Vividの二次創作   作:駆け出し始め

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「高町・ヴィヴィオ・ハラオウン。

 

 最後の聖王、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトの記憶転写型のクローン。

 だが、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトと同一存在ではなく、多くない記憶と聖王の鎧と虹彩異常(ヘテロクロミア)虹色の魔力光(カイゼル・ファルベ)を保持している同遺伝子の存在であり、年の離れた一卵性の双子に記憶が半端にインストールされた存在と言う表現が一番近い。

 

 過去にレリックを埋め込まれてレリックウェポン化していた折、高魔力砲の直撃を受けて体内のレリックが爆発して失われた為レリックウェポン化が強制解除される。

 しかし精密機械の如く調整されていたレリックウェポンの状態を、高魔力結晶体のレリックを爆発させて強制解除させた影響で、固有スキルの聖王の鎧が常時使用不能状態になるどころか致命寸前の重症状態に陥る。

 だが、カルラ医師の治療により魔力保有量と容姿以外はレリックウェポン時とほぼ同数値に迄回復を果たし、更には聖王の鎧も常時発動可能状態へと回復する。

 

 現在はSt.ヒルデ魔法学院初等科二学年として在学中。

 品行方正且つ快活であり、教師及び生徒からの評判も良く、人格面での問題は見受けられず。

 ストライクアーツと言う格闘技に熱中してはいるものの傷害願望と直結する程のものではなく、価値観や潜在欲求も危険と見做される域には至っておらず、本人自体にはほぼ問題無し。

 

 私的関係では先日解散した機動六課関係者と多く交友を結んでいるものの本人に派閥形成及び権力利用の意図は見受けられず、相手側は自覚無自覚は判断しかねますが程度の差は在れど派閥形成や権力利用を目的とした接触を幾度か確認済み。

 特にカルラ医師個人と交友関係にある為、本局がクロノ・ハラオウン提督を通して高町なのは戦技教導官及びフェイト・T・ハラオウン執務官という両保護者からカルラ医師を自宅や本局へ誘導する旨を幾度も伝えられている。

 しかし、飽く迄伝言の範囲に済ませており、強制した事は皆無なので此の点に関しても本人に問題は無いと思われる。

 但し、自身の個人的イベント等に関しては此の限りではないが、本人に他意は無いと思われるので、矢張り本人には問題が無いと思われる。

 

 現在は局への入局意思は皆無と見られ、聖王教会で君臨する意思も同様に皆無と見られる。

 だが、自身を取り巻く環境を朧気ながらも理解している節が在り、恐らく将来はカリム・グラシア理事官の様に局と教会を繋ぐ立場、若しくは聖王教会の要職若しくは頂点に立つ可能性が高いと思われる。

 

 レリックウェポン状態であった能力を使用しなければ魔導師ランクは推定で総合A+~AAであるものの、健全に成長したならば推定で総合AAA-~S+とカルラ医師は予測している。

 魔力資質は高速並列運用型であり、更に聖王の鎧も在る為、火力の低さを考慮するに前衛支援と言う稀有な適性に落ち着くものの、未知数のリスクを容認すれば最低でも180秒はリレックウェポン時と同等の戦闘能力を発揮可能とカルラ医師は推測しており、その際は推定で総合SS+~SSSの域に達すると思われる。

 但し、レリックが無い状態でレリックを前提とした能力行使は肉体とリンカーコアに莫大な負担を強いる為、良くて衰弱で普通ならば寿命の減少。最悪ならば能力行使に肉体とリンカーコアが耐え切れずにSSSランク級の爆発で他者すら巻き込んで自爆すると予測されている。

 尚、治療の妨げになり且つ前科が…………少なくとも本人の意思で犯罪行為を働いたことが無い為、リミッターなどは存在していないものの、カルラ医師の治療指導を外れた行動や意思は見受けられないので問題は無いと思われる。

 叉、聖王教会は緊急時の自衛手段としてリミッターを付ける必要は無いとしている為、当分は現状維持の儘と思われる。

 

 

 …………総括だが、現段階で本人は毒にも薬にも成らんだろうが、周囲は劇薬どころか猛毒に仕立て上げる腹積もりの連中が多過ぎる。

 特にカルラ医師との個人的関係を放置し続ければ、本人どころかカルラ医師だけでなく、医師会に聖王教会に地上も喜ばしくない目に遭うのは目に見えている。

 

 さて、時空管理局要人護衛部二課カイ・カルラ医師護衛総責任者にして聖王教会より大騎士の称号を贈与された騎士グランガイツと、聖王教会騎士団所属上級騎士にして時空管理局理事官のグラシア少将、……先ずは両者の所見を聞かせて貰いたい」

 

 ……相変わらずよくもまあアレだけの長文を嚙まずに読み上げられるものだな。

 まあ、それはそれとして件のヴィヴィオ嬢だが、…………相変わらず面倒な状況下に在るな。

 

「……彼の御方の立ち位置が不明瞭な現在、可能な限り現状維持を続けて状況改善を図るのが得策ではないかと判断するので、聖王教会としては現状維持を希望する」

「……外交担当理事官(外交官)としては聖王教会の意を汲んで件の少女自身には干渉を控えつつも、万が一で暴走した際に備えて周囲へ被害を及ぼさない場所へ即座に転移可能な者を常に監視員とするべきと思われます」

 

 …………地上と本局と教会が会議に出席したとする為、レジアスが地上で騎士カリムが本局外交官で俺が教会の大騎士として会議に出ているが、実際は地上と教会だけの会議にしか思えんな。

 騎士カリムの言う通りに監視役を付けるとしても、その場合は地上か教会から派遣される以上本局は基本的に蚊帳の外だからな。

 易や、抑地上の役職と本局の役職を考えればそれも当然と言えば当然で、寧ろ直接会議をするならば不要な外交官を態態会議に出席させて本局の顔を立てたとアピールする辺り、組織運営とは厄介且つ面倒極まりないな。

 

 何をするか告げられれば裏の事情はある程度察すことが出来るが、自分では碌に考えが至らない上に抑実行しようと思えん辺り、本当に現場向きの思考だな。

 クイントやメガーヌの補佐が在ったとはいえ、良くもまあ隊長などに就けたものだ。

 

 まあ俺の適正については今更なので措いて置くとして、今はレジアス達の話と周囲の警戒に意識を割り振ろう。

 

「…………矢張りそういう主張に収まるか。

 

 今更だが、地上としては犯罪者でもなければ容疑者でもないのならば監視が限界だ。

 無論保護者の経歴を洗って罪を指摘して投獄乃至拘留して親権を剥奪し、此方で件の少女を拘束乃至封印するという処置が採れないわけでもない。

 しかし、その場合は聖王教会の大半の勢力と敵対することになり、更に少女の保護者の知己の者達が決起する可能性が高く、しかも決起する者達は一般に広く知られている上に本局派が殆どの為、地上が聖王教会と本局と戦争をするという事態に発展しかねない以上、矢張り現時点では監視が限界という結論に行き着く。

 

 一応カルラ医師との交流を経、地上若しくは聖王教会の側に引き込み、地上と聖王教会の橋渡しの象徴として機能してもらうことを期待していなくはないが、早くても5~6年先からの話になるだろう以上、今は聖王教会内部の者に排斥乃至暗殺されぬ為にもカルラ医師との交流を続けて自身の付加価値を高めつつも、情勢が落ち着く迄は健やかな精神を育みながらも幸福を謳歌してほしいと思っている。

 だが、時代の趨勢を担う……担うだろう一名である限り、最低限の自覚は必要だろう以上、機を見て自身を取り巻く情勢を伝えるべきだとは思っている。

 無論、想定される悪意を仔細に話す必要は無いだろうが、他者の悪意に触れた頃には想定される悪意を想定出来る程度には情報開示する必要が在ると思うが、此の方針と指針の是非を問いたい」

 

 ……無知故に悪意の渦に飛び込んで利用され尽くすのを回避する為にも致命的な危険性のみでも情報開示することは賛成だが、問題は誰が説明するかということだな。

 

 先ず保護者は却下だな。

 何方も悪意に疎いので致命的な危険を認識しているかすら怪しい上、認識していなければ最悪後先考えずに即刻何かしらの行動に移しかねん。

 まあ、保護者を除外するならば少女の口が堅いことが条件だが、幸い快活さに加えて利発も持ち合わせている以上心配は不要だろう。

 だが、面識の無い者が保護者にも内密にする様にと言って聞き届けるかは可也怪しい以上、該当者はカイとシスターシャッハだけだろうな。

 一応元機動六課部隊長の八神二佐も該当するかもしれんが、保護者と親密過ぎて情報秘匿に強い疑念を抱かせかねんのを考慮する限り、矢張り該当者はカイとシスターシャッハだけだろうな。

 

 ……しかし、早ければ5~6年、遅くても10年以内、早過ぎれば聞いたその瞬間にも自身を押し潰そうとする悪意と無責任な期待に気が付いてしまうようにするのは矢張り気が重いな。

 自ら死地に飛び込まないという最低限の自衛を行う為に必要な措置だというのは分かるが、穿ったモノの言い方をしてしまえば、限られた者達以外は悪意を持って接している輩だと教え込むのと同義だからな。

 正直、幼い頃にこんな世界を垣間見せれば対人関係能力に支障を来たしかねん以上、少なくとも後数年は情報開示を控えてほしいところだな。

 具体的には保護者との繋がりが無縁な友人が1~2名出来る程に対人関係能力を構築した後にしたいところだ。

 その時ならば保護者繋がり以外でも、信用に値する者が自分の知らない所にも居る可能性を理解出来ている筈だからな。

 

 

 

 結局、地上と本局(の聖王教会担当外交理事官)と教会が負うべき責の範囲内ならば、互いに最大限譲歩し合うという方向で話は進んだ。

 結果、後2~3年は情報開示を控えつつも、〔馴れ馴れしくも強引な初対面若しく二度以上同じ事をしている者は絶対に相手にしない〕、という、実に不安が残ることを強く言い含めるだけに止まった。

 そしてその間の護衛や監視は教会と地上が請け負い、その際に発生する問題は本局(の外交理事)が請け負うことで話は纏まった。

 

 

 

 

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「…………この内側に針が付いているオリエンタル感漂う人型の棺な様な物は何なんですか?」

「あーそれ~?

 ……確かアイアン・メイデンって言う全自動針治療器だったかな?

 興味在るなら体験させてやるけど?」

「全力で断らさせて頂きます。

 と言うか、こんな適当な針治療器具が在る筈ありません!」

「…………あれ?

 それじゃあ血の気の多い人の血を抜く為の器具だったかな?なんか刺さっても致命傷じゃない位置に針が付いてるし」

「その辺は知りませんけど、コレ、絶対に何かの拷問器具ですよね?

 一体何考えて買ったんですか?」

 

 と言うよりも何処で買ったのかが激しく気になります。

 兵器でないといっても一般で売りに出しても構わない代物とはとても思えません。

 購入者の思考も普通じゃないですけど、販売者も絶対普通じゃないです。

 

「何を考えてって…………私の人形軍のトップに据えようと思って買ったんだけど?

 ほら、不気味で気色悪くて一寸可愛くて気持ち悪い(不気味キショチョイカワキモ)でしょ?」

「こじ付け級に美点を探したとしか思えない評価にしか聞こえませんけど?」

「なんちゃってシスターシャンテの特技の一つに、美点が在れば見つけ出すっていうのが在るんだ」

「ほぉ。…………なら私の美点を幾つか挙げてくれませんか?」

 

 まあどうせ、[Not Found]、とか言うんでしょうが。

 

「…………」

「…………」

「……………………」

「……………………」

「…………………………………………」

「…………………………………………」

「……………………………………………………………………………………」

「……………………………………………………………………………………」

 

 え、豪く長い間ですね。

 若しかして本気で探されているのでしょうか?

 だとしたら私の美点は其処迄時間を掛けないと分からない程ということで地味に傷付くんですが……。

 

「うん、……色色在るけど、やっぱりコレだよね。

 て言うか、こんなに沢山美点を見つけられるなんて、やっぱり私の人を見る眼は凄いと自画自賛しても構わない程だよね♪」

「寧ろ私程の人物の美点を見つけられないなら読解力か語学を鍛え直すか眼科に行く事を勧めます」

「あはははははは、まあ美点と汚点が市松模様になってるから見つけ易いって言えば見つけ易いよね」

「視界が自動的にモザイク状態に成るなんて眼科に行かれた方が良いですよ?」

「自分で診るか帰ってきたら診てもらうから大丈夫」

 

 相変わらず話せば話す程不快指数が急上昇しますね。

 グランガイツさんは数年経てば得難い親友だということに気付くと仰られていましたけれど、的を射ているかどうかは別にして、その前に牢屋か病室に叩き込んでいる気がしてなりません。

 ……格子越しか横たわっている状態を見下ろす感じでなら友好関係を築けそうな気がする私は病んでいるのでしょうか?

 

「まあそれはそれとして、一番目立つ美点はやっぱり、〔見た目(●●●)儚げドMロリ〕じゃない?」

「良く分かりました。つまり死合いを所望しているんですね?」

「易や易や易や、至って真面目な結論だよ?

 仮にアイドルやってたらネットじゃこんな感じの評価に落ち着くと断言出来るから。

 序に言うと、[アインハルトたん。ハァハァハァ…… ウッ]、って感じの大きなお友達を億単位で量産出来る美点だね。うん」

「貴女の腐った眼で曲解した私の魅力を美点と言わないで下さい。

 後、大きなお友達云云は私も貴女も割と洒落に成らないですから、ブーメラン発言は控えた方が良いですよ?」

「ふっ。……つるぺたロリを脱し始めた私にそんな脅しは効かないから♪」

「………………」

 

 如何しましょう? 真面目に皮を剥いで皮下脂肪に火を着けて強制ダイエットの刑に処してやりたいです。

 と言うか、カイさんの整体と栄養指導の御蔭でも、10歳少しでAに到達するなんて…………どんな整体なのか果てし無く気になります。

 

「とは言え此れだけしか美点を言わなかったら可哀相だし、もう幾つか言うとしたら、〔墓穴だろうと全力で掘って飛び込む意地っ張り〕、〔根暗準ヤンドラ予備役将校〕、〔無自覚騒動製造者(トラブルメーカー)〕とかかな?」

「馬鹿にしてますね?喧嘩売ってますね?決着を所望してますね?」

「易や易や易や易や。さっきのはお世辞付きの客観意見だけど、今回のはマジもマジ。完璧主観意見だから。

 ほら、見方を変えれば、〔見てて楽しいけれど放っておけない〕、〔重力崩壊しそうな愛を与える〕、〔日常を彩色してくれる〕、ってなるし」

「………………確かに」

「それに私みたいにさばさばしてるのは同姓に好かれるタイプだけど、若干自虐鬱思考の方が異性に好かれるタイプだと思うよ」 

「………………自虐だけでなく鬱?私が?」

「……易や、そこで意外そうにされることの方が意外なんだけど?」

 

 …………百歩譲って自戒と内罰的思考が自虐と見られるのは納得出来ますが、鬱はないです。

 

「物静かや控えめなら分かりますが、鬱――――――」

「ぷっw」(´`c_,'`)

「――――――と言う………………」

 

 成る程。

 成る程成る程。

 成る程成る程成る程。

 ああ、つまりアレですね。

 

「要するに破滅したいと言うわけですね」

「要するに破滅したいと言うわけですね」m9っ( ー`дー´)キリッ

 

 ……………………。

 

0勝17敗3分(負けか分け)だけにも拘わらず強気ですね。

 今度はどんな罰で恥を晒させてほしいのですか?」

「別に勝っても負けても私は得だから勝敗は如何でも構わないけど、今回はほぼ確実に勝てるから大人しく耐え忍んでた方が良いよ?

 罰ゲームは裸エプロンでお出迎えして、[お帰りなさ~い♥ 私にする? 私にする? それとも3(ピー)?]、だから」

「(3(ピー)が何かは分かりませんが)自分から女として自殺したいとはもうフォロー出来ませんね」

「え?若しかして乗り気?」

 

 ……何時にも況して鬱陶しいと言うか強気ですね。

 若しかして本当に必勝に近い策や初見殺しでも持っているんでしょうか?

 易え、仮にそうだとしても関係在りません。

 

「覇王の末裔は変質者相手に退きません。媚びません。省みません。

 …………穏やかな一時を取り戻す為にも、社会的に死んで何処かの施設にでも逝ってもらいます」

「あはは。

 此の日の為に取って置いた言葉を言うとするなら、〔フラグ建設乙!〕、だね」

 

 

 

 …………………………1ヵ月後、カイさんどころか一緒に居られたグランガイツさんとヌエラさんにも痴態を晒した私は、進級出来るか如何かの瀬戸際迄自宅に引き篭もり続けた。


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