ドラえもん~のびたの逆襲のシャア~   作:Gunninja

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第9話 ジオンの第2波

「敵が動きだしました!!」

 

「敵、モビルスーツ確認!モビルスーツ部隊、迎撃用意!!」

 

 

ラー・カイラムのブリッジが突如慌ただしくなった。

 

 

「どういうつもりだ?月とサイド1の中間で、シャアめ!!」

 

 

ないと想定されていたネオ・ジオンの第2波が来るのが見えたからだ。ブライト及びロンド・ベルは意表を突かれた。

 

 

「やむをえない。アナハイムにいる、アムロを呼びだせ。戦闘ブリッジ、早く開くの!!」

 

 

ブリッジでは戦闘配備を展開しつつ、通信オペレーターはアナハイムに向けてアムロの呼び出しを送信した。

 

一方アナハイムでは、アムロは一刻も早くνガンダムを持って帰ろうとすべく、最終チェックを行っていた。

 

そんなアムロが作業するνガンダムのコックピットにベルトーチカが飛び込んでいった。

 

 

「どうした?」

 

「ラー・カイラムからよ。早く帰って来いって。」

 

 

ベルトーチカは紙面のラー・カイラムの伝令をアムロに手渡す。

 

 

「……シャアの第二波が月の近くで?俺にはロンド・ベルに帰投しろ?……サイコミュ受信の調整終了!!」

 

 

アムロは伝令文を理解するや否や、調整に使っていたサイコミュ受信器を取り外し、急いでνガンダムを動かそうとする。

 

 

「出るの?」

 

「でも、まだ終わっちゃあ……」

 

 

サイコミュの調整に付き添っていたメカニックの一人はセリフを言いきる前に、サイコミュの受信機をアムロからほぼ無理やり手渡された。

 

 

「火を入れる!」

 

 

通信用スピーカー越しにアムロは宣言した。

 

 

「やっぱそうなるよね!!じゃあブースターベッド、マスドライバーに回しとくわ!」

 

「任せた!!」

 

 

阿吽の呼吸なのか、ベルトーチカはアムロが何をしてほしいかを瞬時に読み取り、行動に映った。

 

そんなやり取りの一方、オクトバーはのび太とドラえもんたちのほうに付き添っていた。

 

例の百式だ。

 

 

「さあ、これでどうだろう?」

 

 

オクトバーはのび太とドラえもんに注文通りのカスタマイズがされた百式を見せる。

 

 

「うわっ!!ほんとにそっくり!!」

 

「遠くから見たらわからないな。」

 

 

のび太とドラえもんの目の前に立っている百式は、従来の金色ではなく、白をベースとした赤と青の混じったトリコロールのまさにガンダムカラーの百式だった。そう、ドラえもんたちの知るザンダクロスと同じ姿なのだ。

 

 

「さて、ベルトーチカ女史は、こんなもんを使って一体何をするのか、見当つかないけどね。」

 

「なにいってんの!やることは一つでしょ!!」

 

 

ベルトーチカはブースターベッドを準備しようと走り回る中、オクトバーのセリフを聞いて答えた。

 

 

「裏切りヤローへの、嫌がらせよ!!」

 

 

そういって、ベルトーチカはブースターベッドに向かって走っていった。

 

 

「……ところで、これ、君たちが乗るの?」

 

 

オクトバーはザンダクロスの色をした百式を指さす。

 

 

「……たぶんそうかと。」

 

「……話の流れ……というかあの人の想像上からして。」

 

 

のび太とドラえもんの返答を聞いて、オクトバーは頭の中でいろいろとツッコミどころ(主にベルトーチカに対して)が溢れかえっていたが、もう何かとめんどくさくなってきたので何も言わないことにした。

 

 

「そういうわけで、ブースターベッドは2機!!!」

 

 

ベルトーチカの2本の指がピースサインを彷彿させるように上がった。

 

 

・・・

 

 

「なんて作戦だよ。モビルスーツは白兵戦がメインだってのに。」

 

 

ネオ・ジオンの主力とする宇宙軽巡洋艦ムサカ級のカタパルトデッキの上に立つ青いギラ・ドーガの中でパイロットのレズン・シュナイダーがぼやく。

 

 

「発進だぞ、レズン。戦場に行けば好きやってるくせに!」

 

「あいよ。」

 

 

スピーカー越しに聞こえる誘導手の声に従って、レズンは自身のギラ・ドーガをムサカから発進させた。

 

それに続くようにほかのムサカ級からもギラ・ドーガの群れが飛び立っていく。

 

そんな布陣を展開するネオ・ジオンの艦隊の向かい側に位置するラー・カイラムでも、敵の襲撃に対抗すべく、モビルスーツ隊の展開が行われていた。

 

 

「リ・ガズィは使えないんだな?」

 

 

ジェガン隊パイロットの一人ケーラはジェガンに乗りながら整備班に聞く。

 

 

「修理、間に合いません!!」

 

「わかったよ。」

 

 

あまりの多忙さに激高しているかのような返事をするメカニックに対しても落ち着いてケーラは返事し、ジェガンのコックピットハッチを閉めた。

 

 

ラー・カイラムから手持ち全てのジェガンが戦闘宙域に向かって飛び立っていった。

 

一方月では、ネオ・ジオンの第2波に間に合わせるべく、マスドライバーにはブースターベッドに四つん這いになって乗っているνガンダムが発進しようとしていた。

 

 

「カウントダウン、良好です。」

 

 

νガンダムの通信スピーカーにはオクトバーの声が響いた。

 

 

「……ベルトーチカは例のもう1機に乗っているんだな?」

 

 

νガンダムの中のアムロは通信機に向かって問う。

 

 

「ええ。のびくんたちのお守りをしてあげないと危ないでしょ!」

 

 

通信モニターには、カスタムされた百式に乗るベルトーチカとのび太とドラえもんの姿が映し出されていた。

 

ベルトーチカの返答が聞こえると、もう一基のマスドライバーのほうでは並走するかのように同じくブースターベッドの上に乗るトリコロールの百式の姿があった。

 

 

「……伊達や酔狂にしか見えんな。」

 

 

ガンダムカラーの百式を見たアムロの感想がこれだった。

 

 

「のび太君たち、すまない。フォン・ブラウンに降ろすはずが降ろし損ねてしまった!」

 

「いえいえ、僕たちに協力できることがあれば、なんだってやりますよ!」

 

 

ドラえもんが返答した。

 

 

「ザンダクロスに乗った時とは雰囲気が違うなぁ……!!」

 

「そりゃそうさ。これはモビルスーツだもの。」

 

 

ぼやくのび太にドラえもんが突っ込んだ。

 

 

「おしゃべりはそこまでよ。舌かむわよ!!」

 

 

ベルトーチカがそう言うと、νガンダムのブースターが点火し一気に加速して、マスドライバーから離陸していくのに続いて、百式も離陸すべく加速し始めた。

 

 

「うううう~っ!!」

 

 

のび太とドラえもんはまたも加速のGに押さえつける感覚を味わう。間もなく百式を乗せたブースターベッドがマスドライバーから離れて、月を離れた。百式は宇宙空間に向かって飛んで行った。

 

月の引力圏から抜け出すと、百式の内部はほっとしたのか落ち着いた空気になった。

 

 

「……ところで、ベルトーチカさん。この百式?を持ち出すときに聞こえたんだけど、”嫌がらせ”って何のこと?」

 

「そういえば、裏切り者がどうとか。ネオ・ジオンにそれっぽい人でもいるのかな?」

 

 

一番に質問したのび太につられるようにドラえもんも質問する。

 

 

「……君たちさ、この百式ってもともと誰が乗っていたと思う?」

 

 

ベルトーチカの質問返しに、のび太とドラえもんは首を傾げた。

 

 

「この百式にはね……シャアが乗っていたのよ。」

 

「シャアが!?あの、ネオ・ジオンの!?」

 

 

ベルトーチカから告げられた真実にのび太は驚いた。

 

 

「シャアも一回はね、アムロと共闘したことがあったのよ。その時に乗っていたのがこの百式なの。」

 

「裏切者って、そういうことだったんだ。」

 

 

ドラえもんは納得した。

 

 

「でも、ザンダクロスの色にすることが、なんで嫌がらせなのさ?」

 

「どんな事情であれ、シャアにとってガンダムはね、なかなか因縁があるのよ。幾度となく自分の前に立ちはだかった存在だから。」

 

 

ベルトーチカは昔話を語るかのような口ぶりだった。

 

 

「自分が過去に乗っていたそんな機体が忌まわしいものの色になってもちろん敵として再び目の前に現れるのよ。嫌がらせ以外他にないわ。くくく……。」

 

 

ベルトーチカがもう一度見せる悪い顔にのび太たちはうわぁ……とひきつった。

 

 

「それにオクトバーさんも太っ腹ねぇ。百式が貧弱だから、”ハイパーメガライフル”持たせてくれたわ。」

 

 

ベルトーチカはコンソールを操作して、装備品をチェックした。

 

 

「それでさぁ、今気になったんだけどねお姉さん。」

 

 

ベルトーチカの突然のセリフに、のび太たちは反応した。

 

 

「このモビルスーツの名前、百式で行くつもり?結構カスタマイズしたから、いっそ名前も変えてもいいんじゃないかとかも思ったけど。」

 

「名前か……百式とか言われてもピンとこないしなぁ……。かといってザンダクロスの名前にするにはちょっと違うところが何個かあるし……。」

 

 

のび太は悩んだ。

 

 

「……じゃあ、二つ合体させて、”X(クロス)式”っていうはどうかしら?」

 

「「X(クロス)式ぃ!?」」

 

「そう。ザンダクロスからクロスをとって、Xに変えて、百式から式をとって、X式!」

 

「すごいとりあわせ。」

 

 

ベルトーチカの発想に少し驚くドラえもん。

 

 

「というわけでこの子の名前はX式で決定!異論は認めませ~ん!!さあX式よ!大いなる星の海原に向かっていざ進めー!!」

 

「なんかもう仕切られてるなぁ……。」

 

「なんで僕らが仕切られてるんだろう……?」

 

 

一人の女王様に尻を敷かれる二人の少年とロボットというシュールな光景が百式もといX式のコックピット内で繰り広げられていた。

 

 

・・・

 

 

ネオ・ジオンとロンド・ベルによる戦闘区域の近くにて流れる一機のロンデニオン行きのシャトル。そのシャトルの外壁に二人のノーマルスーツを着た飛行士(クルー)がシャトルの修理に回っていた。

 

フィフス・ルナを横切る際に損傷が発生してしまい、このまま航行するには危険な状態となっていた。

 

 

「なんだよあの光?あれあれ。」

 

 

修理していたクルーの一人が閃光がする方向を指さした。その光は戦闘による爆発であることが、数秒後クルーには分かった。

 

「よけろよけろ!!戦争やってんぞ!!」

 

 

気が付いたクルーはコックピットに回り込み、窓をたたいて危機を知らせた。

 

 

「ありゃ!?」

 

 

クルーの警告を聞いたシャトルの船長が前方を確認すると、光の爆発が次々と起こっているのが見えた。

 

 

「アポジモーター早く直せって言ったろ!!でなきゃこのまま突っ込むぞ!!」

 

「そんなぁ!!神様ァーっ!!」

 

 

シャトルの危機に嘆くクルーのそばを、1機のギラ・ドーガがすれ違った。その衝撃で外壁のクルーが少し吹き飛ばされた。

 

その様は、近くの席に座っていた乗客にも見えた。

 

 

「今のはモビルスーツ!?戦争やってるみたいよ!!」

 

 

クェスたちである。

 

 

「ネオ・ジオンか!?」

 

 

アデナウアーがそう言うと、速やかに席を離れコックピットへのドアに近づいた。そして直後に激しくドアをたたき始めた。

 

 

「民間機の信号を上げるんだよ!!キャプテン、やってるのか!?」

 

 

ドアの向こうにいる機長に対してアデナウアーは怒号を上げ始めた。そんな余裕のない姿を見たほかの乗客も次々不安になり、フィフス・ルナが接近した時のように再びうずくまり始めた。

 

 

「もうなんだよこれ!!隕石の次はロボットの戦争!?ママーっ!!!」

 

 

フィフス・ルナの危機が去って落ち着いていたスネ夫も再び喚きだし始めた。

 

 

「ちくしょう!なんだってこんなところでおっぱじめるんだよ!!こっちに当たったらどうするんだっての!!」

 

 

ジャイアンは窓から見える戦闘区域に向かって激高した。

 

 

「私たち、どうなるのかしら……!?」

 

「こうなったら、もうなるようにしかならないよ。」

 

 

不安がるしずかをハサウェイは慰めた。

 

 

「こんな時にいたら……のび太さん……ドラちゃん……!!」

 

 

危機が迫る中しずかは、今はそばにいない友人を思ってただ祈り続けた。

 

一方戦闘区域に近づきつつあるνガンダムを駆るアムロにも、戦闘の様子が肉眼でも見えてきた。

 

 

「なんだ民間機か!?戦闘区域を突っ切ろうとしているのか!?」

 

 

その戦闘区域の中を通過しようとするシャトルの存在にアムロは気が付いた。さらにその民間シャトルに敵のモビルスーツが意図せず近づこうとしているのも見えた。

 

アムロはνガンダムのライフルを速やかに構え、ギラ・ドーガとシャトルの間に照準を構えた。そして距離が縮まる前に、ビームライフルのトリガーを引いて遠距離狙撃用の高出力のビームを発射した。

 

放たれたビームは衰えることなく、戦闘区域に向かって飛んでいき、ギラ・ドーガ隊をかすめた。

 

 

「なにっ!?」

 

 

シャトルに近づきつつあったのはレズンのギラ・ドーガだった。νガンダムのビームを寸でのところで回避した。そしてもう一発νガンダムのビームが飛んでくる。

 

 

「援護の艦隊か!?」

 

 

νガンダムのビームの出力の高さは、戦艦の火力と誤認させるほどのものだった。

 

 

「あれか、データにない機体だ」

 

 

レズンのギラ・ドーガのレーダーはようやっとνガンダムをとらえることができた。望遠モニターでνガンダムの姿が映し出される。

 

 

「……!!!」

 

 

そんなνガンダムの後ろからついてきたX式に乗るのび太は、妙な感覚を覚えていた。のび太はその感覚に従って前を見ると、まだ肉眼では見えないものの、のび太の脳裏には戦闘区域を突っ切ろうとする民間のシャトルの光景が何となく見えた。

 

 

「なんでシャトルが見えるんだろう……?」

 

 

のび太は脳裏に映るシャトルをさらに見続けていると……

 

 

(……のび太さん……ドラちゃん……!)

 

 

聞き覚えのあるしずかの声がのび太の脳に直接響いた。

 

のび太はその声に従ってシャトル窓を見ていると、シャトルの窓から怖がってうずくまっているしずかの姿が見えた。

 

 

「しずかちゃん!?しずかちゃんが!」

 

「どうしたののび太君!?」

 

 

急にのび太が大声を出したためかびっくりするドラえもん。

 

 

「あの向こうのシャトルに、しずかちゃんがいるんだよ!!」

 

「なんでそんなことわかるんだよ!?」

 

「見えたんだ!!それに、しずかちゃんもスネ夫たちとロンデニオンに行くって言ってたから、そのシャトルだよ!!」

 

 

のび太の言うことにドラえもんはしたがって前方を見てみたが、肉眼でははっきりと見えない。

 

 

「シャトルなんてどこにあるのさ?」

 

「今、レーダーに映ったわ。かなり前方のほうだけど。」

 

 

座席後方にいるベルトーチカは、のび太たちにシャトルの位置を告げる。

 

 

「あ!シャトルにロボットが!!」

 

 

のび太の脳裏には、シャトルに正面から再び近づきつつあるギラ・ドーガの光景が見えた。もたもたしていると、今度はシャトルと衝突してしまいかねない。

 

 

「しずかちゃんがあぶない!!」

 

 

しずかの危機を感知したのび太はX式の持つハイパーメガライフルを構えた。

 

 

「の、のびくん!?何をする気!?」

 

 

のび太のとっさの動きにベルトーチカは驚いた。

 

そしてのび太は脳裏に映っている光景に従ってライフルの照準を合わせた。

 

 

「……どっかいけーっ!!!」

 

 

のび太は躊躇なしにX式のハイパーメガライフルの引き金を引いた。ライフルからはνガンダム以上の威力出力のビームが放たれた。このビームも衰えることなく前方の戦闘区域に向かって飛んで行った。

 

 

「なんだ!?」

 

 

νガンダムの後ろから濁流のようなビームが流れて通過していくのがアムロにも見えた。νガンダムを抜き去ったX式のビームは、シャトルに近づきつつあるギラ・ドーガの下方をかすめた。しかし、かすめたはずなのにその衝撃だけでギラ・ドーガの脚部が爆発した。

 

 

「援護の戦艦がまだあるのかい!?」

 

 

レズンのギラ・ドーガは脚部を破損した僚機のギラ・ドーガの手を掴み、救助する。

 

 

「予定より早いが、後退する!!あの火力は危険だ!!」

 

 

レズンは負傷したギラドーガを引きずって、後退信号を出す他の部隊とともに後退していった。

 

 

「退いていく……鮮やかだな。なんだあの引き際の良さは?」

 

 

速やかに撤退していくギラ・ドーガ隊に疑念を抱くアムロ。

 

 

「それに……今の攻撃はのび太君が!?」

 

 

アムロは後ろのほうに目をやると、ライフルを構えたまま固まっているX式の姿があった。

 

すると、νガンダムに通信が入った。

 

 

「……アムロ、今のびくんが撃ったんだけど、どうなった?」

 

 

X式にいるベルトーチカからだった。

 

 

「……直撃はしなかった。だが衝撃で敵機の足が吹っ飛んでたよ。」

 

 

アムロは目の前で起こったことをありのまま伝えた。

 

 

「あ……あ……!!」

 

 

X式にいるのび太は撃った衝撃か、放心状態になっていた。

 

 

「……すごい。のびくん、遠くの敵を退けちゃったわよ?」

 

 

ベルトーチカは思わず拍手した。

 

 

「のび太君は射撃が得意なのは知ってたけど、ここまでするなんて……!!」

 

 

予想外の結果にドラえもんは驚いていた。

 

 

「……そうだ!しずかちゃん!!」

 

 

我に返ったのび太は、X式をシャトルのほうに無我夢中で急がせた。

 

 

「ちょ、のびくん急に動かないでよ!!」

 

 

のび太のとっさの動きにバランス崩したベルトーチカだった。

 

 

・・・

 

 

ネオ・ジオンが後退したため戦闘は終わり、シャトルのほうは落ち着いていた。静寂となっているシャトルのそばをνガンダムが通るのがシャトルの客席からも見えた。

 

 

「ガンダム!」

 

 

ハサウェイがいち早く反応した。

 

 

「あのロボット、味方なんですか?」

 

 

しずかはハサウェイに聞いた。

 

 

「ガンダムだ!あれガンダムだよ!!やった!僕たちを助けに来てくれたんだ!!」

 

 

さっきまで泣きわめいていたスネ夫は、窓の外のνガンダムを見るなりはしゃぎだした。

 

 

「泣いたりはしゃいだりいそがしいやつ!」

 

 

ジャイアンは珍しくスネ夫の行動に呆れていた。

 

すると、νガンダムが飛ぶそばから、急接近してくるモビルスーツがあった。X式だ。

 

 

「なんだ!?まだモビルスーツが近づいてくるぞ!!」

 

「うわあああーっ!!」

 

 

シャトルの客席は再びパニックになるが、X式は寸でのところで止まり、いきなりシャトルの外壁にとりついた。もちろん衝撃があったためにシャトルは揺れて、さらに中はパニックになる。稼働する巨大ロボが目の前にいる光景は乗客にとっては心臓に悪かった。

 

 

「しずかちゃん!大丈夫!?」

 

 

客席のスピーカー越しにのび太の声が聞こえてきた。

 

 

「その声はのび太さん!?」

 

 

しずかはのび太の声を聞くや否や、うずくまった体制から立ち上がった。

 

 

「そう!僕だよ!のび太だよ!!よかった無事で!!」

 

「の、のび太―っ!?」

 

「なんでそんなもんに乗ってんだよ!!またドラえもんの道具か!?」

 

 

ジャイアンは驚き、スネ夫はのび太にX式について訴えかけた。

 

 

「のび太君、いきなりシャトルにとりついてどうするの!!中の人たちがケガするじゃないか!」

 

「ご、ごめんつい……。」

 

「いいから、離れて離れて。」

 

 

のび太はドラえもんに従うままX式をシャトルから少し離した。

 

 

「これでよーし。」

 

 

のび太は離れたことを確認した。

 

 

「あれま?このロボットって、鉄人兵団と戦った時のロボットじゃないか!」

 

 

X式のデザインにいち早く気付くスネ夫。

 

 

「ほんとだ。どっかで見たことあると思った。」

 

「のび太さん、いったいどうしたのそれ?」

 

 

続いてジャイアンとしずかもX式に食いついた。

 

 

「まあ、これは色々とあって……。」

 

「のび太君。シャトルの中の人たちを先に助けようよ。」

 

 

ドラえもんはことのいきさつを説明しようとするのび太を遮り、シャトルの救助を優先させた。

 

一方、X式の姿が気になっていたのは、ドラえもんたち一行だけではなかった。

 

 

「あれって……百式……だよな?」

 

「でも派手な色してるわね。ガンダムでもまねてるのかしら?」

 

 

ハサウェイとクェスもX式が気になっていた。


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