デート・ア・ディケイド   作:黒崎士道

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新たな仲間

士たちと同じ来禅高校に転入してきた少年、絶希晴人は指輪の魔法使いーー仮面ライダーウィザードに変身し、迫り来るグールの群れに臆することなく立ち向かって行く。

 

「ふん!はっ!」

 

ウィザードは手に持った専用武器、ウィザーソードガンをガンモードからソードモードへと変形させ、グールたちを斬り裂いていく。

 

「あらよっと」

 

ウィザードの背後にグールが槍を振るって襲いかかるが、ウィザードはアクロバティックな動きで軽々と躱し、ウィザーソードガンで再びグールを斬りつける。

 

「にしても、数が多いな…」

 

また一体を斬り伏して周りを見渡せば、未だにグールたちが犇き合っている。そんなウィザードの横を一つの影が通り過ぎた。

 

《ATTACK RIDE・SLASH》

 

「たあっ!」

 

ウィザードの前に出たディケイドのマゼンタの光を纏ったライドブッカーの斬撃がウィザードの周りにいたグールたちを吹き飛ばす。

 

「えっと…五河君、でいいんだよな?」

 

「ああ。俺も手伝うぞ、絶希」

 

ディケイドはウィザードにそう答えると、ライドブッカーからカードを取り出しバックルに挿入する。

 

《ATTACK RIDE・BLAST》

 

「はあっ!」

 

ディケイドライバーにカードを挿入すると同時にライドブッカーをガンモードに変形させ、グールの群れに銃口を向けると、引き金を引いた。

すると、ライドブッカーの銃身がマゼンタカラーの分身を作り出し、同時に五つの銃口が火を噴いた。

一斉に連射される光弾を正面から受けたグールたちは呆気なく倒され、残るはゴブリンだけだ。

 

「おお、すごいね」

 

「このっ……貴様らああああ!」

 

ウィザードはあんなにいたグールの群れをあっさりと全て倒したディケイドの実力に驚き、自分が呼び出したグールを全て倒されてしまったゴブリンは怒り、棍棒を取り出しディケイドの背後から振り下ろす。

 

「ほっ!」

 

だが、その不意打ちをウィザードがあっさりとウィザーソードガンで受け止める。そして空いた片手でウィザードライバーを操作する。

 

《ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー♪ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー♪》

 

ウィザードはディケイドがグールを射撃している間に入れ替えていたウィザードリングをドライバーに翳し、魔法を発動する。

 

《ライト・プリーズ♪》

 

「ぐわっ⁉︎なんだこれは⁉︎」

 

突然ウィザードの身体から光が発せられる。その光の眩しさにゴブリンは両手で目を隠す。それはゴブリンの身体がガラ空きになっているということだった。

 

「「はあっ!」」

 

「があああああ⁉︎」

 

ガラ空きになったゴブリンの腹にディケイドとウィザードが蹴りを入れ込む。それによってゴブリンの体は大きく吹き飛ばされる。

 

「さぁて、そろそろ決めますか」

 

ウィザードはそう告げるとウィザーソードガンをガンモードに変形させ、手形のハンドオーサーを開放する。

 

《キャモナシューティング・シェイクハンズ♪キャモナシューティング・シェイクハンズ♪》

 

「さあ、フィナーレだ」

 

ウィザードは冷淡に、ゴブリンにそう告げる。

ウィザードはウィザーソードガンのハンドオーサーに左手に装着したフレイムウィザードリングをまるで握手するかのように翳す。

 

《フレイム・シューティングストライク!ヒーヒーヒー♪ヒーヒーヒー♪》

 

そして銃口をゴブリンに向け、引き金を引いた。

 

「があああああ⁉︎この俺が…こんな、こんな奴らに……ぐああああああああああ‼︎」

 

 

ウィザーソードガンから放たれた火炎弾がゴブリンに直撃。その威力は凄まじく、ゴブリンは爆発とともに消えてしまった。

 

「ふぅ」

 

ウィザードは一息つくと、変身を解除し絶希晴人の姿に戻る。それに続いてディケイドも変身を解除して士の姿に戻り、互いに変身を解除したところで晴人が士に話しかける。

 

「で…君がこの世界の仮面ライダーでいいんだよな?」

 

「ああ、いいと思う」

 

士はそう答える。そこで離れていた士道と十香がこちらに来る。

 

「士、絶希!大丈夫か⁉︎」

 

「大丈夫だよ。えっと…五河………しんたろう君だっけ?」

 

士道の名前を知らないのか晴人は首を傾げながら士道に逆に聞いてくる。それに士道がツッコミを入れる。

 

「し、しか合ってねぇ!士道だよ!五河士道!」

 

「五河だと紛らわしいから俺は士って呼んでくれ」

 

「分かったよ。士、士道。じゃあ俺のことも晴人って呼んでくれよ」

 

三人も名前も呼ぶようになったところで、士道が何かに気がついた。

 

「なあ士、俺たち普通にこうやって過ごしてるけど……十香のこと忘れてないか?」

 

「あ」

 

たった今思い出したのか、そこで士は素っ頓狂な声を上げた。何も知らない晴人は頭にハテナを浮かばせている。

 

思えば類を見ない大食いである十香が好物のきなこのパフェを食べようとしていたところを士が無理矢理連れ出し、自分の要件が済んだらそれをほったらかしにしていたのだから。

先程までファントムたちを相手取り勇猛果敢に戦っていたディケイドである士も十香の怒りを恐れた。

 

「何をしておるのだツカサ!シドー!用が済んだのなら早くきなこぱふぇを食べるぞ‼︎」

 

「お、おい十香⁉︎」

 

「ぐぇ⁉︎と…十香!く、首!首が絞まる‼︎」

 

もうここにいる必要はないと言わんばかりに十香は士道の手を引き、士に至っては制服の襟を引っ張られ、完全に首が絞まっているがそんなことは気にもせず十香はそのまま走り出す。

 

「…何が何やら」

 

その様子を見ていた晴人は肩を竦め、彼も士たちと一緒に『ル・クール』へと走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわあ〜〜……」

 

ル・クールに戻った十香は先程食べ損ねたDXきなこパフェを堪能し、まるで天国でも見たかのように、これまでにない程の幸せそうな顔をした。

 

「けしからん…なんといううまさなのだ!これはきなこパンを上回る至高の味だぞ!」

 

「そ……そうか…」

 

「は、ははは…」

 

「十香ちゃんは本当にきなこが好きだね」

 

パフェのあまりの美味しさに十香が興奮するが、首が絞まり窒息死しかけた士は机に突っ伏し、士道は苦笑いをしながらホットケーキを口に運ぶ。

そして士は顔を上げ、そこに居た人物に叫ぶ。

 

「なんで大樹がいるんだよ⁉︎」

 

「居てあげてるんだ。感謝したまえ」

 

そう。ル・クールに戻ってみれば、士たちが座っていた席に大樹が我が物ののように座ってくつろいでいたのだ。

因みに晴人はメニューを見て蓮に注文を入れていた。

 

「じゃあ、注文はどうする?」

 

「えっと…じゃあ、このプレーンシュガードーナツで」

 

「分かった。大樹も何か食っていくか?」

 

「じゃあ僕はフルーツパフェをお願いします」

 

蓮は二人の注文を聞くと、そのままカウンターへと姿を消す。一先ず落ち着いたところで、士は晴人に問わねばならないことがあった。

 

「晴人…お前、仮面ライダーだったのか?」

 

「まぁね」

 

「ふーん…じゃあ晴人に話してもいいんじゃないかな。僕たちの敵について」

 

「ああ、そうだな」

 

そして士たちは晴人にこれまでの出来事を語ることにした。精霊についてはどうしようか迷ったが、晴人は士たちを助けてくれたので、それについても話した。少なくとも自分たちの知りえる情報も、すべて。

 

 

 

ーーー世界を殺す厄災、精霊。

 

ーーー精霊を救うために活動をしている秘密機関ラタトスク。

 

ーーーそして、精霊を狙う謎の組織パラドクス。

 

 

 

それらをすべて話し終えると、店内に沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは晴人だった。

 

「…成る程ね。要はパラドクスっていう奴らがいろんな世界の怪人たちを統率していて、精霊を狙っているってことなんだよな?」

 

「簡単にまとめたらそうだな」

 

「へぇ…魔法使いの俺が言うのもなんだけど、世界って不思議なことばかりだな」

 

「なあ、晴人は魔法使いなのか?」

 

士たちの会話に士道が聞いてくる。魔法使いと聞いたのだから、気になるのは当然だろう。

 

「ああ、そうだよ。試しに魔法を見せてやろうか?」

 

晴人はそう言うと、右手に指輪を装着すると、それをバックルに翳す。

 

《ガルーダ・プリーズ♪》

 

すると晴人の前にプラモデルのような物が組み立てられていく。これはウィザードの使い魔であるプラモンスター『レッドガルーダ』だ。

 

「これは?」

 

「こいつは俺の使い魔さ」

 

「使い魔?…うわっ!動き出した!」

 

晴人は士道に説明しながら、召喚に使用した指輪を定位置にセットして、使い魔たちはピコピコと動き出す。晴人は驚く士道を流し目で見ながら水を飲む。

 

「こいつが俺の使い魔のガルちゃんだ」

 

「ちゃっかり名前も付けてるのか……」

 

晴人に名付けられたレッドガルーダーーガルちゃんはしばらくその辺りを飛んでいたが、パフェを食べていた十香に気がつくと今度は十香の周囲を飛び回り始めた。

 

「む、どうしたというのだ?」

 

「はははっ、どうやら十香はガルちゃんに気に入られたみたいだな」

 

「そうなのか?」

 

晴人の言葉に十香がガルちゃんに聞くと、ガルちゃんはそれを肯定するように翼をピコピコと動かす。

 

「っていうか、こんなところで魔法使っていいのかよ?他の客はいないけど、蓮さんだっているんだぞ」

 

「あ…」

 

士道の言葉に今更気づく晴人だった。

 

「大丈夫だよ。蓮さんは俺たちが仮面ライダーだってこと知ってるんだし」

 

「そうなのか?」

 

「ああ、蓮さんは僕たちの正体を知っている数少ない人物の一人さ」

 

「そういうことだ」

 

士たちの会話に蓮が注文された品をお盆に乗せてやって来る。晴人と大樹にドーナツとフルーツパフェを差し出すと、近くのカウンター席に腰を掛ける。

 

「ただし、俺はただの観客さ。

士たち仮面ライダーが何をして、世界がどうなっていくのかを見届けるだけだ。……まぁ、それ以外では俺はこの喫茶店のマスターだがな」

 

蓮はそう言うといつの間に淹れていたのか、コーヒーを口にする。そしてコーヒーの入ったカップをカウンターに置くと、晴人を見つめる。

 

「で、お前はどうするんだ晴人。お前も士たちと一緒にパラドクスと戦うのか?」

 

蓮の問いに晴人は笑みを浮かべ左手に装着したウィザードリングを見せつけるように掲げる。

 

「もちろんさ。なんたって俺は、希望の魔法使いだからな。精霊の希望だって守ってみせる」

 

「戦っても勝ち目はないかもしれないんだぞ?それでもか?」

 

「上等だ。俺は絶対に絶望なんかしないし、誰にもさせない」

 

晴人は強く、そう告げる。

士たちは新しい協力者が出来たことに喜び、その様子を蓮はカウンターから眺めていた。

 

「さあ、今日はもう閉店だ。早く帰っておけ」

 

時計を見ると、もうすでに7時を過ぎていた。もう日はとっくに沈んでいる。家に帰っているはずの琴里の夕食の準備をしなくてはと思い、今日はそのまま全員解散となった。

 

現在はフラクシナスに住んでいる十香を迎えに来た令音に十香を任せると、士と士道は家路を急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその日の夜、閉店中のル・クールのカウンターで蓮はコーヒーを口にしながらある人物に電話をかけていた。数回のコールの後、その人物が電話に出る。

 

「はい、もしもし?」

 

「ああ士道、俺だ。悪いな、こんな時間に電話なんかかけて」

 

蓮の通話の相手とは士の家族、五河士道だった。

 

「別にいいですけど…どうしたんですか?」

 

「いや、明日学校が終わったら店に来てくれないか?お前に渡したいプレゼントがあるんだ」

 

「プレゼント…ですか?」

 

「ああ……お前にとっては一番欲しい物のはずだ。それじゃあ明日、店で待ってるぜ」

 

蓮はそれだけ伝えると、士道との通話を切る。携帯をカウンターに置き、またコーヒーを飲む。そしてカウンターに置いてある物を二つ手に取る。

 

 

 

「さて…力を求めるお前がどこまで俺を楽しませてくれるのか、見せてもらうぜ………士道」

 

 

そう呟く蓮の手の中には、黒いバックルと果物を模した錠前が握られていた。

 

 

 




ウィザードこと晴人が士の仲間になりました。

そして次回、士道がまさかの……⁉︎
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