デート・ア・ディケイド   作:黒崎士道

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ラタトスク

士と大樹がパラドクスと遭遇した次の日、結局あの後琴里はこちらが心配したのも知らずに元気に帰ってきた。

そして学校の帰りのホームルームで。

 

「来て」

 

「は?お、おい……」

 

士は突然折紙に手を掴まれ、そのまま何処かに強制的に連行された。後方では大樹が頑張れと言うかのような眼差しをして、女子の集団が何やらキャーキャーと騒いでいる。そして現在、屋上で折紙に解放された二人は彼女と向き合う状態だった。

 

「五河士。あなたに聞きたいことがある」

 

「ああ…昨日のことだろ?」

 

「誰にも口外しないで。私のことも、それ以外のことも」

 

「分かってるよ。そもそも言うつもりもないって」

 

「それと、昨日のあれは何?」

 

やっぱり聞いてきたか。と士は内心で呟いた。内容は当然、ディケイドと怪人たちについてだろう。

 

「あれって、ディケイドのことか?」

 

「そう」

 

折紙はぴくりとも表情を変えないまま短く言った。

 

「……守るために全てを破壊する力、かな」

 

「…どういう意味?」

 

「俺は目の前で大切な人たちを失いたくないんだ。だから俺はディケイドになってみんなを守るんだよ」

 

士の答えに折紙はまだ表情を変えずに黙って聞いていた。

 

「なら、あなたが昨日戦った黒コートの男は何?」

 

今度は怪人に変身したあの青い髪の男、について質問をしてくる。

 

「あいつは…いや、あいつらとは関わらない方がいい」

 

「どうして?」

 

「昨日の戦いを見てたら分かるだろ?あいつは強すぎる。しかも、あんな奴らがまだいるんだ。普通の奴なら絶対に殺される」

 

「……」

 

折紙は士の言葉に歯を噛み締めた。士の言うとおり、あの男はディケイドの強力な攻撃を受けても平然と立っていたのだ。

彼の言葉通り、折紙たちなら簡単にやられてしまうだろう。

 

「まあ、要するにあいつらは俺たちに任せろってこと。じゃあ俺はもう行くよ」

 

士は屋上から去って行く。折紙はその背を悔しそうに拳を握り締めて見ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

そしてそれから約20分後……

 

「なんでこうなんの⁉︎」

 

士は下校途中で『カブトの世界』の怪人、ワームに追いかけられていた。恐らくパラドクスのメンバーがディケイドを消すために呼び出したのだろう。

 

「キバット!」

 

「おう!」

 

士はキバットからバックルを受け取り腰に装着、カードを挿入する。

 

「変身!」

 

《KAMEN RIDE・DECADE》

 

士はディケイドに変身すると、それを待っていたかのようにワームがサナギ体から成虫体のアラクネワーム・二グリティアに脱皮した。

その瞬間、二グリティアはクロックアップで高速移動をし、ディケイドを吹き飛ばす。

 

「ぐっ…クロックアップ出来るのはお前だけじゃないぜ!」

 

《KAMEN RIDE・KABUTO》

 

ディケイドはライダーカードを用いてカブトへと変身。同時にもう一枚のカードを取り出す。

 

《ATTACK RIDE・CROCK UP》

 

カブトとなったディケイド・カブトはカブトの能力、クロックアップを発動し、ソードモードのライドブッカーで二グリティアに向かって行く。

 

ディケイド・カブトとワーム以外の周りの世界が超スローモーションのように見える超高速の世界の中、ディケイド・カブトはライドブッカーで二グリティアを何度も斬りつけ、とどめの一撃で二グリティアは爆発した。

 

「……ふぅ」

 

ワームを倒したディケイドは変身を解除し、士の姿に戻ると、

 

「おーい!士ー!」

 

「ん…士道か?」

 

声がしたので振り返ると、背後から士道がこちらに向かって走ってくる。

 

「どうしたんだ?」

 

「ああ、士に聞きたいことがあってな…」

 

「聞きたいこと?」

 

「ああ……ちょっと待ってくれ」

 

士道はそう言うと、耳元に手を当てて何かを呟いている。

 

二人がそんなやり取りをしていると、キバットが飛んできた。

 

「士、また怪人だ!」

 

「っ!分かった!行くぞキバット!」

 

「え…⁉︎お、おい。待てよ士!俺も行く!」

 

 

 

 

士たちが現場に着くと、そこには『キバの世界』の怪人、ファンガイアであるホースファンガイアが一人の女性を襲おうとしていた。

 

「変身!」

 

《KAMEN RIDE・DECADE》

 

ディケイドに変身した士は、ホースファンガイアを蹴り飛ばし壁に叩きつけ、女性から引き離した。

 

「早く逃げろ!」

 

ディケイドの声に女性は震えながらその場から走り去った。

 

「お前はディケイド……!」

 

ディケイドの拳、蹴りが次々とホースファンガイアに炸裂する。ディケイドの優勢が続くと思ったが、ホースファンガイアはどこからか剣を取り出し、不意をつかれたディケイドに斬りかかる。

 

「ぐぁっ!」

 

「士っ!」

 

ディケイドはファンガイアの剣撃をまともに受け、ダメージを受けすぎて一瞬で劣勢になった。

 

「チッ……!」

 

「終わりだ!」

 

ホースファンガイアがディケイドを剣で貫こうとした。

 

だがその瞬間、ホースファンガイアを幾つもの銃撃が襲いかかる。士は背後を振り向くと、そこには大樹がディエンドライバーの銃口をホースファンガイアに向けていた。

 

「ファンガイアということは、パラドクスの差し金か。

そんなことより、何やってるんだい、士」

 

大樹は膝をついたディケイドに歩み寄る。

 

「大樹…お前、何で……」

 

「それよりも先に奴を倒すんだろ?説明はそれから」

 

大樹はホースファンガイアの前に立ち塞がる。

 

「貴様!邪魔をするな!」

 

「僕の旅の行き先は僕が決める。覚えておきたまえ」

 

大樹はそう言って、片手に変身銃、ディエンドライバーを持ちカードを銃身に装鎮すると、銃口を上に向ける。

 

「変身!」

 

《KAMEN RIDE・DIEND》

 

すると、大樹の姿が基本カラーがシアンと黒がベースのディケイドに似た仮面ライダーディエンドに変身する。その姿に士道が驚愕の声を上げる。

 

「大樹も仮面ライダーなのか⁉︎」

 

「士道、君は士の戦闘しか見たことがないよね。なら見せてあげよう、これが僕の闘い方だ!」

 

ディエンドはファンガイアに駆け出し、銃撃、蹴りを繰り出すと、カードを取り出しディエンドライバーに装鎮した。

 

《ATTACK RIDE・BLEST》

 

「はあっ!」

 

ディエンドライバーの銃口から幾つもの青い光弾がホースファンガイア目掛けて発射される。

 

「ぐうう!」

 

ディエンドの銃撃によってホースファンガイアの動きが怯む。

 

「決めろ!士!」

 

「ああ!」

 

ディケイドは金色のカードをバックルに挿入する。

 

《FAINAL ATTACK RIDE・de、de、de、DECADE》

 

ディケイドとホースファンガイアの間に14枚のホログラム状のカード型エネルギーが現れる。

ディケイドはその中を潜り抜けてディケイドの必殺技、『ディメンションキック』を放つ。

 

「ぐわあああああっ!」

 

ディケイドの『ディメンションキック』を受けたファンガイアは爆発した。

そして戦闘が終わった後、変身を解いた士と大樹は公園で話し合っていた。

 

「……で、俺に話ってなんなんだ?」

 

「ああ…悪いけど、士と大樹に一緒に来て欲しいんだ」

 

「僕も?何故だい?」

 

「お前らと話したいって奴がいるんだけど、いいか?」

 

「俺は別にいいぞ」

 

「僕もだ。断る理由がない」

 

士と大樹がそう言った瞬間、二人は謎の浮遊感に包まれてその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

切り立った崖に囲まれた荒野。乾いた風が吹きすさぶ。そんな中に士は一人立っていた。この場所には見覚えがあった。ここは初めてディケイドに変身した日の朝に自分が夢で立っていた場所なのだ。

だが夢と違い、周りにはライダーもマシンも倒れてはいなかった。

 

「…ここは夢の……え?」

 

士は辺りを見回すといつの間にか目の前にいた人物に驚いた。それは初代仮面ライダー、仮面ライダー1号だったのだ。1号は士を見つめたままその場に立っていた。

 

「仮面ライダー…1号…?」

 

「これからお前に幾つもの宿命が降りかかる」

 

「え…?」

 

「お前はその宿命を乗り越えた時こそ、真の仮面ライダーとなる」

 

「どういうことだ?」

 

士は1号聞き返す。だが1号はしばらく黙ったままで言葉を発した。

 

「この物語はお前が紡いでいかなければならないという事だ」

 

1号はそう言って背を向けると姿を消し、士の意識が途切れた。

 

 

 

 

士が目を覚ますと、目の前に見ず知らずの目元に隈を蓄えた眠たげな女性が顔をかなり近づけて覗き込んでいた。

 

「ふむ、起きたかね」

 

「あ、はい。おはようございます……じゃねえよ!てゆーかあんた誰⁉︎」

 

「ここで解析官をやっている、村雨令音だ」

 

「おいおい、起きていきなり煩いね君は」

 

側には大樹がパイプ椅子を逆向きに座っていた。士は女性に質問をする。

 

「あの…ここってどこですか?」

 

「……ああ、〈フラクシナス〉の医務室だ。君が気絶していたので勝手に運ばせてもらったよ」

 

突然訳のわからないワードが出てきて現在頭の中が絶賛パニック中だ。

 

「?……えっと〜、すいません、よく分からないんですけど?」

 

「どうも私は説明下手でね、丁度いい。君たちに会わせたい人がいる。気になることは色々あるかもしれないが、詳しい話はその人から聞いてくれ。君たちの友人もそこにいる」

 

士は大樹と共に令音の後について行き、その合わせたいという人の元へ向かうことになった。

その道中、彼女は30年寝てないと言って睡眠導入剤をラッパ飲みでラムネのようにガブ飲みしていた。

士は普通に命の心配をしたがその反対に大樹は、『この人、怪人じゃないの?』と若干ドン引きしていた。

 

そして令音に連れられて三人は軍艦にある司令室のような大部屋であった。中に入ると金髪の男性が待ち構えていた。

 

「初めまして。私はここの副司令、神無月恭平と申します。以後お見知りおきを」

 

「えっと……どうも」

 

いきなり知らない人に挨拶をされた上、何処だか分からない場所にいることに士は戸惑っていた。それに比べて大樹は冷静を貫いていた。

 

「よく来たわね。待っていたわ」

 

不意に声が聞こえた。その声は艦長席のような場所に座る人物のものだったが、その人物に士とポケットにいたキバットを含めて流石の大樹も驚きを隠せなかった。

 

「歓迎するわ。ようこそ、『ラタトスク』へ」

 

そう、それは普段は可愛らしい雰囲気を放つ士の可愛い妹の琴里だった。唯一いつもと違うのはツインテールを括っていた白いリボンが黒いリボンになっていたことだ。

 

「「「琴里(ちゃん)⁉︎」」」

 

士と大樹、キバットは驚愕で思わず叫んでしまった。よく見たら、その側には士道が複雑そうな表情をしていた。だが琴里はそんなことはスルーで士に聞かなければならないことがあった。

 

「そんなことより、士!大樹!これはどういうことよ⁉︎」

 

「呼び捨て⁉︎」

 

「なあ士、あれっていわゆる『反抗期』ってやつなのかな?」

 

驚く士と大樹を無視して琴里が正面にあった巨大なモニターを指すと、そこには先日士がディケイドに変身して怪人たちと戦闘を繰り広げていた映像が最初から最後まで映し出された。

 

「さあ!説明して!」

 

「ちょっ、ちょっと待てって!」

 

「何よ、せっかく司令官直々に説明を求めてるっていうのに。もっと光栄に咽び泣いてみなさいよ。今なら特別に足の裏くらい舐めさせてあげるわよ?」

 

「ほ……ッ、本当ですか⁉︎」

 

「あんたじゃない!」

 

神無月が喜び勇んで声を上げたが、琴里が即座に神無月の鳩尾に肘鉄を喰らわせ、神無月はそのままうつ伏せになる。士は神無月を心配して駆け寄るが、

 

「心配ご無用、我々の業界では最高のご褒美です!」

 

「なんだよその業界⁉︎」

 

 

 

結局、状況が落ち着いてきたところで士と大樹は琴里たちに全てを話した。

仮面ライダーのこと、そして怪人を率いるパラドクスのこと、流石に二人が転生者であることは伏せておいた。

話を終えると琴里が頭を抱えてため息をついた。士道もなんだか疲れたような表情を見せる。

 

「なんか……壮大すぎて頭がこんがらがってくるわ。何よパラドクスって……ロクな奴らじゃないわね」

 

「ああ……話がデカすぎだろ……」

 

 

「じゃあ、次はこっちが説明するわね」

 

琴里がそう言うとモニターが切り替わり、先日士と士道が会った精霊の少女が映し出された。

 

「これはーー」

 

「精霊。本来この世界に存在しないものであり、この世界に出現するだけで己の意思とは関係なく空間震を発生させる。悪い言い方をすれば人類を滅ぼす最凶最悪の化物だ」

 

琴里の説明を遮るように大樹が言葉を挟む。

 

「ーーへえ、よく知ってるのね」

 

「まあ、あまり深く詮索はしないでほしいな」

 

士も大樹もアーガスコーポレーションでテイラーに散々聞かされていたのでそれについては既に知っている。

 

「ふーん。じゃあわざわざ説明する手間が省けるわね。それじゃあ二つ目、これはAST。陸自の対精霊部隊よ。精霊が出現したらその場に飛んでいって処理、要はぶっ殺すってこと」

 

琴里がそう言うと令音がモニターに向けてリモコンを操作し、そこにたった一人の少女に機械で武装をした女性たちが集中的に攻撃している映像が映し出された。

 

「これがASTのやり方よ。あんたたちはこんなやり方がいいの?」

 

「こんなのいい訳ないだろ!」

 

士は思わず声を荒げる。その時、ふとあの少女の顔が浮かんできた。

 

(ーーお前も……か)

 

ようやくあの子があんなことを言った意味が分かった。そしてあの、今にも泣き出してしまいそうな顔の意味も。

 

「いくら危険だからって、こんなことする必要ないだろ…」

 

士がそう言うと琴里は人差し指を立てた。

 

「ふーん、じゃあ精霊の対処方法がもうひとつあるとしたら?」

 

「もうひとつ…?」

 

「そう。ひとつはASTのやり方、武力による殲滅。そしてもうひとつが精霊との対話。私たち『ラタトスク』はこちらの方法で精霊を保護することを目的としているの」

 

士たちは勿論そちらの方法がいいに決まってる。だが、琴里の次の言葉でこの緊迫した雰囲気は一気にぶち壊された。

 

「というわけで士と士道には精霊とデートしてデレさせてもらうわよ」

 

琴里はふふんと得意げにそう言った。……そしてしばらくの沈黙が流れた。

 

「ちょっと待て⁉︎」

 

琴里から何の脈絡もなく突然の精霊とのデート宣言に士またもや思わず声を上げる。

そもそも先程のやり取りでどうやったらデートという単語が出てくるのだろうか。

 

「なんで今の会話でそうなるんだ!」

 

「てか大樹はどうなんだよ!」

 

「ああ、大樹には士の相棒として二人のサポートをしてもらうわ」

 

「僕と士が相棒か……中々いいね。ところで琴里ちゃん」

 

「なんなら琴里様でもいいわよ?」

 

「却下。僕はここではどういう立場なのかな?」

 

「今の話だと、パラドクスって奴らは怪人たちを使って精霊を狙うかもしれない。

そんな時に仮面ライダーとはいえ士一人だけじゃ対処し切れるとは限らないでしょ?だからこそ、もう一人の仮面ライダーであるあんたが必要なのよ」

 

「そうか、なら協力するよ」

 

大樹は琴里に指鉄砲で打つ仕草をする。それに琴里はクスリと微笑んだ。

 

「そう、なら二人は明日から訓練よ」

 

「「聞けよ‼︎」」

 

士の意思など全く関係なく士は大樹と共にラタトスクの一員となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ???

 

漆黒の仮面ライダーは夕日が沈みかけている天宮市を高いビルから見下ろしていた。その背後に黒いコートを着た男、ノーハートが現れる。

 

「どうだディケイドは?」

 

「まだ全然だ。俺が仮面ライダーとしてしっかり鍛えてやらないとな」

 

漆黒の仮面ライダーは笑いながらそう告げる。

 

「まだ時期が早い、次に精霊が出現した時にしておけ」

 

「わかってる。今は様子見だろ?」

 

「そうだ。我々の物語が今から始まる」

 

その言葉に漆黒のライダーは空を見上げながら答える。

 

「物語ーーーそんななまやさしいものなのか?」

 

「………全ては計画次第ということだな…」

 

ノーハートはそれだけ言うと、その場から姿を消す。残されたライダーは視線を空から下の街に移す。

 

 

 

 

「ディケイド……そろそろ俺も本格的に動き出すか…。お前を破壊するために」

 

 

 

 




やっぱり戦闘描写が難しいですね。

感想や評価を入れてもらえると嬉しいです。
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