Vividの二次創作   作:駆け出し始め

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 胃が痛い 今にも溶けて 死にそうや。 すぐに助けて ラッパのマーク。

 八神はやて心の川柳。

 

「はやてちゃん…………真面目に考えてる振りして別のこと考えたら駄目ですよ?」

「いや、いたって真面目やで?

 真面目に本気で現実から逃避しようとしてるだけやから」

「局員を辞めないと後できつくなるのははやてちゃんなのですから、早く仕事した方が良いです。

 それにはやてちゃんが速くしないとロングアーチに抗議が入りっぱなしになるですよ?」

「そうなんやけえどなぁ…………」

 

 医師会の殆どの派閥からの抗議文に、局に寄付しとる大半の企業からの抗議文。

 他にも政界の小物から超大物まで、政界の比率殆どそのまんまの比率の構成数の抗議文。

 更にカルラ医師がほぼ全盛期の状態まで快復させた、元ストライカーや元エースやった人達からの抗議文。

 その上聖王教会の良識派やヴィヴィオ非容認派からの抗議文。

 トドメに陸のお偉いさん達どころか、カルラ医師が簡易的とはいえ自己診断と治療法と予防法を教えた部隊からの抗議文。

 おまけに本局から、なのはちゃんを切り捨てろいうのと庇えいうのが別系統で来る始末。

 

 …………針の筵どころか、空から槍が降り注いどる感じやね。

 て言うか、奇跡の部隊とか世間で言われとらんかったら、本局の意向を完全無視して取り潰された上に尉官以上は漏れなく罷免。最悪、適当に余罪を付けられて投獄やったね。

 

「…………正直、こうも四面楚歌やと現実逃避の一つもしたくなるんよ……」

「その気持ちは分かるです。よく分かるです。凄く分かるです。物凄く分かるです。

 最近抗議文対処以外の仕事した記憶ありませんから、リインもテンションが低空飛行です。というか墜落しそうです。積載オーバーです。

 

 ですけどですけど、ここではやてちゃんが現実逃避したらみんなに皺寄せがいってしまうですから、はやてちゃんには部隊長としてがんばってもらうしかないのです!

 フレ~!フレ~!なのです!」

 

 い、癒されるわ~。

 妖精サイズやなくて幼女サイズやったら、絶対抱きついて床転げ回って頬ずりしてペタンコな胸モミまくって可愛がっとるわ~。

 

「なあリイン?ちょっと大きくなってくれへん」

「いやです。だめです。ごめんです」

「そ、即答やな」

「この前ロウラン准陸尉に見られた時、笑い事じゃすまない状態だったですから、しばらく業務に支障がでるほど気まずくなったのを忘れたですか?」

「……あ、あはははは」

 

 服や下着を脱がされたり開けさせられて涙目の美幼女。そしてそんな美幼女を組み敷く私。

 しかも組み敷いた美幼女が上気しつつも涙目で嫌がって助けを求めるというおまけ付き。

 …………あの時グリフィス君……ゴミを見る眼で報告だけしてあっという間に去っていったのは、焦るよりも凹んだわ……。

 

 半泣きのリインを放っておけんかったから、通信でやけど急いで事情説明しようとしたら、[ツヴァイ空曹長は八神部隊長の私的デバイスでもありますから、業務に支障がでない範囲で何をされようと僕は感知しませんのでご安心下さい。但し、就業時間中はなるべく控えるようお願いします。では何か業務がありましたらご連絡を]、って凄く無機質な笑顔で言外に、〔要が無いなら話しかけんな変態〕、て言われて辛かったわ。

 しかもその後から凄まじく優しくリインに接するグリフィス君を見て、みんなグリフィス君が何を見たのか何と無く察したもんやから、ロングアーチじゃ村八分寸前に陥ってもうたな。

 

 リインが私は悪くないって言えば言う程、無理矢理か洗脳して言わせたと思うみんなの視線が心に刺さりまくりやったな。

 まあシグナム達が、私は身内に過激でエロ過ぎるスキンシップを突発的に取ることがあるから勘弁してくれって説明して何とか落ちついたんやけど、そのフォローの仕方だと私がただの性犯罪者予備軍みたいにしか聞こえんやん、ていうツッコミはぐっと呑みこむことにした。

 

 何とか収束出来たんやけど、代わりにロングアーチじゃ業務に支障が出る寸前まで部隊長の威厳が落ちてもうたし、何処で知ったのかヴァイス君が、[是非八神隊長がシグナム姐さんを辱めるところを見させて下さい!]、って大声で言ってシグナムをぶちキレさせたり私を百合女と部隊全体に誤解させたりと、かなりの波乱を巻き起こしたりしたんを考えると、多分次は無いわな。

 まあ、一応アットホームな部隊になったから悪いことばかりじゃないんやけど、いかんせん部隊長が変態もしくは性犯罪者予備軍という認識はどうにかしたいわ。マジで。

 

「……ここは私が百合女や性犯罪者予備軍というイメージ払拭のためにも、リインにショタ化してもらって乳繰り合うっていうのはどうやろ?」

「………………今度こそ社会的に息の根が止まると思うです。

 抱きつきたいならザフィーラにすれば良いと思うですよ」

「う~ん、ザフィーラは頼りがいはあるんやけど、癒しじゃリインに敵わんからな~」

「でもでも、ザフィーラの毛並みって凄く綺麗ですし、抱き付いて顔を埋めるとすごく気持ちいいですよ?心がほんわかするですよ?」

 

 …………「あかん。

 身振り手振りに加えて可愛すぎる笑顔が堪らんわ。

 家の末っ子はまじで天使すぎるわ。

 世の男共がロリコンとかペドとかに走る気持ちが分かるわ~。

 私がリインと赤の他人やったら攫って首輪に鎖付けて独り占めしてまうやろし」

「……性犯罪者予備軍だけじゃなくて性倒錯者にもなり始めてるですよ?」

「…………へ?

 も、もしかして…………口に出とった?」

「[あかん]、てところから口に出ていたです」

 

 …………リインの冷たい眼が心を抉るわ。

 いや、でもいつもと違うリインもこれはこれで良……って、本格的にヤバイ道に突っ込みそうやから話を進めた方が良さそうやな。

 

「まあ馬鹿話はこの辺にしといて、真面目な話に入るから、その胡乱な眼をやめてな?」

「馬鹿話というよりも冗談であってほしいですけど、いったいどんな話ですか?」

「(リインって地味に切り替え速いんよね)……うん、まあ、一言で言えば、〔このままじゃ仕事にならん〕、や」

「ですです。

 ここ最近機動六課と言うより謝罪屋本舗状態ですし、陸の殆どが六課に仕事を回すくらいなら自分たちで片付けなきゃ恥だ、って感じで頑張られてますから、本当に謝罪しかすることないのは辛いです」

「そうや。このままじゃ私等はクレーム……って言うか抗議に対するスキルばかりが磨かれて、お客様サービスセンターの対クレーマー課にでも転職する羽目になりそうや」

「ここ最近のロングアーチの皆さんの第一声はすみませんから始まるですから、本当にそうなりそうで笑えないですぅ」

「やな。

 で、それを打開するにはどうすれば良いんか考えたんやけど、…………その前にリインはカルラ医師のことをどれくらい知っとる?」

「ふぇ?カルラ医師についてですか?」

 

 些細な行動や表情も可愛いなあ~。

 …………リインがおらんかったら今頃ストレスでぶっ倒れて、これ幸いと陸どころか色んな所から叩かれまくって六課が解散しとるから、リインは六課の守護者やね。

 

「えっと、人体の賦活・矯正・整形を高次元で融合させて、人工進化と呼べるほどに人体を理想的な状態にすることの出来るお医者さんで、一番有名なのがリンカーコアの機能上昇で、管理局の人材不足を補充でなくて消耗率減少や強化という意味で解決に導くとされている、人体のスペシャリストって事くらいです」

「他に、カルラ医師の管理局や医師会での立ち居地や重要性とかはどれくらい分かる?」

「えと……医師会は分からないですけど、管理局じゃあ陸から准将待遇の一佐相当権限を保障されているですけど、あくまで委託という客員扱いですから民間人になってるって事ですから、事件とかに巻き込まないよう細心の注意を払わないといけないってことですね。

 他にはレジアス大将が保護者になってて、カルラ医師もレジアス大将が好きみたいですから陸以外に客員としてでも所属する気が無いって事くらいです」

「…………カルラ医師が具体的にどれくらい大切にされとるか分かるか?」

「う~~~ん…………ピンチになったら騎士ゼストが駆けつけるくらいにしか分からないです」

「………………」

 

 案外これが普通なんやろうし、リインみたいに准将待遇の一佐相当の命令権を持つって解っとれば普段はまず遭遇せんはずの将官以外は無礼や命令なんて立場上出来へんはずやから、普段やったらそれで構わんのやけど、…………ここははっきり教えといた方が良いやろな。

 

「…………リイン。認識がめっちゃ甘いからはっきり言うけどな、陸も海も六課の隊員が全員死ねばカルラ医師が助かるなら、躊躇わず死ねって命令するで。

 て言うか、SSS魔導師100人とカルラ医師でも、先見性を持ってればほぼ確実にカルラ医師を選択するで。

 

 そやから、たかだかS+の一尉程度の小娘がオフのカルラ医師を無限会話ループと冗談交じりとは言え威圧した挙句、殆ど無理矢理六課に連行するとかしたもんやから、お偉いさんはぶちキレとるわけよ。本気でな。

 いくらなのはちゃんがヴィヴィオの相手をさせるだけで危険な目にあわせる気は無かったって言うても、カルラ医師が言うたように怪しさ満点のヴィヴィオを抱えとる以上は襲撃の危険が常に付き纏うし、公開意見陳述会の日なんて危険度の桁が違うんやから、誰がどう見てもカルラ医師を最前線に拉致ったとしか思えんという訳や。

 しかも、カルラ医師が敵に攻撃されてでも稼いだ時間を相手の目的と簡単に予測出来たヴィヴィオを連れて逃げるということもせずに六課隊舎を護ろうとして失敗した挙句にヴィヴィオも攫われるし、トドメにカルラ医師を誰も助けようとしとらんかったもんやから、陸のお偉いさんは私等を物理的に消そうとするほどに大激怒したんや。

 

 ぶっちゃけスカリエッティが管理局を引っ掻き回さんかったら即日六課は取り潰されとったやろうし、スカリエッティを捕まえた奇跡の部隊とかいう箔が無ければ結局今頃取り潰されとったわけや。

 ようするに、今の私らは世間の管理局不信を和らげる都合の良い広告塔になっとるもんやから、辛うじて首の皮が繋がとるってだけなんや」

「…………………………」

「そら陸のお偉いさんが怒るのもしょうがないとは思うんよ。

 私らが危険な所に上官扱いになっとる民間人を拉致同然に連行した挙句、六課でもカルラ医師が解放されたがっとったのをヴィヴィオの面倒を見るだけだって言って無理矢理言うこときかせようとしてたなのはちゃんを微笑ましく見るだけで無視してもうたし、六課が襲われた時に民間人のカルラ医師が何処に居るか誰も確認せんかったし、カルラ医師に敵が集中していても誰も気付かん上に、ほぼ守りきれんのが判っとる戦力差なのに相手の目的のヴィヴィオを連れて逃げるよりも六課隊舎を守るっていう優先順位の間違いをしてもうたし、敵の襲撃が終わった時も誰もカルラ医師を気にかけんかったし、何とか私等が六課跡に戻った時ようやくカルラ医師に気付いて治療の出来る場所に運ぼうとヘリに乗せて運んだわけやけど、途中でゼスト二佐がヘリに乗り込んで当時の中将の命令としてヘリを徴発して目的地を私等が運ぼうとしてたところよりもっと上等な病院に変更させたいうのに、…………本局のお偉いさんが都合の良い部分だけ宣伝した結果、〔陸が護るはずのカルラ医師が護られることなく死に掛けていたのを逸早く私等が駆けつけて助けた〕、とか言うてもうたらそら怒るに決まっとるわ」

「……………………………………………………聞けば聞くほどとんでもない話ですぅ…………」

 

 とんでもない話どころか恥知らずな話やな。

 しかも私等の無能が原因なもんやから、勝手に本局のお偉いさんが捻じ曲げて伝えただけとは大きな声で言えんのも痛すぎるわ。

 おかげでロングアーチは文句も言えずに頭を下げるだけの毎日を過ごす破目に……。

 

「で、でもでも、はやてちゃんはなのはさんがカルラ医師を連れて来た時は既に六課に居なかったですから、はやてちゃんがここまで責められることは無いと思うですけど……」

「たしかに私は一足早く地上本部に行っとったし、私がそん時地上本部に居たいうんは簡単に証明できるんやけど、部下の不始末は上司の不始末なんよ。

 一応武装隊になのはちゃんの常識とかについて文句言うたり責任を回すことも出来んわけやないんやけど、他にも山ほど問題があるもんやから結局責任追及は避けられん以上、あんまり見苦しい上に何も変わらん真似はしとうないんよ」

「あうぅ…………」

「それとカルラ医師は医師会の寵児の中の寵児やから、カルラ医師に舐めた真似をしたら少なくともカルラ医師の所属する主流派は即座に敵に回るし、内科どころか産婦人科でもカルラ医師の理論や技術はかなり高い効果を挙げとるから、多分カルラ医師が本気で怒れば医師会全体が敵に回るで。

 まあ、今はカルラ医師が怒ったからやなくて、本局が医師会の主流派を真正面から虚仮にしたから飛び火してもうて、医師会どころか企業や政治のお偉いさんの多くを敵に回す事態になってもうたんやけどな。

 

 全く…………医者を敵に回すもんやないな。いやマジで」

「……………………自業自得の四面楚歌ですぅ」

 

 半泣きのリイン、マジ可愛すぎ。めっちゃ癒されるわ。

 て言うか、可愛い可愛い連発しとるけど、本当にリインが可愛いのもあるやろけど、ここまでアップダウンが激しいのは相当精神的に参っとるみたいやな。

 癒しが切れた時の脱力感とか半端ないし。

 

 ……っと、あかんあかん。本題を忘れるところやった

 

「うんで話は、〔仕事にならん〕、に戻るんやけど、ぶっちゃけこのままじゃみんな潰れてまうし、仮に六課解散まで耐え切ったとしても六課に居たいうだけで転属先じゃ村八分されかねん。主に名前や顔の売れとらんロングアーチは」

「…………ですぅ」

「そやけど、大元の原因のなのはちゃんは顔が売れに売れとる上に人気も凄いから表立ってそう叩かれることはないやろし、隊長陣全員高ランク魔導師やから、責任の収束する部隊長の私以外は多分そんな冷遇されることはないと思うんよ。

 とは言え、流石にそれは部隊を預かる長としては容認出来るもんやない。

 身内が問題起こして助かるのが身内だけとか最悪やん。

 

 そやから、責任者の私と元凶のなのはちゃんが出来る限り責任被って他のみんなに可能な限り迷惑が掛からんようにするつもりなんやけど、他に何か良い案あったりしたら言うてほしいんよ。

 ただ、さっき言うたけど現状は洒落にならん状態やから、半端なことは自分の首をノコギリで切り落とすのと同じやと踏まえた上で言うてな」

「…………………………お……思いつかないですぅ…………」

 

 無念そうに言うてくれるんは素直に嬉しいんやけど、流石に洒落にならん未来が見えてもうたなら泥を被るんが責任者の仕事やからなぁ。

 ……ナカジマ三佐やったら、〔部下を大事にするあまり民間人を護る局の利益を損なうんじゃない!〕、て言うて私が泥を被るのを非難するんやろうけど、その辺私はだめだめやな~。

 

 …………いざという時は死にに行かせる命令もしなきゃいけないからギンガを自分の所で預かるのをかなり嫌がっとったけど、結局、いざという時は何処に居ても起こるしその時以外は自分が泥を被って護れるからって理由で預かったのを酔っとる時に聞いたんやけど、…………こうして切り捨てるか泥を被らせるか自分が責任を取るかってなってみると…………どんだけ悩んでギンガを預かったかほんの少しだけど分かるわぁ……。

 

「それじゃあこの方針で動くことにするから、私となのはちゃんが直ぐに更迭されても構わんための準備と、後はなのはちゃんがヴィヴィオの身元引受人……と言うか保護者になれんごとなった時のため、フェイトちゃんが保護者になれるよう準備するで。

 そしてそれが終わり次第、お偉いさんに私となのはちゃんが責任を取るからこの事態に終止符を打ってもらうように陳情するから、後ひとがんばりや」

「わ、分かったです。……………………って、なのはさんやフェイトさんには伝えなくていいですか?」

「伝えてまえばどっちもモロに表情に出てヴィヴィオを心配させるし、言うても変わらんなら出来るだけヴィヴィオと楽しい思い出を作ってほしいから言わんとくわ」

「…………もしかしたらのもしかしたらで上手く事態が奇跡的に収まったりする可能性が無いとは言い切れないですから、その方がいいかもしれないです……」

「(そこまで言わんでもいい気がするんやけど)……まあそういうことやから、グリフィス君達に事態打開のための一手を打つからもうひとがんばりしてってだけ伝えてや。

 あと、私は更迭されても構わんように準備するから、リインは先にフェイトちゃんが保護者になれるよう準備して、終わったらこっちを手伝ってや」

「……了解したです」

 

 嫌だけどしょうがないといった感じで了解したんを見る限り、本当は全然納得しとらんみたいやなぁ。

 ま、それでもゴネない辺り、きちんと私の立場と考えを理解してくれてるんか思うと、めっちゃ救われるわ。

 ……自分を理解して支えてくれる存在が傍に居るんは、本当にありがたくて嬉しくて涙が出そうやわ。

 うん…………この件が終わったらクビになろうがなるまいがしばらく時間ができるやろから、その時はリインに構って構って可愛がりまくって大満足させてやろ。

 

 …………さて、それじゃあ最後になるかもしれんから、気合入れてがんばるとしよか!

 

 

 

 

 後日、最悪投獄されるかもしれんと思うて陳情したんやけど、殆ど全ての責任が医師会を虚仮にした海のお偉いさん達へと同じ海のお偉いさんが被せまくった結果、私もなのはちゃんも減給1年に1週間の独房勤務ていう、呆然とするくらい軽い処罰で済んだ。

 そしてこれとほとんど同じく公表された情報は、

 

〔海の一部のお偉いさんが陸の勢力を強化するカルラ医師を疎ましく思い、激戦地になるだろう六課へ移動させて事故死させようと画策。

 尤もらしい理由を付けて正式な辞令として強制連行するようにとある空尉に命令して六課へ強制連行させ、襲撃時にカルラ医師の現状に関する欺瞞情報を六課だけでなく陸にも流して欺くも、襲撃者が早期に目的を果たして撤退したため辛うじてカルラ医師は生き残ることができ、その後遅まきながらも欺瞞情報と気づいた陸と六課が急いでカルラ医師の救援へと向かい、一足先に到着した六課の隊長陣が急いでカルラ医師をヘリに収容して緊急搬送。

 陸が用意した通称要塞病院へカルラ医師を気遣いつつも全速力での搬送を開始し、最短進路上に残っていたガジェットを陸の部隊が掃討したため減速無しで病院に到着し、辛うじてカルラ医師は一命を取り留める。

 しかしそれでも諦めきれない海の一部のお偉いさんは、世論を煽って自分達の息の掛かった病院へと転院させる風潮を作り上げ、いざカルラ医師が転院する時に医療ミスや襲撃を起こして陸に全ての責任を擦り付ける腹積もりだったが、寸でのところで海の捜査官が気付いてそのお偉いさん達を喚問しようとするも逃亡。

 だが、通信履歴等を独自に調べた結果海の一部の上層部が怪しいと確信した陸が、レジアス大将の懐刀である騎士ゼストを最悪スカリエッティと繋がって残存戦力を保持している可能性がある本局へと赴かせ、暴走した海のお偉いさんを詐欺罪や殺人未遂罪や共謀罪やその他諸諸の理由で法廷への出頭及び身柄の引渡し請求させ、最悪、戦闘になった場合これを武力鎮圧した後に身柄の確保という命を受けていたが、逃亡中のお目当ての者と偶然遭遇し、逃亡を図るためか警告無しに物理設定の魔力弾を放たれたので容赦無く反撃して無力化して身柄を拘束。

 証拠が山の様に出てきたため、地位も名誉も財産も全て剥奪された上、最高評議会に呼応してスカリエッティを脅迫や虐待して精神疾患へと追い詰めたという余罪も付加され、スカリエッティを越える犯罪者として軌道拘置所へ収監される〕

 

という、凄まじすぎる内容やった。

 しかも、特殊メイクや変声魔法で既に極秘に捕まっとったお偉いさんに扮した人を使ってまで実際にあったかのようにして見せる念の入れようで、既婚者がおらんから子供の心配が無いと遠慮無く下衆を演出したみたいや。

 おかげで捕まったお偉いさんは家族や親戚からも見放され、仮に脱獄しても誰も頼れない上に利用価値も無いから裏社会でも生きていけないという、これ以上無いほど組織の生贄になってもうた。

 

 一応生贄になったんはどうしようもない下衆で、百害あって一利無しなんばかりやから同情はせんけど、本来私が背負うべき罪が消えてしもうたんは納得できんのやけど、欺瞞情報に踊らされた部隊長というの以外での責任を負えないのは分かっとるから、この苦いもんを一生消化できずに腹に抱えたままになることだけがこの件に対する不満やった。

 

 

 


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