言われて、瞬時に理解する。
(お前、まさか……この状況でレベルアップするつもりか⁉︎)
(……その通りです。今わたしがレベルアップして爆発すれば、なにも知らないお姉さんたちの視界は真っ白になるはずです。そうしたら、お兄様はわたしを抱えて逃げてください)
(そう言ったって……お前を急に狂わせる手段なんて、俺持ち合わせてないしなぁ……)
刺身の考えた案は確かに理に適っているようだが、果たして本当に可能なんだろうか。
だって、さっきだってちょうど思いついたからパスタを口移しなんてしてみせたけど……この状況でなにか特別なことをしろって言われても、何も思いつかない。
困ったなあ……。
でも、他になんの作戦も思いつかないのだって事実。
だったら、付け焼き刃でも刺身の作戦に便乗してみるのが最適か……。
悩んでいると、刺身が隣でサムズアップしながらひとこと。
(大丈夫ですよ! お兄様は……わたしの知り合いの中で、いちばんの変態ですから!)
……喜んでいいのか悲しんでいいのか、分かりかねる励ましだった。
じゃあ……とにかくやってみるか。
妹を狂わせるために、とりあえず頭を捻ってみる。
うーん……狂わせるためには、感情を爆発させなくちゃならないんだよな……。
だとすると、喜びや悲しみ、怒りなんかより、一番いいのは羞恥だろう。
そうだな、この個室の中でどうにかできる羞恥か……。
それでいて、服を脱がせるとか、すぐにここから逃げ出せない行動もNG。
だとすると、正解は……
(あーもう、ダメだ! 頭で考えてちゃ分からない! 俺は俺のやりたいことをやる!)
吹っ切れた。
理論でどうこう考えても、こんな窮地を脱する方法なんかない!
だったら、俺は捕まる前に妹にどうしてもやってみたいことをやってやる――!
近付いてくる女性の足音。
しかしもうそんなことは気にならなくなった俺は、妹を抱えて逆さにする。
「ひえっ! お兄様、ちょっとなにして……!」
「何って、お前を逆さにしてムチムチの太ももを全力で吸ってやろうと思っているだけだが?」
「だけだが? じゃないですよヘンタイ! そこまではお願いしてないですって!」
妹の膝あたりを持って逆さにすると、彼女の緑色のフレアスカートが捲れ上がって水色のレースのパンツと肉感の凄まじい太ももが露わになる。
真っ白くてムチムチした、それでいてハリのあるいい太ももだ。
うーん、やっぱり太ももは太くなくっちゃ!
「なに失礼なこと考えてるんですかヘンタイ! はやくおろして!」
「何が失礼なもんか! 俺は褒め称えてるんだ! このムチッとして、食べ応えのありそうな太ももを! ムチムチの! 美味しそうな太ももを!」
「ああもうっ! そんなにムチムチムチムチいわないでくださいいいいっ! やめてぇ!」
涙目で、宙ぶらりんになりながら絶叫する妹。
俺は、そんな彼女を笑顔で見守りつつ太ももに舌を走らせる。
すべすべで、毛穴の一つも目立たない脚。
柔らかくて、ずっとスリスリしていたくなるような脚線美。
はあ、俺はなんて幸せ者なんだ……!
この分だと、俺の方が先にレベルアップしてしまいそうなほど楽しいんだが――
「……ぺろっ……んんっ……れろっ……れろれろっ……」
「んあっ……ああっ……んんっ……んっ……んああっ……もうっ……やめ……ぇっ……」
流石に可哀想だから、ラストスパートに入るとしようか。
「ぢゅるるるっ、れろれろっ、ぢゅるるるるるるっ、ぢゅるるるるるるっ、ぢゅるるるっ」
「んああああああっ、んっ、んあっ、ふぁ……んんっ、あっ、んああああっ、んんんあっ!」
「ぢゅるるるるっ、れろっ、ぢゅるるるるるるっ、ぢゅるるるるるるっ、ぢゅるるるるるっ」
「んああああああっ、んあっ、んっ、んんっ、あっ、んあっ、んああああっ、んんんあっ!」
太ももを舐められて吸われて、顔を真っ赤にして乱れる刺身。
涙目になって振り回されるその姿は、狂い咲く華のようで。
だから、俺はその華が落としていく露であるところの体液を、舌を這わせて迎えにいく。
すると、刺身はこの日一番大きな嬌声を上げて全身を真っ白に染め上げた。
「今だっ!」
瞬間、俺はトイレの個室のドアを開く。
すると、瞬く間に女子トイレ中を駆け巡る閃光。
室内の全てを蹂躙して、無に帰させてしまう圧倒的なエネルギー。
そんな中、俺はまぶたに遮られた光が徐々に弱まっていくのを感じると。
抱えていた刺身をお姫様抱っこに持ち直し、そそくさと走り去るのだった。