「変です」
「易や、変と言われてもな……」
「変じゃないなら理不尽です」
「理不尽と言われる程じゃないと思うぞ?」
困った顔で苦笑いしていますけど、私は余りの理不尽に泣きそうです。
なので泣かない為にも不満を吐き出して、何時も通りの鉄面皮を貫きます。
「幾ら最強と謳われるグランガイツさんに遥か遠く及ばない……と言うよりも全く相手にならなくても、…………それでも陸戦ならAAは固いと太鼓判をグランガイツさんから押されたんです。
なのに騎士甲冑どころか、強化魔法以前に魔力を帯びてもいない完全生身で如何して私が完封されるんですか?理不尽です」
「易や、忘れてるかも知れないが、俺は医者だぞ?
人体の構造を熟知している医者が重心を見誤ったりするわけないだろうが?」
「仮にフェイクが通用しないとしても、此方の動きに先んじて対応出来る理由の説明には成りません」
「おいおい、重心に筋肉の伸縮に体勢……と言うか構えから次の動きを予測するなんて難しくないに決まってるだろ?
少なくても医者に、取り分け外科医に肉弾戦を挑めば殆どの行動が筒抜けになるのは当然だぞ。
況してや頻繁に君の身体を診ている以上、筋肉の付き方や関節の稼動域に重心も細かく把握出来ている以上、先読み出来なければ俺は外科医の資格を返上しているぞ」
「然り気無く誤解を振り撒く発言は止めて下さいと言った筈です。
せめて私を診察していると言って下さい。
誰かに聞かれたら私はもうお嫁にいけなくなります」
幸い周囲に誰も居ませんので聞かれずに済んでますけど、もし学徒に聞かれでもした日にはもう学院には行けません。
此の年で
後、カイさんの護衛の方に関してはもう気にしないことに決めました。員数外です。南瓜です。天井の滲み……は一寸違いますけど、兎に角そんな感じです。
「嫁に行けないなら誰か適当に婿でも迎えると良いぞ」
「そういう問題じゃありません。
大体私には適当な男性の心当たりなんて在りませんし、カイさんはカイさんで私に紹介出来る程に男性の知り合いがおられるとも思えないのですが?」
「……後妻や第二婦人は受け入れられるか?」
「………………再婚や重婚を馬鹿にはしませんが、ゲイズ閣下とナカジマ三佐のことを言っているなら、私と彼等の名誉の為にも一度カイさんとは確り話し合う必要が在ると思います」
「素直に俺が全面的に悪かったと認める」
珍しくカイさんを遣り込められたというのに、如何して全然嬉しくないのでしょうか?
と言うより寧ろ凄い勢いで不機嫌へと傾倒していっているのは何故でしょう?
……まさかグランガイツさんを紹介されなかったことだからでしょうか? …………そうなんでしょうね。
カイさんの知り合いの男性の中で唯一親しい付き合いをしているグランガイツさんを紹介しないと言う意地の悪い行為に腹を立てたのです。
まあ、グランガイツさんとは釣り合い云云以前に、何方も互いにそういう眼で見ていませんので紹介されても御互いに困るだけですから、紹介されなかったのはそれはそれで良かったと思って納得するべきですね。
「カイさん。とある偉い方が言いました。[謝罪とは誠意よりも利益を相手に渡すものだ]、と。
そしてカイさんは前に言いました。[鬱憤が溜まるだけの
「つまり、〔何か寄越すか何かしろ〕、と言うことか?」
「有体に言えばそうです」
気分を害したのなら、せめて楽しませなければ許されません。主に私から。
「では手堅く肩叩き……と言うよりも整体券は如何だ?」
「却下です。
そういうのはグランガイツさんかゲイズ閣下に贈って下さい」
「易や、疲労が溜まり始めた頃にメガーヌに強制転送してもらってやってる以上、贈る必要は無いだろう。
と言うか、使わないのが分かっているから無駄になる。
……まあ、ソレが駄目なら…………一月昼食を用意するというのは如何だ?」
「栄養を極限迄重視した味覚や尊厳を破壊する食事を用意されそうな気がするのですが?」
ビタミンの吸収効率迄考慮された野菜ジュースや蛹の空揚や毒蛇を漬け込んだ養命酒や昆虫に寄生した菌類等、味と常識の何方かが深刻的に欠落した料理を矢鱈と用意する前歴が在りますからね。
正直、毎日カイさんの差し入れを食べ続けた結果、普通の料理が出る時間が凄く楽しみ…………と言うか救いに感じられる様になりましたからね。
「其の辺りの心配は無用だぞ。
下手に拒否感の強い料理を渡した結果、食べられずに捨てられるか突き返された挙句に昼食を抜かれると健康に悪いからな」
「なら普段の差し入れも味に気を使って下さいっ。
苦いのか辛いの酸っぱいのかも判らない感覚が口の中を蹂躙した上、余りの感覚にパニックに陥ったり意識が朦朧としたりするのを料理と言って良いのか凄く疑問なんですから」
「差し入れの分も味を優先させて構わないが、それだと鍛錬の効果が薄くなる上、栄養管理が杜撰な君だと危険な状態に陥りかねないぞ?」
「……具体的には如何いうふうにですか?」
「疲労蓄積による新陳代謝や超回復力の低下に因る肉体性能の向上力低下。並びに第二次成長期中の疲労蓄積による成長阻害。
他にも微量元素の摂取を怠った場合、軽度の場合は味覚異常等となり、重度の場合は精神疾患に因り行動不能状態に陥る。
激しい運動を行う君が偏った食事摂取を続けたならば、罹患率が通常より高くなるのは統計的に間違い無いぞ」
「……………………」
絶対に大袈裟な物言いだと断言出来ます。
断言出来ますけど…………私がそうならない為に差し入れをして下さっているのも断言出来ますから、此処はカイさんの厚意を無碍にしない為にも、涙を呑んで精神攻撃料理の続投を受け入れましょう。
それにカイさんは隠している心算でしょうが、厚意……ではなく好意の善意を断られると判断や口調や行動に変化は無いというのに、雰囲気だけが信じられない程に暗くなりますから、宛ら飯事で泥団子を食べなければならなくなった夫役の心境ですが、意地と貫禄で以って受け入れましょう。
まあ、泥団子ではなくカイさん曰く薬膳料理らしいので、泥団子と一緒にするのは失礼な気がするのですが、地に這わされた時に口に入った土の味や感触の方が遥かに受け入れられる時点で、寧ろ泥団子に対して失礼な気がしますけどね。
「折角の鍛錬の効率を落としたりカイさんの厚意を無碍にするのもなんですから、差し入れはその儘で続けて下さい。
あ、勿論都合が悪かったら作ったりせずとも構いませんから、若しも作って下さるなら以前通りお願いしますと言う意味ですから、呉呉も医師としての時間に悪影響が及ぼさない様にして下さい」
と言うより、寧ろ悪影響を与える要因であってほしいです。
そしたら堂堂と拒否出来ますから。
「流石に其の辺の線引きは誤らないから安心してくれ。
後、ある程度の要望なら叶えられるが、何か在るか?」
「……味は最低でも可も無く不可も無い程は欲しいです。
容器や包装や盛り付けは失笑を買わない程度のレベルは欲しいです。
栄養面は完全にお任せします」
「…………本気でそう思われている辺り、馬鹿にされるよりも腹立たしいものがあるな」
「一度日頃の行いを振り返ってみて下さい」
先日、冷えるからとシスター・シャッハの前で渡されたマフラーと思った物が、実は腹巻だったと知った時、シスター・シャッハが笑うよりも窘めて下さらなかったら多分私は凄く怒ってましたね。
で、後日再会した時に渡されたのが、薄紙の様に薄くて軽いのに凄い防寒性能のブランケットだった時、シスター・シャッハと一緒に私は崩れ落ちましたね。
確かに薄くて丈夫で大面積な上に防寒性能が凄まじく高くて役に立つのですが、実用一点張りで完全に野戦仕様なのを渡すとか、ファッションセンスが死滅している……と言うよりも、実利を優先させ過ぎな気がします。
「確かに俺は実利を優先させ過ぎる余り、君に恥を掻かせた事が何度も在る。
だが、俺の勝手な世話焼きでなく、君が俺を信じて頼んだことで恥を掻かせるなんて真似をする気は無いぞ。
だから普段なら碌に気にしない世間の目すら考慮し、誰もが君を羨望する弁当を作ってみせるから期待して待っていてくれ」
「あ、あの、何もそんなに気合を入れなくても構わないので、普通のお弁当を作って下されば十分ですから」
何か変なスイッチを押してしまったみたいで、此の儘では悪目立ちする程に気合が入り過ぎたお弁当が出来てしまいそうです。
「安心してくれ。悪目立ちする様なのはではなく、少し豪勢や豪華ながらも十分に一般的な範疇に収まる擬態を施す。
そしてその上で栄養と味と見た目と君の好みを高次元で融合させてみせる」
「……ソレが出来るなら差し入れもそうして欲しいのですが?」
「食事は楽しみの時間だろうが、差し入れは鍛錬の効果を高効率にする栄養補給で、食事と言う楽しみの時間とは考えていないから別問題だ。
だから高蛋白且つ高カロリーで、消化吸収が良く且つ運動を阻害しない程度の量に留めた結果、味や常識を完全度外視した出来に成っている」
「…………確かに直ぐに力が湧いてきますし、派手に動いてもお腹が痛くなることもありませんけど……」
お酒に漬け込んで無毒化した蛇の頭を入れた脂で固めた様な恐怖の煮凝りや、精の付きそうな動植物を極限迄煮詰めたらしいパニックエキスの様な、トラウマになりそうなのは流石に勘弁してほしいです。
……グランガイツさんは慣れれば珍味だと仰りながら養命酒(寧ろ妖酩酒?)と謎の芋虫の空揚を食されていましたけれど、私は彼処迄大人の余裕と言うか貫禄は持ち合わせていませんから、本当に勘弁してほしいです。
「まあ、差し入れの方は可能な限り液体状にして摂取する際の精神的負担を軽減出来るようにするから、それで勘弁してくれ」
「(固形物でなければ液体歯磨きである程度後味を消せますから)それで十分です」
「…………それじゃあ話も纏まったことだし、今日の年越しの準備も兼ねて今から弁当に必要になるだろう物を買いに行くが、君も来るか?」
…………此れ以上の鍛錬はオーバーワークになりそうですし、家に帰っても年越しの準備で慌ただしくて居辛い上に落ち着けませんから、庭の片隅で時間を潰すよりはカイさんの買い物に付き合った方が生産的ですね。
カイさんが変な物を買ったりしない様、傍で確り見張っておけますから。
そう結論を出すと、私は軽く身嗜みを整え、カイさんと一緒に街へと赴きました。
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「年末年始は掏摸が多発すると聞くが、被害に遭い掛けて初めて実感出来るな」
「一見するとカイさんが加害者にしか見えませんが、確かにそうですね」
財布を盗まれ掛けると同時に相手の手首と腕を捻って阻止した挙句、騒がれる前に謎の液体が染み込んだ布が入った瓶を片手で開けて口元へ近付け、電光石火で気絶させるとか、過剰防衛なのか犯罪者なのか判断に悩ますね。
「とりあえず此の儘だと目立ちますので、何処か適当なベンチにでも運んで介抱しましょう」
「そうだな。
あ、身体を弄って身分証明可能な物を探すのは任せた」
「……管理局に通報しないんですか?」
局員を呼んでさっさと終わらせるのかと思いましたけど、身分証を探すと言うことは示談にするということでしょうか?
後、身分証を探す為とはいえ、身体を弄るとか言うのは止めてほしいです。
「仮に此の掏摸者が浮浪児等の類であったら、俺も君も取調べを受ける時間が長くなる。
そして俺の身分が知られれば掏摸者が悪目立ちする可能性は跳ね上がるし、君が巻き添えを食う可能性も其れに比例する以上、迂闊に地上に連絡を入れない方が良いだろう。
被害者の俺が被害届を出さずに示談しようとするのは、別段犯罪というわけでもないしな」
「……今、私はカイさんの成長を垣間見ましたっ。
何時も…………何時も何時も何時も気付けば悪目立ちする状況に陥って恥ずかしい目に遭ってきましたが、漸く私の被害を考えて行動してくれるなんて、………………感激ですっっ」
「耳に痛い言葉だから反論出来ないが…………、まあそれはそれとして早く移動しよう」
「っと、そうですね」
私がそう言うとカイさんは掏摸の少女を背負い歩き出し始めました。
しかし、微妙に胸が在る少女を背負っているのに全く気にした様子が無いなんて、矢張り持たざる者には興味が無いみたいです。
…………持たざる乙女の敵ですね。
「あ、掏摸者が暴れたら遠慮無く攻撃して無力化してくれ」
「分かりました。
カイさんを掏摸の少女諸共殴り飛ばす勢いで殴り、確実に苦悶の眠りに突き落としてみせます」
「易や、苦悶の眠りって悶絶としか思えないんだが?」
「気にしないで下さい。とりあえず無力化はしますし私は気にしませんので」
訝るカイさんを急かし、私達はある程度人の少ないベンチを探して移動し始めました。
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「確かに金銭を其方の御子さんが懐に納める前でしたが、重心の安定度合いから転倒等の不慮の事故でないのは明白であり、証拠の映像もデバイスに記録されていますので、………………易え、日頃から周辺の状況を記録していないと不都合が多い身でして」
音声通信機の向こうの方は相当に荒れているようですね。
まあ、娘が掏摸をしたから薬で眠らせて無力化したけれど疲労で中中目を覚まさないので迎えに着てほしい、何て言えば普通は荒れますけどね。
「………………ああ、申し送れました。
私は医師として勤めておりますカイ・カルラと申します。
………………ええ、時空管理局委託医師で准将相当官のカイ・カルラです。IDはGGP082473-071000091です」
……相手の方も気の毒ですね。
民間医師と雖も将官待遇のカイさんに娘が手を出した以上、マスコミに知られれば悪目立ちは必須ですからね。
「……………………易え、別に私は然して気にしておりませんので、御子さんを早急に迎えに来て頂ければと。
…………………………あの、本当に然して気にしておりませんので………………………………あ゛」
…………凄く嫌な予感のする声ですね。
正直、如何なったのか訊きたくないですが、訊かなくても聞かされるだけなので、早めに話を振って事態を進めましょう。
「荒れていた相手がカイさんの身分を知った瞬間に掌を返したのは分かりますが、その後は一体如何いう遣り取りだったんですか?」
私がそう訊ねると、珍しくカイさんは言い難そうに表情を歪めると、改めて声が聞こえる範囲に人が居ないのを確認して話し始めます。
「要約すると、俺の不興のとばっちりを受けるのは御免だからシャンテと言う掏摸者とは縁を切る、って事だ。
つまり、つい先程シャンテと言う少女は捨て子になったと言うわけだ」
「…………………………」
重いです。
………………………………凄く重いです。
「口調や声量に肺活量、更に話の内容や背後の物音にシャンテ嬢の衰弱具合を総合するに、家庭内不和が臨界寸前から臨界点突破と成ったのは間違い無いだろうな」
「……落ち着いてますけど、如何にかする当てがあるんですか?」
「家庭内不和の解決なら全く当てが無いし出来るとも思えないが、望む方向で捨て子にさせることは出来なくもない」
「…………如何いう意味ですか?」
「親権放棄を認めさせ、児童養護施設で預かり易くする事は出来るという事だ」
そう言うとカイさんはホロウィンドウを開き、誰かに通信を入れた……と思ったら直ぐに相手が、シスター・シャッハが出ました。
「年末の御忙しい最中失礼します。
カイ・カルラですが、少少御時間を頂いても宜しいでしょうか?」
<丁度食事休憩でしたので問題ありませんし、周囲に人も居ませんので直ぐに御用件を述べられても構いません>
「それでは早速ですが用件を述べさせて頂きます。
事情の在る棄児が居るのですが、迂闊に通報すると悪目立ちして未来を閉ざしかねないので、一先ずは其方で内内に保護して頂きたいのですが、御受けして頂けますでしょうか?」
<…………申し訳御座いませんが、どのような事情かの概要を仰られないことには御受け致しかねます>
「話を急ぎ過ぎてしまい申し訳在りません。
事情ですが、私に窃盗行為を働いた者を無力化した後に保護者へ連絡したのですが、私の詳細を知ると窃盗行為を働いた少女と縁を切ると言い、少女の衰弱具合から家庭内事情を察するに恐らく本当に棄児と成ったと思われ、市警に通報したならば私の知名度を鑑みる限り少女の未来を徒に閉ざしかねないと判断し、御連絡した次第です」
…………相変わらず凄い化けの皮ですね。
普段の其処彼処に漂う変人臭さが微塵も感じられません。
後、シスター・シャッハの表情も普段と違って柔らかさが欠片も感じられません。
<………………詳しくは此方でお聞かせ願いますが、とりあえず直ぐに一時保護可能な手配を致します。
それと、其方に迎えを寄越した方が宜しいですか?>
「民間の移動手段を利用中に目を覚まされて暴れられると事態が悪化しますので御願いします」
<分かりました。
最後に確認ですが、後ろのストラトスさんも一緒に事情説明に来られるのでしょうか?>
シスター・シャッハがそう言われるとカイさんは振り返り、眼で私に如何するかを尋ねてきましたので、軽く頷いて同行の意を示しました。
すると直ぐにシスター・シャッハへ答えを返します。
「目撃者でもあり少女の介抱を行った関係者でもありますので、説明の場に同席させようと思っておりますが、宜しいでしょうか?」
<口裏を合わせる為にも是非ご一緒にお越し下さい。
……それでは其方の座標に信頼の置ける者を迎えに向かわせますので、30分から50分程お待ち下さい>
「分かりました。
それでは何か御不明な点が在りましたら直ぐに御連絡下さい」
<分かりました。それでは…………>
シスター・シャッハがそう言うと通信は切れました。
楽しかった時間がいきなり予想だにしない終わり方をしてしまい、買い物していないので明日のお弁当は無理かと思っていましたが、先程のお店に何時帰れるか分からないので保冷剤を大量封入した宅配サービスを頼むということで、何時の間にかカイさんが持ってきていたチラシを二人で見ながら意見を出し合って何を買うか決めて注文したので、年初めということで誰も居ない聖王教会の鍛錬上でグランガイツさんと模擬戦をしていた時、無事カイさんからお弁当を渡されて頂くことが出来ました。
徒、碌に準備も出来なかった筈なのに、冗談抜きで高級レストランの料理級に美味しいお弁当に、私は徹底的に女のプライドを打ち砕かれました。
カイさんは管理栄養士だから当然だと言っていましたが、はっきり言って多芸過ぎます。
後、カイさんは思う所が在ってシャンテさんの身元引受人になり、シスター・シャッハはとりあえず二度と掏摸などという戯けた真似をしない様に気合を入れて教育と言うか矯正をシャンテさんに施すことになりました。
そしてシャンテさんが衰弱から回復した後に矯正が始まり、一緒に受ける者が居ると励みになるということで、私もシスター・シャッハがシャンテさんに課す鍛錬に付き合わされる日が矢鱈と多くなりました。
はっきり言ってシャンテさんは未熟ですが、幻術なら力一杯殴っても構わないので良いストレス解消になっています。
まあ、一度間違ってシャンテさん本人を力一杯殴った時は、同じ女として一寸同情する状態に成ってしまいましたが、カイさんの家でカイさんに介抱されている時に私を馬鹿にした顔で見た時、同情や罪悪感は遥か彼方に消え去りました。
とりあえず、今度何時うっかり間違って不慮の事故で幻術ではないシャンテさん本人を力一杯殴っても構わないよう、今迄以上に鍛錬へ身を入れることにしました。
~~~ 10話迄のオリジナル設定 ~~~
【シャンテについて】
所謂バタフライ効果です。
カイが社会に影響を与える医療革命をした結果、シャンテの両親やシャッハの行動が原作と異なり、シャンテと出会う時期が原作と乖離しています。
身元引受人はカイで、自宅もカイの家。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【原作と階級に相違の在るキャラクター】
レジアス・ゲイズ :大将
ゼスト・グランガイツ:一佐2
オーリス・ゲイズ :二佐
クイント・ナカジマ :一尉1
メガーヌ・アルピーノ:一尉1
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【一佐1や一尉1について】
旧日本軍に習い、同階級での役職や権限の差や指揮権継承権などに影響するという設定です。
一等一尉 ~ 二等一尉、一等一佐 ~ 三等一佐と分かれています。
正確には一等一等陸佐や二等一等陸尉という表記が正しいのですが、誤字の様に見える上に読み難いので、同階級内での区分けの数字は階級の最後にアラビア数字で表記する様にしています。
感想で、一佐(1)、や、一尉(1)のようにしたら如何かとの御意見が在ったのですが、三人称の地の文でなら兎も角、それ以外で()注釈としてを使うと、特に会話中は変な文章に思えてしまう為、三人称の地の文以外では、此のやり方で徹させていただきます。
折角のアドバイスを活かせずに済みません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【原作には無い聖王教会の称号と位置付け】
王 :何かしらの戦闘系統を極めたとされ、且つ絶大な功績を挙げた存在に贈られる称号。
人格面での取得難度は現最高責任者(教皇)就任を遥かに上回る。
ベルカでの扱いは教皇と同格以上の現人神。
大騎士 :極めて高い戦闘力を保持し、且つ多大な功績を挙げた存在に贈られる称号。
人格面での取得難度は教皇と同等。
ベルカでの扱いは現最高幹部(枢機卿)よりも上の扱い。
上級騎士:高い戦闘力、若しくは大きな功績を挙げた存在に贈られる称号。
但し騎士の上位称号である為、最低限の戦闘力保持は必須。
人格面での取得難度は枢機卿以上。
ベルカでの扱いは枢機卿と同等。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ゼスト・グランガイツについて】
カイの医療技術を存分に受けて遺伝子上のほぼ限界値迄肉体とリンカーコアの性能を引き出せるようになり、更に弛まぬ修練と数多の実践の結果、半無敵超人化(推定空戦SSS-以上)しています。
王の称号こそ断ったものの、既にベルカではヴィヴィオと二分する現人神状態で、好意や恋慕を飛び越して殆どの人が崇拝の対象にしています。
死蔵設定になりますが、殺意全開のレリックウェポン化状態のヴィヴィオどころか、防衛プログラムに力の殆どを持っていかれた残り滓状態ではない在りし日の夜天の書の管制人格(リインフォース・アインス)と真っ向勝負して尚互角に戦えますので、単独で挑めば所謂公式チートキャラ以外は不意を突こうが勝てません。
原作では、〔なのは=フェイト=シグナム=ヴィータ〕、という前提にも拘らず、ツヴァイとユニゾンしたヴィータを半死人の状態で完全に打ち負かしましたことから、恐らく生前(?)はなのは達よりも上位の戦闘者だったでしょうから、カイの医療技術を受けなくても原作最強キャラの一人だろうと思っています。
尚、そんなゼストを殺害(?)したチンクですが、部隊として行動していた為にゼスト個人の戦闘能力が可也封殺された上、高濃度AMF下での物量戰で疲弊しきったところを討たれたのであって、純粋な戦闘力だとチンクはゼストに遥か遠く及んでいないと思っています(まあ、罠に嵌めて打倒したのもチンク達の実力ですが)。
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【オリジナル主人公についての既出情報+α】
名 前:カイ・カルラ (KAI・GARUDA)
職 業:医師 (時空管理局委託医師)
地 位:准将相当官 (民間人)
私的関係者:アインハルト、オーリス、クイント、ゲンヤ、シャッハ、シャンテ、ゼスト、メガーヌ、レジアス。