にくまん令嬢*・∀・*異世界みーみー   作:ジェームズ・リッチマン

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(*・∀・*)ヤァ!

御沓(みくつ)お嬢様! 勉強の時間ですぞ! 部屋にお戻りになってくださいませ!」

「イヤよ!」

 

羽田家のお屋敷では、今日もわがまま令嬢と執事が追いかけっこに勤しんでいる。

羽田家は百年前まではド田舎の普通の家でしかなかったが、ある日庭を掘っていたら油田が湧き出してきたために一瞬で大富豪へと変貌した成金である。

 

御沓は14歳の中学二年生。

数世代かけて金銭感覚がアホみたいに狂っていった羽田家の末裔にふさわしいわがままっぷりの箱入り娘だ。

家族から溺愛されて育った御沓。少しのわがままは笑顔で見過ごされ、欲しいものはなんでも上目遣いだけで手に入る。

彼女は今日もカイゼル髭とロマンスグレーの髪だけで採用されたバイトの執事に追い回されていた。

 

「お嬢様、いけませんぞ! 下々の食べ物を口に入れるなど! 旦那様からなんと言われるか!」

「イヤ! 私またコンビニいくの!」

 

そんなわがままお嬢様は最近、コンビニとかいう低所得者向けのクッソ狭いカスみたいなマーケットにご執心であった。

下々のかわいそうな平民が何を口に入れて生きているのかを怖いもの見たさで観察するという、羽田家にとって動物園を見て回るノリで行われた来店であったのだが、そこで御沓は運命的な出会いを果たしたのだ。

 

「にくまん飼いにいくの! あの子じゃなきゃヤなの!」

 

御沓がコンビニで出会ったもの。

それはにくまんであった。

 

白くてホカホカ。暖かな蒸気でしっとり濡れる艶やかな肌。

何よりその丸く潰れたフォルムが可愛らしい。

御沓はにくまんがほしくてほしくてたまらなかったのだ。

 

「お嬢様! にくまんは生き物ではありませんぞ! 食べ物ですぞ!」

「にくまん生きてるもん! かわいいもん!」

「ああお嬢様……義務教育もそろそろ終わるというのになんというザマ……仮ににくまんを買うとしても、いけませぬ! この羽田家において、コンビニエンスストアの安価なにくまんなど存在してはいかんのです! 食べるなら大阪よりにくまん専門のシェフを呼び出して、金箔メガ盛りイベリコ豚まんを……!」

「ヤ! 私あの子がいいの! コンビニの子じゃなきゃヤなの!」

 

御沓は一度イヤだといったら決して曲げることはない。

14歳にして床の上を転がりながら何時間でも泣き叫ぶだろう。

 

どうにかして横暴かつおバカなお嬢様を説得しなければならない。

 

そう考え、執事はハンカチで涙を拭った。

 

「ううっ……お嬢様……セバスは悲しゅうございます……」

 

老人の泣き落とし。セバス(斉藤)に残された手段はこれしかなかった。

 

「お嬢様の祖父が老衰によって先立たれてから早二年……あのお方の最期の憂いは、御沓お嬢様の未来でございました……」

「よし今だチャンス! コンビニいってきます!」

「ちょっとちょっとお嬢様! セバス泣いてますよ! ああ勝手にお屋敷を出ないでくださいませ! 一人で歩かれては危険です!」

 

御沓な嘘泣きするセバスをすり抜けて玄関を出た。

無駄に広い英国風の庭園をバタバタと横切り、正門まで走って行く。

普段からおてんば全開のお嬢様はスピードタイプの令嬢なのであった。

 

「まっててにくまん! 今からお迎えしたげるからね!」

「お嬢様ー! 横から何かが来てますぞー!」

「え?」

 

正門を飛び出した御沓の横合いから、大きな影が迫り来る。

 

 

三三三(((巨大*・∀・)ド-ン

 

「ギャァアアア!?」

「お嬢様ー!」

 

 

御沓は通りすがりの10tトラック級巨大にくまんに跳ねられ、空に飛んで星になった。

 

「ああ、なんという……お嬢様がにくまんに跳ねられてしまった……旦那様になんと説明すれば……!」

 

その日、羽田 御沓はこの世界から消えた。

数日間に渡って周辺30kmの民家の床板を剥がして回るほどの大捜索が行われたにも関わらず、彼女の姿は見つからない。

両親は嘆き悲しみ、セバス(斉藤)は泣いたフリでどうにか調査を合わせていたという。

 

 

 

 

 

( *×∀×)キュゥ…

 

 

所変わって、地球からは遠く離れた異世界の、名もなき森の中。

 

そこには目を回して気絶する可愛らしいにくまんが一匹、ほくほくと美味しそうな湯気を立てていたのだった……。

 

 

 




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