ソード・ワールド2.5(sw2.5)エピックトレジャリー リプレイ風オリ主小説「レプラカーンの冒険」   作:すー2018

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第三話 探索の準備

「じゃあチェルシー、トット、リオン。練習としてここで前衛と後衛を決めてみよう」

 

草むらのなかの遺跡を前に、テディが告げた。

 

「ボクは、ファイターだし、白のマテリアルカードで『インスタントウェポン』の賦術(ふじゅつ)を使うつもりだから前衛だねっ」

 

チェルシーの言葉にまったく迷いはなかった。

 

「そうだな。だが生命力の低いお前だけが前衛だと、かわしきれなかったときに死に直結する場合もあるからな。俺も前衛に立つ」

「わぁ、ボク頼もしいです、テディさん!」

「だけど、俺もそんなに硬い守り手じゃないし、スカウト以外の技能はお前らと似たようなもんだからな。敵を前衛で引き受ける頭数の役と、コンジャラーの魔法で、お前らがケガしたら回復する『アース・ヒール』を使うことだけは任せとけ。もしお前らが全滅しそうになっても、とりあえず逃げたあとで屍は拾ってやる」

「うう、縁起でもない。テディさんが攻撃も担当してくれれば楽なのに!」

「チェルシー、冒険って言うのはわりとシビアなもんだって聞いてるぜ?」

 

リオンがレプラカーンの少女に言った。

 

「戦闘に参加して、ヤバいときには死体回収をしてくれるってだけでも、ありがたいと思わなくちゃな。あ、でもテディさん、オレは魂が穢れてまで復活したくないんで。もし死んだら放っておいてくれていいっす。そんなことでテディさんの手をわずらわせたり、ほかの冒険者を危険な目に遭わせたりするわけにはいかないんで」

「なんだよ。えらくサバサバしたもんだな、リオン?」

「冒険者になるっていうのは、そのくらい覚悟がいるんでしょう」

「まあな。確かに生き返るっていうのは魂にとっていいことじゃないが……冒険者だったらそんなに珍しいことでもないぞ」

「いいんす。一回こっきりの命、オレはそれで十分なんす」

「冒険者なら、先に1万ガメルを払う約束をしとけば生き返ることも不可能じゃないが、リオンはそれでいいんだな」

「はい。この今の命を大切に使って生きて、オレを育ててくれた"はきだめの"魔動死骸区のお世話になった連中のために、いくらかの金が手に入れば十分ですから」

「はあ。それで冒険者になるって決めたのかよ、リオン。お前はいいやつだなぁ。マジで死ぬなよ?」

「はい、基本的には強い敵が出て手に負えなさそうだったらオレも逃げるんで。簡単には死にませんよ」

 

くっく、とおかしそうにリオンは笑った。

 

「ボクは嫌だ! ぜったい生き返る!」

 

チェルシーはブンブンと首を横に振った。

 

「魂がちょっと『穢れ』を持っちゃうくらい、いいじゃないか、リオン!」

「それも嫌なんだけどよ、オレなんかのためにいきなり1万ガメルの借金を抱えて冒険を続けるのも勘弁してくれって思ってるよ」

「そんな……」

「即席パーティのとりあえずの仲間なんだ、そこまでオレを面倒見ろとは言えねえよ。第一、この探索が成功して終わったら、オレはこの"はきだめの"魔動死骸区から旅立つつもりだしな」

「えっ! ずっとボクらと一緒に冒険するんじゃないんだ」

「そのうち、そういう連中に会えるかもしれねえけど、オレとしては早いとこ魔動死骸区から出てみたい気持ちが強いんだ、今はな」

「そっか……この探索が終わったらサヨナラなんだ」

 

チェルシーはとてもガッカリしたようだった。

 

「あれ? 自分ひとりで大丈夫、じゃなかったのか、チェルシー?」

「うんとね、テディさん。こうして、練習でもほんとに戦うことを考えてみたら、ちょっとボクはバカだったなって思って」

「ふむ」

「ダガーを貸してくれる仲間がいたことが、本当に良かったなって思ったし……このままずっと一緒なのかもって期待しちゃったんだ」

「ごめんな、チェルシー」

「いいよ、リオン! この"はきだめの"魔動死骸区から出たいっていう気持ちは、ボクだってすごくよく分かる! 今日だけのパーティだとしても、よろしくね」

 

チェルシーは手を差し出した。リオンとしっかり握手をする。

 

「ますたー、お任せください! わたしはますたーのお側(そば)をずっと離れないのです!」

「ええ……それ、まだボク認めてないんだけど!」

「うう、わたしにはひどいです、ますたー……」

「でも、仲間って面白いねっ!」

 

チェルシーはけらけらと陽気に笑った。

 

「よし、じゃあお前ら、いよいよ遺跡を探検だぞ……!」

 

テディが皆を促した。小さな小屋のような遺跡の入り口が見えてくる。

 

「あれ?」

「どうした、チェルシー」

「見つけたときはふつうの入り口の扉だったのに、なんか傷が付いて開いてる」

「本当です、ますたー!」

 

四人の視線の先には、石で作られた壁に木の扉があった。ドア全体が損傷し、乱暴にこじ開けられたようだ。

 

「先に入ったやつがいるってことか。警戒していかないとな、お前ら」

「了解です。オレに調べさせてください、テディさん」

「ああ。気を付けろよ、リオン」

 

そうしてパーティはようやく冒険に相応しく、警戒して探索をする意識を持ったのだった。

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