士郎と喫茶店で別れた次の日、マリアは一人、ため息を吐きながら街中を歩いていた。
「私はどうすれば……」
マリアは歩きながら先日、士郎に言われた言葉を思い出していた。
『これ以上俺に関わるなよ?平和な暮らしをしたいなら……全て忘れることだな』
「忘れるなんて無理ですよ……だって士郎さん、悲しい目をしていましたから」
そんなことを呟きながら歩いているとマリアの前に何者かが現れた。
「やぁ、2日ぶりだねマリア君」
「栗原さん!」
その人物はマリアに執拗く求婚をせがんでくる栗原 誠だった。誠はマリアに向けて笑みを浮かべているが、その目は笑っておらずマリアは誠の様子に何処か異様さを感じていた。
「……何の用ですか?私は急いでいるので」
「酷いな〜会ったばかりではないかもう少し話さないか?」
「結構です」
ここまでマリアが誠を警戒するのは理由がある。先日、誠の付き人である黒服の男性が怪物『タイガーエイン』と化し、自分を攫おうとしたのだ。
あの時は士郎が助けてくれたおかげで助かったが……
「いつも一緒にいる付き人の黒服さんはどちらに?」
「あぁ……あの約立たずのことかい?」
「や、約立たず……?」
「役立たずだよ。僕の命令も遂行できずに、あの男に負けて!君を僕の元に連れて来れなかったのだから!だから!あんな役立たず捨ててやったんだよ!捨て駒なんて幾らでも変えることができるからね!」
「酷い……」
誠の発言にマリアは驚きを隠せなかった。人を駒のように扱い失敗すれば簡単に捨て、また新しいのを雇う……。マリアは誠の非人道的な言葉に恐怖を感じてしまった。
「あ〜マリア君……君はなんて美しいんだ!なんで廃れた教会にいるんだ!なんであんな男となんかと!」
「知りません、私は父と母が残したあの教会が好きだからいるんです。恋愛も私の自由ではありませんか」
「何故なんだ!僕にはあの男にはない物があるではないか!そうお金だ!お金は全てを解決するんだ!金さえあれば女だって捨て駒だって幾らでも変えられる!素晴らしいものでは無いか!」
「全然素晴らしいくありません」
「何故だ!何故わからんのだ!僕の方が圧倒的に上なのに!お金があるのに!何故だ!何故だ!何故だ!何故君は僕の物にならないんだァァァァァァッ!」
マリアが自分の物にならないのに苛立ちを覚えたのか、誠は頭を掻きむしり、激昂しながら答えた。その叫びは街中を歩いていた群衆をも振り向かせた。
「貴方が私を好きなのはよくわかりました……でも!貴方のそうやってお金にものを言わせて自分の物にしようとし、全てお金で解決しようとする所や人を道具のように扱い捨て駒にする性格の人なんて大嫌いです!」
「なッ!?」
「貴方なんかより!貴方なんかよりあの人の方がよっぽどマシです!」
マリアの誠への拒絶に誠は顔を俯かせるがすぐにマリアの方を向いた。
「ヒィ!」
誠の顔を見たマリアは後ろへ後退してしまった。
誠の顔は先程までの無駄に整っていた顔ではなく、目が充血したかのように血走り、整えられていた髪も掻きむしったことにボサボサになってしまっていた。
「いいですよ……無理やりにでも貴女を!」
誠は懐から付き人であった黒服の男性が使っていたエインハート取り出し、マリアに向かって歩き出した。
「いや、来ないでください!」
誠の顔を見た事に恐怖し、マリアは腰がすくんでしまい逃げることが出来なかった。
「貴女は僕の物です!」
マリアは恐怖により思わず目を瞑ってしまった。ふっと思い浮かべたのは自分を助けてくれた存在……あの青年だった。
「(お願い助けて……!)」
心の中でそう願い恐怖に耐えようと堪える。
「おい、嫌がっている女を無理やり連れて行こうとするのは良くないな……」
ーーーーその声と共に殴られる音と倒れる音がした。
マリアはふと目を開けると、自分の目の前に立っていたのは自分が思い浮かべた存在……。
「よぉ、大丈夫かマリア?」
「士郎さん!」
黒道 士郎が立っていた。
「エインに変身した黒服がお前を狙っていたから、まさかと思って見張っていたら案の定だったな」
「み、見張っていたんですか!?だったらもっと早く助けてくださいよ!」
「いいだろ。結果的に助けたんだから」
「むー!そういうのじゃなくて!」
士郎とマリアの喧嘩?が繰り広げられていると、士郎に殴り飛ばされた誠が起き上がった。
「こんのぉぉ!また、僕の邪魔を!」
「邪魔だと?マリアを無理やり連れて行くことがか?」
士郎はマリアを守るように前に立ち誠を睨みつけた。
「黙れ!これは僕とマリア君との恋路なんだ邪魔をするな!」
「へ〜恋路ね〜。あんまり人の恋にとやかく言いたくないが……お前のしていることはマリアの気持ちを全然汲み取らず、自分の気持ちだけを押し付けているひとりよがりの迷惑な行為だ。恋愛でもなんでもねぇよ」
「クソ!クソ!クソ!もういい!お前をここで殺してやる!」
誠は手に持ってあるエインハートを腕に刺した。
ジャガー……!
エインハートからそ電子音声が流れると同時に、誠の身体にエインハートの中に入り誠の姿を変えた。
ジャガーの姿に左腕の鋭利な鉤爪、硬い鎧に身を纏った怪人「ジャガー・エイン」に変貌した。
その光景をみた群衆は蜘蛛の子を散らすように一目散に逃げていった。
『僕の正義を邪魔する者は死ね!』
そういうとジャガー・エインは左腕の鉤爪で攻撃するが、士郎はマリアを抱え、ジャガー・エインの攻撃を躱した。
「正義ね〜……自分の思いを人に押し付けて、無理やり従わせるのが正義か。くだらねぇ……そんな正義、地獄の番人の俺がぶっ壊す」
士郎はそう言いながら抱えていたマリアを降ろし、ジャガー・エインを睨みつけながらガルムドライバーを取り出した。
ガルムドライバー!
ガルムドライバーを腰に装着するとベルトが展開され、士郎の腰に巻きついた。
士郎は懐からリュウガとカリバーのスピリオを取り出し、左右の装填口にセットした。
リュウガ! カリバー!
DARK・REALIZE!
装填を知らせる電子音と共に燃え盛る炎の音と龍の雄叫びのような待機音声が流れ、士郎の姿は骸骨を思わせる姿になり、両隣にリュウガとカリバーが出現した。
士郎は人差し指を頭の前まで持ってくると、指先を前に向け……。
「変身!」
掛け声とともにドライバーを展開した。
CROOSS FUSION!
暗黒龍を従えし裏切りの剣士!ダークドラゴン!
その音声と共にリュウガとカリバーが士郎に覆いかぶさり仮面ライダーディガルムにへと変身した。
「貴様の正義は……俺がぶっ潰す!」
『ほざけ!』
ディガルムの言葉にジャガー・エインはそう叫ぶと、鉤爪で攻撃を繰り出すがディガルムは軽々とジャガー・エインの攻撃を躱すとジャガー・エインの腹部や顔面に拳を何度も叩き込み、後退させた。
『ガッ!』
「まだまだ行くぞ!」
そういうとディガルムは脚に黒炎を纏わせると前蹴りから、回し蹴り、後ろ回し蹴りを叩き込んだ。
『グァァァッ!』
ディガルムの怒涛の攻撃にジャガー・エインは吹き飛び、倒れてしまうがすぐに立ち上がると、鉤爪を構えた。
『だったら!』
ジャガー・エインは驚異的な脚力で驚異的な脚力でディガルムの前から姿を消した。
「ッ!何処に行った……」
いきなりのことに驚くがディガルムはすぐに辺りを見回し、警戒した。そんなディガルムの背後にジャガー・エインが現れ、鉤爪で斬り裂いた。
「クソッ!」
ディガルムはすぐに振り返り、攻撃を防ぎジャガー・エインに拳を叩き込もうとしたがジャガー・エインは俊敏な動きで攻撃を回避した。ディガルムはジャガー・エインを見つけようと辺りを見回すがジャガー・エインはそれよりも先にディガルムの死角に現れ、攻撃し俊敏な動きで姿を消し、ディガルムを翻弄した。
『ざまぁないな!ほらほらー!先の威勢はどうしたんだよ!』
完全に調子に乗ったジャガー・エインはディガルムを挑発しながら又もやディガルムの死角に現れ、攻撃しようとした。
「士郎さん!」
「おい、クソ野郎……あんまり俺を舐めるなよ!」
ディガルムは死角に現れたジャガー・エインを仮面越しから睨みつけると、鉤爪を受け止め腹部に膝蹴りを叩き込むと投げ飛ばした。
『なにっ、ぐああああ!?』
投げ飛ばされたジャガー・エインは土煙を巻き上げながら倒れ込んだ。その隙にディガルムは左手に黒炎か出現させ、一枚のカードに生成させ変幻機ドラゴバイザーに装填した。
SWORD VENT!
カードを読み込んだドラゴバイザーから黒炎が溢れ出し、ディガルムの前で紫と黒のラインがあり剣のガードにはカリバーのライダーズクレストがある剣に変わった。
「黒龍剣 ドラゴブレード!」
剣「黒龍剣 ドラゴブレード」を握るとディガルムはジャガー・エインに近づくとブレードを振るいながら、袈裟斬りや横一閃を繰り出し、ジャガー・エインを斬り裂いた。
斬り裂かれたジャガー・エインは後退するが、ディガルムは追撃に炎の斬撃を飛ばし、ジャガー・エインを吹き飛ばした。
「そろそろ……」
『待ってくれ!金ならある!幾ら欲しい!万か!億か!兆なのか!あなたが求める金全てあげますから!』
「要らねぇよそんな汚い金」
『なんで!?』
「マリアも言っていたが……全てお金で解決出来ると思ったら大間違いだぜ。この世には金よりも大切なものが沢山存在している」
『そんな……』
「これでチェックメイトだ!
ジャガー・エインは醜い命乞いをするがディガルムはそれを一蹴りし、カリバーのスピリオを引き抜き剣のガードの部分にセットした。
SCAN!CALIBUR!
FINAL・BURST!
電信音声と共に紫色の炎を刀身に纏われ、ジャガー・エインに近づき……
「龍炎十文字斬り!」
ジャガー・エインを十字形に斬り裂いた。
ディガルムの必殺技を喰らったジャガー・エインは爆散した。そして、誠の姿に戻ると誠はその場で倒れ、腕からエイン・ハートが飛び出し、粉々に砕け散った。
「ちょっとはこれで反省しろ」
「また、助けてもらいましたね」
「別にいい、俺はただエインを倒しただけだ。お前を助けたのはついでみたいなものだ」
「ふふっそうですか」
士郎の言葉にマリアは微笑みながらそう応えた。それを見た士郎はやれやれと首を振りながら、リュックサックを担ぎその場を後にしようとした。
「じゃあな」
「待ってください!」
が……又もやマリアにリュックサックを掴まれ、立ち去ることを阻止した。
「またか。今度はなんだ」
「あの……士郎さんって住む場所が無いと言いましたよね?」
「それがどうした」
「だったら……私達の教会に居候しませんか!」
「はぁ?」
マリアのいきなりの提案に士郎は目が点になってしまった。
「何馬鹿なこと言っているんだ」
「ば、馬鹿なことは言ってません!士郎さんはいつも外で寝ているのは苦しいと思い、それに二度も助けてもらった士郎さんにお礼をしたいんです!」
「要らん。余計なお世『グゥゥ〜』……」
士郎がマリアの提案を蹴ろうとした瞬間、大きな腹の音が鳴った。
「確か、?変身するとお腹が減るんですよね?」
「……それがどうした」
「私達のところでは食事も住居それに衣服もあります!後、叔父さんから了承を得ているので言い逃れは出来ませんよ!どうですか?あ、ちなみに今日の夕食はカレーです!」
ふふんっ!と何故か勝ち誇っているマリアに士郎はため息を吐き頭をかくと……
「わかった……俺の負けだ。よろしくなマリア」
「はい!よろしくです!士郎さん!」
こうして士郎はマリア達が住む教会に居候することになった。
しかし、これは士郎達にとって長い戦いという物語の序章にしか過ぎなかった。
「クソがァァァッ!あの犬野郎!俺様のエインを倒しやがって!」
とある洋館……そこでは赤髪のロック系の服を着た凶暴そうな男性が大暴れしていた。
「あははッ!残念だったね〜ミカエル〜!」
「黙れ!ガブリエル!」
そこに緑色の髪に軍服を着た少女が現れ、赤髪の男性を笑いながら挑発した。
「あんなに息巻いていた癖に呆気ないわね」
「うるせぇぞ!ラファエル!」
次に現れたのは水色の髪に着物を水色の着た女性が扇子を開き口を隠しながら赤髪の男性にそう言った。
「俺様のせいじゃねぇよ!あの人間共が力を使いこなしていなかっただけだ!」
「ホントかな〜?ミカエルがめんどくさいから適当に渡したんでしょ?」
「そうね。ちゃんと人間を選んで力を渡しなさい」
「この野郎……上等だ!お前達を焼き尽くしてやる!」
「いいよ?雷で灰にさせてあげるよ」
「水であなたを燃えカスにしてあげるわ」
赤髪の男性は炎を緑色の髪の少女は雷、水色の髪をした女性は水を纏い今にも戦いが起きる雰囲気だった。
「辞めろ。貴様ら」
一色触発の空気に第三者の声が聞こえてきた。男女は声のした方に振り返ると誠のことを見ていたフードの男だった。
男はフードを取ると、金髪に赤色の瞳をした男性だった。
「けっ、ウリエル」
「あ〜ウリエル!」
「やっと戻ってきたわね」
「お前達が喧嘩すればまた、この洋館が崩れる。ミカエル、もう少し渡す人間を考えろ、適当に渡すな。ガブリエルとラファエル、一々煽るな」
「チッ、わーたよ」
「はーい!」
「努力するわ」
先程までの一色触発の空気を抑えると金髪の男性は椅子に座った。
「……ディガルム……何れ貴様は我々が殺す!」
金髪の男性がそういうと男性の瞳が赤く輝いた。