ロックマンゼロ -episode leviathan-   作:プレイズ

4 / 25
It’s just an illusion

「くっ!」

咄嗟にフロストジャベリンを薙ぎ、レヴィアタンは反撃する。

身体を持ち上げていたピエロは避けるように立ち退いた。

それによって彼女は何とか拘束されずに着地。

「いきなりやってくれるじゃない。あなたもお仲間のボスってわけね?なら容赦しないわよ」

敵とあらば先の猫軍団と同じく片付けるだけだ。

彼女はチャキリとフロストジャベリンを差し向けて宣戦布告した。

「そうダ、ボクはボスのマリオネス。ギラテアイトを狙う君ヲ捕らえにキタ」

「残念だけどそれは出来ないわ。あなたは私に倒されるから」

不敵に笑ってレヴィアタンが言う。

ピエロのような外見のボス、マリアネスに向けて彼女は開口一番先制攻撃を仕掛けた。

「や、や、ヤ!」

掛け声と共にフロストジャベリンの切っ先から3発のホーミング弾が発射される。

小型のミサイルのような弾がマリオネスに飛んだ。

彼はそれを見ると起動から逃れるように斜め後ろへ飛びすさった。

「フフ、無駄よ」

妖将の口が微笑みを浮かべる。

このミサイルは追尾機能が付いているのだ。

敵がよけてもある程度は追いかけていく。

「なるほどネ」

だがマリオネスも笑みを浮かべた。

ミサイルが標的を彼に定めて起動修正する。

そしてさらに飛行して弾が接近した。

しかし、弾が当たる寸前になってマリオネスはUターンした。

弾の進行方向とは異なる方角に身体の向きを変えてジャンプしたのだ。

最初の1発のミサイルを彼は回避する。

2発目もほとんど同じ起動を描いていたためマリオネスには当たらない。

だが3発目は起動を修正して彼へと向かってきた。

「ジャッ!」

発声と共にピエロが口から何かを吐いた。

するとエネルギー弾のような拳代の弾が1つ飛んだ。

それは迫っていた最後のミサイルに見事命中する。

弾は小爆発を起こしてホーミング弾を迎撃した。

 

「へえ?少しはやるみたいね」

ホーミング弾を攻略した敵にレヴィアタンが呟いた。

「初見で私のホーミング弾に対応した事は褒めてあげる」

「いいネ、その技。なかなかトリッキーでチャーミンぐダ」

ピエロが妖将に不気味に笑った。

「ホーミング弾をかわせたくらいで調子のいい事。さあ行くわよ」

彼女は敵の態度に少々不快さを感じつつも、次なる行動に移った。

 

「や!や!ヤ!」

またもホーミング弾が3連発打ち出される。

フロストジャベリンを構えたレヴィアタンが続けて同じ技を放っていた。

マリオネスは既に攻略した技なため、余裕の笑みを浮かべている。

ミサイルが飛んでくるまで、彼はあえて動かない。

「もうその技はボクに通用しないよ」

しばし待ち、ミサイルが至近まで迫ってきてから、彼は対処する。

素早くミサイルと身体の方角を変えてジャンプした。

するとミサイルのホーミングが効かず、マリオネスの動きを追尾し切れない。

ミサイル2発が彼から外れて壁に当たり爆発した。

しかし残る1発は起動を修正して彼へと迫る。

「無駄サ」

だが彼は冷静だった。

またも口からエネルギー弾を発射し、ミサイルを迎撃する。

小爆発が起こり、ホーミング弾3発は全て外れる形で爆発した。

「!」

ところが、まだ終わりではなかった。

破壊されたミサイルの後ろから氷の機雷が飛んで来たのである。

それも複数個の。

マリオネスがホーミング弾を回避している間に妖将が奥で別の技を発動していたのだ。

回避に専念している彼はそれに気付かなかった。

「ナニ!?」

「フフ、私の特製氷の輪よ。喰らいなさい」

フロストジャベリンを高速で円回転させる事で複数の氷の機雷を作る。

それを輪のように並べて放射する技が氷の輪だ。

ホーミング弾をマリオネスが回避している間の僅かな時間に、彼女はそれを打っていた。

かなりの早業である。

「グオオ!」

うめき声と共にピエロに氷の機雷がヒットする。

近い間隔でいくつか機雷があったため、誘爆する形で連続ダメージが入った。

彼はそこそこの痛手を食う。

 

「だから言ったでしょ。調子に乗るなと」

「チイ……これはなかなかイタイネ」

焦げた身体を抑え、マリオネスがうめく。

「よくもやってクレた。倍返しにしてアゲルヨ」

「フフ、あなた程度の攻撃なんて喰らわないわ」

レヴィアタンは余裕の顔でピエロに微笑む。

彼女にとって彼など格下ということだ。

「ジャッ!」

マリオネスが口から弾を吐き出す。

先程ミサイルを迎撃したエネルギー弾だ。

2発連射する形で飛ばしてきた。

「あら、連射出来るのね」

どうやら1発しか打てないわけではいらしい。

だが単調な攻撃だ。

彼女は横にステップすると、それらを難なくかわす。

「ジャッ!ジャッ!」

だがマリオネスは続けてエネルギー弾を飛ばしてきた。

2連発を続けて2セット、今度は合計4発だ。

2連を少し角度とタイミングをズラして打つ事でかわしづらくしている。

「似たような攻撃は無意味よ」

単調な攻撃が少し工夫された程度では彼女には通用しない。

小気味いいステップで身体をズラし、かつ前方へジャンプしてレヴィアタンが跳躍する。

その動きで4発のエネルギー弾をかわし、そしてマリオネスとの間合いを詰めていた。

「ヌッ!?」

素早く効率のいい妖将の動きにマリオネスが驚く。

迫ってくる彼女はフロストジャベリンを突き出してきた。

「はあッ!」

発声と共に鋭い突きが飛ぶ。

マリオネスは横に身をかわして回避した。

そして地を蹴り、大きく後ろへと距離を取ろうとする。

「逃がさないわよ」

だがその行動を予測していたように彼女は笑う。

マリオネスの頭上から2発のホーミング弾が降ってきていた。

「ナニ!?」

ピエロが驚きに目を見開く。

いつの間に?!

彼はそう思った。

(さっき4発のエネルギー弾を細かなステップでかわしていた時カ)

あの時に片手を上に向けてホーミング弾を密かに放っていたようだ。

彼がそれに気付かないくらいスムーズに、かつ巧みに。

「クソ」

死角を突くように頭上からミサイル弾が降ってくる。

だがマリオネスも反応が早い。

瞬時に真横に飛んで弾を2発共かわす事に成功した。

「無駄よ!」

そこへ待っていたとばかりに妖将の声が響く。

彼女はマリオネスの回避行動を予測して氷の輪を作っていた。

そしてホーミング弾を彼が横にジャンプしてかわした"先"に向けて氷の機雷を打ち放っていたのだ。

マリオネスが飛んだ先にはもう氷の機雷が押し寄せていた。

「ナニ!?」

ピエロの目が驚愕に見開かれる。

彼は成す術なく氷の機雷と接触したーー。

 

ーーように見えた。

「なんてネ」

当たったはずの氷の機雷がそのまま通り抜けていく。

彼の身体をすり抜けるように氷粒が貫通していた。

本来なら接触した時点で機雷が爆発するはずだ。

だが氷の破片が飛び散る事はなく、爆風も起こらない。

「え!?」

妖将の瞳が意表を突かれたように見開かれる。

機雷は確かに命中したはずだった。

なのに爆発しなかったのだ。

彼女は何故不発に終わったかわからず困惑する。

「く……たまたま不発に終わったようね。運のいいピエロだわ」

だが気を取り直して彼女は攻撃を再開した。

今度はフロストジャベリンをさらに高速に回転させ始める。

「何をする気ダ…?」

「フフ、今度は簡単には避けられないわよ」

含み顔でレヴィアタンがピエロに呟いた。

さっきよりも高速でジャベリンを回転させる事で、生成される氷の機雷の数は増えている。

さらに粒の大きさも増していた。

ジャベリンから流れるエネルギーの量に比例して技のパワーも増強したというわけだ。

「ハアッ!」

掛け声と共に氷の輪が放たれる。

輪が広範囲に拡散するように飛んでいく。

だが機雷の量が増えた事で機雷間の間隔は狭く、間をくぐってかわすのは至難と言えた。

「ウワア……!」

マリオネスが驚愕に目を見開く。

案の定、狭い隙間を縫って回避するのは難しく、氷の機雷は攻撃対象であるピエロに当たった。

 

……かのように見えた。

しかし、機雷は爆発せずまたしてもピエロの身体をすり抜けた。

まるで透過したように通り抜けてしまう。

【挿絵表示】

【挿絵提供:識 skeb様】

「な……!」

「クク、無駄ダヨ」

ピエロが不気味に笑い、透過した身体が薄れて消えていく。

氷の輪は確かにヒットしたはずだ。

なのに機雷は爆発せず、そのまま通り抜けてしまう。

(ど、どういう事……?)

先程に続いて再度攻撃が通じず、レヴィアタンは困惑した。

氷の輪は練度の高い妙技なのでまともに喰らってただで済むはずがない。

でも一部が薄れたピエロの身体は欠けたわけではなく、半透明になっただけだ。

まるで幻のように。

そう、幻。

「まさか、ぶ、分身……!?」

彼女はようやく異変の正体を知る。

本物だと思っていたマリオネスは実は最初からダミーだった。

幻術で出来た分身だったのだ。

レヴィアタンがはっとする中、ピエロの”本体”は既に彼女の背後に移動していた。

分身を本物だと思っていた彼女は対応が遅れる。

そして背後からボスの腕が差し込まれた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。