ロックマンゼロ -episode leviathan- 作:プレイズ
「それでこの妖将にはいくらの値をつけるのだ?ゾルベームグよ」
ベルチェが翁に訊いた。
闇商人の彼としてはその価格が気になるらしい。
「ご興味がおありですかな」
「ああ。何せかのネオアルカディア四天王、それも紅一点の妖将だ。今の録画映像を見ても可愛さは抜群。コレクションとして本気で購入も視野に入れたいのだが」
「ふぉふぉ。有難い事ですが、残念ながらお売りする事は出来ませぬな」
「金ならいくらでも出すぞ。それこそ国家予算に匹敵する程のな」
彼は界隈で名の知れた闇商人だ。
その売買で多額の利益を得ているため、資産も莫大なものを持っている。
なのでこの言葉ははったりなどではない。
「嬉しい事ですが、妖将の価値はプライスレスなのです。どれだけ金を積まれても売れません」
「……そうか。残念だ」
翁の回答にベルチェが口惜しそうに言う。
「しかし、なら何で彼女を保持している事を俺に明かしたのだ。買われたくないならその存在を教える必要もないだろう」
「それはですな。彼女は渡せませんが、ベルチェ様には彼女から摂れる副産物を買って頂きたいからですよ」
「副産物だと?それは何だ」
「エネルギー資源です」
ゾルベームグは彼に妖将を捕らえた事を話したわけを明かす。
「彼女はその身にかなりのエネルギーを内包していましてのう。戦闘値が相当高く、高レベルの氷や水の特殊能力も使いこなしてくる。それはひとえにずば抜けたエネルギー生成能力があるからなのです」
「ほう……こんな華奢な身体にそんなエネルギーが詰まっているとは思えんが」
「そう思うでしょう?このか細い少女の身体のどこにそんなパワーがあるのかとワシも思うのですじゃ。調べた所、彼女は確かにある一定レベルの高いエネルギーは保持している。だが、それよりも体内で新たにエネルギーを生成して生み出す力に長けている事がわかったのです」
ゾルベームグは前回のサーチでの計測で彼女の高いエネルギー素質を把握していた。
そして、今回捕らえて改めて彼女の身体をデータ分析してみた。
CTスキャンや体内回路の電流分析を通して、その身に収めるエネルギーの流れ・生成の度合いを解析。
その結果、前述の事がわかったという。
「なので、彼女の持つ高いエネルギーを利用出来ればワシらは材を得られるわけですじゃ。ちなみに我々はエネルギー変換機という革新的な機構を持っております。その特殊な機械を使えば彼女のエネルギー……エナジーと言いましょうか、それを希少エネルギーに"変換"する事が出来る」
「エネルギーを変換……ね。いったいどんなエネルギーに変換するのだ」
「本来ギラテアイト結晶を使ってしか供給出来ない特殊レプリロイド用のエネルギーに、ですな。その需要はニッチですが他にエネルギー採取の方法がない故に高い市場価格で取り引きする事が出来るのです」
彼らが以前扱っていたギラテアイト結晶は、特殊レプリロイドへのエネルギー供給の需要を満たす希少な鉱石であった。
そのためかなりの高額で売り買いする事が出来、彼らはそれによって富を得ていたのだ。
だが、ネオアルカディア四天王達の取り締まりによりギラテアイトは奪われた。だから今はもうその鉱石を使っての闇取引は難しい。
その後、彼らは代わりになる商材を得るためエネルギーを変換してギラテアイト相当のエネルギーを摂れる機構を開発した。
それは画期的な発明であった。
「しかしその変換機を使うにはとある条件がありましてな。投入するのが普通の凡庸エネルギーでは変換出来ないのです」
「まあ希少な種のエネルギーにしたいわけだからな。元が並みのエネルギー質では不可能だろう」
「ええ。なので質が高くてエネルギー密度の高い素体が必要です。それこそネオアルカディア四天王のような、ね」
翁が目を怪しく光らせて言う。
「なるほど。それで彼女がターゲットになったわけか」
「その通り。まあ他の四天王でもよかった事はよかったのですがな。彼女は四天王の中でも一番与し易いのも理由の1つです」
彼はモニター画面に四天王達の戦闘値を併記したデータを表示させる。
これは前回のサーチで判明しているデータだ。
「ほう、確かに4人の中では彼女が一番下ではあるな」
「ええ。他の男3人は皆戦闘値が70000を超えております。妖将は69000と僅かにそれを下回っているので、まだ付け入る隙があると判断しました」
少しの差ではあるが、彼女の数値は四天王の中ではまだ何とかなりそうなレベルであった。
ゾルベームグは前回妖将と一戦交えているのもあり、もちろんその実力の高さはよくわかっている。
だが同時に少しはこちらの攻撃が通用して術中にはめれた部分もあったため、多少与し易いとも考えていた。そして現状の結果を見るにその予測は当たっていた。
「それとうちのボスが彼女をたいそう気に入っておりましてな。それも妖将に狙いを定めた理由ですじゃ」
「ボスというと、マリオネスか」
「ええ。この計画にはボスのマリオネスの特殊能力が必要不可欠ですからの。それを行使するには、やはり彼が気に入った対象であるのが良い」
『ふふ、その通りだネ』
不意に、スピーカーから音声が聞こえる。
彼らの会話に反応するかのように声が届けられた。
「マリオネス様。聞いておられましたのですな」
『あア。君の言う通り、彼女はとても良い。ボクのコレクションとしての基準を満足にクリアしてイル』
モニター画面に映る結晶に収められたレヴィアタンの背後に、彼は陣取っていた。
クリスタルの外から彼女を凝視するように観察している。
「彼女は目覚める気配はありますかな?」
『今のところはその様子はないネ。まあそろそろ向こうの彼も頃合いだろうから、気は熟していると思うヨ』
「了解ですじゃ。良い結果が出次第環境の整備は整うことじゃろう」
含み顔で彼らは交信で会話する。
『ふふ……しかし君は本当に美しイ』
結晶の背面に手を触れさせてマリオネスが呟く。
彼が見ているのは妖将の背中側だが、彼は周囲の眼を通して全方位から彼女を"視ていた"。
正面のご尊顔ももちろん視界に入っている。
『その愛らしい顔、そしてしなやかな肢体……全てが美しいナ』
獲物を狙う狩人のように彼は妖将の全身を眺めた。
彼が彼女をターゲットにしたのはエネルギー素質が高いからだけではない。その愛くるしさが最大の理由である。
『ただエネルギーを摂るだけの存在では面白くないからネ。見ていて楽しめる対象でないとイケナイ。君はそれを満たしてイルのさ。妖将レヴィアタン』
不気味な笑みを浮かべてマリオネスは人形状態の彼女を見つめた。
【挿絵提供:ニャゴフッ!様】
その頃、虚構世界ではーー。
レヴィアタンの上にはゼロがまたがった体勢で愛撫している。
そして彼女の頬をなでつけていた。
「お前は本当に可愛らしい顔だ」
「ん…//」
彼に頬をなでられたレヴィアタンが赤面して彼に見惚れる。
彼女の方はもうかなり発情していた。
「さあ、そろそろ始めるとするか」
ゼロが妖将の太ももの隙間に自らの股間を潜り込ませる。
「あっ!……ヒャぅ!」
ブツが秘所に触れ、レヴィアタンはたまらず変な声を出す。
「大丈夫だ。怖がるな」
妖将の可愛い様子にゼロはクールな表情を少し緩めた。
「まだまだ“これから”なんだ」
「……は、はぅ…//」
レヴィアタンは緊張とドキドキで、ゼロの両腕に抱きついて何とか自身を安心させようとする。
もうこの後すぐにセックスなのだ。
「じゃあ行くぞ」
ゼロの下半身が沈められる。
彼のいちもつがべったりとレヴィアタンの股に触れた。
「ヒャ、ヒャゥ!!//」
たまらず声を出すレヴィアタン。
ドキドキがさっきより増している。
「くく、大丈夫」
ゼロは笑顔を見せて彼女に微笑むと、彼女の顔を抱き寄せた。
「ン、ンウ……//」
「安心してるといい。俺がしっかりとエスコートするから」
彼女の頭をなでつけ、彼は優しく妖将を愛でる。
「…は、はい……//」
こくんと頷くレヴィアタン。
彼女ももう性欲が高ぶり、恐怖を感じつつも早く“したい”ようだ。
「よし、では続けようか」
ゼロは笑みを浮かべると、下半身をさらに下へと落とし込む。
彼のペニスがついにレヴィアタンの股にもろに触れる。
「あ//あ、あうぅ…!//」
「ふふふ」
慌てる妖将に彼は満足そうに笑んだ。
さあやっとこれからが真のお楽しみタイムだ。
「ふふぅ」
気持ち良い声を漏らすと彼は腰を揺らし、上下に動かし始める。
それを感じたレヴィアタンはまた声を上げた。
「はっ!は、ヒャぅ!」
「くくく、大丈夫、安心しな」
可愛いうろたえにゼロは萌える。
彼のクールな表情がさらに緩んだ。
「怖がることはない。むしろもっと楽しむべきだ」
「た、楽しむ…?//」
「そう、ほら感じるだろう。この快感を」
言い、彼は腰を揺さぶる。
「あっ、あヒャぁ、ア!//」
ブツの動きと共に快い快感が彼女の股に伝わった。
これは気持ちいい。
「あ//ヒャぅ…!!//」
「ほら、気持ちいいだろう?」
「あ、……う、く、くぅ//」
彼に面白気に微笑まれ、レヴィアタンは恥ずかしくて中途半端に頷いた。
そんな仕草が彼を満足させる。
(くっく……可愛いなあお前は。そんな異性を意識して恥ずかしがるなんて)
気を良くした彼はさらに激しく大きく腰を揺り動かす。
「ア、アアぅ…!//あ、アァン!//」
「レヴィアタン……いいぞ。もっと喘ぐといい」
ゼロに笑まれ、恥ずかしくて喘ぎを止めようとしたレヴィアタンだが、さらに気持ちのいい快感が伝わったため、たまらずまた喘ぐ。
「ア、アぁ…!!//ヒャ、ヒャひゅゥ…!//」
「くく、よしよし。本当に可愛いなお前は」
至高の快感が妖将を包み込んだ。
彼女は甘い快感によだれを垂らし、イきそうになる。
これはかなり感じていた。
「いい、いいね。もうイきそうだな」
「あ//…ア、ダ、ダメ……!//」
“トドメ”を指そうと笑むゼロに彼女は慌てる。
今膣内で出されたら完全に意識がトリップすることは確実だ。
そうなれば丸1日は戦闘不能を余儀なくされる。
何故なら1度イってしまえば、もうその日1日は眠り込んでしまうからだ。
活動しようにも身体が強制的に眠ってしまうため、行動不可能となってしまう。
「さあ、フィナーレといこうか」
「あ、ダ、ダメェ……!//」
前に黒豹のように忍び寄るゼロ。
レヴィアタンは両手で彼の顔を押しのけ、慌てた。
「くく、どうしてだ」
楽しそうに彼が笑む。
「だ…だって……、今やったら、私は、もう戦えなくなっちゃう……//」
「別にそれでいいだろう」
「え……?//」
「戦えなくなっても構わないだろう。お前が眠りに落たら、俺が優しく添い寝してやろう。もちろん万が一外敵が来るようなら俺が守ってやる。俺はいつでもお前のナイトだからな」
彼は優しく寄り添うように、しかし獲物に飛びかかりたくてたまらない黒豹のごとく言った。
「な、な……!//」
「ふふ、じゃあそういうことで」
「ふぇっ!?あっ、ダ、ダメ……!//」
レヴィアタンは慌てて彼から逃れようとする。
まだ本番を迎える心の度胸は彼女にはなかった。
しかしもう遅かった。この体勢では逃れられるわけがない。
「くくっ、じゃあ感じるといい。至高の快感を」
「あ…!ダ、ダメ……!、、ひ、ひイッ…!」
ビビり上がったレヴィアタンから惑いの悲鳴が上がる。
挿れられる恐怖と期待が彼女を不安にさせていた。
だが。
この後、予想に反した事が起こった。
レヴィアタンの身体が"宙に浮いた"のだ。
まずゼロが彼女の腰をホールドし、彼女を上に向けた。
そしてその体勢のまま後ろへと後転したのだ。
彼は柔道の巴投げの要領で彼女のボディを奥へと投げた。
投げ落としが炸裂し、彼女の身体が床に叩きつけられる。
『ドン!!』
「がふぅ!」
腰からもろに地面へ打ちつけられ、妖将の身体が波打った。
衝撃で華奢なボディが反り返る。
今彼女は行為の寸前で迎撃体勢が全く取れていなかった。
そのため完全に無防備な状態で技を受けてしまう。
「がハぁッ!」
強烈な打撲に生唾が吐き出される。
か細い彼女の身体にはあまりに激しい衝撃だったからだ。
「…………」
彼女は放心して虚空を見つめた。
何が起きたかわからなかったのだ。
ゼロに愛撫され、あとは最後のフィナーレを迎えるだけという状況。
その場面でいきなり彼が豹変して投げをうってきたのだ。
「ぁ…ぐ………」
十数秒間、彼女はろくに言葉を発する事が出来ない。
腰への強烈な痛みもあるが、それ以上にゼロが"豹変"した事への動揺と放心が大きい。
見ると、彼はにやにやと笑みを浮かべている。
まるで本性を表したように。
【挿絵提供:Ya-MaN(*•ω•) お仕事募集中様】
さらに十数秒してから、ようやく彼女は口を開いた。
「ゼ、ゼ、ゼロ……」
「ようやく平静を取り戻したか」
声を発したレヴィアタンに彼は不敵に微笑みかける。
「な、何を……したの…?」
「巴投げだ。柔道の技だな」
「な、何で、私を投げたの……?」
困惑した様子で彼女が訊く。
「わからないか?俺がどういう存在なのか」
「……あなたは、ゼロ、よね?」
「くく、まだ理解していないか。見た目だけでなくおつむも可愛いやつだ」
彼は不敵な笑みを向けて言う。
「答えを教えてやる。ここは虚構世界だ。お前の理想を体現した、な」
「え、、?」
「お前は現実の世界、いや鏡世界と言うべきか。そこでうちのボスと戦闘をしていた。覚えているか」
「…………」
ゼロに言われて彼女は記憶をさかのぼる。
確かに、少し前に自分は何かをしていた気がする。
戦闘、ボスと………。
キーワードの断片を聞いた事で、瞬く間に彼女の脳内で記憶が繋がっていく。
「はっ……!」
彼女は思い出した。
そういえば、ボスのマリオネスと戦っていた事を。
「わ、私、そういえばあいつと……!」
「くく、やっと思い出したか」
「い、今奴はどこ……!」
彼女は慌ててマリオネスを探す。
しかし周囲を見渡すが、ボスの姿はない。
そもそもここはゼロと同居している"設定"の個室であり、戦闘をするような場所ではないのだが。
「安心しろ。ここには奴はいない」
「じゃ、じゃあいったいどこに……?そもそも、あなたは何なの……?」
不安な表情で彼女は訊く。
「俺はお前の理想で創られた虚構の存在」
「な……」
「つまりは偽物だ」
彼が正体を言い表す。
ここは虚構世界。
故に彼はまがい物だった。
「お前は今眠っている状態だ」
「え?ね、眠っているって……」
「マリオネスに額に手を当てられただろう?それは催眠術にかけられたという事だ」
「……!そ、そういえばあいつに頭に触れられたわ」
彼女は思い出す。分身に惑わされて彼に拘束され、頭に手を据え付けられた事を。その時に何かの術をかけられたらしい。
「そこで幻想術が施されたわけだ。お前の意識は落ち、ここ虚構世界へと堕ちた」
「幻想術って……何なの?」
「意識だけを虚構世界へ移す技だ。すなわち脳が求める理想の世界を脳に見せる幻術だ」
今こうしてお前が見てきたようにな、と彼は言う。
「な……。って事は、これは私の理想って事……?」
「そういう事だな。俺はその具現化だから」
「ッ…!//」
仕組みを理解したレヴィアタンは、頬を赤面させる。
彼の前でかなりの羞恥を晒してしまった。
「あ、あ……//」
「どうした。今更恥ずかしがる事か」
「だ、だって、まさかあなたがそんなゼロと別人の存在だなんて思わないもん……!//」
「くく、別にいいじゃないか。俺は本来存在しない者。この後はいなくなるのだからお前にとって何も問題はないだろう」
彼は含み顔で笑んだ。
「い、いなくなる…?」
「そうだ。ここは虚構世界だからな。お前が起きればお前以外の存在は消え失せる」
「本当に……?あなたはマリオネスが用意した存在なはず。なら私を消すために行動すると考えてしかるべきだわ」
「まったく、女の子は疑い深いな。勘違いしているようだが、ボスはお前を消そうなどとは思っていないぞ。むしろその逆だ」
ボスにとってお前はとても大事な存在であり、故に始末するなどとは絶対に考えない。そう彼は断言する。
「私が大事…?どういう事なの」
「それは俺の口からは言えないな」
「何でよ…!私の理想の化身なら教えて」
「それは今の巴投げで解消だ。今の俺は消えるまでの限定だが自我がある。だから黙秘させてもらおう」
彼は既にレヴィアタンの虚構の影響下の外に出ていた。
故に彼女の命令でも従わないようだ。
「くっ…!やっぱり敵ってわけね」
「悪いな。まあその代わりと言ってはなんだが1つ教えてやろう」
彼は彼女に代替となる情報を渡す。
「お前は今ここで俺に巴投げを喰らった。つまりそこまで俺に騙されて陶酔していたわけだ」
「く……だから何よ?」
「この虚構世界に連れてこられた者にはとあるルールがあってな。ここで虚構の化身に殺されたり攻撃されても死んだりはしない。その代わりに、攻撃されて明らかに特別な技を喰らった場合は"負け"と見なされる」
「ま、負け……?私は巴投げを1回やられただけじゃない」
「巴投げはその特別な技だ」
パンチとかキックとかの単純な打撃技ではないだろう?
そう幻術ゼロは述べる。
「外の世界での戦闘であれば、HPが0になれば敗北だ。だがここでは違う。虚構の化身に惑わされて夢中になり、特殊技を喰らうまで気付けなければ、負けと見なされる。つまりお前は俺相手に負けたという事だ」
「なァ…!そ、そんなの卑怯よ」
「悪いが、俺達はお前の敵なんでな。お前にとって理不尽な結果になる事も平気でする。これで負け扱いになるのは不当かもしれないが、それは先にお前がボスに隙を突かれて幻想術を喰らったのが悪い。幻術をかけられた以上はその技の効力下にあるのだから」
虚構の化身である彼は妖将に認識の甘さを説く。
そう、元はといえば敵との戦闘に遅れを取った彼女にも落ち度があるのだ。
その結果の虚構世界堕ちで、この世界の戦闘ルールが適応される。
「く……よくもそんなとんでもルールを敷いてくれたわね。ところで、あなたは何でさっき私を攻撃したのかしら。あのまま最後まで続けていれば私を欺いたままさらに偽証が続けられたはずよ」
「何だ、最後までやってほしかったのか?」
「っ…!そ、そんな意味じゃないわ…!//ただ気になっただけ」
ゼロに含み顔で尋ねられ、思わず彼女はしどろもどろに否定する。
その様子に彼は楽しげに微笑んだ。
「別にいつまでもお前を騙す事にメリットはないからな。今言った通り、特別な技を1つお前に喰らわせられれば俺の勝ちとなる。それが可能と見てこのタイミングで実行しただけだ」
「く……。で、負けちゃった私はどうなるのかしら?ここであなたに処刑されるの……?」
「今言っただろう。ボスにとってお前は大事な存在だ。命を取ったり大きな怪我を負わせたりはしない。ただーー」
虚構のゼロは彼女に意味深に告げる。
「虚構世界で俺に負けた結果を受けて、お前には1つペナルティが与えられる」
「え……?」
ペナルティ。
彼の言った言葉を彼女はしばし思考した。
「ペ、ペナルティ?」
「そうだ」
「それって、何をされるの……?」
「それは俺からは言えないな。起きてからのお楽しみだ」
「な……、お、教えてよゼロ…!何か危険な事をされるって事?」
「まあ安心しろ。命の危険があるような危害が加えられる事はない。ただお前がこの鏡世界から出るのには不利になる施策がされるだろうがな」
まだ自分の事を"ゼロ"と呼んでしまう彼女に彼は内心で失笑する。彼女はよほどゼロにご執心らしい。
「さて、ではそろそろ時間だ。お前との戯れはなかなか楽しかったぞ。妖将レヴィアタン」
「あ…!ま、待ちなさい……!勝ち逃げするってわけ!?」
「そんなつもりはないが、ルール上これでお前は"目覚め"だ。せいぜい現実の外の世界に戻れるよう邁進するんだな」
彼は最後にそう言い残し、そこで彼女の視界は暗転した。
意識が朦朧となり、倒れるように彼女は昏倒する。
虚構世界は泡のように蒸発し、ゆっくりと消えていった。