運がいい人が飛ぶと…… 作:空を飛びたいチキン野郎
あの騒がしくも楽しかった宴会から夜を跨いで次の日、俺は────全力で走っていた。
キャー遅刻よ! 大事な日の朝に遅刻ヨ、遅刻ヨ、大遅刻ヨぅぅぅ!
朝起きて、時間確認、目覚まし壊れてて大誤算。気付かずに、二度寝かましてハイ大変。そんな感じの事があり俺は今走っていた。
「はぁはぁはぁ、絶対に昨日暴れたミラージュが原因だろこれぇぇぇぇ!」
いくら酔っ払っていたとは言え何で夜中に俺の部屋に突撃してくんだよあの人! 俺にフェイスハガーそっくりな姿焼き食わせるんダァーとか言いながら来やがって……その影響で姿焼きを作ったチャックと俺の部屋は無茶苦茶だよ。
朝から冷や汗を出しながら走る俺の姿をまるで嘲笑うかの如く朝日は燦々と輝いて見えたのだった。
※
「ま、間に合った……なんとか時間内に間に合ったぁ」
朝早く集合時間ギリギリで集合場所へ滑り込んだ俺はそこで待っていた事情を知っているアラドさんから同情の言葉を、先に突着していて尚且つ今回の最大の被害者である放心状態のチャックから同情の視線をもらいつつ席に付いた。ふぅ、ちゅかれたぁ。
「遅かったじゃないかヒビキ、何かあったのか?」
隣の席に座ってるハヤテからそんな言葉を受けるがいや、オカシイ。ハヤテは俺と同じ寮だっただろ? 何であの騒ぎを知らない、そして何で俺を起こしに来ないんだ! 思わずその長い前髪をパッツンカットしてやろうかとも思ったが今の俺は朝からの全力疾走で疲れている、その無駄にキューティクルの整った綺麗な髪をクルクルパーマに巻くだけ許してやろう。
「ちょっと昨晩トラブってな……」
「あぁなるほど、だからチャックがあんなに朝から死んでるのか……ヒビキがトラブるって言う時は決まって必ず女絡みの事件だから……」
っく、言い返したいがぐうの音も出ないほどに当たってて何も言えねぇ。
「で、今回の相手は誰だ? マキナか? レイナか? ……もしかしてフレ「ミラージュ少尉だ。ついで言うと今回は酔って部屋に押しかけて来たのが発端だから俺は悪くねぇ」あぁ納得、だからアイツ珍しく遅刻しかかってるのか……じゃあメッサ―は何処に──―」
ニヤニヤとニヤついた表情のハヤテのパーマ巻が完了して道具を片付け始めたタイミングに凄い音をたてながらミラージュ少尉が登場した。
髪はボサボサ、お肌荒れ荒れの完全寝起きの酷い状態から見て相当急いで来たのが分かる。よかった、顔はかなり青ざめてるけど二日酔いとかはなってないみたいだ。
「す、すいません遅れました」
「チャックから事情は聴いてる。酒は飲んでも飲まれるな、だぞ」
「は、はい!」
ビッシっとお馴染みの綺麗な敬礼をしてる少尉……何でこうなったんだか。教官をしていてハヤテにプライドをズタボロにされる頃はただの真面目ちゃんな子だったのに……
「……何で変わっちまったんだろうな、ミラージュ少尉」
「こ、コイツッ自分が変えた事を認知してないのか!?」
え? 何て? 丁度チャックがトラウマスイッチ刺激されてパニックった声で聞き取れなかった。ってかマジでミラージュ少尉、チャックに何やったんだよ。
ミラージュ少尉も到着して殆ど準備万端。メッサ―以外揃ったタイミングでアラドさんの説明が始まる────―
「す、すいません隊長、遅れました……」
────前にメッサーが来た。ってか、お前が二日酔い食らってるのかよ。
あ、そうそう。今回小隊メンバーが集まった理由なんだがまぁ端的に言えば作戦の確認の為……かな?
元々デルタ小隊ってのはライブ中のワルキューレの護衛を兼任したアクロバット飛行を行う部隊だ。そんでもって彼女らを守る為に専用の作戦もいる訳でパイロットである俺達はその作戦の最終打ち合わせをするために彼女達より先に集まる必要があるのだ。
「今回は当初の予定通りアクロバット飛行を行う。各員、飛行計画を頭に叩き込んできたか?」
「当然だぜ」
「はい」
「もちろんです」
「で、でかるちゃぁ」
「……?」
俺ってばそんなの教えられてないんだけど……あ、何だか嫌な予感して来た。そんな俺の予感も他所にアラドさんの説明は続き具体的な飛行プランへと移るが……俺のコールサインは何処にも書いてない。コレはアレか? デビューと称しての裏方メインの回かな?
「俺を含めたデルタ1から5の軌道はそんなとこだ……それでデルタ6、ヒビキの役割なんだが──―」
お、やっと俺の名前が出た! 一体どんな事をさせられて────
「──―今回はワルキューレと共にステージに立ってもらう事になった……最初に謝っておく、すまなかった」
……ん? 一体それはどういう事? 思わず固まってしまったのが悪かったのだろう。
「それは」 「私達が!」
何だか聞き覚えのある二人の声が聞えた途端、天井が開き誰かが降ってくる。その姿は極めて見覚えのある緑とピンクでまたかと正直呆れて抵抗する気も起こらずあっさりと簡単に両端を拘束されてしまった。
「「説明するよ!」」
まぁ要するに二人の突然の奇襲に対応できなかったって事ですね。ってか天井から降って来るってどういう事だよッ!
「……ハヤテ、二人が降って来た途端素早く移動していたけどこの事について知ってたな?」
「……俺は知らなかったぞ」
なら何故全力で顔を逸らす。ってか二人して何で何時も普通に登場出来ないのさ!
「フフフ、それはお兄さんに新鮮なドッキリを仕掛けて飽きさせない為」
うん~、何でこの子はごく当然に俺の心読んでるのかな???
その後レイナとマキナと比べ普通に美雲さんにカナメさん、そして我らが笑顔の女神フレイアちゃんがこの会議室へ入室し、カナメさんがアラドさんの引継ぎをすると説明が続いた。
「シデンさんには今回ステージ、演出の一つとして一緒にステージに立ってほしいの」
「???」
俺ってば今回パイロットとして呼ばれたんだよね? 何でバルキリーに乗ってステージに立つ必要性が???
そんな疑問を抱きつつもカナメさんからの詳しい説明を受けてた。それでわかったのは最近趣味で機体に最近乗せた結果、バグの影響で降ろせなくなった装備の一つが関係しているのだとわかる。なるほどな、あれを使うなら展開しても個々の通信範囲が狭すぎて中継器である俺の機体が近くに居なければならないのは必須。だとしたらステージにヴァルキリーごと上がるしかないか……でも何でだ? 何であんな試作品、使う必要が出てきたんだろ。それに────
「確かアレってジグナスの試作品の一つですよね? ならちょちょいと弄って既存のシステムで対応しないんですか?」
「もしもって事があるでしょ? きっと今回ライブでもその最中にこの前来たようなアンノウン達はやって来ると思うの。それに見た事もないバルキリーを使ってる事から相手の戦力は未知数で多分だけど今度はジグナスに対応して無効化してくるかもしれない。だからそんな有事の際に備えるのが良いと思ってその試作品をそのまま使おうと思った訳。それにこれは美雲の案なのよ?」
「ちょ!」
へぇー、それは意外だ。彼女がそんな事言うだなんて意外だなぁ……それどころか俺を認識していたのか。てっきり彼女からは避けられてるものだと思ってたよだって証拠にほら、今だってこっちをジーっと見つめって言うより睨みつけて来て……うぅ、怖い。
「それにお兄さん大気圏飛行無理」
「ッぐホッ!」
レイナ、いきなりそんな酷い事言わなくても……この一か月、専用機での訓練で多少マシに──―
「ド下手」
「ヒでぶぅッ!」
ま、マシに────
「駄目駄目のダメ」
「ゴッハ」
マシになってないデス。
「アハハごめんね」
思わず膝を付いて倒れる俺に対してカナメさんは一言。
「っていう事なの。なんか……ごめんね?」
こちらこそこのような駄目駄目なパイロットでごめんなさいね。
そんなこったで説明が続き、作戦のすり合わせが終わると俺達はアイテールへと乗り込む。さぁって初めての遠征だ、気張って行こう。
美雲が相談するとしたら誰?
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ハヤテ&フレイア
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カナメ
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マキナ&レイナ
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ヤベー奴(ヒビキ本人)
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アラド&ミラージュ+メッサー