ソード・ワールド2.5(sw2.5)エピックトレジャリー リプレイ風オリ主小説「レプラカーンの冒険」   作:すー2018

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第九話 2階にいた幽霊に導かれ、庭に降りれば

立派な造(つく)りの階段を上がり、四人は二階に入った。中央に通路があり、左右に広い部屋がいくつも並んでいる。

 

「通路の絨毯(じゅうたん)まで、取られちゃってるね」

「まあなあ。壁と床は大理石で出来ているみたいだが、さすがにそこまで削られなくて良かったってとこだな」

 

テディがチェルシーに答える。

 

「……幽霊が出るのは、どの部屋なんだ? テディさん」

「一番奥の右っかわの部屋だ。なんでも、病気で亡くなった奥さんが最後までいたところらしいんだがな」

「……そうなら、出るのは、その奥さんですか」

「そうだろうと俺は踏んでるよ、アッシュ」

「10年経った今ごろになって、なんでだ?」

「だよなあ。やっかいなことじゃなきゃいいんだがな」

 

テディとアッシュは言葉を交わしながら、進んでいく。一番奥の右側の部屋に、到着した。

 

「ボク、姿消して逃げてもいい?」

「……我慢するです、ますたー。ここで逃げたら、冒険者にはきっとなれないです!」

「うう……恐いなあ」

「アンデッドは、確かにたちの悪いのは本当に厄介なのもいるけどな、チェルシー。ひとが思いを残して幽霊になっただけなら、その残した思いを聞いてやって、俺たち生きているやつらがその思いを代わりにこなしてやれば済むだけってことがほとんどだ。そんなに心配するな」

「……分かったよぅ、テディさん」

 

扉には鍵がかかっていたが、ここもアッシュのスカウト用ツールによって難なく開いた。

 

そして、そこには……。

 

『あら……』

 

半透明な姿をした、ふくよかな老婆が宙に浮いていた。

 

「こここ、こんにちハ」

 

チェルシーが緊張しながらも挨拶する。

 

『良かった! 今までここに来たひとたちは、うちのものを持って行くだけで、そのこと以外に話を聞いてくれるひとがいなかったのよ。お願い! 助けてちょうだい』

 

「……助ける?」

 

アッシュが幽霊からそう言われて、困惑した。

 

『……あそこに! あそこに! 育ちすぎてしまったあの子がいるの。お願い、このままだとあの子は屋敷の外に出てしまうくらいにもっと育ってしまうわ。今ならまだ間に合うの、何とかしてちょうだい」

 

老婆は部屋の窓から外を指さした。そこには、こんもりとした森と化した庭が広がっている。

 

『……ついてきてちょうだい!』

 

「妙なことになったなあ。分かった、おばさん。付いて行くから、そこには何がいるか教えてくれないか?」

 

『……種から育ってしまった、あの子よ』

 

老婆のゴーストはすうっとパーティを先導して、移動してゆく。

 

「何だろうな? お前ら、戦闘の準備はしとくんだぞ」

 

テディの言葉に、チェルシー、トット、アッシュはいつでも戦えるような状態になった。

 

来たところを戻り、二階から階段を降りて一階へ、そして玄関から外へ出る。

 

『こっちよ……早く、早く!』

 

老婆のゴーストが先を行く。

 

「ちょ、こっちは生身だから草とか木とかが邪魔なんだよう!」とチェルシー。

 

ガサガサガサ、と四人は草木をかき分けて進んだ。

 

しばらく庭を行くと。

 

急に、四人は熱を感じた。ぷしゅー、と木々の向こうで蒸気を吐き出す音が聞こえる。

 

「なんかこのへんだけ暑くない?」

 

チェルシーは、パタパタと手で自分をあおいだ。

 

「あれは! ……スチームポッドです、ますたー! どれも立派に育ってしまって強そうなのです」

 

草と木の向こうに大きな袋を持ち、そこから常に熱い蒸気を吐き出している植物を見つけ、トットは叫んだ。

 

「……あの子って言ってるってことは、もともとはゴーストのおばさんが育ててたのか。倒すのはすこし気が引けるな」

「とはいえ、このまんま放っておいて、家の外にまで育っていかれても困るだろ、アッシュ。仕方ねえ、ここは心を鬼にしてあの雑草化しちまったやつらを叩き潰すぞ?」

 

テディがそう言って武器を構える。

 

雑草化したスチームポッドの数は四体。それぞれ、なかなか強そうだった。

 

「相手が幽霊じゃないなら、恐くないよ、テディさん! じゃあ、行っくよー!」

 

正体がはっきりモンスターと分かり、途端に元気になったチェルシーが、賦術(ふじゅつ)のインスタントウェポンを使って魔法の金づちを手にした。

 

身の危険を感じたのか、スチームポッドから伸びる蔓(つる)が次々とこちらに向かって伸びてきた。

 

 

 

Bランクのものとはいえ、チェルシーの魔法の金づちの攻撃。

 

トットのシューター技能による、サーペンタインガンの遠隔攻撃。

 

アッシュのファイター技能による強力な近接攻撃。

 

テディの操霊魔法やフェンサー技能による前衛の守り。

 

それらが連携し、常に吐き出される不快な熱い蒸気と何度かにゅるにゅると伸びてくる蔓の攻撃は受けたものの、四体のスチームポッドは倒された。

 

「ふう、幽霊屋敷のゴースト退治じゃなくて、雑草化したスチームポッドが相手だったなんてねっ」

「それが気になって、死んだ農家のおばさんが幽霊になってたんだなあ」

 

『……どうも、ありがとう……』

 

老婆のゴーストが満足そうな顔をした。

 

『……お礼があるわ……気に入ってもらえるといいのだけど』

 

老婆がすこし宙を移動して、草むらのとある一点を指さした。

 

『ここを掘ってみてちょうだい』

 

「んん? じゃあ、ボクがやるよ。なんだろう」

 

土をすこし掘ると、カツンと固いものに当たった。

 

「あっ、宝箱だ!」

 

チェルシーがワクワクした表情になる。

 

『……ありがとう、助かったわ……』

 

老婆のゴーストは姿が薄くなり、やがて消えていった。

 

宝箱の中には、小さな宝石がいくつかと……。

 

「ん? これは案山子の人形だな。どうやって使うのかは、俺には分からない」

 

宝箱を開けたアッシュが、アイテムをひとつ、みんなに見せた。

 

「トット、分かる?」

「ますたー……今回はわたしにも分からないです……でも、すごく気になるです」

 

トットは首を横に振った。

 

「あとは、剣のかけらが5つと、スチームポッドの種がひとつ、か。ゴーストのおばさんの気がかりもこれで何とかなったし、良かったな、お前ら。報酬とその案山子の人形のことは俺が遺跡ギルドに行ってくるから、いつもの酒場で待っててくれな」

 

テディがそう言って、第二の冒険は終わったのだった。

 

 

 




モンスター お育ちあそばしたスチームポッド×3(それぞれ剣のかけら×1) いちばん強いスチームポッド(剣のかけら×2)
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