ソード・ワールド2.5(sw2.5)エピックトレジャリー リプレイ風オリ主小説「レプラカーンの冒険」 作:すー2018
レプラカーンの少女、チェルシーが暮らす地下室のある豪邸も相当にゴージャスなものだが、大家さんのテディに連れられて着いた、遺跡ギルドの幹部である彼のいくつかある拠点のひとつ、その幽霊屋敷も、なかなかの規模だった。
まず庭が広い。高いフェンスの壁に守られた敷地には、人工物の多い魔動死骸区には珍しく、緑が茂っている。そして二階建ての建物も、ごった煮のように貧者たちの小さな家がひしめく居住区の中にあって、多くの部屋を持っているようだ。その屋敷の華美な門の前に、チェルシーとトット、そしてテディがやって来た。ひとりのリカントがそこで待っていて、テディに挨拶する。
「こいつが今回遺跡ギルドからやって来た新米だ」
テディはふたりに紹介した。
「アッシュだ。……今日はよろしくな」
ぽつっと、今回のパーティメンバーとなった猫耳リカントの少年が会釈する。
「ファイターとスカウトを持っている」と、手短に言う。
「ボクはチェルシー! 主なのは、ファイターとアルケミスト。こっちはルーンフォークのトットだよ」
「よろしくです。マギテックとシューターがメインなのです」
チェルシーが応じ、トットがペコリと頭を下げた。
「さて、パーティが揃ったところで話をしてもいいか?」とテディ。
「はい、テディさん」
「まあ今回も人気(ひとけ)のない家だとよくある話さ。この屋敷は、そうさなぁ……10年は無人なんだが、最近二階の部屋にすーっと動く影を見たという噂が絶えなくてな。まずは様子を見てみたんだが、どうもごろつきが住み着いた、というわけでもないらしい。だからたぶん……化けて出た方だと踏んでいる」
「そうなんだ! ならボクの『インスタントウェポン』でちゃちゃっとやっつけちゃおう!」
「ますたー……アンデッドにもいろいろ種類があるです……やばい敵だったらその考え方はとっても危ういのです」
「……そうだな、トット。チェルシー、戦いたいという気持ちはひとまず置いといて、もし幽霊だったなら、話を聞いてやってくれ」
テディはレプラカーンの少女をたしなめた。
「ええ……めんどいじゃん。モンスターならボコっちゃえばいいんじゃないの!?」
「……俺らが戦っている蛮族のやつらだったなら仕方がないが。話が通じるやつが相手なら、こっちから戦いを仕掛けるのはやめておいたほうがいい」
そう、アッシュも意見を言った。
「せっかく、シュタインバッハおじさんにもらった白のマテリアルカードがあるのにっ」
「おいおいチェルシー。そういうお宝を自分が持っているという情報は、これから冒険をいろんなやつとしていくなら、絶対に口にしない方がいいぞ。リオンやアッシュは遺跡ギルドでも信頼が置けそうなやつを俺が選んできているし、立場として幹部の俺がいるところで盗みを働くやつもいないだろうからまだいいが……。パーティとして組んでもいい相手なのか怪しい冒険者も中には混じっているからな。蛮族並みにたちの悪いやつが、な」
「ええ……そうなんだ。気を付けます、テディさん」
「おし、それでいい。アッシュ、今の話は聞いてなかったな?」
「……はい」
寡黙なファイター、アッシュは頷いた。
「ねえ、アッシュ。もしかして、きみも"はきだめの"魔動死骸区から出て行くの? ……リオンみたいに」
チェルシーはすこし寂しげに、アッシュに尋(たず)ねた。
「……ああ、よく分かったな。今回得られる報酬と、これまでに貯めた金と、遺跡ギルドに出してもらったぶんで、ユーシズ魔導公国の学校に行く予定だ」
「学校……」
「若いうちに勉強すれば、きっとここのスラムでくすぶってるよりはマシな人生が開けてる。そう思ってな」
「そっか……今回も即席のパーティなんだね。でもよろしくね、アッシュ」
「ああ。こっちこそよろしくな、チェルシー、トット」
チェルシーとアッシュは握手を交わした。
「じゃあ、行くぞお前ら……?」
そうして、チェルシー、トット、アッシュ、テディの四人はいわく付きの屋敷の門を開いたのだった。
キャラクター
アッシュ リカント 男 18才 冒険者技能:ファイター2 スカウト1 いちばんの一般技能:ハンター5