Vividの二次創作   作:駆け出し始め

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「あ……あの……カイさん…………ですよね?」

<うん?若しかして見違える程に窶れてるか?>

「い……易え、見間違える程窶れてはいまんせんけど、その格好は……」

 

 髪を身体前面で三つ編みっぽい二つ編み(?)にしていたり、肩に琥珀色の綺麗なショールを掛けていたり、前髪をそれぞれ紅と蒼の硝子球(でなくて多分宝石)の飾りが付いた2本の髪留めで垂れない様に止めているその格好は、…………少し痩せたり髪艶が損なわれて尚女の私に敗北感を与える程に女性らしかった。

 

 と言いますか、最後に会って2月程経ちましたけど、髪伸びるの速過ぎます。

 如何見ても4cmは伸びてますよね?

 

<ああ…………、此れは護衛兼助手兼看護師の――――――>

<――――――私、メガーヌ・アルピーノがしたの♪

 如何?似合うでしょ?>

「は、はあ……」

 

 えっ……と…………、確かナカジマさんの御同輩で、騎士ゼストの部下の方でしたっけ?

 後、聞き分けの無い患者やその関係者、若しくは迷惑な来訪者やその担当者を強制的に召還したり送還したりする時に大活躍するって言っていた気もします。

 

<うんうん♪カイ君の女装に見蕩れてときめくなんて、やっぱりカイ君の言ってた通り女の子が好きなんだね♪>

「…………え?」

<詳しくは聞いてないけれど、とある女の人のことを話す時のアインハルトちゃんって、恋愛事に疎いカイ君が、[多分、アレが恋する乙女の瞳なんだろうな]、って言ってたけど、…………まさか本当だったなんて。

 如何しようかしら…………私……ワクワクしちゃう!>

「ちょっ、カイさん!なんだか凄い誤解が……って!? カイさん!? カイさん!?

 カメラワーク(視点)を変えるなんてずるいですよ!」

 

 視点を切り替えようとしてもカイさんの方からロックが掛かってますし、クラッキングしようにも今回の見知らぬアドレスと以前ゲイズ閣下が言われたことを考えれば管理局の端末であるだろう以上するわけにもいきませんから、本当にカイさんはずるいです!

 

<いや~、だけど私としては百合少女と鈍感少年の昼メロな展開も面白そうとは思うんだけど、…………アインハルトちゃん程の美少女がガチ百合とか、世のモテない男の子が絶望しそうよねぇ~>

「待って下さい。私は同性愛者ではなく普通の異性愛者です。別に同性愛を否定するわけではありませんが、私も同じ様に見られるのは心外です。と言うより寧ろ勘弁して下さい。

 自慢じゃありませんが、私は生まれてこの方血縁者以外の同姓の友人どころか知人すら居ませんし、得ようとした事すらありません」

<…………えっと…………カイ君、今のって笑うところなのかしら?>

<自虐ネタに成り損なった自爆ネタです。

 哂えばいいと思います。……ガンガレ、ポツンハルト括弧失笑括弧閉じる。……という感じで> 

「口に出して括弧閉じるって言うとか、もう悪意しか感じれないんですけど!?

 しかも失笑ってなんですか!?

 それに私は寂しいわけでもないですし、孤高であろうとしているんで自虐したりすること自体がありえません!」

 

 抑、覇王の悲願云云を抜きにしても、大切な訓練時間を削って迄無駄話や実りの無い遊戯に没頭しなけれならなくなる対人関係なんて望んでいません!

 クラスメイト……と言うかカイさん以外の同年代の話なんて、誰が生意気だとか誰が馬鹿だとか何が嫌いだとか何が好きだとか何をして遊ぶのだとか、…………下らない話というだけでも気が滅入るというのに、話半分でそんなことを毎日話して日日を浪費する人と話すことなんて欠片も在りません。

 

 つまり私は誇りを持って気高く生きていたら、一人高みに立っていただけなんです。

 そして気付けば何時の間にか横にカイさんが居ただけです(時時空の彼方や海の奥深くに消えたりする様な人ですけどね)。

 

 だと言うのに――――――

 

<まあ、君の気も晴れたみたいだし、揶揄うのは此れくらいにしておこう>

 

 ――――――私の言い分を流す様に会話を切り替えるとか、本気で止めてほしいです。

 

 偶に笑わないと交感神経と副交感神経のバランスが安定し難くて免疫力などが低下する上に癌の発病率を上昇させてしまうという理由で笑わせようとしますけど、怒らせようとしているとしか思えない辺り、カイさんには人を笑わせるセンスが壊滅的に無い気がします。

 だいたい、私は仏頂面ですけど内心笑っていると言うか和んでいることは結構在りますから余計なお世話です。

 

 余計なお世話ですけど、…………然り気なく視点が戻されたホロウィンドウの中に映るカイさんの笑顔を見ると、…………まあ、カイさんが楽しそうなので良いかと思えてしまう辺り、カイさんは本当にずるいです。

 ずるいですから少しだけ……本当に少しだけ、偶には私も遣り返しましょう。

 

「なら今度は私がカイさんの気を晴らす為に楽しい話をしてあげますね」

<君が楽しい話をするって………………無理しなくて良いんだぞ?>

「………………」

 

 慌てふためくどころか優しそうな顔で諭されました。

 他の人は優しい顔と思うかもしれませんけど、生憎と私にはカイさんが私を揶揄っているというのが手に取る様に判ります。

 だってカイさんは私を心配するか怒るか治すか揶揄うかしかしませんし。

 

 ……偶には私も遣り返すというのを教えてあげましょう。

 

「春先、St.ヒルデに表敬訪問で来た際、武闘派系の学生や教職員を診察されましよね?」

<ああ。時間と人数的に野戦病院並の簡易診察だったがな>

「その時、とある武闘派シスターに対し、

[戦闘者としては然して問題無いが、女性としては大問題です。

 女性が体脂肪を下げ過ぎるとホルモンバランスが崩れて生殖能力が減衰して不妊症になるばかりか、女性ホルモンの低下で脱毛や発育不足、更に寿命も縮みかねません。

 反面教師というわけでないならば、次世代を育む場に相応しい身体へと矯正するべきです]

 ……みたいなことを言いましたよね?」 

<ああ>

「あの後そのシスター、只管高カロリー食品を食べて脂肪を付けようとしたらしいですけど、何時もより食べた分だけ鍛錬に熱が入って、腹囲や胸囲が増えはしたものの全部筋肉で、気付けば前より身体の丸みが減った上に身長も伸びてしまったそうです」

<…………………………………………アインハルト>

「……何ですか?」

 

 …………何と無く、何と無くですが、慣れない事をしなければ良かったという感じがヒシヒシとします。

 その上、間違い無く碌な事を言われないという確信に近い予感が在ります。

 

 正直全然聞きたくないですけど、聞かないと此れから逢う度に悶えそうですし、覚悟を決めて何食わぬ顔で聞きましょう。

 幸い、今迄無表情で訓練してきた月日のおかげで私のポーカーフェイスは完璧です。

 

<えーとだな、医者として注意指導や喚起をしたにも拘らず裏目を出させてしまった事の何処を笑えばいいのか判らないんだが?

 それとも、さっき揶揄った意趣返しに、俺の失敗を晒して恥を掻かせようとしたのか?

 若しくは、実は君か俺の笑いに対する感性がずれていて話が滑ったのか?>

「………………………………………………忘れて下さい。

 と言うか、酷いです。あんまりです。

 

 あんな真顔で返されたら汚れた自分が恥ずかしくて満足に顔を見て話すことも出来ません。

 折角勇気を出したってのに、こんな仕打ちはあんまりです。

 私を虐めて何が楽しいって言うんですか?」

<ああうん。ちょっと落ち着こうか、アインハルト>

「落ち着く? 私はカイさんに酷い目に遭わされても落ち着いて話さなくちゃいけないんですか?」

<易や、頼むから一度自分の発言を落ち着いて思い返してくれ。

 後で要らない誤解で揶揄われるか査問に掛けられかねない>

 

 …………カイさんが何を言っているか今一つ解りません。

 解りませんが…………此れはチャンスです。

 何故だか慌ててくれてるので、此の儘もう少し慌てさせてやりましょう。

 

 

 

 その後、珍しく…………というか多分初めてカイさんを思い切り揶揄えたことに満足してから通信面会を終えたものの、寝る時に楽しかった会話を思い出した時、私は自分の発言の危なさに漸く気付き、布団の中で悶えることになってしまいました。

 いくら画面越しとはいえ久し振りに逢えたからといって、可也浮かれていた事に気付いた時、多分カイさんも浮かれていたから普段と違って可也揶揄う比率が多かったと気付いた時、浮かれていたのを多分(ではなくほぼ確実に)自覚していたカイさんと違い、私は自覚無しに浮かれるという醜態を晒してしまったどころかそれをほぼ確実にカイさんへ悟らせてしまったのだと理解した時、一層布団の中で悶える事になってしまいました。

 

 翌日、休日なので通信面会が可能な時間になった瞬間に通信を入れると、気のせいか昨日より窶れて見えるカイさんが現れたのを見て、確りゲイズさんから追求が在ったのだと確信出来た。

 如何謝ろうかと言葉を捜していたら、ゲイズさん(ゲイズ閣下)が通信を開いてきて、ベルカだと10で一人前扱えされることもあると雖も、それより早い交渉は認めないと釘を刺されました。

 徒、此れを機にゲイズさん達は私とカイさんが友達以上だと認識してくれるようになりました。

 

 …………カイさんから友達と言われたことは無いですけど、他の人から見ると友達よりも仲良く見えるのかと思って嬉しくなったのは秘密です。

 

 

 

 

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