T.S.けーね (ロリ) は彼なのか?   作:ただし忠誠心は鼻から出る

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モチベが続かなければ休載するかもしれないですし、メンタルがもたなければ削除するかもしれない程度に考えておいてください


死は常に貴方の傍に

 何故かこの時代に転生してから早五年。初めは何がどうなっているのかさっぱり理解できなかったし、ここが何処かも全く分からなかった。

 前世の記憶なんて物もあるんだが、今まではただただ赤子だったからこそボロが出ずに済んだだけ。今でも既に少し危ない橋を渡っているというのに、もう少ししたら時代錯誤な言葉が無意識のうちに出そうで怖いのだ。

 

 

「慧音、少しこちらに来なさい」

 で、俺の名前が慧音なわけである。この世界に生まれて最初に不思議に思ったことだ。

『あれ? なんかさっきまでは覚えていなかった違和感があるような……』である。

 前世の自分についてはあんまり覚えていないけど確実に男であったはずなんだ。一人称も俺なわけだし、転生っぽい事が起こる直前の記憶だけは何となくある。

 確か雨が降っている中、急いで走っている途中にマンホールで滑ったんだっけな。人間そんな簡単に死ぬもんじゃないと思っていたが、転生している以上死んだとみるのが良いんだろうか。

 …………どうしてこうも冷静に分析できているのかは自分でも不思議に思う。

 

 

 前世は男だったはずなのにこの身体は女の物だったというわけだ。これは不味い。何が不味いって、もうちょっと成長したら自分の身体を直視することさえできなくなるかもしれないのだ。

 幸いこの時代(壬申に起こった戦が終わったあたり)の庶民には風呂の文化なぞないのでそこまで問題になるようなことは無いかもしれないが、それでも水浴びくらいはしたいものだろう。だから困っているというわけだ。

 このままだと不潔路線まっしぐらだし嫁入りも……する気はないから良いか。男に興味ないからね。仕方ないね。

 

 まあしかしよく考えたらあまりにも理不尽だ。転生するならば記憶の一切は消すのが普通なんじゃないのか? いやまぁ知識は残ってくれていた方が良いんだけど、性別とかは覚えてない方が良かったかな。何かと気にしていなければならないから生きにくいったらありゃしない。

 

 

 でも一人称にさえ気を付ければ、ここは都から少し離れた農村だし、家は姓すらない最底辺なので多少言葉遣いが雑でも許される。それに俺は教わったことをすぐに習得できる天才児として扱われて少しばかりもてはやされているし。

 父上や母上は俺に学を積ませたいらしいが、生憎というよりも当然そんな金が家にあるはずがない。だから今の俺は五歳で農作業を手伝うただの良い子でしかないのだ。

 隣家では俺よりも二つほど上の息子に、俺のように親を手伝えと教え込んでいるらしいが、絶対に無理だろう。効率的な身体の動かし方も碌に知らない子供が農具を持てるはずもない。斯く言う俺も農具を持って手伝っているわけじゃないけど。

 

 

 

 呼ばれていた父上の許に行く。先ほどの声色からして何か良くないことでも起こったんだろうか。それとも今日の作業はもう終わったし、明日の事について何かあるんだろうか。どちらにしても早く行かないとだめだろうな。怒られたことは無いけど怒れば怖そうだし。

 

 いったいどうしたのだと聞いてみる。満月の光が部屋に差し込んでいるから、火が無くとも父上の顔ははっきり見える。やっぱり何か良くないことが起きているみたいだ。

 

「何、慧音が頭を悩ませることは無い。少し邪なるものが村に入り込んでいるようだからね、今夜は私と離れないようにしていなさい」

「邪なるもの、ですか?」

 

 

 なんとこの世界には普通の動物以外にも人外が存在する。二つの時に話を聞かされ、三つになって初めてその存在を見たのは記憶に新しい。

 俺の場合は何とかなったが、普通に考えて二歳になる子供に人外の話をして理解できると思っているのだろうか。父上の頭が少しばかり心配になる。

 

 あの時に見たのは俺の生まれる数年前に死んだらしい村人の幽霊だったが、村を出れば妖も跋扈する世界が広がっているらしい。かといって村の中も絶対に安全というわけではない。

 今まで村に妖の類が入って来ていないのは単純に、付近の妖たちが村の入り口を護っている者たちを突破できないかららしい。辺鄙な村にもそこそこ優秀な人間はいるものだ。

 

 

 

 しかし今夜の侵入者はその入り口を突破して村の中に入ってきたらしい。こうなってしまえば、俺たちにできることは自分の家が壊されないよう祈ることくらいだ。

 でもどんな姿なのかは一目見てみたい気もする。ここは、前世ではフィクションだと断定されていた妖、霊、神までもが存在する世界だ。俺の見たことがあるのは霊、それも悪意も何もない幽霊一人だけ。

 人外の棲む魔境に転生したのだ。生きていくうちに異形を目の当たりにすることはあると思うが、どうせ見る事になるのならば早くに見ていた方が後のショックも少なくて済むんじゃないだろうか、という浅はかな考えだ。

 

 

「うむ。恐ろしい化け物でな、伝え聞いた話によると数多の目が体中についており牡牛のような角が頭や体にも生えているそうだ。(つら)は人の如くにて尾は馬に近いという」

 

 聞かなければ良かったと思うほど、なんとおぞましい化け物だ。考え得る異形の集合体のような見た目じゃないか。人面で牛で馬で目がたくさんついている……一目も見たくなくなってきたわ。呪われそうだし今夜寝られなくなりそう。

 

「恐ろしいだろう? さぁ、今夜はもう眠っておしまい。明日もまた朝が早い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、一人の子が捨てられた。

 二人の大人が村八分に処された。後に、不自然にもこの時代の記録のみが行方不明になる邑美(おうみ)の一小村でのことである。




 次回は恐らく明後日。勘の鋭い方なら次回出てくるキャラまで分かったかもしれません

 今回は導入だったので短かったですが、次回以降は平均4000前後くらいで書ければと


 オリ主タグを付けるかどうかで迷う。規約的には不要なんですが、あまりにも原作と思考などがかけ離れているとそれはもう別で良いんじゃないかなと思ってしまいます
 連載が続けば必須タグの方は少しだけ増えると思われます
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