運がいい人が飛ぶと……   作:空を飛びたいチキン野郎

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幸運なオーディション2

「オーディションが受けられんってどういうこったね!」

「オーディションが受けられないってどういうことだ!」

 

俺とフレイアの声が受付会場で虚しく響いた。いや、マジでどうなってんの! フレイアちゃんが受けれないってどういう事だよ!

俺達二人で受付さんに詰め寄ると少し引き気味だけど答えてくれた。

 

「で、ですから今日は最終選考でして……」

 

最終選考? ……なんかイヤーな予感が……

 

「予選を通過した方でないと……」

 

「「予選?」」

 

もう一人の受付の人が横から予選というけど……え、マジで?

二人でフレイアちゃんが持つチラシの内容をよく確認してみると―――ありましたわ。今日受けれるのは最終予選に残った人のみって記載がね。

 

「あ!ああぁぁ――」

 

「ふ、フレイアちゃぁぁん!」

 

その事にフレイアちゃん自身も気付いたんだろう、放心状態に―――ふ、フレイアちゃん気をしっかり!

俺がフレイアちゃんに対してあたふたとしていると横にいるハヤテは―――

 

「マジか」

 

―――ハヤテでフレイアちゃんに対して頭を抱えている様子……ホントどうしよう。

 

「あなた達どうして―――」

 

突如声がかけられ振り返ってみるとそこには人がよさそうなラグナ人の人と歩くデルタ小隊のミラージュ少尉の姿が―――ってそうだ!

多分同じ考えに至ったんだろうフレイアちゃんと同時に少尉も元へ。

 

「ほぉ~、コイツが例のダ――「デルタ小隊のひとぉ~!「ミラージュ少尉ぃぃぃ!」

 

「ふぁ!?」

 

少尉に詰め寄ると涙目のフレイアちゃんは感情が先走ったのだろう思わず手を握り。俺はその後ろから少尉へと駆け寄る。少尉も少尉で凄く驚いたような顔をしていて状況が呑み込めてない様子。

 

「デルタ小隊のひとぉ、私にオーディション受けさせてくれんかねぇ~」

 

「!?」

 

「お願いしますよ少尉ぃ、この子にまた一年待たせるとか長すぎる、どうか、どうかこの通り」

 

「ふぁ!? ふぇ!?」

 

涙目で詰め寄るフレイアちゃんに頭を下げ続けるオレ、その場はまさにカオスと化していただろう。なんで俺も頭を下げてるかと言うと彼女の生まれとかに関係する。

 実を言うと俺の曽爺さんは偶然惑星ウィンダミアⅣを包む断層を抜けて出して運良く地球人類に接触できた初のウィンダミア人だ。だからこそ俺はウィンダミア人特有の寿命の短さも良く分かっているし彼女にとってあと一年がどんな意味を持っているのかも理解している。その境遇が分かってるからこそ俺も頭を下げているのだ。

 

「は、え、オーディション!?」

「オーディション、オーディション、オーディショ―――」

「お願いします! どうか、どうかこの通り!」

 

 

そうやって二人で詰め寄りフレイアちゃんは同じ言葉を涙目で連呼、俺はそろそろ日本に伝わる最大級の礼、DO・GE・ZAをここで披露してやろうかと考え始めた頃、タイミングよく後ろから声がかかった。

 

「はえ?」

 

「はい?」

 

二人してそちらへと振り返るとそこには三人目の受付嬢さんが立ち上がっていた……あの頭に乗ってるクラゲって言うかアメンボみたいなの何だろ?

 

「あ、あのぉ~、特別に許可が下りました」

 

その言い回しって事は!

 

「オーディションに参加していいそうです」

 

その言葉を聞いて俺とフレイアちゃんは感動のあまり両手でハイタッチ。

 

「やった、よかったよぉひびざぁ~ん」

 

「うんうん、よかったねフレイアちゃん、よかったね」

 

そしてこの感動を涙ながらに喜び合った。だってマジで嬉しいんだもの。そうやって喜び合っていたらどうやらハヤテにも用があるらしく声がかかった。―――あれ、俺も?

 

「ハヤテ…インメルマンさん?」

 

「そうだけど」

 

「ヒビキ・シデンさんですか?」

 

「あ、あぁ」

 

何だ何だ、俺達に呼び出しだなんて何かあるのか? 

 

「デルタ小隊のアラド隊長がお会いしたいと」

 

? 俺ならまだ分かるとしてなんで隊長さんがハヤテを?

 

「俺に?」

 

ハヤテ自身も何が何だかわかってない様子でキョトンとしている。まぁ、気持ちは分かる。俺も良くマクロス7にいた頃は艦長に呼び出し食らって色々としてたからなぁ。あぁ~懐かしいマックス爺さん元気にしてるかなぁ。

懐かしい気分となりながら俺達は案内の元、エリシオンへと乗艦したのだった。フレイアちゃん、ゴリゴリにがんばるんよ!

 

「うん!」

 

※※※

 

「何だろうな、呼び出しって」

 

俺、ハヤテ・インメルマンには一つずっと気になっている事がある。それは―――

 

「? なんだ?ハヤテ、俺の顔なんかじっと見つめて」

 

コイツ、ヒビキの耳に付いているヒレについてだ。確かにラグナ土産として買ってたのは俺もいたから知っていたが何故今付ける!

 

「い、いやなにも…」

 

「? 変なハヤテだな」

 

アル・シャハルからここラグナまで旅立つまでの一週間、コイツと一緒に過ごしてヒビキの性格や体質から来る無茶苦茶さには馴れていたつもりだったが何故今付けたんだ!

 

「はぁ~何が始まるんだろうか‥‥ちょっと憂鬱だ」

 

俺も憂鬱になりそうだよ! その耳を付けた事による印象でな! 俺まで変な奴指定されたら嫌だぞ。

 

「はぁ」

 

案内に従い俺は歩いて行くけど……なんで俺、此処に来たんだろ。そう考えながら気晴らしにでもと窓の外を見てみるとそこに気になるものを見つける。アル・シャハルでは見かけなかった白いα01とナンバリングされた機体、多分整備中なんだろうその機体は甲板上で止められていた。

―――面白そうだ。

 

俺はそう思い案内を外れ、機体の元へと足を向けたのだった。

そういえば途中からヒビキの姿を見なかったがどこに行ったんだ、アイツ。また迷子にでもなってるのか?

 

※※※

 

「完全に迷った……どうしよう」

 

ちょっとだけと思い案内から外れて数時間、俺は完全に迷子となっていた。

ここは何分軍用艦だ、案内の地図や標識があるわけでもなく人へと尋ねようにも運の悪い事に誰もすれ違うことがないし見かけることもない……マジでここ何処よ。

ふらぁ~、ふらぁ~っとしていると長い廊下へと出た。お、ここなら何処かへ出られるかな? そう考えその廊下を進んでいると見覚えのある人影が―――って

 

「フレイアちゃん?」

 

そこには落ち込んでいる様子のフレイアちゃんが歩いていた。どうしたんだろ?

 

「フレイアちゃん待って待って!」

 

「ひ、ヒビキ、さん」

 

俺はその目を見た途端分かった。あ、こりゃ茶化せない雰囲気だ、こりゃ。過去、レイナにも同じような時があったから分かるがこりゃ相当だな。

 

「うんうん何も言わなくていいよ。帰ろう、フレイアちゃん」

 

「…うん」

 

感情豊かな子がこんな風になってるしルンもあんまり輝いてない、きっと落ちちゃったんだろう……本当に残念な事だ。その後、俺達は()()()に人がいない道を通り帰りのゴンドラへと乗りこむ。

その途中フレイアちゃんの思い悔しい思いを吐き出させるのを忘れたりはしいていない、ため込むと爆発しちゃうからね。

 

「そいでね、私頑張ったんよ。グスン、頑張ったけど落ちちゃったんよヒビキさん」 

 

「うんうん、フレイアちゃんはよく頑張った。ウィンダミア魂輝いていたと俺は思うぞぉ」

 

「それでね、それでね……う、うわぁぁ」

 

「うんうん、泣けるときに泣いときな。俺の漢女(おとめ)な友達そう言ってたしね」

 

一緒の席に座り泣き崩れるフレイアちゃんに対して俺はそういう言葉しかかけられない。彼女にとっての時間は大事な意味を持つからね、よほど悔しいんだろうね。そうやって慰めていると突然―――

 

「はう!?」

 

「!?」

 

―――ゴンドラが、停止してしまった。他の乗客たちも驚いている様子で騒ぎ始める。俺も何だ何だと辺りを見回そうとすると突然照明がシャットアウト、非常灯へと切り替わった。

 

「な、なんなん!?」

 

「大丈夫、フレイアちゃん大丈夫だから」

 

車内アナウンスにより何が起こっているかが判明する。どうやらバレッタ市内でヴァ―ルによる暴動が起きているらしくそのせいで止まったとの事。他の乗客が携帯でバレッタ市内を移すテレビを見ているようだけど俺は別の手段を試みる。ポケットから携帯を取り出しある番号を入力した。

 

「来てくれよ」

 

それはバルキリーを呼び出す緊急信号、俺がもしもの為にと仕込んでいた自動操縦プログラムだ。一応宇宙で使う事を前提として作ったが地上でも使えるようにはしている……早く来てくれるといいんだけど。

 

「う、うぅぅぅ……ぁぁぁ」

 

そうやって心配していると別の厄介事が舞い込んできた。俺の隣、先頭側に座っていた男の客が突如苦しみ始めた。

 

「どうしました、大丈夫ですか!」

 

他の乗客が声をかけるが―――

 

「!? きゃぁ!!」

 

―――それは悲鳴へと変わる。彼女が倒れるのと同時に血が舞い上がり床を真っ赤に染めあげる。夢か幻かと言われればそうではない、その証拠に血特有の鉄くさい匂いが車内に広がってこれが現実だと嫌でも認識させているからだ。

 

「フレイアちゃん、下がって!」

 

俺は何かヤバイと感じフレイアちゃんを庇う形で前へ出る。マジか、此処でも発生するとかヤバすぎるだろ!

振り返る男。その男の全身の筋肉は服越しで一目で分かるぐらいに不自然なほど膨張しており、こちらを振り向くその顔には沢山の血管が浮き出て目は血走ってる。

 

「あはは……マジもんのピンチですな」

 

この危機的状況の中俺は後ろの乗客とフレイアちゃんを守れるかどうか、それしか考えてなかった。

ってかなんで紫美人さん―――確か美雲さんって言ったかな、一緒のゴンドラに乗って乗客達と一緒に避難してるんだろ?

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