魔法少女プリティ☆スター   作:リムル=嵐

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当日にハメTS杯を知るこの失態よ、突貫工事で作ったから、粗だらけでも許して……


少年♀よ、大志を抱け

「どうしてこんな事になったんだろうなぁ」

 

馴れない身体に四苦八苦して、病院内のコンビニで買った午後ティーを食堂スペースの席に座って飲むと、窓から見える空を見て黄昏る。

 

幾分か高くなった声に違和感を覚え、最初に買った苦くて飲めなくなったコーヒーの缶ボトルを見る。

 

「味覚まで変わったとはなぁ、これからどうすれば良いんだろ」

 

食堂のテレビは昨日からの事で大騒ぎ、ここの病院も入院患者が急増して働いてる人達は大変そうにしている。

 

小さくなった手で午後ティーをテーブルに置いてスマホを取り出すと、景色が反射した画面を薄目で覗き見る。

 

「やっぱりこれ夢じゃないのか」

 

そこに映ってた子役さながらに際立った顔立ちの()()()を見て、思わずタメ息を吐く。それもこれも今から一週間前の出来事のせいだ。

 

 

 

 

 

 

 

あの日は高校からの帰り、スマホを片手にコンビニのイートインコーナーでジュースを飲みながらツイッターを徘徊すし、気になるツイートをみて、そういえばよく知らなかったと調べ者をするいつもの日課の時間だった。

 

気になるツイートを見付けた俺は、暫くの間コンビニで時間を潰してた、これが悲劇の始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

~一週間前 コンビニにて~

 

「今日も現場猫は面白いなぁ~………お?」

 

『1966年に起きた第一次インベーダー作戦の指揮官だった元国連総司令官が108歳の誕生日目前、つい先日に亡くなったらしい』

 

インベーダー、異次元からの侵略者、そう呼ばれてる奴等がこの世界に侵略してきてもう50年、俺が生まれる何十年も前に侵略してきて、俺が生まれる何十年も前に終戦したこの戦争の傷痕は、今も残っている。

 

「確か、侵略者の身体によって傷付いた奴は女になんだっけか」

 

いつの間にか身についてた一人言を呟くと、最近流行りのTS作品みたいな設定だなと思う。

 

女が男にはならないから、不便な一方通行のTSだが、これがまたバカに出来ない傷痕を社会に残してるのだ。

 

世界規模の侵略によって、兵士として駆り出された男は、死ぬか傷が原因で女性になる。つまりは人口比率がバグって、男の数が激減。

元々先進国では少子高齢化の危惧が囁かれてた当時で、これは大打撃だ。

 

『今日のゲストはこの方、第一次インベーダー作戦の時に()()()()()()()()()し、その後目覚ましい活躍をしたお方で、現在は料理評論家兼作家をしている、藍辻 麻可子さんです!!』

 

それに加えて傷ついた子供達の中から、これまた社会を混乱させるような存在が出てくるとはなぁ。店内で流れるラジオを聴きながら思う。

魔法少女……インベーダーによって傷付いた子供達が、傷を治す過程で魔力と言われる現実改編能力に目覚めた存在だ。

インベーダーに傷つけられたから、魔力を扱えるのは皆女、しかもこの魔力による現実改編が、インベーダーにとって致命的なまでに弱点だったらしい。詳しい話はネットに載って無かったが、とにかく強く、そして社会を混乱させるものだった。

 

『アイアイエー島はお魚が美味しいんですよ、公用語は英語ですが、日本出身の方も多いので、学校では選択科目で日本語を教えてますから、日本語が分かる人も多いです!』

 

アイアイエー島ねぇ、終戦後扱いに各国が困ってた魔法少女の隔離施設だろ?確か瞬間移動が出来る魔法少女もいるから、あんま役に経ってないとか言われてるあのアイアイエー島。

 

何でこんな事をよく知ってるかって?

母親が元男何だ、察してくれ。

 

家に居たらやけに男の思春期に詳しい母親に気を遣われるんだぞ、この歳でそれはキツくていけない。反抗期が終わっても、親は未だにこっちを気遣ってくるし、そんなに俺は反抗期が酷かったろうか、世間やネットでよく聞く暴力とかは無かったし、出来るだけ乱暴な口調は避けてたのに……不発弾なんて人の事を指差して笑いながら言った兄貴には、盛大に拳を浴びせてやったが、親には一度もそんな事してないのになぁ。

 

「何なんだろな~本当に」「くきゃきゃきゃ」

 

うん?

 

「くきゃぎゃきゃきゅきゃき」

 

思わず横を見ると、全身赤色でのっぺりとした鼻の無い顔をした出来損ないのウルトラマンみたいな奴が、乱杭歯を剥き出しにして嗤っていた。

 

俺と同時に気付いたらしき店員が悲鳴を上げてるのを、どこか現実味の無い光景も相まって遠くに聞いていると、出来損ないのウルトラマンが俺に向かってまるでボクシングのようなポーズをとると、鮮やかなフォームから()()()()()()()()()()()

 

「がっ!?」

 

日頃喧嘩なんてしないインドア極まった存在の俺にそれが避けられる筈もなく、顎を蹴り上げられて宙を舞ってる中、《いやお前ボクシングの構えしてたやろがい拳じゃねぇのかよ》としか出てこなかったが、それも直ぐに脳に来た衝撃によって気絶することで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

「それで気付いたらベッドの上でコルセットに包帯を顔にぐるぐる巻きで、鏡を見たら別人が映ってるんだもんな、ひでぇ話だよ本当に」

 

思わず愚痴ると、近くを歩いていた看護師の人が俺を見て声を掛けてきた。

 

「夕凪()()()、経過診断もうすぐあるから部屋に居てね~」

 

「あ、はい!」

 

言うだけ言って早足で去る看護師さんに、病院が忙しいって大変だなぁと他人事のように思う。

 

いやだって仕方無いだろう。

あの出来損ないのウルトラマンはインベーダーの残党で、それが徒党を組んでこの世界に向かってまた侵略してきた何て信じられるか?

いや、これだけなら未だ平和ボケした日本人、現実感が無くて未だ信じられる、そういうもんか、輸入品とか高くなるんやろなぁ、大変だ、位だろう。

でもこれが俺が女に変化した事で、もっとやばくなるのだ。

魔法少女はインベーダーから受けた傷を治した子供覚醒するもので、俺は子供。

覚醒する確率は男女で見たら低いが、元男なら100%。

そして最後に極め付きは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「俺、本当にこれからどうなるんだろなぁ」

 

改めて考える今後の未来の暗さに、思わず現実逃避気味に見上げた窓から見える空は、俺の未来とは裏腹に雲一つ無い快晴だった。

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