彼と彼女は一心同体   作:シロップシロップ

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思わぬ誤算

入学式も何事もなく終わり、教室に再び戻りその後各自解散となった。

 

私は荷物をまとめて帰る支度をしていると清隆に声をかけられた。

 

「なぁ、優愛はこれからどうするんだ?」

 

「う~ん‥‥私、少し調べたいこととやりたいことがあるから今日はそれをしようと思ってるよ。だから‥‥それが終わったら後で清隆の部屋に行ってもいいかな?そこで色々お話ししよ」

 

「わかった。じゃあ、俺はコンビニにでも行って日用品を買うことにしよう」

 

あ、私も後で日用品とか買いに行かないとな。

 

「うん。わかった!気をつけてね」

 

「あぁ。」

 

あ、そうだ。折角だしコンビニに行くなら清隆に少しお願いしたいことがあるんだよね。

 

「後、清隆あのさコンビニに行くなら少し見てきて欲しい物があるんだけど‥‥いいかな?」

 

「構わないが‥‥。何か欲しいものでもあるのか?」

 

「そうじゃなくて、えっとね、―――――――」

 

私は清隆だけに聞こえるように耳打ちする

 

「‥‥なるほどな。分かった、探してみる」

 

よかった。 それじゃあこの事は清隆に任せとくか。

 

「ありがとう!それじゃあお願いね。それが合ったら電話してくれると嬉しいな」

 

「あぁ、分かった。じゃあな」

 

「うん。また後で」

 

清隆が教室から出ていくのを私は手を振りながら見送った。

 

それじゃあ私もそろそろ行こうかな。そう思っていた時、桔梗ちゃんが声をかけてきた。

 

「優愛ちゃんっ、もしよかったら連絡先交換しない?」

 

片手に自分の端末を持ち、ニコニコしながら話しかけてくる。

 

特に断る理由は無いし‥‥良いかな。それに個人的には凄く嬉しいしね。

 

「いいよ!交換しよう」

 

私は自分のバックから今日貰った端末を取り出し、桔梗ちゃんに渡そうとすると、今度は金髪の髪をポニーテールでまとめている少女が話しかけてきた。

 

「あ、私も連絡先交換してもいいー?」

 

確かあの子は‥‥軽井沢さんだよね。

 

「あ、それなら私もしてもいいかな?」

 

「私もー」

 

軽井沢さんに続いてその場に居た女子がそう言い、私達に近づいてくる。

 

…これは嬉しい誤算だな。

 

そう思いながら私は皆に笑顔を向けた。

 

「いいよ。皆でしよう」

 

「ありがとー」

 

そして、この場に居た女子と連絡先を交換した。

 

「ねーねー、宮里さん。これから私達平田くん達と遊びに行くんだけど宮里さんもくるー?」

 

連絡先を交換し終わると軽井沢さんが遊びに誘ってくれた。

 

嬉しいな。‥‥でも清隆にも言ったけどやりたいことがあるんだよね。

 

「すごく嬉しいんだけどごめんね。この後予定があるから‥‥また今度でも良いかな?」

 

「そっかー、それじゃまた今度遊ぼー」

 

「うん、ありがとう!」

 

そう言うと軽井沢さんは女子を引き連れて教室を出ていった。

 

軽井沢さんも人気だな。まぁ可愛いし、リーダー気質がありそうだからな。

 

そう思いながら私は桔梗ちゃんに話しかけた。

 

「桔梗ちゃんもバイバイ」

 

「うんっ、今度一緒に遊んだりしようね!後、それから‥‥その、自己紹介のことについて何だけど…何か困ったことがあったら何時でも相談してね…?」

 

自己紹介のこと…あぁ、多重人格の事についてのことかな?

 

私はその事についての話題が出るとは思わず、驚いて桔梗ちゃんを見ると、彼女は優しく微笑んだ。

 

…心配、してくれてるのかな?

 

そう思うと、心がなんだかぽかぽかしてくる。

 

このぽかぽかする?感情は良くわからないけど、でもしていてそれは決して悪くない居心地だった。

 

それに、私を心配してそんな言葉をかけてくれたのは今までで2人しかいなかったから純粋に凄く嬉しい。

 

そして、今の心配してくれている桔梗ちゃんを見るとあるもう1人の少女が私の脳裏に浮かび上がる。

 

彼女もまた、私を心配してくれた1人だ。そして少女は私に色んなことを教えてくれた人でもある。

 

会いたいな。…いや、きっとその人に会える。今日、その手がかりを見つけたから。

 

そう思いながら私は精一杯の気持ちを込めて桔梗ちゃんにお礼を言った。

 

「うん、そうするよ。ありがとう桔梗ちゃん」

 

「うんっ、それじゃあまた明日!バイバイっ」

 

そして彼女は私に手を振ってくる。

 

それにつられて私も手を振って教室を出て歩き出した。

 

ふぅ、桔梗ちゃんは優しい子だな。でも…やっぱりなんか違和感を感じるような…。まぁ、気のせい、だよねきっと。

それにもしなんかあったとしても、こうやって話しかけて相談に乗るよって言ってくれた事実は変わらないしね。

 

っと、桔梗ちゃんの話しはここまでにしておこう。

 

私が今すること…したいことはあの子を探すことだ。

 

私がもう一度会いたいと思っているあの子、その子を今日見かけた気がするんだよね。

 

だから、今日はその子を探して会いたいなって思ってるんだけど…取り敢えず向かうか。

 

そう思いながら私は歩みを進め、ある場所で立ち止まった。

 

 

――――1年Aクラス。

 

彼女を見かけたと思ったのは入学式でだ。Aクラスの列に彼女が居た様な気がしたんだよね。

特徴的な容姿だったから違ってはないと思うけど…

 

そう思いながら私はAクラスを覗いた。

 

えーと、お、まだ結構人が残ってるみたいだね。

あ、でも、人が集まっている所が2ヵ所ある。

 

各々の真ん中に居る人は…皆に囲まれていてわからないな。

 

…どうしよ、

 

そう思いながらAクラスの外側でうろうろしていると、1つの輪の中の中心に居たと思われる人物がこちらに向かって歩き、私の前で歩みを止めた。

 

「…Aクラスになにか用でもあるのか?」

 

…話しかけられちゃったな。

 

どうしよ、私の用件を言うべきかな?言ったら一発でわかると思うけど…、でもな…

 

そう思いながら、私は自分の中で結論を出して口を開いた。

 

言うか言わないか。その答えは勿論―――

 

「…えっと、特に用があるって訳じゃないんだけど…ほら、他のクラスの教室の中ってどうなってるのかな~と思って。…不快にさせちゃってたらごめんね」

 

『言わない』だ。

 

何故なら、例えば彼に私がここであの子は居るか、と訪ねるとしよう。

 

そしてもし、その子が居たとしたら私とあの子は必然的に知り合いということになってしまう。

それを彼女が望むかわからない。

 

それに今むやみに何か言うのは得策じゃない。

 

…でも、それだとあの子が居るかわからないから上手く彼に情報を流して貰えるように誘導しないといけないけどね。

 

すると、彼は納得した様子を見せた。

 

「否、まず不快では無いから安心して欲しい。しかしなるほど。確かにその考えに一理あるな。それで、何か違ったことはあるか?」

 

「ううん、見た感じ中は同じ感じかな。…あ、折角だし自己紹介しとくね。私は1年Dクラスの宮里優愛。よろしくね」

 

「あぁ、俺は葛城康平だ。よろしく頼む。だが…そうか、まぁ教室の中が同じなことは公平で良いことだな」

 

「そうだね。…あ、そういえば葛城くん、さっき沢山の生徒に囲まれてたね。もうそんなに友達が出来たの?凄いな~」

 

「あぁ、だがあまり大したことはない。クラスメイトが皆良い人物なだけだ」

 

「そっか、あ、…でも、そういえば葛城くんの他にももう1つのいっぱい人が集まってるところがあるけど…」

 

「あぁ、それは坂柳だ。」

 

…!!

 

その名前を聞いた瞬間、抑えきれない感情が胸に込み上げてきて、思わずにやけるのを抑えるのに必死だった

 

「…へぇ、その坂柳さん?も人気なんだね!どういう子なの?」

 

「あぁ、…足にハンデを抱えているため松葉杖を使っているんだが優秀そうで良い人物だぞ」

 

ビンゴ。

 

「へぇ~」

 

私は不自然にならないようにそう言い、再びAクラスを覗くと、先程葛城くんが言っていたと思われる人物が見え、目があった

 

…よかった。居た。

 

嬉しいな。やっぱり私の見間違えじゃなかったんだ。

 

私は自然と素の状態でも口角が上がっているのを感じた。

 

そして女子生徒は私と目があった瞬間、一瞬目を見開いて驚いていたがすぐ不適な笑みを浮かべ、その後すぐに荷物を持って教室から出ていった。

 

そして、人気のないところまで進んで行く彼女を見て私も葛城くんに別れを告げその後に着いていく。

すると、少女は私達以外誰も居ないことを確認すると立ち止まって振り返り、こう言った

 

「お久しぶりですね優愛。3年と218日ぶりですかね」

 

その言葉を聞いた瞬間私は思わず、また出会えた事が嬉しすぎて彼女に抱きつきた

 

「久しぶり有栖!また会えて嬉しいよっ」

 

そこには3年と218日ぶりに会った私の親友、坂柳有栖がそこに居た。

 

「あの優愛さん?危ないですので勢いよく抱きつかないでほしいのですが」

 

困ったようにしているが、それでも彼女は優しい目で私を見てくれていた。

 

「大丈夫だよ、危なくないように抱きついてるから!」

 

また会えた、嬉しいな。嬉しいよ。もう二度と、会えないと思ってたら、だから物凄く嬉しい。

 

私は、彼女とまた出会う事が出来たこと、そして会話をしているという事実と、私が心の底から嬉しいと思えてる事実がとにかく嬉しくて私は有栖を強く抱き締めた。

 

「ちょっ、先程よりも強くなってません?はぁ、優愛さんは相変わらずですね。それよりも立ち話も何ですし何処かに移動しましょうか」

 

「うん!」

 

有栖に言われて一緒に歩き出してから少しだった頃、甘いするお店に連れてこられた。

 

「ここは...」

 

「カフェ、というところですよ」

 

カフェ…!ここが…。…嬉しいな。凄く嬉しい。わくわくする。

 

そう思いながら、私は胸を踊らせて有栖と一緒にお店の中に入った。

 

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

 

店員さんに言われて、有栖は素早く答える。

 

「2人です。個室でお願いできますか?」

 

「分かりました。こちらへどうぞ」

 

そう言って店員さんは私達を案内してくれた。

 

案内された場所は、さっき有栖がお願いした通り個室になっていた。

 

「このお店は希望があれば個室にしてもらえるみたいなんですよ。ある人から聞きました。それに、個室なので他人に聞かれたくないお話もできるんですよね」

 

ふふっ、と、不適な笑みを浮かべる彼女。

 

へぇ、まだ入学したばっかりなのにこんなこと知ってるなんて凄いな~、有栖が言ってたある人…少し気になるところだけど有栖に情報を教えてくれた人なんだからきっといい人なんだろうな。

 

そう思っていると、有栖がメニューを開いて私に見せてくれた。

 

「取りあえず注文しましょうか。優愛さんはどれにしますか?」

 

メニューを除くと色々な食べ物らしきものが沢山乗っていた。

 

いっぱいあるけど…文字だけじゃ分からないな。

『ぷりんあらもーど』とか『ぷぁふぇ』とかなんか書いてあるけどどんなやつだろ?美味しいのかな?

 

…でも取り敢えず、私が知ってるこのショートケーキにしようかな。知らないものを食べるより知ってるものを食べる方がよっぽど良いよね。

 

…まぁ、ショートケーキは知ってるけど食べたこと無いからどんな味かはわからないけど。

 

「う~んじゃあショートケーキとホットコーヒーにしようかな」

 

「そうですか、では私はフルーツタルトと優愛さんと同じホットコーヒーにします」

 

そう言うと有栖は店員さんを呼んで注文をしてくれた。

 

「ありがとう」

 

「いえいえ、お気になさらず。‥‥それより体調はもう大丈夫なんですか?」

 

体調、か。

 

「うん、何とか。前よりは結構良くなってきたよ。今は頑張ればちゃんと寝れるようにもなったしね」

 

すると、有栖は何故か少し悲しい表情をした

 

「‥‥そうですか。それは良かったです。ですが、くれぐれ気を付けてくださいよ?後、人格の方は大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だよ。最近は全然人格交代しなくなったしね」

 

まぁ、変わりに少し不可解な事は起こるようになったけど、それを言ったら有栖心配しちゃうからな。

 

すると、有栖は少し安堵したようにそう言った。

 

「そうですか、それは良かったです」

 

…一見、ほっとした様に見えるけど私にとっては少しだけ悲しんでいるような、心配しているような、そんな表情に見えた。

 

…有栖はやっぱり凄いな。そして優しいよ。

 

私が今こうなってるのは有栖のせいじゃないのに。だからそんなに心配しなくていいのに。

 

そう思っていると、有栖は話を切り替えるように私に話しかけた。

 

「それと、優愛さんこの学校にこられたんですね。また貴女と生活をおくれられるなんて嬉しい限りです」

 

私もだよ。

 

「ありがとう。私もすっごく嬉しい!もう有栖と会えると思ってなかったから嬉しいな」

 

「ふふっそうですね。貴女が元気そうで本当に良かったです」

 

優しく微笑みながらそう言う彼女。

 

そんな彼女を見ていると、私は有栖に彼の話がしたくなった。

 

「あ、後ね私だけじゃなくて有栖が気になってた清隆もこの学校に来てるんだよ」

 

すると、彼女は少しだけ目を見開いて驚いた。が、その後すぐに不適な笑みを浮かべてこう言った

 

「そうなんですか。ですがまぁ、優愛さんがこの学校に来ているのなら、当然彼も来ますか。ふふっ、嬉しいですね。貴女と彼がいるならこの学校生活も楽しくなりそうです。いつか、貴女と彼と勝負できる日を楽しみにしていますね?」

 

笑っているが獲物を刈るような目で彼女は私を見つめた

 

なんか有栖らしいな。

 

「うん、その時はよろしくね?あ、有栖がこの学校にいること清隆にも知らせとこうか?有栖も早めに清隆と会いたいでしょ?」

 

「いえ、彼に知らせるのはもう少し待ってください。彼とは優愛さんと違って直接的な面識はありませんし、もう少し様子を見てから私から話しかけますので彼にはまだ秘密にしといてください」

 

「うん、分かった!」

 

私がそう返事をした時、室内にノックの音が響き渡った。そして、店員さんが注文してくれたものを持ってきてくれた。

 

「ケーキとコーヒーを持って来ました。」

 

そう言って、テーブルに並べてくれる。

 

「それでは、後ゆっくりどうぞ」

 

そう言って店員さんは個室から立ち去った。

 

運ばれて来たショートケーキは苺のいい香りがして、見た目からもふんわりしっとりしているように見える。

 

美味しそう!!!

 

「来ましたね。ひとまず食べましょうか」

 

「そうだね。‥‥それじゃ、いただきます!」

 

初めて食べるショートケーキ‥‥!どんな味がするんだろう!楽しみだな。

 

期待を込めながら私はフォークを持ってショートケーキを一口食べた

 

パクっ

 

「ん~これ美味しい!」

 

しっとりと焼き上げられたスポンジケーキと口当たりなめらかなホイップクリーム、それに真っ赤に熟れたイチゴの甘酸っぱさ。絶妙にバランスがとれててすっごく美味しい。

 

「ふふっ優愛さんはとても美味しそうに食べますね」

 

「そうかな?でも、ケーキ食べるの念願だったから凄く嬉しいよ!」

 

「....そうですか。」

 

「うん!‥‥あれ?有栖は食べないの?」

 

有栖のケーキを見ると、まだ一口も食べておらず運ばれて来た時のままの状態だった。

 

不思議に思っていると有栖はフォークを持った。

 

「優愛さんがあまりにも美味しそうに食べるものですから見惚れていたんですよ。では、私もいただきますね」

 

そう言い有栖は一口フルーツタルトを食べた。

 

有栖のケーキも美味しそうだな。

 

「どうどう?美味しい?」

 

「とても美味しいです」

 

微笑みながらそう言う有栖。

 

私は良かったなと思いつつ、私もケーキを食べていった。

 

「美味しいな。久しぶりにこんな美味しいもの食べたかも!あんまりこういう食べ物彼処じゃ食べなかったから嬉しいな。…今度清隆と一緒に来ようかな」

 

「ふふっ、気に入ったようですね。良かったです。私のフルーツタルトも一口食べますか?」

 

「食べる!」

 

パクっ

 

「ん~、美味しい!!ケーキ美味しいな~」

 

「それは良かったです」

 

「私のもあげる!はいっ」

 

パクっ

 

「ん、美味しいですね」

 

「だよね!」

 

そうして、私達は美味しくケーキをいただき、完食した

 

ケーキって本当に美味しかったんだな~。また食べに来よう!

 

「来てよかったですね」

 

「そうだね」

 

来て良かった、そう、本心で思うと同時に私の胸にとてつもない罪悪感が押し寄せてくる。

 

そして、私の心臓が、脳が、全神経が言ってくる。私はこんなことをしていい権利なんてあるのだろうか、と。

 

過去のある出来事がフラッシュバックする

 

思い出すだけで、胸が張り裂けそうな気持ちになる。罪悪感で埋め尽くされてしまう。いや、違う。私よりももっとあの子、いや、あの子達の方がもっと何百倍も苦しいはずだ。

 

私は無意識にスカートを握りしめた。

 

すると、そんな私を見ていた有栖が不信に思ったのか心配そうに声をかける。

 

「優愛さん?大丈夫ですか?」

 

「!‥うん大丈夫だよ」

 

「そうですか?」

 

「うん、ちょっとぼーとしちゃっただけだから。全然大丈夫だよ」

 

「‥‥そうですか、分かりました。ですが、1人で沢山抱え込みすぎないで下さいね」

 

真剣な表情で私を見つめる有栖。

…私はそれに取り敢えず頷いた。

 

「約束ですよ。…ところで、突然ですが優愛さんはこの学校の仕組み、Sシステムについてどう思いますか?」

 

「どう思うか…?」

 

「はい、先程担任の先生からこの学校について説明を聞かされましたが何か可笑しいと思いませんでしたか?」

 

あー、そうだね

 

「それは私も思ったかな。この学校には何かあるよね。有栖はもうSシステムのこと全て理解したの?」

 

「いえ、気づいた事は幾つかありますが流石に全部とまではまだいっていませんかね。そこで、折角ですので優愛さんと一緒に考えてみたいと思いまして」

 

「勿論いいよ」

 

私もSシステムの事ちゃんと知りたいと思ってたしね。それに有栖は心強いし。

 

「そうですか、それはよかったです。それでは、まず支給されるポイントのことですが、優愛さんはどうお考えですか?」

 

「そうだね、先生は毎月10万ポイント支給されるかのように話してたけど‥‥毎月10万ポイント貰えるとは先生言ってと思うな。だから、毎月10万ポイントは貰えないと思う。‥‥先生は『実力で生徒を測る』って言ってたから‥‥入学した時点での私達の評価が10万ポイントっていうだけの事だと思うよ」

 

これは先生の説明を思い返して思ったこと。

 

「ふふふっ、はい。そうですね私もそう思います。流石優愛さんです」

 

不適な笑みを浮かべて楽しそうにしている有栖。

私はお礼を言って話を続ける。

 

「ありがとう‥‥それで、つまりこれからの学校生活で私達の評価が決まって、その評価に合ったポイント額に変動すると思うな。だから、授業態度や生活態度、後はテスト何かを気をつければいいと思う。」

 

授業態度や生活態度で決まるなら‥‥防犯カメラが大量に設置されてるのにも納得がいく。テストは‥‥実力で生徒を測るならテストの点数も入ると思ったから、かな。

 

「はい、恐らくそうでしょう。」

 

「だけど‥‥問題は個人ごとに変動されるかクラス単位ごとに変動されるかなんだけど…」

 

「私はクラス単位で変動されると思います。流石に個人ごとだと学校側も計算するのが大変だと思いますし現実的ではありませんから」

 

「うん。そうだね。私も同じ考えかな」

 

「ですが疑問があります。では、ポイントがクラス単位なのは何故なのでしょうか。クラス、という部分が少し気になります。また、先生が言っていました。『この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない』と。それは何故でしょうか?普通の学校は学年が一つ上がるに連れてクラス替えがあります。では何故それが無いのか。それはクラス替えが出来ない理由がある、と言うことだと私は思います。」

 

「そうだね。学年ごとのクラス替えが無く、ポイントの変動がクラス単位‥‥ということは、各クラスそれぞれチームとなって何かを争おうとしてるのかな?」

 

「そうですね。争う、ということならば何かの利益を争う形になるということでしょうか」

 

「…あ!もしかして、この学校って入学すれば希望する進学先や就職先がほぼ100%入ることができるんだったよね。なら例えばそれが争いに勝ったクラスしか適応されないってことなんじゃないかな?」

 

「それはありえますね。‥‥ですがまだ今のところは情報が足りないですね」

 

「う~ん、そうだよね」

 

情報、情報か‥‥ん?あ、そうだ

 

「有栖、それならさ、いっそのこと先輩に情報を買おうよ」

 

先生はこの学校に買えないものは無いって言ってたからポイントを払えば教えて貰えるはず。

 

「なるほど買う、ですか。良いと思いますよ。‥‥ですが、先輩にですか?先生方の方が沢山情報を持っているかもしれないですよ?」

 

それは‥‥

 

「‥‥先生に情報を買うと目をつけられそうなんだよね。取りあえず私は今のところは目立ちたくないからできれば先生に情報を買うのは避けたいかな。でも、有栖が先生に情報を買いたいならそれで良いよ」

 

私としては‥‥目立つと自由に動けなくなりそうだからあまりに目立ちたくはないんだよね。

 

「いえいえ、全然大丈夫ですよ。確かに初日に先生から情報を買うと先生方の中で有名になってしまいますからね。優愛さんの言う通り先輩に情報を買いましょうか。‥‥ですが、誰にしますか?」

 

有栖に感謝だな。でも、そうだね誰に買おう‥‥買ってくれる人がいると良いんだけど‥‥

 

「‥‥先輩に情報を買うにしても、買ってくれなかったり、高い金額で買われるのは避けたいから‥ポイントに余裕がない人がいいよね」

 

ポイントに余裕がない生徒なら買ってくれる可能性がある。

 

「そうですね」

 

ポイントに余裕がない人‥‥。私、先輩に知り合いの人居ないんだよね。

 

すると、突然私の端末が震えだした。

 

ブルルッブルルッ

 

…これは電話かな?

 

誰からだろう。そう思いながら画面を見ると大きく綾小路清隆と書かれていた。

 

「清隆から電話だ」

 

おお。清隆から電話が来たってことはあれがコンビニにあったって事かな。それなら清隆のいるコンビニにポイントに余裕がない生徒が来る可能性がある。

 

よし、確認してみるか。

 

「有栖ちょっとごめんね」

 

「えぇ。構いませんよ」

 

有栖の言葉を聞いて私は電話に出た

 

ピッ

 

「もしもし清隆?」

 

『あぁ。俺だ。あったぞ優愛が探していた無料商品』

 

「本当!?良かった、ありがとう清隆。因みにどんなものがある?」

 

『あぁ、色々あるぞ。歯ブラシに石鹸、シャンプーや野菜とかだな。特に不良品とかじゃなくて実際に使えそうなやつだ。だが、質は落ちてるやつだと思うが』

 

なるほどね。

 

「分かった、ありがとう。後さその商品を買おうとしてる生徒そばにいる?」

 

居たらその生徒と交渉したいんだけど‥‥

 

『あー、今は居ないと思うが‥‥あ、居たぞ。今商品を見てる』

 

お!

 

「本当!?その人何年生か分かる?」

 

『見た目的に俺たちの先輩だと思うぞ。』

 

「よしっ!じゃあその先輩捕まえて!」

 

『は?捕まえる?』

 

「うん!捕獲して!」

 

『あ、あぁ』

 

「すぐそこに行くから!その先輩足止めしといてね。えっと清隆がいるコンビニの場所ってどの辺?」

 

『学校から一番近いコンビニだと思うが。…足止めするのか?俺が?本当に?』

 

「うん、お願い。急いででそっちに向かうからそれまでお願い」

 

そう言い切って私は電話を切ると、有栖が口を開いた。

 

「今の会話で何となく分かりましたが、優愛さんは先輩に情報を買うために綾小路くんのもとに行くのですよね?ならば私はここで待機していてもよろしいでしょうか。」

 

今の話聞こえてたんだ。流石有栖だな。

 

「全然いいよ。ごめんね有栖。あ、じゃあ連絡先交換しよ!先輩と交渉する時は会話が聞こえるように有栖に電話をかけた状態でするから」

 

「分かりました。お願いします」

 

そして私達は素早く連絡先を交換した。

 

「あの、先輩との交渉が終わったら先ほどの綾小路くんとの会話も含めてお話しして貰えますか?」

 

「うん!勿論だよ。ごめんね、すぐ行ってすぐ戻ってくるから」

 

私は荷物を持って全速力でコンビニへと向かうのだった




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