ロックマンゼロ -episode leviathan-   作:プレイズ

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ミロワールの森

「ぶフゥ!」

固い何かにレヴィアタンの顔が叩きつけられた。

反動で彼女は頬がめり込むように凹む。

彼女の眼前には突如透明な壁が出現していた。

いや、正確には壁ではなく板であろうか。

無色透明な等身大の板が、飛ばされた彼女の前に置かれていたのだ。

そこへ彼女は頭から全身を打ち付ける形になった。

【挿絵表示】

【挿絵提供:青ツバ様】

激しい音と共に彼女は勢いよく透明板に衝突。

強烈な打撃をもらってしまい、華奢な彼女の身体は一定のダメージを受けてしまう。

 

『レヴィアタンに-17のダメージ』

 

"画面に"HP減の数値が表示がされる。

今の衝撃でそれだけのダメージを彼女は負ったのだ。

彼女の体力ゲージが89%から72%へとダウンする。

元の数値が100%ではないのはこれまでのゼロ亜種との虚構世界での色々で少々疲労していたせいだ。

眠っていても精神世界での疲労でHP数値も下がってしまっていた。

 

ただし、かなりの勢いで叩きつけられたにも関わらず板が割れる事はなかった。

頑丈な素材で出来ていて軟質性がある板のようだ。

おかげで割れた破片で彼女がさらにダメージを負う事は避けられた。

だがその代わりに、彼女の身体はパントマイムのように透明板に貼り付いてしまう。

「ムギュぅ……!」

【挿絵表示】

【挿絵提供:シンシア様】

強烈に板面に打ち付けられ、板が割れなかった事で彼女の身体はそこに吸着してしまった。

彼女はボディや頬を板に押し付けられた状態で痛みに悶絶する。

 

すると、その数秒後に変化が起こった。

透明板が発光しだしたのだ。

レヴィアタンが異変に気付いた時にはもう手遅れである。

「ぁ……!」

瞬きをした瞬間、パッと彼女の身体が消えた。

彼女の身体はまるで転送されたように忽然と無くなってしまう。

 

『グフフ、行ッテラッシャイ』

 

姿を消した彼女の背中にスノウスレイヴマンが笑いながら語りかけた。

彼女は飛ばされてしまったのだ。

未知の異界へとーー。

 

 

 

「ぇ……?」

気が付くと、彼女はどこかの森の中に居た。

周りを木々に囲まれて足下には草花が生えている。

突然辺りの景色が変わってしまい、彼女は困惑した。

「ど、どういう事……?」

急いで彼女は周囲を見回す。

辺りは薄暗く、視界が悪い。たくさんの樹木があるのが見えるが、スノウスレイヴマンの姿はない。

足下には綺麗な花が所々に咲いていた。

「どこへ行ったの…!出てきなさい!」

彼女は木々の奥へ向かって叫ぶ。

スノウスレイヴマンが森の中に身を潜めていると思ったからだ。

だが彼女の声に対して返答はない。

森の奥へと彼女の声が木霊するように反響するだけだ。

 

「くっ、いったいどこへ……」

白いフォルムの姿を彼女は探す。

木々の間から覗いているのではと彼女は注意をこらした。

しかし、すぐにその作業は中断を余儀なくされる。

背後から草花を踏みしめる音がしたからだ。

「!」

反射的に彼女はジャベリンを振るう。

背後へ向けて刃先を薙いでいた。

 

ドシュ!と手応えがあり、彼女が振り返って見ると、そこには黄土色のマネキンがいた。

彼女の一撃を受けて、よろよろと後退している。

「敵……!」

人の形をしたそれは、土で出来たような見た目だ。

まるで泥人形とでも言うべきか。

黄土色のフォルムをした"マネキン"が彼女の前に現れていた。

 

今の一撃で後退したものの、すぐに敵は前進を再開する。

両手を前に伸ばしてレヴィアタンの方へ歩いてきた。

「気持ち悪い」

彼女は再びジャベリンを薙いで土マネキンを攻撃する。

動きは緩慢なのか、マネキンはそのまま打撃を喰らった。

そしてやられて地面に倒れ伏す。

「何なのこいつ……」

どうやら雑魚のようだが、不気味な敵に彼女は焦燥感を感じる。

さっきまでコンクリートに囲まれた部屋でスノウスレイヴマンと戦っていたはずなのに、何故か今どこかの森に居るのだ。

これはどういう事なのか。

「!」

思考を始めた途端、また彼女は異変に気付く。

倒れたマネキンの奥からさらに別のマネキンが歩いてくるのが見えたのだ。

今のと同じ土マネキンが今度は2体接近してくる。

両手を前に伸ばして、まるでゾンビのような動きだ。

「っ…!」

気味の悪さに顔をしかめつつ、彼女はまたジャベリンを振るう。

氷などは使わず手持ちの槍で直接攻撃だ。

雑魚なのでこれで十分なのである。

だが、今度はさっきのようにはいかなかった。

薙いだジャベリンがマネキンの身体をすり抜けて通り抜けたのだ。

「えっ……!?」

虚をつかれるレヴィアタン。

敵のボディに確かに当てたはずなのに、当たった感触がない。

先刻のスノウスレイヴマンの時と似た感覚に彼女はデジャヴを感じた。

「くっ…!」

彼女はバックステップで距離を取る。

2体のマネキンはニチャリと口元に笑みを浮かべた。

そして少し歩を速めて彼女へと近づいてくる。

 

「はぁッ!」

彼女は再びジャベリンを振るった。

先程よりもスピードを上げて薙ぎを見舞う。

だがまたしてもその一閃は虚空を通り抜ける。

"手応えなく"彼女の矛は2体のボディをすり抜けて通過した。

「な…ッ!?」

手を抜いたわけではなかった攻撃を無効化され、彼女は驚かされる。

単なる雑魚のはずの土マネキンに攻撃が効かないのだ。

【挿絵表示】

【挿絵提供:ムルムル様より】

(ぶ、物理攻撃が効かない敵……?)

さっきはちゃんと槍攻撃が効いたはずだ。

その最初の1体とこの2体は同じ見た目の敵である。

気配というか、敵が醸し出すオーラのようなものを彼女は直感で感じ取る事が出来る。その感触では先に倒した雑魚とこの2体は同等の存在と言ってよかった。

なのに、何故か槍での攻撃がすり抜けてしまう。

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