話が少しグダグダかもしれませんがどうぞお楽しみください!
士と大樹がラタトスクの一員となった次の日、
放課後となり生徒たちが次々と帰宅または部活に励む中、士と士道、大樹の三人は自分たちのクラスの副担任として潜入していた令音、そして校内にやって来た琴里と遭遇しそのまま物理準備室へと連れ込まれたのだが、中はかなり改造されていた。
部屋の中には多くの液晶画面が設置され、以前の物理準備室の面影すらもはやなかった。
「何ですか、この部屋?」
士道が恐る恐る尋ねると、令音は明らかに考えるような仕草を行ってから答える。
「……部屋の備品さ?」
「なんで疑問系なんだよ⁉︎ついでに嘘が下手すぎだし!あとこの部屋にいた先生はどうなったの⁉︎」
名前は知らないけど確か物理準備室には先生が住んでいるとかなんとかという噂を大樹から聞いたことがある。
なんでも本人曰く自宅の便所以外で唯一安らげる場所だったらしいが。
「……ああ、彼か。うむ」
令音は再び考えるような仕草をしたのだがそのまま数秒が過ぎた。そして案の定……
「そこで立っていてもしょうがない。取り敢えず座りたまえ」
「うむ、の次は⁉︎」
結局見事にスルーされた。これ以上このことについて言及するなということなのか。これはもう何を聞いても、きっと無視をされるだろう。
そんなやり取りの中、琴里が白いリボンで括られていた髪をほどくと、ポケットから取り出した黒いリボンで髪を結び直す。
そして気怠げに制服の首元を緩め、令音の近くにあった椅子に座る。
「さあ、早速始めようかしら」
「始めるって何をだよ?」
琴里の言葉に士道は疑問の声を上げるが、琴里はため息をついた。
「昨日、訓練をするって言ったじゃない。もしかしてもう忘れたのかしら。今後のために老人ホームの申し込みをした方が良いかしらね」
いつもとかなり違う琴里の様子に士と士道が辟易した。昨日も見ていた二人だが、未だ琴里の高圧的なモードーーー司令官モードに慣れていなかった。
ただ、いつもの無邪気な琴里ーーー妹モードから司令官モードに変換するマインドコントロールはリボンの付け替えで行っているらしい。
「令音、今日の訓練について二人に説明してちょうだい」
「シンと士、今回は二人にやってもらいたいことがある」
そう言って、令音が液晶画面の電源を入れる。
令音は士のことは普通に『士』と呼ぶのだが、士道の場合は何故か『しんたろう』を略した『シン』と呼ばれている。
本人が散々そのことについて指摘したのだが、どうやら直す気はないらしい。
「君たちがデートを行うにあたって、クリアしてもらわなければならない課題がある。それは女性の接し方さ」
「女性の接し方ですか……」
士道はその程度の事が出来ないわけがないという雰囲気を晒し出していたが、突然琴里に後ろから蹴りを入れられ令音の豊満なバストに飛び込んだ。
「……っ、なな、何しやがる……ッ!」
士道は顔を紅くさせながら琴里に叫ぶ。
「はん、ダメダメね。これくらいで心拍を乱してちゃ話にならないわ」
「……まあ、話は後に置いておくとして。二人にやってもらうのはこれだ」
今のやりとりを見ていた令音は話が進まないと思ったのか液晶画面の電源を入れる。
画面が立ち上げられると、やけにピンクを基調とした映像が映し出された。
「「「ギャルゲー⁉︎」」」
思わず士と士道に続いて大樹まで叫びがハモってしまった。どう見ても『恋愛シュミレーションゲーム』ーー要するとギャルゲーだった。
しかもご丁寧に士道の方には『恋してマイリトル・シドー』、士の方は『恋してマイリトル・ツカサ』のロゴが踊っている。
「言っておくけどもし選択肢を間違えたりしたらあんたたちの黒歴史が公開されることになるから」
「いやああああああああああああ⁉︎」
士道は絶叫を上げる。琴里が取り出したのは士道が黒歴史時代に作ったオリジナルキャラの設定集だった。
「士はこれね」
「なっ……⁉︎」
琴里は液晶画面を指差すと、そこに映し出された映像に士は絶句した。それは……
『ーー変身!……いや、なんか迫力ないなぁ…。もっとこう…威厳がある感じで……変・身!……いや、これはクウガをパクってる感じがするしなぁ……』
かつて士がディケイドの変身のシーンの練習をしている映像だった。
「うわあああああああああああ‼︎やめてええええええええ‼︎」
「じゃあ訓練開始よ」
ここはとある公園のベンチ、そこに一人の男性が頭を抱えていた。
「ちくしょう……また投資に失敗しちまったよ。……たくっ、これで何度目だよ」
どうやらこの男性は株の投資に失敗してしまったようらしい。
「はぁ〜…金が欲しいなぁ〜」
男性はそんなことを一人で愚痴を言っている中……
「くくく……まあしょぼいが結構な欲望を持つ奴がいるな」
ブライグは公園の木の上で欲望から生まれたメダル、セルメダルを片手に男性を見つめていた。
「その欲望……解放してみな」
突然、男性の後頭部に投入口が出現する。
ブライグは男性に向かってセルメダルを投げると、それは吸い込まれるように投入口に投入される。
「う、うわあああああああああああ⁉︎」
男性の腹部からミイラのような怪人が生まれる。
欲望から生まれた『オーズの世界』の怪人、ヤミーだ。男性は怯えてその場から逃げ出す。
そしてヤミーはミイラのような姿からカマキリヤミーへと姿を変える。
それを見たブライグはカマキリヤミーの背後に飛び降りる。
「ディケイドからドライバーを奪え。出来るなら始末しても良いぜ」
「…御意」
そう言うと、カマキリヤミーはその場から飛び出して行った。
「っ!士、また怪人だぜ!」
神様の特典で怪人探知機能が備わったキバットはどんな場所に怪人が出現してもその位置を特定出来るらしい。
キバットがこう知らせるということはまた何処かで怪人が出現したということだ。
「じゃあさっさと行くぞ!」
「士、僕も行こう」
「あ!お前ら待てよ!」
士道が背後で呼び止めるが、士は一刻も早くこのギャルゲー訓練から合法的に逃げ出した。
士は学校から少し離れたところにある小さな公園に着くと、そこにはカマキリヤミーがいた。
「ディケイド……パラドクスのため、貴様にはここで消えて貰う」
「やってみろよ、出来るならな。変身!」
《KAMEN RIDE・DECADE》
士はすかさずライドブッカーからディケイドのライダーカードを取り出すとバックルに挿入し、ディケイドに変身する。
大樹はディエンドライバーでカマキリヤミーに銃弾を浴びせる。
「貴様はディケイドの仲間か⁉︎」
「知らないというのは…悲しいね」
《KAMEN RIDE・DIEND》
「兵隊さん、行ってらっしゃい」
《KAMEN RIDE・RIOTROOPERS》
大樹はディエンドに変身すると、『ファイズの世界』で『騒乱の騎兵』を意味する量産型の戦闘用特殊強化スーツの兵士、ライオトルーパーを三体召喚した。
ライオトルーパーたちはカマキリヤミーに向かって行くが、元々個々の戦闘力が低いライオトルーパーたちは三体がかりでのコンビネーションでカマキリヤミーと五分五分の戦闘を行っている。
「くっ、雑魚どもが!」
「そいつらばかりに気を取られてていいのか?」
《ATTACK RIDE・BLAST》
ディケイドはライオトルーパーたちと戦闘を行っているカマキリヤミーの背後にガンモードのライドブッカーで高速の光弾を放つ。
「ぐぅあ!」
「士、トドメは僕がやらせてもらうよ」
ディエンドは金色のアタックカードをディエンドライバーの銃身に装鎮し、ポンプアクションのように前にスライドさせる。
《FINAL ATTACK RIDE・di、di、di、DIEND》
ディエンドライバーの銃口に幾多のカードたちが円を描きつつ標的を狙うかのようにターゲットサイトを作り出す。そしてディエンドがディエンドライバーのトリガーを引くと、それらが収束し、強力なエネルギービーム『ディメンションシュート』を放つ。
カマキリヤミーと戦闘を行っていたライオトルーパーたちは強制的にビームのエネルギーの一部となった。
「ぐぅあああああああああああああああ⁉︎」
『ディメンションシュート』を受けたカマキリヤミーは断末魔を上げ、爆発した。
「さあ、戻ろうか」
大樹は変身を解除してそのまま帰路を歩く。士は一旦学校に戻ろうかとふと思うが、士道のようにギャルゲー訓練の餌食になるのは御免なので士道には心の中で謝りながら大樹と一緒に帰路を歩く。