運がいい人が飛ぶと……   作:空を飛びたいチキン野郎

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待たせたな! ちょっちウマ娘とか新章の解放されたFGOとか色々と重なって全く書けてなかったぜ!


第三話
ケイオスでの新たなる日常


 結論から言うと俺はカナメさんからの提案で俺はケイオスへと入社した……ってかするしか道がなかった。あの持ってきていた大量の書類は用意周到な事に俺が入社する際の契約書やら必要事項やらその他諸々だったようだ。準備いいですなぁ。いつの間にかいなくなっていたマキナとレイナを他所に俺はひたすらにその書類群と格闘、手首が痛くなるほどの量の書類を書く事となった。まぁ、契約書にちゃんと借金の利子が無くなる等の記載があったからよかったちゃよかったけど今考えると不自然なほどに手続きがトントンと進んでいったな……なんでだ? 

 

 

「契約完了です。ようこそ、ケイオスへ!」

 

「は、はいぃ…」

 

嬉しそうに話すカナメさんの横でこちらを見るマイクロン化しているはずのゼントランの艦長、体大きくて怖かったな……

 

「……」

 

 

 

 その後、事務的な手続きを終える俺だったけどその後にやった簡易的な試験の結果で俺の抱える問題が浮き彫りとなってしまった。それは……俺がワルキューレの事を、ヴァール化の事知らなすぎる事と重力下、特に大気層での空中戦闘を苦手にしている点だった。

 

 いやー、これはマジでみんなびっくりしてたなぁ。操縦適正を測る試験官にデルタ小隊の隊長さんが担当してたけど俺の結果に驚いてスルメ落っことしたぐらいには驚いてたな。

 

 ワルキューレに関する点は俺が銀河の辺境ばかり旅していたことが理由で情報を会得していなかった事に原因があるか学べば問題無いんだけど空戦に関すしてはひたすらに訓練するしかない。

その結果、扱いはデルタ小隊の臨時隊員って事になったけどハヤテの訓練に混じって候補生用訓練コースを受ける事に……ほんっと俺ってば宇宙じゃないとダメだなぁ。

 

「────で、あるからしてワルキューレとは日夜……と言っても政府からの要請があればですがヴァール化対策の対抗策として各所でライブ活動を行なっている訳です。ご理解頂けたでしょうかヒビキ中尉」

 

「なるほどね、理解する事を放棄した方が一番良いと理解した方がいい事を理解した。バジュラのインプラントを狙撃した方が簡単だったゾ」

 

「……普通そっちの方が難しいじゃないか?」

 

 馴れない手付きで一生懸命にケイオスが行なっているワクチンライブの内容を事細かく説明してくれるミラージュ少尉……って今は教官か。だけども俺はこれまで飯食って、宇宙でバルキリーかっ飛ばしそして牛乳飲んで寝る! ってな生活を8年間も繰り返し脳が退化してる為かS.M.S時代ほど内容を理解できず、ってか難しいことは理解する事を脳が放棄してしまった為に成績がくそったれ程に悪い。すまんな、ミラージュ少尉、俺が頭悪くて。

 

「っく! それにしてもインメルマン候補生は私の授業を受けるつもりがないのですね……いったい何処に行ったんだか」

 

「見た目から明らかに雑学嫌いそうでしたもんね、彼」

 

「ヒビキ中尉ももぉぉぉ少し、もぉぉぉぉぉ少しッ! 理解できるように頑張りましょう」

 

「お、おう。宇宙戦のコツ教えてあげるからごめんね」

 

 ハヤテはハヤテで飛ぶ以外の事が嫌いってか気乗りしないみたいで実習以外の項目はあらかたバックれる始末。流石に艦長が担当する柔道の授業もバックれるとは俺も予想外だったけどなぁ。マンツーマンタノシカッタヨー

 ヴァルキリーでの実習の時間もまぁ、最悪だったなぁ。

 

「おーちーるー!!」

 

【ヒビキ中尉! 機体を戻して!!】

 

【か、風に逆らって飛んでやがる】

 

 ハヤテの言う風に乗るって言う感覚が俺にはどうしても分からないので訓練用のVF-1EXに乗って訓練するけどAIサポートがないとまともに飛べないのだ。……コレで本日墜落回数通算44回目だよとほほほぉ~。

 何度も何度も機体の高度は下がりに下がり海面へとダイブしかけたの所でAIサポートが機能、機体を起こしてくれるけどもっと早くに機能してくれませんかね? 

 

「あぁ~、また墜落したぁ」

 

【中尉、無事ですか!】

 

「無事だけどやっぱり馴れない機体だとキッツイね。早く俺の愛機で宇宙を飛びたいよ、まったく」

 

【アンノウンを退けるほどの腕があるのに重力下での飛行技術は壊滅的‥‥‥‥よくあの時生き残れましたね】

 

【そういばヒビキの機体にあったシミュレーターって宇宙用のモノしかなかったよな】

 

「っこの、言う事を聞け、VF-1……ん? 二人とも何か言ったかい?」

 

【い、いいえ何も】

 

【な、何でもないぜ、続きを早くやろう】

 

「?」

 

 二人が何を話してたか運悪く聞き取れなかったけど、ホントこの機体素直すぎる。

 YFー29の時は随分昔に組んだサポート用プログラムが悪さして操縦に難ありな癖があってそれを前提に操縦していたから何とかなってたけど訓練用のVF-1は癖が無くて逆に扱いにくいほど操縦性が素直だ。癖のある機体にしか乗って来なかった俺にとっては相性最悪。だからこそ重力下での訓練は俺の愛機を使いたかったんだけども……俺の愛機は──

 

 

「ごめーん! あんまりにもボロボロだったからオーバーホールに出しちゃったテヘペロ」

 

「整備、大事、ボロボロ、危険」

 

「──……マージか」

 

 

―――現在ケイオスの総本山で整備中らしく手元にないです、はい。まぁ、何年も乗り回してあっちこっちガタが来てたのは知ってたけどまさかオーバーホールするほどだったなんて……運がよかったって事だよなぁ。そんなこったで俺の愛機は取られた状態、だから乗れる機体も必然的にVFー1EXになるわけども‥‥‥‥正直愛機と離れ離れなのはキッツイですよぉ。

 

 訓練が終わり、夜になると俺達は下宿先へと帰る。そこはフロンティアで見た事のあるような気がする店、ラグにゃんにゃん。同じ小隊の仲間であるチャックさんの家兼店兼男子寮らしく、食べに来たお客さんでいっぱいな人気の店。出される料理も美味しくてチャックさんの兄弟たちがエントランスを務め愛想も良く、サービスも良い。極端に言うと凄くいい店って事だ。大体夕ご飯時になると小隊皆やワルキューレのメンバーも揃ってこの店に集まり、食事するけど……ある意味俺にとっては試練の時間とも呼べる時間となるかもしれない。

 

「いいから、生のクラゲ、食べて」

 

「俺は生のクラゲは食べないってば!」

 

「だったらこの姿焼きを──」

 

「フェイスハガー!?」

 

 右からはレイナから生のクラゲって言う地元の人でも珍味と呼ばれる料理を押し付けられ、左からはニコニコとした顔でどっかの映画で見た事のある顔面に引っ付きそうな生き物の姿焼きを進めてくるマキナ……地獄かな? 

 

「にしし、ヒビキさんモテモテやんね」

 

 そしてそれを笑いながらアプジューを啜るフレイアちゃんって──

 

「あ、フレイアちゃんだけズルいぞ! すいませーん! 俺にもアプジューくださいッ」

 

「あいよ、アップルジュース追加!」

 

「アップルジュースな」

 

そんなこんながケイオスに入社してからの日常。まぁ、なんやかんやとトラブルにも遭いながらも元気にやってますとも。

 

 

 

「ハァ……此処は居心地がいいなぁ」

 

皆が寝静まった月夜、俺は1人海辺を歩いていた。こんな綺麗な場所久しぶりだ、最後に見たのはフロンティアでの環境艦以来だろうか。

皆とどんちゃん騒ぎの夕食を終えた後、自身の家へと俺を連れ去ろうとするレイナとマキナを無理矢理追い出し男子寮であるラグにゃんにゃんが俺の塒になった。ルームメイトのハヤテは相変わらずいい奴だしデルタ小隊兼ラグにゃんにゃん店主のチャックは陽気な面白い奴、チャックの兄弟の三人は悪ガキだけど兄に似ていいラグナ人だ。携帯の強制契約については後でチャックに鉄拳制裁を行ってもらう必要があるが。

それで最後の1人であるメッサ―さんだが……あの人、すっげぇ愛想悪いけど良い人のようだ。まだ短い時間しか一緒にいないから細かくは分からないけど一緒に飛んで分かった。どんなに無茶な飛び方をしてもさりげなくフォローできる位置で何時もスタンバっている。何かあっても一目散に駆け付けられるような飛び方だ。だから彼は素直じゃないだけで仲間思いのいい奴。でもなぁ~彼のあの飛び方、どっかの宇宙(そら)で見た事があるんだよなぁ?

 

 まぁそんな生活をしていて俺はもちろん楽しい。いつも1人で宇宙を飛び回り、運が悪い出来事に出会っては運が良い事にそれを回避し続けた生活を送って来た俺にとっては想像も出来ない生活だ。まるでフロンティアで生活していた頃に戻ったかのよう――――でも、俺にとってはちょっとキツイ生活だ。

俺は1人でいた時間が長すぎたようで集団生活がちょっぴり苦痛。

 

「――――……1人でいた時間が長すぎたかな?」

 

酒を持ち、何もない砂浜に腰を下ろす。綺麗な海をツマミに久しぶりに酒を煽った。ラグナの酒は塩っ辛いなぁ。酒を飲む機会が少なかった影響かちょっぴり口に苦みが残るけれどこの考えを取っ払うには酒の力を使う方がちょうどいい。

 

 疎外感って言うのだろうか。多くの人に囲まれ、一緒に過ごしていても何処か俺だけが仲間外れになっているのようにも感じている。レイナやマキナ、そしてハヤテやミラージュ教官と一緒に学び話していても――――言葉に表せない何かを感じるんだ。辛いって訳でもない、けど何だか寂しい気

持ちになる。これまでなかった感情だけど何でこんな事になったんだか……

 

「ハァ……何だかなぁ」

 

海風が俺の貯め息を優しく消し流し、波の揺れる音が木霊して綺麗な音色を奏で俺を癒してくれる。ほんっと今夜は夜空が綺麗なぁ。

酒を煽り、気持ちよく過ごしていると――――

 

「―――――」

 

音色が聞こえる。波の音に紛れて綺麗な音色――――と言うか歌が静寂に包まれている夜に響いて何と言うか良い雰囲気だ。どこから聞こえるんだろうか?

何となく聞き覚えのある歌に釣られ酒を片手に足を運ぶ。砂浜を歩いて行くとそこにはまるで月の光がスポットライトのように照らし出され、幻想的な雰囲気の中で歌う綺麗な女がいた。

 

「――――」

 

美雲さんは歌っている。綺麗な紫色の髪を風に靡かせ、紫色のドレスに身を包みその姿はまるで妖精のよう。だけどもその姿に俺は何処か見覚えがあり、過去に何度か会ったような――――確か名前は美雲さん……だっけかな?

 

「――――……綺麗だ」

 

正直その姿に俺は見惚れてた、そして何故か安心感も。なんでだろう、これまで女性に見惚れる事はあっても安心感なんて感じる事は無かったのに。

近くの岩場に腰を下ろした俺は酒を一口。綺麗な景色をツマミにするのもいいけれど綺麗な女性をツマミにするのも良いな。

そうやって酒を煽っているとこっちに気付いたのかこちらへ振り返る。おっと、コレは謝った方がよさげかな?

 

「すまないね、綺麗な歌声が聞こえていたもんだから勝手に酒のツマミに―――「苦手なお酒に頼るだなんて、何かあったのかしら? ヒビキ シデン」―――お、おう」

 

確かにそうだよな。忘れる為とは言え、苦手な酒を態々飲む必要は――――って。

 

「何で俺が酒嫌いって事知ってるんだ? それに名前――――」

 

俺の質問の返答は魅力的な笑顔のみ。その笑みはとても綺麗で俺の疑問もスルッと抜け落ち――――って違う! っく、美人は存在してるだけで優れているってミシェルが言ってたけど本当なんだな。すまんミシェル、その当時否定してしまって……後で詫びに過去付き合っていた女の子の詳細、俺が知っているの全部奥さんに送るから許してくれ。

 

酒を一先ず飲むのを辞め、俺は立ち上がって彼女の元へ。しっかし見れば見るほど美人だな、フレイアちゃんが言っていたミステリアスレディーってのも納得だ。

 

「あら、質問に対する答えがもらえないから怒ったのかしら?」

 

「いや、これまで誰にも話した事のない事を知っているのかなぁ~って考えてただけなんだけど」

 

「へぇー」

 

「な、なんですか」

 

突如としてドアップされる美人。まるでキスすかのようなギリギリの距離に顔を近づける美雲さんの瞳は綺麗に輝いていた。

っち、近いってか良い匂いがしてある意味ツライ。マキナとレイナで美人局の人からの顔面ドアップは馴れてるつもりだったけどコレは――――キツイ。

 

「近い、近すぎまっせ美雲さん!」

 

咄嗟に顔を離すと「初心なのね」なぁーんて言いやがるが仕方ねぇだろ、俺ってば見惚れたタイプの美人さんには弱いんだから。

 

「なんでそんなに顔が近いんですかねぇ……」

 

「てっきり眼つきが鋭い事から怒っているのだと思ってたんだけど気のせいみたいね」

 

「いや、これは生まれつきなんだけど」

 

人が悩んでいる事について軽々しく言いやがるぜ。あれかな? この人はシェリルよりもフリーダムで自由過ぎる人なのかな?

 

「ハァ……また変なのに絡まれちまったぜ」

 

「変なのとは失礼な人ね」

 

ブスっと怒っているようにこの人の雰囲気に反してアピールしてくるけど俺にギャップ萌えは聞かん! ギャップ萌えの耐性ならシェリルとアルトとの間柄を取り持った経験からとっくに馴れているからな!

 

「生憎と貴方みたいな人の扱いには馴れてるんでね」

 

「へぇ、過去に私みたいな人と――――ふん~」

 

お、怒ってるのかな? 突然の変化に俺は付いて行けず呆然とする限り。と、とりあえず今度こそ謝った方が良いのかな?

 

「ご、ごめんなさい?」

 

「……」

 

謝るけどブスっとした雰囲気は変わらず。苦笑いしか浮かべる事が出来ない俺に何か納得したどうしたのかは分からないけど吐息を一つ吐くと手を差し出した。な、何だ?

 

「許してほしかったら私と一曲踊ること、良いわね?」

 

いや、いきなり一曲と言われましてもその展開に付いて行けないですけど。

 

「えっと……」

 

「ハァ、貴方の事だから音楽がないと踊れないって言いたいんだろうけどその点私に抜かりはないわ」

 

困惑していたら彼女は後ろへ数歩下がり、カチリと音がした途端音楽が流れだす。音源へと目を向けるとそれは今の時代まず見る事はないカセット式のレコーダー。そのレコーダーからはまるで社交界で流れるようなゆったりとした音楽が流れている。聞き覚えがある曲なんだけど一体何処で聞いたかな……思い出せねぇ。

 

「これで文句はないわよね」

 

「ま、まぁ」

 

俺はその手を取り彼女の腰へと腕を回す。俺ってば()()()()()()社交ダンスぐらいの踊りぐらいならフロンティアの時、習って知ってるからな。

 

「それでは一曲」

 

「えぇ、最高な一時にしましょう」

 

ゆっくりと踏み出しながらも体を揺らし、音楽へ体を浸すかのようにリズムに体を合わせる。彼女もその動きに合わせてくれているみたいでかなり踊りやすい。ってか何で俺ってばこの人と踊ってんだろ?

 

「―――楽しいわね」

 

「えぇまぁ、それなりに」

 

月夜の照らす夜。音楽が終わり海風と波の潺が静寂を支配する中、俺達はその音さえBGMとし踊り続けていたのだった―――




マクロス40周年、おめんとぉぉぉお!
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