運がいい人が飛ぶと…… 作:空を飛びたいチキン野郎
青く広がったこの大空を高速で飛行する二機の機体。方やメッサ―操る黒いVFー31Fとライトグリーンのカラーが入ったたヒビキ操るVFー31VV。両者の機体は高度と速度を更に上げていき、雲を引いて天高く舞う。二機の機体はピッタリとまるでくっ付いているかのように全く同じ動きを繰り出してい両者ともまるで相手を振り払うかのような軌道を見せた。シャンデルと言う斜めに上方宙返りし速度を高度に変える軌道と取り続け上へ上へと高度を上げ、弾かれたかのように両者は別々の方向へと飛んで行く。そのまま機首を回頭させヘッドオンの形になると速度を更に上げ、真っすぐに進みそして────機体を直前でロールさせ、互いにすれ違った。まさに神業、一瞬でもロールするタイミングをズレれば衝突する事は不可避だっただろう軌道。両者はそんな
※※※
メッサーvs俺の戦いが始まると思った? 残念、それは幻覚だ。
【デルタ6! 何故俺に付いて来る、慣らし運転なら他所でやれと先ほど言ったばかりだろう!】
「うっせぞデルタ2、こっちはまだ仕様書読み終わってねぇんだ。そんな事知るか!」
こっちはつい数分前にこの機体の仕様書渡されたある意味初心者ぞ、説明書をボロボロになるまで読みつくして飛ぶタイプの俺がそんなストーカー紛いのドックファイトするかッ!
「それに俺はまだ操縦桿握ってねぇ。ホンット言いがかりも良い所だぜ。なぁだよなリンゴちゃん」
【ソノトオリ、ソノトオリ】
正面メインモニターに映り、電子ボイスと共にキュートに踊るプリチーなデフォルメされたリンゴのキャラクター。彼女の名はリンゴちゃん。この仕様書によるとレイナが組んでくれた操縦アシスト用AI────らしい。詳しくはまだ分からないけど流石レイナだぜ、俺の苦手な重力下での操縦に対して完璧なサポートしてくれる機能を用意してくれるなんて、そこに痺れるあこが──―
【オイ、一体誰と──―【惚れた?】】
「いや、惚れてないから突然通信に割り込んで来ないでくれ」
レイナは心が読めるのかな? まぁいいや、そんな事よりハヤテ達の戦いが終わる前にこの説明書紛いの物を読み込んでおかないと。
えっとまずこの機体はロマンを追求する為、BDIの発展型が搭載されている為に火器管制から機体の操縦に到るまで脳波での完全コントロールが可能です。
Ps.電ッチ用の調整がされてるから火器管制だけにしといたよ、よかったね!
byマキナ
「……ふむ、目が悪くなったようだ」
思わずバイザーを上げて目をごしごし。ふむ、マキナの落書きは目がオカシクなったわけではなかったのか。何でわざわざ発展型を搭載してるのにデチューンしてるんですかね? コレガワカラナイ。
【デルタ6! だから何故俺と同じ軌道を────】
メッサーからの通信をBGMに説明書を読んでたけど流石にうるさくなって来たので電源off。静粛って素晴らしいよね。
とりあえずBDIに関しては大量の武装を考えるだけで選択できる機能とポジティブに考えるしかないな。無駄に沢山オプション装備とかあるっぽいし。
そのままペラペラと基本的な操作手段は知ってるので飛ばしこの機体特有の装備関する説明のページへと辿り着く────けど何だこりゃ?
文章の中は何処もかしこも黒線で消され、数値に関してはほぼ全て消されてる。唯一完璧に読み取れるのはマキナと思わしき筆跡で書かれた手書きの説明ばっかり、オイオイコレじゃ説明書の意味がねぇじゃねぇか。それもその文字はご丁寧にピンクに光るペンか何かで書かれてるみたいで若干見にい。
見辛い文字を解読しながらページをめくっていくと文字の色が変わった。りんごちゃんに関する場所は緑か……つまりレイナか?
戦闘支援用AI通称、リンゴちゃん。
重力下での飛行の苦手なパイロット用に開発された支援用AI。シャロンアップルのプログラムを基礎としたバイオニューロチップを盗用、されている為に高度な操縦支援が可能。
どんな低レベルなパイロットであってもエース級の腕を持たせることが出来る。なお、戦闘軌道に関してはパイロットの負担を考えないモノとする。
……ファ!?
え、何。あのシャロンアップルがこの機体の支援用AIとして積まれてんの!? やべぇじゃん。明らかに非合法じゃん。確か国際条約か何かでシャロンアップルのプログラムは封印指定されてたはずでバイオニューロチップなんて今の時代、あんな大ごとになった影響でブラックマーケットでよく部品探しをしていたこの俺でも2、3度しかお目にかかれてない非合法中の非合法な物だぞ。なんでそんなものが──―
────なお、今AIはレイナ・プラウラー及びヒビキ・シデンの合同作品である。
「────」
無言で電源を落とし機体のスピードを極限まで下げ、窓の外へとジャスウトウェーイッ! 端末は海の塵になったのであった。ナムサンッ!
俺は何も見ていないし何も心辺りも無い、良いね? 決して過去に起こった不運の結果、厳重に保管されているはずのシャロンアップルのプログラムデータの完璧なコピー品を手に入れた事があった事を思い出してもないゾ。
【ゲンジツトウヒ! ゲンジツトウヒ!】
「うっせやい!」
操縦桿を握って機体の操縦兼を曰く付きリンゴから俺へと移す。アイハブコントロール!
【ユア・コントロール。操縦桿をパイロットへ譲渡します】
自動操縦の機能かメッサーの真横を飛んでいた機体をロールさせぐるりと旋回行動。軌道に入ったはいいけど──ーなんかうるさくね?
【デルタ6! 何故通信を切ったッ!!】
うぉ!? ビックリした。突然のメインモニターに映るはメッサーのドアップ顔。奴め、強制的に通信を繋げて来やがったぜ。
「機械トラブルでーす」
【嘘をつくな!】
「ウソジャナイヨー」
実際説明書を投げ捨てて残りの機能が解らないから間違ってスイッチ切っちゃったんだろうな。うん、そうに違いない。意図的に電源を切った記憶は忘却の彼方なのでオレハシラナイヨー。
【通信を切った事に関してはこの際どうでもいい、さっさとそのうるさい音を止めろ!】
音楽だぁ?
耳を澄ませど聞こえるのはエンジン音と風切り音のみ。あとは外から聞こえる何か煩い音のみ。まさかコレか?
ファイターモードからガウォークモードへと機体を変形させてその場で停止。確認のためにキャノピーを上げてみると驚きビックリ、何と外部スピーカーから爆音が鳴りまくってるではありませぬか。 てか、ウルセェ!
「ヘイ・りんごちゃん。何で爆音ボイスが流れてやがるんだ?」
【現在恋! ハレイションTHE WAR~album version~を再生中、再生中】
あ、なるほど。アルシャハルで聞いた曲と同じ曲なのね、俺勉強したからワルキューレの曲は大体覚えたんだぁ。アレハジゴクダッタヨ。
まぁそれはともかく道理で聞き覚えのある爆音ソングだと────……ってそんな事は聞いちゃいねぇんだよこっちは!
「今すぐ再生停止しろ。何で音楽が垂れ流しになったんだかまったく」
絶対整備不良とか何かだ。帰ったら二人をとっちめて治さないと。そんな事を考えてたら今度は緊急事態を告げる警告音が流れ始めやがった。今度は何だ!
【警告、システムダウンの可能性アリ。直ちに現在行っている操作を中止してください】
……ファ!?
何で音楽止めようとするとシステムダウンが起こるんですか!
素早くメンテナンス用プログラムを立ち上げ、キーボード片手に手動でシステムチェックを開始するけど────何じゃこりゃ。
【デルタ6早く音を止めろ! 通信にも音が割り込んで来て煩いッ】
「デルタ2いや、それがですね。止めれねぇーですわ」
【どう言う事だ?】
うん、メッサーがそう聞くのも仕方ないと思うよ。でもね、これは仕方ない事だと思うんだ。だって────
「
【つまり?】
「音楽止めるとこの機体墜落しますね」
【────】
通信越しでも分かるメッサーの唖然としている顔。そりゃ誰だってそうなるわな。俺だって知った途端にマヌケ頭晒したたと思うから。
てか誰だよこんな無茶苦茶なプログラム書いた奴。俺でもこんなグチャグチャには組まないぞ……いや、ちょっと待てよ。この記号の配置方法、遠回しでありながら意味のないタスクを挟んで動くプログラムどこかで見覚えが────あ。
「レイナにマキナ聞きたい事があるんだが今いいか?」
【もちろんだよ電ッチ、何でも聞いて!】
【ちょうど今休憩中でハヤテがダンス踊ってるのを皆んなで見てるんだけどどうかしたの?】
通信越しに呼び出すは今回の事象について詳しく知ってそうなお二人さん。あとハヤテがダンスしてるって……どう飛んでたらドッグファイト中にそんな事になるんだよ。
「ハヤテのダンスに関してはめちゃくちゃに気になるがそれは置いておいて二人に質問です」
【何々? 私のスリーサイズ? それはね────【マキナそれは違うと思う、きっとお兄さんは生クラゲの美味しさを直接きき────】
「この機体のOS、何使った?」
俺の一言によって突如として静粛が訪れる。
「知っての通り俺はマキナの親父さんのお陰である程度はプログラムを読み取れて組むことが出来る」
【────ゴクリ】【────ジュルリ】
息を飲む音と涎を垂らす音が通信機からは響く────レイナはお腹空いてるんだろけどもうちょいの間真面目になってくれ。
「だから今回の不具合に関して知るために機体のメンテナンスモードを起動してどう言うプログラムが動いているのか確認してるだが────何で昔二人に渡した古いOSが混ざったキメラより酷いシロモノが搭載されてんだ?」
突然だが俺は知っての通り二人とは彼女達が幼い頃からの仲だ。
二人はレイナは生きる為に、マキナは親の影響で幼い頃からと理由こそ違うものの機械イジリやプログラムをイジルのが得意で好きだった。それを知っていた俺は我ながらに年頃の女の子にそれは無いと思うが二人に良かれと思い、よく旅先などで偶然手に入れた珍しい機械やレアな部品なんかを喜ぶと思い二人へとプレゼントしていた。そして今回問題となっているプログラムもその内の一つだ。
物自体は試験中に大破して最終的にはデータを削除されて廃棄され、ブラックマーケットに流れて来たYF-19のブラックボックスに入っていた消去済みだったプログラムだ。手に入れた当初、俺はYF-19のプログラムとは知らずに消去されていたプログラムを復元して二人へと渡したんだが────それがキッカケにあんな事件に巻き込まれるとは思っても見なかったよ。オオキイガゾクガフエタヨヤッター。
話は戻してその問題のプログラムはただそのまま渡しただけでは無く、彼女達の成長と目標を持って欲しかったのもあって課題を付けた。
レイナにはプログラミングが得意だったから故意にプログラムの重要な部分を抜き取り、不完全な状態で渡した。コレを動く状態に復元する課題を一緒に。
マキナには俺の師匠的な存在であるマキナのお父さんが一緒にいるので難易度をさらに上げ、プログラムを無茶苦茶であるがギリギリ飛べない無い事もないほどの極端な調整を施した状態の物を渡しこの状態で飛べる機体を作る事を課題としていた。
結果を言うと結局二人ともその課題は達成する事ができず、俺も今の今まで忘れたたんだけど何でこの機体にそれが搭載されてるんだ?
そう思いながら画面に映る沈んだ二人の顔を見ていると。
【フフフ、サプライズ】【大・成・功‼︎】
パシンッ! と通信機越しに音が響きこれが二人が用意した事だと悟った。マジかよ。
【数年越しだけどお兄さんの課題道理にあのプログラムを修復したよ、ただ――】【私に渡された物をレイレイが組み合わせて一つにしてそれに合う機体を用意したから完璧には達成できてないけどね♪】
だからってこの機体でやる必要なくない? 確かに当時の二人の年齢を考えるに難しい事は分かってたしその課題を達成できたことは俺も嬉しい事だけど今やるか今。それに確かに課題としては及第点だけどオート操縦からマニュアルに戻した途端、爆音ソングがたれ垂れ流しになるのは駄目だと思うぞ。
「……帰ったら久しぶりに二人共説教するから楽しみにしてろ」
抗議の声が聞こえるが知るもんか、人をテストもしてない物を積んだ機体に乗せるだなんて説教で済んでありがたいと思いな。
二人への通信を切ってメッサーへと通信を繋げる。えぇーテステス。
【……まだ音は続いてるようだが?】
「とりあえずは今回はこのままで」
【機嫌が悪そうだが何かあったのか?】
「昔用意した課題がシッぺ返しとして戻って来ただけだから問題ない。それに開始までの時間も近いしそろそろ指定ポイントへ向かおうか」
【…これが終わったら一杯奢ろう】
「すまねぇ」
スロットルを傾けエンジン出力を上げ機体のスピードを上げる。俺の爆音ソングを垂れ流し戦闘機は幸運な事に不具合を抱えながら正常に空を飛ぶのであった。