進捗が低過ぎてちょっと現実逃避気味。
「今日は皆の楽しみな、魔力操作の授業よ」
先生の言葉で沸き立つ二桁にもいかない歳の幼女と、その後ろで気不味そうにしつつも、好奇心を隠しきれない数名の少女達。この少女に俺も含むのが何とも違和感がするが、これがこの学校の基本だ。
俺以外に日本から来た人間はいないが、他国からの人間は結構いる。
この学校では、科目毎に決められたクラスでの授業を受ける。魔力関係の授業は、基本的に魔力に対しての理解力に応じた教育を行う。どの科目も日本の義務教育のようなエスカレーターではなく、完全実力主義の世界だ。
故に出来ない奴は何年もいることになるし、出きる奴は速攻で次の授業に移ってる。
科目毎にある単位認定を合格し、必須科目四、選択科目二の合計で六科目合格で卒業だ。
今俺が受けてるのは初歩中の初歩、小学一年生が習う足し算引き算レベルらしい。俺と似た年齢の奴等は、俺と同じ境遇で来た奴等だ、 魔法少女を母親に持つ純粋培養なこの島生まれの幼女達は、俺達とは違い生まれた時から因子が安定し、魔力を持つため、これくらいの授業なら楽勝とのこと。
さて、最初に日本から来た人間は俺いない居ないと言ったが、それはつまりここの学校での公用語が日本語では無いことを示している。
そんな学校で何で授業受けられてるのかって?学校ではスッゴい偉い魔法少女の力によって、言語の壁が取っ払われてるのだ、魔法ってスゲーってことである。
外に出れば出てくる外国語のオンパレードに、初日はメンタルがやられたものだ。
あれだね、知らない言葉ばかりの場所って、本当に心細くなるんだね。よく海外経験者がボディランゲージで割りとなんとかなるとか言ってるが、少なくとも俺は現地について一時間でノックダウンだったぞ。
英語なら未だしも、中国語らしき言葉や、果てには本当に何語か分からん言語が多いのなんのって……港に迎えに来てくれたサラが居なかったら、とうの昔にホームレス生活だったな。国から移動命令が出ても、こっちでの生活支援は基本ATMに送られる金銭のみだし。
そんなわけで、チビッ子ことクラスメイトの幼女も、同年代の少女も、多国籍極まるメンツなのだ。
「それじゃあ先ずは、後ろのお姉さん達に先週までの復習を教えてあげましょうか」
これが先週までのプリントねと先生に渡された数枚のプリントをみつつ、先生の話を聞く。プリントは英語表記だ。頑張れ俺の中学英語!後マジギャザで鍛えた英語力!!
「じゃあ先ずは、魔法属性について、分かる人~…………じゃあアリシアさん」
「はい!まりょくぞくせいは2つにわかれてて、こゆうぞくせいと、はんようぞくせいにわかれてます」
「正解、じゃあ固有属性の分類3つ、言えるかな~…………はい、ジャンナちゃん」
「どうぶつけいと、しょくぶつけい、むきぶつけいの3つです」
「偉い!皆よく覚えてるわね、お母さん達の時より全然優秀よ~」
はぁ、成る程なぁ、四苦八苦してプリントで補完しつつ今の話をまとめるとだ。
つまりは、魔法はその人間固有の固有属性と、魔力があるなら誰でも理論上出きる汎用属性の二つに分かれてる。
固有属性はその人間固有のオンリーワンの属性であり、似たものはあれど同じものは無いと、系統としては動物の特性に似た動物系と、植物に関する植物系に、それら以外の無機物系。
「皆は
「「「「「ぎゃらくしー!!」」」」」
そこまでは未だ解読できて無いんだ、後で読み込まねば。
「良くできました。後ろのお姉さん達も分かったかな?」
「俺はだいたいは」
他の何人かもそう答えたが、隣の席の緩い金髪の天パを肩まで伸ばした色白の女の子が、顔を恥ずかしさで赤くして答える。
「えっと、プリントの文字がちょっと、むつかしいでス」
大丈夫、俺も半分も理解できてねぇから!
思わずそう口から出そうになって、慌てて口をつぐむ。
「そうだったわね、ごめんなさい。他に英語が出来ない娘はいる?母国語じゃないなら読めなくても仕方無いわ」
その言葉に俺と後もう一人が手を上げると、先生はこの三人を放課後英語の補習を行うので残るようにと言う。
今まではプリントなんて無くて、基本先生の口頭をメモか、簡単な算数の問題を解くだけだったから、英語が苦手でも何とかなったんだよな。流石にずっと誤魔化すことは無理だったけど。
その後に他に無いかと言う先生の言葉に、くすんだ茶髪を肩上で切り揃えたウルフボブカットの、可愛いって言うよりもキレイとか格好良い系のクラスメイトが言った。
「すみません、授業は理解できましたが、何故私達しか居ませんの?」
あの子は今日から参加した子だな、俺の次の日に来た子だ。名前はジャクリーン、後でググったらジェームズやジェイコブの女性名とのことだった。
「あれ~?この人数であってたよね?」
「いえ、世界中でインベーダーがゲリラ活動をしてる中で、魔法少女になったのが何故これだけなのかと思いまして」
「あなた達以外は
チラリとクラスメイトの幼女達をみつつ言う先生に、押し黙るジャクリーン。
俺としては嫌な考えばかり浮かんで仕方無かったが。
その後も簡単な魔法少女の歴史の話や、どうやって魔力を操るのかの説明を口頭で先生が説明していって、生徒がメモをノートにとる形で、授業は進んだ。
チビッ子が多いから、何度も同じ話をする流れで、聞いてて結構疲れたな。
「じゃあ座学はここまでで、休憩とって次の時間は実際に自分の魔力を使ってみましょうか」
その言葉に疲れていたクラスメイトが沸き立つ。
俺自身、幼女達がはしゃいでなかったら、みっともなくガッツポーズでもしてたかもしれない。魔法ってのは、やっぱりロマンなのだ。