパイロットに切り替えた。
「月までは少し時間がかかる。それまでに睡眠でもとっておくといい。」
アムロはヘルメットをとりながら、隣の座席にいるのび太とドラえもんに告げた。その直後、アムロが座席を少し後ろに倒して寝床にすると、すぐさま仮眠に入った。
「……もう寝ちゃった。この人も昼寝好きなのかな?」
「のび太君じゃないんだから。軍人さんなんだから、戦いとかしんどい仕事で疲れてるんだよ。」
「それを言ったら、僕だってしんどい毎日送ってるのに!」
のび太がしんどい毎日として連想したのは、毎日勉強ができずに先生に怒られ、学校が終わればジャイアンに追い掛け回され、家に帰ればママに0点の答案が見つかって大目玉。何もないと思えばスネ夫に急に呼び出され自分では手に入らないものを自慢してくる、そんな日々の光景が頭に浮かんだ。
「だから君と一緒にするなって。」
「バカにして!」
思わずのび太は声を張り上げたが、直後寝ているアムロに気づいて、のび太とドラえもんは、互いに「しーっ」と静かにした。
「……だったら僕も寝ようかな。僕たちだってロボットと戦って疲れたんだし。」
のび太が寝ているアムロにつられてあくびして、自分も寝ようとしたその時。
「……のび太君、ちょっと話がある。」
「なんだよう人が寝ようとしたときに。」
ドラえもんが小声で話しかけてきたために、睡眠を遮られたのび太はうっとおしがった。
「のび太君はこのアムロ・レイって人、どっかで見たことない?」
「アムロさんを?……あんまりわからないなぁ。それがどうかしたの?」
のび太は横で寝ているアムロを見る。
「……のび太君は、”一年戦争”を知らないかい?」
「一年戦争?なにそれ?」
「……やっぱ知らないか。」
「……やっぱってなんだよ。」
のび太は自分が新聞を読んだりニュースを見たりしないため、時事問題には疎いことを自覚していたため、ドラえもんのやっぱという言葉に少し苛立った。
「この時代……新聞沙汰にもなって、様々なところで話題になったほどの出来事なんだけど、えっと……今から12年ほど前かな。宇宙を舞台にした戦争があったんだ。」
「12年前……って、僕生まれてないじゃないか。」
のび太は指で自身の生誕を計算した。
「君が生まれる前に宇宙にはすでにコロニーが存在していたんだ。それも数多くね。その数多いうちの一つが代表して、”ジオン公国”を名乗って、地球連邦に戦争を仕掛けたんだ。」
「なんで今回のシャアといい、宇宙の人はみんな戦争したがるんだよ。宇宙にいるなら何でもできて自由じゃないか。」
「ブライト艦長も言ってたでしょ。宇宙に住んでいるからと言って何でも自由ってわけじゃないし、みんな幸せじゃなかったんだ。実際は地球連邦政府がコロニー側が勝手な悪さをしないように監視するような形で支配していたんだ。それに不満を持って、ジオンはコロニー側の自治権、独立権を求めて、宣戦布告をして、戦いが始まったんだ。」
「自由が欲しくて独立したいだけだったら、何も今時戦争なんかしなくったって、話し合いで済ませばいいじゃない。」
のび太は負けじとドラえもんの解説に反発した。
「のび太君の言うとおり、それで済めば確かにいいんだけれど、簡単に戦争がなくならないもんさ。」
「そこを何とかならないの!?」
「じゃあのび太君。今までジャイアンに理不尽な暴力を強いられてきたわけだけど、僕が秘密道具を出したところで、ジャイアンのいじめはそれから一切なくなった?」
「そ、それは……」
「今後僕が秘密道具を出したところで、一切ジャイアンが暴力を振るわない平和な状態を作れるという根拠はどこにある?」
のび太は論破されてしまい、言葉が出なかった。
「人間の中にある闘争心と暴力衝動は、切っても切り離せないもんなんだ。だから戦争はなくならない。そういった話は、22世紀になってもたびたび議論されるくらいさ。」
ドラえもんはため息をついた。
「で、話を戻すけど、その一年戦争がどうしたかっていうとだ。その一年戦争では、とある二人の人物がいたんだ。一人は一年戦争を終結に導いたとされている地球連邦軍所属の英雄。もう一人は、ジオンに属するその英雄のライバルとなって、一年戦争の戦局を左右させた人物だ。」
「英雄?ヒーローってわけ!?誰なのそれ!?」
のび太はやっと自分でもついていけそうな話題のキーワードが耳に入ったことで、元気になり食いついた。
「それが、アムロ・レイ……そう、そこのアムロさんだよ。」
「アムロさんが、戦争を終わらせた!?」
のび太は事実に驚きつつ、もう一度アムロを見た。
「そんな戦争を、どうやって終わらせたのさ!?」
「一年戦争は戦艦による艦隊戦とモビルスーツによる機動戦が主だったんだ。アムロさんは、その時もモビルスーツのパイロットだった。アムロさんが乗るモビルスーツは敵ジオン軍のモビルスーツを何機も撃ち落として、ジオンを壊滅状態にまで押し込んだって言われてる。まさにアムロさんはエースなんだ。」
「アムロさんが、そこまですごい人だなんて……で、なんかもう一人いるとか言ってたよね。」
のび太はアムロからドラえもんに視線を移した。
「……それが今回隕石を落とそうとした、シャア・アズナブルだよ。シャアはジオンにいたんだ。」
「ええっ!?じゃあその戦争の時のライバル同士が、また戦ってるってこと!?」
「もしかしたら、一年戦争の時のケリをつけようとしているのかもしれない。」
「それだけの為に、シャアは隕石を落とそうとしたってこと!?そんなぁ、決闘なら1対1で人の迷惑が掛からないところでやればいいじゃない!」
のび太にしては真っ当な正論だった。
「そうだね。もしシャアがそういうことをわかってやってたとしたら、また真意がわからなくなる。」
「それで話を戻すけど、アムロさんはその戦争のときになんていうモビルスーツに乗ってたの?」
「えっと、なんだったっけかなぁ……名前はちょっと忘れちゃったけど。」
「ガンダムだよ。」
突如、寝ていたはずのアムロの声が聞こえたことでのび太とドラえもんは驚いた。二人はアムロのほうを見ると、アムロは目を覚ましていた。
「お、起きてたのアムロさん!?」
「すみません、起こしちゃったみたいで……。」
「いいさ。そろそろ月につく頃だろうしね。」
アムロがそう言うと、正面には月面最大都市、フォン・ブラウンが面する月が見えた。
「アムロさん、そのガンダムってどんなロボットなの?そんな軍を全滅させて、戦争終わらせるぐらいって……。」
「そんな大層なものでもないよ。基本的なところはそこら辺のジムやジェガンと変わらないさ。主力量産型と比べたら多少性能がいいぐらいさ。」
「でも、話だとアムロさんがガンダムで戦争を終わらせたみたいに……。」
「メディアはそれだけじゃ物足りないと思って、オーバーに盛り付けるもんだ。ガンダムだって基本的にはライフルとサーベルを持たせて、敵に向かっていくのは一緒だよ。それでほかの連邦のモビルスーツ乗りと同じように、いろんなところから飛んでくるザクを一機ずつ倒してただけさ。」
「それだけでもすごいと思いますが……。」
たいしたことなさそうにアムロは語るが、ドラえもんは驚いていた。
「僕一人でジオン全滅させるなんて、大層なことはしてないさ。ジオンに勝ったのも、僕だけじゃない連邦軍のみんなの力もあってこその勝利だ。」
アムロはコックピットから別方向の宇宙を眺めた。アムロの視線の先にあるのは何もない宇宙空間であるが、昔そこに何かがあったのを思い出すかのように。
「ガンダムかぁ……どんな見かけしてるんだろう?」
「……ガンダムなら、これから見れるさ。」
アムロはそういうとアクセルを踏んでベースジャバーを加速させ、一気に月に向かった。