運がいい人が飛ぶと……   作:空を飛びたいチキン野郎

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第一話
迷いと衝撃的なファーストコンタクト


「やっぺぇ……地図の見方間違えた」

 

俺は現在、絶賛迷子となってしまっている。俺は従来前世から電子の地図があまり好きではなく、今となっては珍しい紙の地図を使って旅してるんだけど……度々地図の読み方を間違うんだよね……こう、国とか惑星によって地図の書き方が違うから。

 

「ここはどこ~、俺は~何処へいく~」

 

多分再開発地域だと思うけどってプリンうめぇ! デカルチャー・プリンうまー! 

 

「うま!うま!」

 

プリンを片手に先の分からぬ道を進んでいく俺。空を見たら既に日は傾き夕日が見えなくなっていく。

 

「プリンは美味く、道は分からぬ」

 

そろそろ早くホテルに戻りたいなぁ~なんて考え始めた頃。どこからともなく声が聞こえて来た。

 

「きゃぁぁあああああ!」

 

まぁ、声は声でも悲鳴の声なんだけど。

 

パイロットスーツの上に羽織っているジャケットを翻し俺は声の元へと走った。やっぺ、やっぺ、プリンなんて食べてる暇ねぇ!

細く曲がりくねり複雑な裏路地の通路を走り抜け声のする元へと近づいて行く。そして路地を飛び出し現場へと到着するんだけど……そこには男1人、女性二人のどっかで見た事のある既視感のある光景に加えその男は女性の1人に組み付かれてると来ている。

 

「密航犯確保!!」

 

「違う!違うって!!」

 

「じゃあ婦女暴行犯って呼ばれたい!?」

 

「は、はいっ!密航犯はアタシです!」

 

 女性の1人は苛烈な声を上げ、もう一人の女性に組み付かれている男は痛みに悲鳴を上げる……ってか女の子は自分だと自白を宣言する。あぁ~なんだかフロンティアでもこんな事あったような気がするぞーすっごく既視感があるぞぉ~。

 

「少年よ」

 

「あだだだだだ、ってアレ? アンタは?」

 

組み付かれている男へとしゃがんで目線を合わせると俺はソイツの肩へと手を乗せる‥‥‥‥うん、なんだか同じような。アイツとアルトと同じ様な雰囲気が感じられるぞ、コイツからは。

 

「多分これから大変なことがあるだろうけど、頑張れよ」

 

「あ、あぁ」

 

 女の子と女性からも目線を向けられるがそんなことしてる場合じゃね。巻き込まれる前に俺は逃げるぜぇ!

それに元々は暴漢なりなんなり受けてると思って駆け付けた訳だしそんなんじゃないなら俺がいる意味なし。それに俺は早くこの地獄の迷路(ただの裏道)から抜け出さないと……夕飯にプリンが食えねぇ! それに俺の勘だとこのままいると絶対に何か面倒に巻き込まれる。疑問が確信と変わる前にその場を振り返って迷路へと戻ろうとしたが―――

 

「ま、まってくれよ! アンタ、俺を助けてくれ!」

 

そうは問屋が卸してはくれなかった。組み伏せられた男は俺へと助けを求め、お節介癖が働き思わず足を止めてしまう。あぁやっぱり巻き込まれた……あぁ、面倒だぜ。

 

「えっと軍人さん?ちょっち待ってくれないか」

 

「あなたは一体―――」

 

「俺の事はどうでも良いとして何があったかは知らないけど、今そこの女の子が自白したと思うぞ」

 

俺がオレンジ色の綺麗な髪色をした女の子を俺は指を指した。指された本人はへぁ?って感じで首を傾げている。

 

「え、そ、そうなんですか???」

 

組み伏せてる……多分ゼントランの血が入った女性は驚いて女の子へと振り向いた。

 

「はいな…ハヤテは私を助けてくれただけで」

 

「で、では何いかがわしい事はされそうになっていた訳ではないと……?」

 

「い、いかがわしい事!?」

 

指を指しながら顔を真っ赤にしながら声を張り上げて驚く女の子。初心なんですね、可愛いですなぁ。あと驚くのと同時にハート型の髪飾りが光ったような……あれか? 感情の起伏に反応して光る髪飾りでも付けてたのかな? 

 

「分かったのなら拘束を早く解いてほしいんだけど?」

 

「あっし、失礼しました!」

 

女性は慌てて離れると何と言うか教本道理の敬礼をビシッって感じでやる。うぉ~やっぱりゴリゴリの軍人さんなのかな?

 

「すみませんでした!」

 

「まあ、そう思われても仕方ない状況だったしな」

 

どんな状況だったんだろうか……地味に気になる。でも、それ以上に気になるのが―――

 

「軍人と言ったけど軍人さんにしては制服が違うし……何者?」 

 

俺がそう問うと再度綺麗なほど整った敬礼を見せる。

 

「はい、ケイオス、ラグナ第三戦闘航空団デルタ小隊所属、ミラージュ・ファリーナ・ジーナス少尉です」

 

「え、「デルタ小隊?」」」

 

女の子と偶然被ったけどそんなことはどうでも良い。それにしてもケイオスってのは前の職場でライバル会社として教えられてたから覚えてたけどデルタ小隊って何? それにラグナって事はお隣さんの惑星所属だろうし……なんでこんな場所に?

 

「苦情でしたら、広報に―――」

 

男に向かってすっごく申し訳なさそうに謝る彼女、その彼女をキラキラとした目で見る女の子……うん~、ホント既視感があるんだよな今の状況何処で体験したっけな?

 

「あのぉ、ひょっとしてデルタ小隊ってワルキューレと一緒に飛んどる?」

 

「え? えぇそうですが?」

 

「ふわぁぁ〜!ゴッリゴリやぁ〜!」

 

全身で喜びを表す女の子‥‥ゴリゴリって何だ? それに言葉使いが独特すぎないか、この子。

 

「な、何なんですか!?」

 

「……ファンなんだと。アンタたちとワルキューレの」

 

「ふぁ、ファン!?」

 

「はいな!」

 

元気よく、万遍な、眩しいぐらいの笑顔でこっちへと振り返る彼女だけどすまないが俺には分からん。フロンティアにいた頃だって隊長の妹さんがデビューするって言うんで初めてアイドルの事へ興味を持ったぐらいには俺は疎いからなぁ。あ、でもファイヤーボンバーは知ってるよ、隊長によく聞かされたからね。ってか―――

 

「―――最近のアイドルユニットって小隊を警備として同行させるのが普通なのか?」

 

俺の一言で少尉や男、ゴリゴリ娘がまるで信じられないような目でこっちを見てくる。え、俺が悪いのか?

 

「あ、あなた、ワルキューレの事しらんの?」

 

「残念ながらここ最近は旅続きでね、流行には疎いのよ」

 

「これは驚きました、彼女達の人気なら知らない人はいないだろうと思っていたのですが……」

 

「俺でも知ってるぐらいだぜ、よほどの辺境を飛んでたんだな」

 

その後ゴリゴリ娘ことフレイアちゃんから説明を受けたんだけどワルキューレってのはヴァールシンドロームって言う正体不明の病気を治す為に歌ってる人達なんだって、ホントに知らんかった。

 

「ほへ~、そんな凄い、ランカやシェリルみたいな人達がいたんだなぁ~」

 

「ワルキューレは知らんのに何で超時空シンデレラと銀河の歌姫は知っとるん!?」

 

俺の言葉に髪飾りが光るぐらいにビックリしてるフレイヤちゃん。なんでってそりゃ―――

 

「――当の本人と一緒にフロンティアで暮らしてたからなぁ」

 

「マジか!?」

 

あぁ~懐かしいな。ヴァジュラやギャラクシー船団の思惑のせいで色々とめちゃくちゃになったりはしたけど、なんやかんやで楽しかったからなぁ。ホントアイツ何処行ったんだか。

 

「フロンティアって、あなたは一体……」

 

おずおずと少尉は俺へと話しかけ矛先がこちらへと来る。そんなフロンティア出身って事に驚く事なのかな……分からんがとりあえず少尉がやったように俺も敬礼しとくか。

 

「元S.M.Sマクロス・フロンティア船団支部スカル小隊所属、紫電 響鬼だ」

 

S.M.S式の敬礼を返すと少尉もビシッと敬礼を返してくれた。あぁ~懐かしいなぁこの感覚。

 

「S.M.S……って事は傭兵なのか?」

 

「傭兵さんなんか?」

 

「傭兵って言うかすっごく強い警備員かな?」

 

いっつもS.M.Sの話をすると説明に困るんだよなぁ。S.M.Sでの業務内容は傭兵に近い警備員って感じだからいっつも誤解される。俺達は野蛮じゃないよ。

 

「じゃぁ、その元S.M.S社員が何故この惑星に?」

 

「それは観光に―――」

 

話している途中、俺の携帯が震えだす。

 

「―――ちょっと失礼」

 

断りを入れて携帯を取り出し、開いてみると――――

 

 

 

電ッチへ

 

何で嫌なの~? いいじゃんいいじゃん! 今働いてないんでしょ? だったら私が養って――― 

 

 

 

‥‥‥‥これじゃなくて。

 

 

 

お兄さんへ

 

何で守る気ないの? 私の事が嫌いな――――

 

 

嫌いではないが今は答えてる暇ないし何よりこれが見たかったわけではない。

 

強制的に開かれたメールにうんざりしながらポイっとほいやり確認すると機体を預けてある空港からの電話だった。

 

「もしもし―――」

 

空港からの電話、内容を端折って簡単に言うと俺の機体が勝手に動いてるから早く来てくれと言う物だった……マジ?

 

「どうかしたんか?」

 

多分俺の表情が変わった事から何かトラブった事に気付いたのか心配そうにこちらを覗くフレイアちゃん。

 

「ちょっと俺の機体がトラブったらしい」

 

「大丈夫かよ、それ」

 

「多分大丈夫じゃない……ちょっと行ってくるわ」

 

俺は携帯を閉じてポケットにしまうとその場を後にすることにする。

 

「そんじゃえっと―――」

 

「ハヤテ、ハヤテ・インメルマン」

 

「―――ハヤテ、それにフレイアに少尉殿、俺の勘ではまた会う事になるだろうからそん時はよろしくな」

 

「え? それはどういう―――」

 

走り出した俺に対して少尉殿が何か言ってるようだけどそれを無視。だって経験談から言った事だからな、こういう時の俺の勘は当たる!

そして俺は空港へと、俺の機体の元へと向かったのだった。 途中なんだか警報みたいな音なってたけど、あれはいったい何だったんだろ?

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