「…………で、フカ」
「……ん?」
今度は脱いだ服を着直しながら、少女。
何かを期待するような声で、語りかけてくる。
衣擦れの音も止んだので振り返って少女を見ると、案の定何かを期待するような目でこっちを見ていた。ほら、はやく、とでも言いたげな視線。
そんなに期待されると不安だけど、いっちょ言ってやりますか。
「……お前の裸、すごく綺麗だったぞ」
「な、ななな、なにいってんのフカ! 変態! ドスケベ! 性犯罪者!」
「ぐえっ」
恥ずかしがりながらも精一杯気持ちを伝えた俺に、飛び蹴りが襲いかかってくる。
どうしてだろう、めちゃくちゃ気持ちいい。
その後も、飛び蹴りで横たわった俺をロリが罵倒しながら踏んづけてくる。
正直なところ結構痛いけど、その痛みとロリの高い声での暴言の数々が俺の心を的確に射抜くキューピッドの矢のように心に刺さってくる。
刺さるといっても、もちろん心が痛む刺さり方ではない。
やめないで欲しい。もっと踏まれたい。
そんなポジティブな感情が止まらなくなる、幸せいっぱいの刺さり方だ。
「……ああ、幸せ……」
思わず声が漏れてしまう。
今日は妹の涙にロリの罵倒と、いくつの快楽を受けたら気が済むんだろう。
いいや、もう十分すぎるほど気は済んでいる。
ただ、この快楽を一度知ってしまうと失ってしまうのが怖い。
……いつかロリの罵倒って、法律で禁止されるんじゃないだろうか。
いや、まあ今だって法律の範囲内なのかどうかは十分グレーだけど。
とかなんとかアホなことを考えていると、痺れを切らしたロリが最後の一発を叩き込んだ。
俺の腹がくの字に曲がる。
「フカ、なに喜んでるのっ! そうじゃなくて、他にわかったことがあるでしょ!」
最後の一撃をくらって尚も笑顔を浮かべている俺に恐怖しながらも、いばるロリ。
そんなこと言ったって、分からないものは分からないしなぁ……。
っていうか、さっきの褒めたのは不正解だったのね?
てっきり俺、女の子は裸を見られたら褒められたいものだと思ってた。
「ほーら! はやくいって! わたしの正体は――?」
「ええと、お前の正体は……」
急かすロリに、悩む俺。
ここでまた失敗すれば踏んでもらえるかもしれないが、長引きそうだ。
つまり俺がこの子の正体を知るのが先延ばしになるわけで、それは御免願いたい。
だから、俺は考える。とにかく、彼女の裸を思い出す。
乳首のない、平坦な胸。それから、へそのない柔らかそうなお腹。
ここから導き出される答えは――
「お前の正体は、ロリっ子だ!」
「ふざけんな死ねぇ――!」
――残念、ハズレ。
だけど、また少しだけ踏んでもらえて俺としては満足だ。
「はぁ……はぁ……もう!」
「悪い悪い、どう考えてもロリしか頭に浮かばなくてな……」
ほら、クイズ番組とかでもあるじゃんか。
すごい難しく考えちゃうけど、正解が実はなんでもない一般常識だったってケース。
あの感じで、思ったことを答えてみちゃったんだよ……。
すると、不満げに少女。
「さっきからロリロリいってるけど、わたしはフカよりもずっと長く生きてるんだからね!」
「うそ、マジで⁉︎……絶対ランドセル背負ってる歳だと思ってた……」
どうやら、人を見かけで判断してはいけないというのは本当だったらしい。
と、感心していると、ふと違和感が頭をよぎった。
「ちょっと待てよ……? 俺よりずっと長く生きてるってことは……」
「ふふん、やっと気づいちゃったんだね!」
ぺったんこな胸を張るぺったん娘。
なにやら威張っているが、まったく威圧感がないのだから不思議だ。
でも、年齢がずっと上だと言うのは一体どういうことなんだろう。
もしかして、もしかするとだけど……。
「宇宙人、とか……」
「正解!」
うぉっ! マジでか!
頭の上でマルを作って、嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねる少女。
言われてみれば、普通の人間より跳躍力が高い気もする。
地球より重力の強い星からやってきたんだろうか。
背の低さも、そのせいなのかもしれない。
――って。
「ふはははははは」
「ど、どうしたのフカ! 急にそんなに笑ったら驚くでしょ」
「いやいや、だって、宇宙人って……そんなわけないだろ」
「……ええっ! 信じてないの!」
「そりゃあな。ま、小学生はそんな戯言言ってないで、さっさとお家に帰るんだな!」
「むうう……ムカつく! また踏んづけてやるんだから!」
「お、やったぜ。またご褒美タイムか。俺の人生楽しくなってきたな!」
「やだもうこの人! 無敵だ!」