銀色の悪魔…1st Stage(頭文字D) 作:SilviaSilvermoon
市役所通りから左折して伊香保神社や秋名山の方に向かって上り坂を走っていく…たぶん、元の世界にならこの辺りに頭文字Dのショップ”レーシングカフェ・D'zガレージ”があるはず。この世界では駐車場になってるけど^^;;;
(”当初はここでお土産買うつもりだったのにダメか…まあしょうがないんだけど。ま、それ以前に神奈川に帰った所で家があるかどうかも疑問だけどね…^^;;;”)
そんなことを思いつつ、いくつかの旅館やホテル、それに神社の入り口を過ぎたらスケートセンターの看板が見えると共に傾斜がきつくなり、いかにも山道に突入していく。
(”おっ…だいぶそれらしい感じになってきたな。いよいよですか。じゃ、まずはグリップで道の状態とコースを覚えていかないと…”)
健二君の180SXの挙動がかなり怪しい。グリップで入っていくのにやたらとコーナー出口でテールスライドさせてる。遊んでるのかそれとも単に下手なのか…?
ん?待てよ…確か原作では、池谷君もだけど、テールスライドをドリフトだと思い込んで攻めてるつもりになってたってことだっけ。って事は原作の初め~コミックの10巻位までの間か?
う~ん…下手だとは聞いてたけどこれほどだとは^^;;;
そりゃ高橋 涼介に「うちの2軍でも楽に勝てる」って言われちゃうよな。多分コース知らない俺でも勝てる気がする…。
さて…ドリフトごっこは良いからグリップで良いからもう少しペース上げてこうぜ…じゃないとコース覚える前に日が暮れる。
仕方なく180SXとの車間を今までの半分に詰めて…様子を窺う。すると気になったのか少しペースが上がる。
車間をなるべく詰めるようにして健二君のドリフトごっこ→マジモードに変化させるようにする。すると漫画やアニメで見たスタート地点まで来た。端に寄せて2台止める。
俺は降りる前にひとしきりどういう風に声をかけるか悩んでいた。
次の下りでちょっと煽ててみてペースを上げさせるか。それとも横に乗せて黙々と走りこむか…
ペースを上げて事故ったら…巻き添え食っちゃうかも知れないし、巻き添えでS15を壊したくないしなぁ。それなら横に乗ってもらってナビしてもらいながら1台で走った方が気楽かぁ。
ガチャ…バタムッ(※運転席のドアを開閉させる音)ドアを閉めて健二君の180SXに近づいて声をかけた。
さつき『健二君さぁ。ここに180SX置いといて横に乗ってもらってもいい?横で次右ね…とか指示してもらえると嬉しいんだけど…ラリーのナビみたいな感じでさぁ。』
ーここからside change さつき→健二side―
さつきさんが山頂に着いた時にちょっと考え込みながら降りてきた。
ここのコースは難しいから今日来てすぐはやっぱり難しいかな…でも全開の俺より後半速かった様な気もするし…。
偶然なのかそれとも神奈川ってレベルがものすごく高いのか…?
訳が分からなくて考えていたら窓をノックするさつきさんが。
俺は窓を開けて
「どうですか?少しは参考になってますか?」と聞いてみた。
するとさつきさんは若干食い気味に…
さつき『健二君さぁ。ここに180SX置いといて横に乗ってもらってもいい?横で次右ね…とか指示してもらえると嬉しいんだけど…ラリーのナビみたいな感じでさぁ。』
と言ってきた。320PSを体感できるチャンスでもあるし、こっちとしては余分にガソリン使わないし願ったり叶ったり。
健二「あ、解りましたぁ。じゃあ…ここの端っこに寄せてくんでちょっと待っててください。」
そう返事をして寄せてる間にこの狭い場所で華麗にさつきさんはスピンターンして見せた。
もしかして…秋名だと拓海…に近いくらいのウデ(強いて言うなら…この前、拓海に負けたとは言え妙義では敵無しの有名な走り屋Night Kidsの中里とか庄司位のレベルかもしれないな…320PSを腕でねじふせて初めての峠で全開の俺を越えるかもしれない位のペースで走れてるんだから)
そう思いながら車を降り、ロックをしてS15の助手席のドアを開け・・・
健二「じゃ、すみません、お邪魔しま~す」と乗り込んだ。
助手席も運転席と同じスパルコのR100が装着されていた。ただし、後ろの席への乗降も考えてるんだろうけど、こっちは3点式の純正のシートベルトだ。
シートベルトをしたところで
さつき『まずはグリップで行ってみるから、右か左かと緩いかある程度きついのか…指示してくれる?とっちらかさない位のペースで下ってみるからさあ。』
と言った。安全マージンを残しつつもさつきさんの中ではある程度のペースでって事だろうから…こりゃ初めから期待できそうだな…なんて余裕ぶちかましていた。
この時まで…俺は池谷の”コーナー3つで失神事件”を笑ってられなくなるなんて…これっぽっちも思いもしなかった。だぁ~!この時の俺をぶっ飛ばしたい!!
さつき『まずはグリップで行くから、右か左かと緩いかある程度きついのか…指示してくれる?とっちらかさない位のペースで下ってみるからさあ。』
と言う緊張感のない話し方にどこか余裕ぶっこいてた。
音楽のかかってる車内で…軽いホイールスピンとともに一気に本線に合流し1コーナーに向かって行く。
(ま、マジか!これって俺の全開のペースより速くねぇ~か?って言うかこんな速度で曲がれるんか?拓海みたいに毎日走ってるコースじゃないのに?うわっ!もうコーナーが迫ってきたぁあああ!やっべえ~絶対事故った…俺死ぬのか?まだ女の子と付き合ってもないのに?
180SXにだってまだまだ乗っていたいのに…ギョンッ!(←注:タイヤの軋む音)へっ?何で?
何でこの速度で曲がれる?嘘だろ…?「うわぁあああああ!!!お、降ろしてぇええええええ!!」
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(ここからside change健二→さつき)
健二君の悲鳴を聞きつつ(”そっか…このくらいでビビっちゃうのか^^;;;池谷君のコーナー3つで失神事件に近い状況が彼には起きてる訳ね。じゃ、いっそのこと寝ててもらった方が集中できるかな…”)
2つ目のコーナーの入り口で既に100Km/h超えてる…でもまだグリップで走れるレベル。
ふと横を見ると健二君は…堕ちてましたとさ(チーン)
(2つ目で失神かよ…池谷君よりチキンだな…)
さてと、コースの習熟行ってみますかぁ!少しずつペースを上げRの緩いコーナーで軽~くドリフトさせる程度で全体的に70%くらいの力で下りも上りも流せるようになった頃…
折り返して上りに入ったところで健二君が気が付いた様子。
健二「あ…あれ?ここは…」
さつき『おはよ。いい目覚めはできたかな?』
健二「あれ?えっ?あっ!さつきさん!?今何本目ですか?ん…やっべぇ…最初っから全然覚えてないけど…><;;;」
さつき『ん~7セット目かな。全然指示が来ないから横見たら寝てたから起こしちゃ悪いかなって思ってさ。(※実は失神してるの知ってるけど、敢えて言わない)』
健二「…(失神してるの解ってて言わないの?それともホントに寝てると思ってたの?)あっ!さつきさん!後ろ後ろ!ハイビームで速いのが追いかけて来てますっ!」
さつき『うん、速いねえ…あれって秋名の主?((拓海の86トレノとは言わない。車のラインも違うしね)車種何だろね?5ナンバーサイズかな…そんなに大きい車じゃなさそうだねぇ。(お~っとぉ。ここに来てエンカウントか? )
あ~あ。もうちょっと後に来てくれりゃあ、もっと面白かったのに…ま、仕方無いか。健二君さぁ。ちょっと飛ばすぞ?』
健二「???えっ…?飛ばすってじゃ、今までのは???」
俺は無言でニヤッと笑い、2速で立ち上がって本気で右足に力を入れ始める。
グイっと体がシートに押さえつけられるような加速Gを受けつつ、コーナーではヒール&トゥを使った減速&シフトダウン。
すると斜め方向に力がかかり、ギュンッ!っという鋭いタイヤのスキール音とともにガードレールを舐めるように曲がっていく。
(さて…拓海の86トレノじゃないし180SXとかでも無さそう…でも角目のリトラクタブルのライトねぇ…なら音楽を消して…ロータリーサウンドが聞こえれば…FCしかないでしょう。)
徐に音楽を止めて窓を開ける…ブン回してる迫力のロータリーサウンドに乗っかるように甲高いタービンの音…間違いなく13Bのロータリーターボそのもの。
さつき『何かワクワクするw』
半笑いでクラッチに蹴りを入れる。
健二は…絶叫マシーンに乗せられてる人の様相。
「ぎゃああああああ!!!」しか叫んでない。
車1台分の車間距離を保ったまま頂上について…折り返し場所にハザードを出して止めた。
水銀灯に照らし出されたのは白のFC…
やっぱり来たか…赤城の白い彗星・高橋 涼介…遠くでもう1台ロータリーサウンドが聞こえている…おそらく弟の高橋 啓介に違いないと思う。
俺が運転席のドアを開けると向こうもほぼ同時にドアを開けた。
出てきたのはやっぱりジャケットを肩にかけたイケメン…キザだけど、様になってるねぇ。
高橋 涼介「俺は…高橋 涼介。赤城RedSunsってチームのメンバーだ。」
さつき『へぇ~群馬のエースと知り合えたんだ。群馬に来て良かったな。俺はさつきってもんで、神奈川の走り屋です。自分でSILVER-MOONってチームを立ち上げてます。よろしく。』
軽く握手を交わす。
高橋 涼介「見た所結構手を入れてるようだが…ん?SILVER-MOONのさつき!?確か・・・俺の記憶違いでなければ”銀色の悪魔”と呼ばれてる神奈川No.1の走り屋…じゃなかったか?」
さつき『神奈川No.1かどうかは定かじゃないけど、”銀色の悪魔”とは言われてるみたいですね。こっ恥ずかしいですけどね。』
っと苦笑いしてみせる。
健二「え”?さつきさんってそんなすごい走り屋だったの?スタンドで知り合って神奈川から観光がてら遊びに来たって言うからてっきり…」
さつき『いやいや、観光がてらも嘘じゃないし群馬も初めてだよ。
車見りゃわかるだろうけど、思いっきり”湘南”ナンバーだからね…神奈川以外の何者でもないよ^^;;;
ついでに言っちゃえば、来る途中のSAでフリーペーパーまでもらってスタンドに来た人だからね?走るなら群馬の走り屋の人たちと交流したいと思ったのもホントの事さ。
だから秋名の道を教えてくれた健二君と出会えて数時間とは言え、少しはコースが頭に入ったのさ。地元の人に道を聞くのが1番手っ取り早いし。』
高橋 涼介「ま、良いさ。そういう事なら俺は貴方と走ってみたいんだが?安全マージンも見込んで敢えて320PSに絞ってるS15とな。
どちらも地元じゃないって事なら条件は同じだ。それに俺も昨日からここを走り始めたばかりだ。どうだい?受けてくれるか?」
さつき『そういう事なら避ける理由もないしな。受けましょう!でも、実力が違うだろうからなぁ。ハリボテって言われないようにしないとな。今日は練習させてもらって明日の夜ここでっていうのはどうです?』
高橋 涼介「それは構わんさ。そろそろ弟の啓介も来る頃だ。楽しみに待ってるよ。」
さつき『なら…高橋兄弟と出会えたんだ。一緒に3台でバトルも豪華な気もするけどな。
この際上りと下りで分けても良いけどね。でも圧倒的に俺が不利だから条件に加えないけどな。じゃ、明日は何時に集合で?』
高橋 涼介「午後10時でどうかな。その方が路面温度と出てる車の数が心配だしな。」
さつき『了解しました。じゃ、明日夜の10時にここで。』
健二「あ、さつきさん!そろそろスタンドで待ち合わせの時間が…」
ちょうど上ってきた啓介にも会釈しつつ…健二君と一旦スタンドに向かうのと、途中にあった本来泊まる事になっていた宿に確認もしたかった(時間軸がずれてるから予約なんて無理な話だけど)ので、俺の車1台で走り始める。
下りを車の中の時計を見ながら飛ばして行く…来る前にネットで調べたコースレコードと遜色無い位のペースで下れてると思う。
相変わらず健二君は恐怖のダウンヒルになってる様だけど、一応起きてるから良しとするか^^;;;
一旦ホテルに駐車場に車を止め・・・宿泊可能かの確認という名の日帰り温泉のチケット購入をして車に戻ると大急ぎでスタンドに向かった。
一方そのころ…集合場所のスタンドでは
ー※ここからNo side(作者ナレーションとも言う)で進行します―
・締めの作業を終わらせた連中が店長とさつきの事を話している…池谷、樹、拓海+店長の会話からご覧ください…
池谷「いやぁ、すごく”感じのいい人”でしたよ。S15だからって自慢ぶっこいてる感じじゃないし、
エアロとかもさりげなく渋くてかっこ良くて…D1とかみたいな派手派手しい感じじゃないのが良いんですよ。それに地図見せてただけで、健二が乱入してきても常連さんは大事にしなきゃ。って、
地図見せてもらってるから常連さんの方を優先してあげてって。お茶までご馳走してくれるんですから…あ、樹と拓海!さつきさんからの奢りだからあとでお礼言っといてくれよ?」
樹「いやだなあ。池谷先輩。もちろんお礼なんてメッチャ言うに決まってるじゃないですかぁああ!それに今夜秋名で先輩たちの走りが見られるなんてぇ~最高すぎてよだれバリバリっす!」
池谷「ヲイヲイ…汚ね~事言ってんじゃね~よ!拓海はどう思う?」
拓海「ん~ちゃんと見てた訳じゃないですけど…きっとかなりすごい人だと思います。何て言うかなこの前のNight Kidsの中里とか庄司って人レベル…下手すりゃそれ以上かもしれませんね…。」
樹「うぇえええええ~!!!マジかよ…群馬のスーパースターに並ぶ位の実力者?じゃあ高橋 涼介とかにも並ぶんじゃ?拓海…お前ならどうだ?勝てそうか?んん?」
拓海「ん~、やってみなきゃ解んないけど…ギリギリ最後の最後まで持ち込んでようやく決着がつく感じじゃないかな…。勝てるかどうかは、マジでやってみなきゃ解んないなぁ。」
店長「へえ…拓海がそんなこと言うなんて珍しいな。」
樹「そ~言えば健二先輩って一緒に道案内しに行ったんですよねえ?結構経ちましたけど大丈夫なんですかねえ?また…わたしは見たぁああああ!!絶叫が秋名山にこだまする恐怖のダウンヒル…池谷先輩…コーナー3つでし、し、失神事件!!!の二の舞になるイヤ~な予感しかしないんですけど…。」
店長「そのさつきさんって~のは拓海と同じくらいの実力って事になるのか…一体どういう練習をしてるんだろうな…あのクレイジー文太の仕込んだ拓海と遜色ない腕の持ち主って。」
拓海「そう言えば健二先輩たちって何時の約束でしたっけ?」
池谷「ん?あぁ。21時の予定だからもうそろそろ来るだろうな。」
約束の時間まであと4分…(どうやら高橋 涼介が拓海とバトルする前らしい。)