白黒狐の幻想録   作:謎の通行人 δ

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どうも、ただの謎存在です。

よろしくお願いいたします。

ゆっくり楽しんでいっていただけると幸いです。


幻想移転

「…ふむ…次は…。」

とある森の中。一人の男性がいた。

見た目はどこから見ても普通の青年。大体20前半か10代に見られるだろう。しかし、

 

「うーん、どこら辺にしたものか…」

彼の前の空間には炎の線のような物で円が描かれており、その中に何やら難しい文字が書き込まれていっている。

 

「…ま、いっか。適当で…」

どうやら書き込みが終わったらしく、円の外側に八つの新しい円が現れ、青、緑、黄、黄緑、赤、茶、薄青、金の色に変化する。それぞれ八卦の坎(水)、艮(山)、震(雷)、巽(風)、離(火)、坤(地)、兌(沢)、乾(天)である。

そして男の周りに小魔法陣より一回り大きい魔法陣が五つ、緑、赤、茶、黄、青の言うなら中魔法陣…五行の木火土金水行の魔法陣が展開される。

 

「さて、始めるか。」

そう言うと男の頭から黒い少し尖った耳、腰の辺りから男の身長にもなろう程の白い尻尾が生える。目は右が白く、左が黒い。服装も狩衣になる。同時に円…魔法陣の回りの八つの小魔法陣が男…狐の指の動きと連動しているかのように移動して、中魔法陣の回りに展開される。

そしてバラバラに男の回りを回り始め、光り始める。

そして、

 

「さあ、次はどこに着くんだろうかね?」

真っ暗な空間の中に吸い込まれた狐は足元に大きな魔法陣を固定して、その周りに小魔法陣を立ててまた固定し、中魔法陣を回しながら一人呟いた。

その時、

 

「おっと?」

その時、14の内、9つの魔法陣…基盤の大魔法陣と小魔法陣がバグを起こしたように震え始めた。

 

「……なに、阻害結界か…中々強固だ。…まあ、何とか大丈夫だろう。」

そう言って狐はあと八本、一気に尻尾を顕現させた。

そして、光に包まれた。

 

 

彼の名は………

 

 

 

 

 

 

「よし、転移できたか。…は良いが…」

夜だった。空には星が光り、大きな満月がかかっている。男は誰もいないだろうと静かに白い尻尾を八本隠し、一尾だけにする。

その時、一つ気づいたことがあった。

 

「…満月…じゃない…?」

男はその月が満月でないことに気付いたのだ。

 

「ちょっとあんた、」

 

「?僕かい?」

急に呼ばれた狐は後ろを振り向くと、赤と白の巫女服らしきものを着て、赤いリボンを頭につけた黒髪の少女がいた。

 

「ええ。あなたよ。突然だけど、あんた、この異変について何か知らない?」

 

「異変?」

聞き慣れない言葉に狐は顎に手を当てて答える。

 

「あら、気付いてないのかしら?月が入れ替わってるのよ。」

 

「入れ替わってる…そうか。満月に見えるのに満月じゃないのはそういうことか。」

狐は納得したように顎から手を離し、手を打った。

 

「あら、気付いてたのね。ならそう言えばいいのに。とりあえず、知ってること、全部吐いてもらうわよ。」

そう言うとどこから取り出したのか少女はお祓い棒を狐に向かって振る。しかし狐は動揺する様子も慌てる様子もなく、ただ落ち着いて返す。

 

「おお、そりゃあいい。と言いたいところだけど、残念ながら何も知らないんだよね。さっきここに来たばかりでね。」

狐は困ったような顔をして肩をすぼめる。

 

「さっき?」

 

「ああ。」

 

「…その言葉の真偽、スペルカードルールに則って確かめさせてもらうわよ。」

そう言うと少女は袖から紙を5枚ほど取りだし、狐に早くしろ、と促す。

 

「…スペルカード…ルール…?」

が、狐としては始めて聞く言葉を一瞬で理解しろ、というようなもので、意味は不明でどうすることもできず、聞き返すことしかできなかった。

 

「ああ、そっか、そとから来たんならスペルカードルールも知ってるはずないか。」

少女はそう言うと説明を始めようとするが…

 

ガサガサッ

 

「あら、誰かいるわね。ごめんなさい、少し外すわ。」

何か物音がすると、そう言って彼女は飛んでいった。そこまで離れていないのか、会話が聞こえる。狐は個人的に閉鎖空間と高いところが好きだったため、目についた二本の竹の交わっているところまで飛び、そこに腰を下ろす。思いの外転移に体力を持っていかれたのだ。正確にはあの非常事態に7割持っていかれた。そのため、少々疲れていた。

 

「あら、魔理沙。」

 

「お?なんだ霊夢か。」

そうか、さっきの巫女服の少女は霊夢というのか、と狐は考える。同時に、今霊夢と話している黒のスカートに白のエプロンをつけ、黒のとんがり帽子を被って箒を持った、金髪のザ、魔法使いといった感じの少女が魔理沙とやらだろう、とも。

 

「私で悪かったわね。…というか何でアリスもいるのよ。」

そして、周りに人形を浮かべているこれまた金髪に青い目、赤リボンに青ワンピースの人形みたいな少女がアリスという奴だろう。

 

「何でって…異変が起こってるんだから別におかしいことじゃないでしょ?」

 

「まあ…それもそうね…そうだ、今ちょっと怪しい奴を見つけたんだけど…」

まさか、と狐は思う。

初対面で怪しい奴扱いされるのは流石に心に来るが、確かにこんな竹林に一人でしかも狐がいたら怪しいだろう。さらに今までいなかった奴がこの異変とやらと同時に出てきた。その異変とやらに関与していないとも言い切れないのだ。

 

「お?どんな奴だ?」

 

「いや、狐みたいなんだけど…配色って言うのかしら?色がおかしいのよ。」

うん、僕だな、と狐は若干口角を上げながらも困ったような様子で、呟く。

配色がおかしいのは生まれつきである。そもそも尻尾と耳の色の違う狐なんか自分以外見たことがない。まあ、かなり特殊な狐、とは見られても相手からすればこの男がとても強いようには見えていないだろう。ましてや、九尾が最高という固定概念を超えた()()()()()だとは考えもしないだろう。

普段は一尾の状態で過ごしているし、何なら普通の人間の姿で暮らしていることも少なくないからだ。

しかし、彼の力は鬼をも凌ぐほどの力も持っているし、いざとなれば()()もある。

男の能力…色と光を操る程度の能力。

いわばこの世界を視覚として認識させる要素を操る能力である。彼自身、あまり使うことは無いが、本気で使えば世界を壊すことも作り替えることも出来る。

…まあとてつもない量の妖力を使うことになるため、そんな使い方はしないし、しようとも思わないだろうが。

それに、この能力に名前を付けた()()()()に乱用しないように言われている。…まあ、今もよく言われるのはこれが()()()能力なのか、という所だが、そこはあまり気にしない。

何せ名前をつけてくれた彼女に「私が程度のって言えば程度の能力なの!私の能力も程度のって付けるから!」と言われ、了承してしまったのは他でもないこの狐だからだ。

 

「…で、それがこの人なんだけど…あら?」

 

「…誰もいないぜ?」

 

「…夢とごっちゃになってるんじゃないの?夜だから歩きながら寝てたのかもよ?」

 

「どっかの門番じゃあるまいし…私はそんなこと出来ないわよ。」

霊夢は少しあくびをして、

 

「…まあ、眠いのは合ってるけどね。それに、尻尾と耳の色の違う狐なんかいるわけないか。さあ、その件は置いといて、とっとと主犯を捕まえて寝たいわね。」

人間の主な活動時間は昼だ。そりゃあ眠いだろう。

何故この狐が出ていかないのか?

仮にこの世界が妖怪を拒絶するような世界で、霊夢が少々特異な少女だったらどうなるか…

負けることはないだろうが、疲れる。それに無闇に攻撃するのは好きではないのだ。それで狐は遠くを見ていると…

 

「…お?あれは…」

一人の兎を見つけた。薄紫の髪に兎耳、制服のようなものを着ている、人形の兎だ。

恐らく妖怪だろう…というかほぼ確実。ここがどこか位の情報は貰えるだろうか、と思い、そこまで飛んでいく。

 

「ちょっといいか?」

 

「?…何ですか?私を退治しにでも来たんですか?」

一発目の言葉がこれとは。

やはり妖怪が拒絶されてる世の中なのかなぁ、とは思いつつ、会話を試みる。

 

「いや…ちょっと聞きたいことが」

 

「私たちを止めに来たのならここで狂い墜ちて貰うだけです!」

 

「…話聞かないんだな。」

駄目だった。

 

BGM[狂気の瞳]

 

「(ですが、異変解決は博麗の巫女の仕事だと聞いています。彼女との勝負も万全で受けれるようにするためにも…)…私は鈴仙・優曇華院・イナバ。始めからですが…狂ってもらいます!」

そう言うと鈴仙は目を赤く光らせる。

すると狐の視界が真っ黒になり、鈴仙が何人も点滅しながら男の周りにいるように見える。

 

「…波長の操作か…」

 

「よく分かりましたね。では「でも、」え?」

鈴仙の話を遮って彼は話し始める。

 

「…赤い光によって狂わせられた波長も、元は正常な波長だ。」

 

「…?何を言って…」

 

「あれ、知らないか?全ての光って赤と緑と青で構成されているんだ。…そして、それら全てを合わせた…つまり全ての波長信号が均等となったものが…」

そこまで言うと、鈴仙が狂わせた波長が全て元に戻り、今度は鈴仙の視覚が真っ白になる。狐は少し笑って言う。

 

「白だ。」

そう言うと右目を静かに少し見開き、白い目を光らせる。

 

「っつ…!」

真っ白な空間に鈴仙と狐が二人だけ。鈴仙にとってはそんな状況に感じている。

 

「さて、話を「分かりました。これが効かないのであれば」ほんとに人の話聞かないねぇ。」

 

「真っ向から弾幕で倒させてもらいます!スペルカードは5枚です!」

 

「…はぁ…そうなるか…残念ながら僕そのスペルカード?とやらを持ってないんだよ。」

 

「え?よくそれで私を倒せると思いましたね。」

拍子抜けしたように鈴仙は言った。

 

「いや、倒しに来たんじゃないし…」

 

「え、だってさっきそう言って…あ、」

そこまで言って鈴仙は会話を思い出していた。

 

 

『ちょっといいか?』

 

『?…何ですか?私を退治しにでも来たんですか?』

 

『いや…ちょっと聞きたいことが』

 

『私たちを止めに来たのならここで狂い墜ちて貰うだけです!』

 

『…話聞かないんだな。』

 

 

「…あー…」

 

 

『さて、話を『分かりました。これが効かないのであれば』ほんとに人の話聞かないねぇ。』

 

『真っ向から弾幕で倒させてもらいます!』

 

 

「あぁー…………」

 

「…思い出してくれたかい?」

 

「…す、すみません!てっきり私達を退治しに来た敵だと…」

 

「いや、ここがどこかを聞きに来ただけだよ。そもそも退治されるようなことをしたのか?」

狐は白から普通の背景に戻しながら聞く。すると鈴仙は少し下を向き、黙った。

 

「…………」

 

「…もしかして()()()はお前達か?」

 

「…もしそうだったら、どうしますか?」

少しだけ声が震えている。

 

「…退避勧告だね。多分誰かがもう来るだろう。こういうののスペシャリストが。」

 

「…貴方は戦わないんですか?」

不思議なことを聞いたように聞かれた狐は、手を少し振りながら答えた。

 

「いやはや、戦いは苦手でね。昔、少々やり過ぎた時以来戦ってないよ。…大体…500年ぐらい前かな?」

 

「…え?」

今度はあり得ないものを見る目で見られる。

心外である。

 

「え?僕何か変なこと言ったかい?」

 

「え、気付いてないんですか?」

 

「…?」

少し首をかしげる。

狐からすれば全く違和感のない会話だったのだが、鈴仙からすれば違和感ありまくりであった。

 

「…さっき、なんて言いました?」

 

「?…僕何か変なこと「いや、その前です。」…えーと…大体500年前から戦ってない、ってところか?」

 

「…500年前からって…今何歳なんですか…」

 

「いや、数えてないよ?いちいち覚えてられないし。…まあ…大体なら…6000歳ぐらいじゃない?」

 

「ろっ…6000…ですか…?」

 

「まあ…そうだね。人間の狩猟時代辺りからいたから……多分そのぐらいかな。」

 

「…だっ、大妖怪も、大妖怪じゃないですか!?」

至近距離で叫ばれた。

大妖怪。たしかにそうである。彼自身、自分がそう弱いとは思っていない。だが、自分より遥かに強い妖怪も見たことがある。歳ばかり食っても意味ない年も出てくる、と老人のように言うが、年齢としてはおじいちゃんとか言うレベルでない年齢なのである。

 

「さあ…?どうだろう。まぁ、弱いとは思ってないけど…」

 

「…私…大妖怪に喧嘩売ったんですか…?」

 

「うーん…まあ、そっちがそう思うなら…そうなんじゃないか?」

 

「うわあぁぁぁ!ごめんなさいごめんなさい本当にすみませんでしたですからお願いですから食べないで下さいお願いします!」

早口言葉を大量生産しながら首がもげる勢いで頭を振る鈴仙に狐は、

 

「いやいや、別に気にしてないよ。」

少し笑って手を振る。

 

「え…ゆ、許していただけるんですか…?」

 

「いや、許すもなにも怒ってないし…というかここそんなに治安悪いのか?」

 

「うあぁぁぁ!ありがどうございばず!」

鼻水と涙で顔がグシャグシャである。

 

「…一回顔拭いた方がいいよ。」

そう言って狐はハンカチを鈴仙に渡す。その時、

 

「あら、また会ったわね。」

再び後ろから声。

流石にもう慣れた。

 

「おや、さっきの…霊夢って言われてたかな?夢じゃなくて残念だったね。」

 

「…聞いてたの?怪しいと思ってたらやっぱりこの異変に関与してたのね。」

 

「え?…あ、」

そう。さっき気付いたが、狐彼がいるのは鈴仙のいた建物の前。恐らくここが異変を起こした主犯格の居場所であろう。そして、そこで普通に会話している怪しい狐と兎…間違いなく怪しまれる。というかもう犯人確定扱いだろう。

 

「さあ!観念しなさい!今大人しく倒されれば苦しまないわよ!」

 

「……ふむ…」

さて、どうしたものか、と考える。倒されるのは確定事項らしい。それにスペルカードとやらも持っていないため、まともに相手も出来ないだろうし、そもそもルールが分からない。だからといって、この狐のルールでやっていいわけでもない。さて、どうしたものか、と考えていると、

 

「…この方は関係ありません。先程こちらにいらしただけです。」

意外な助け船であった。

 

「あら、味方の助け合いかしら?…というか、さっきからだけど紫どこにいるのよ?」

 

「先に行ってたんじゃないのか?」

 

「いや、途中からいなくなってたのよ。あのスキマ妖怪…どこに「ちょっと待て。」え?」

狐が声を出した。優しい感じは消えている、鋭い声だった。彼の中で一つ、思考が出てきた。

ゆかり。紫。スキマ。スキマ妖怪。

 

「…その紫ってやつは…八雲紫か?」

 

「えぇ?何でそんなこと「答えろ。」っつ…!」

圧倒的な妖力波。それなりに離れていた鈴仙にも衝撃が来た。霊夢や魔理沙も思わず腕で顔を隠している。たった一本。たった一本しか尻尾は出ていない。それなのにこれである。

 

「…ええ。そう…よ。ここの…創設者であり、賢者の、八雲紫よ。」

 

「…もしや、ここは幻想郷か…?」

狐が顎に手を置いた瞬間、

 

「えぇ?何よ…うわっ!」

いきなり妖力波が消え、重心を前に持っていっていた霊夢や魔理沙が倒れた。

が、狐は気にせず…

 

「…ならどこかに…お、あった。」

どこか、正確には何もない空間を…否、正確には何も()()()()空間をじっと見て、ふと言った。

 

「紫。見てるんだろ?」

しかし、何も起こらない。

 

「…あ、そうだったな。こじ開けてみろって言われてたな…」

そう言うと狐は懐から短刀を取りだし、

 

「…ふぅ…はっ!」

シャッ!

ヴォン

一度息を吐き、勢いよく横に一閃、残像が残る勢いで振るった。すると空間が裂け…

 

「うぅー!また開けられたー!」

金髪ロングで日傘をさした大妖怪…八雲紫が出てきた。…いや、正確には空間の裂け目から引きずり出された。

 

「はは、残念。場所を見つけられてる時点でまだまだだな。」

 

「う"ー…」

 

「そう睨むなって。」

そう言って狐は空間の裂け目…スキマから出てきた紫の頭を尻尾でポンポンと叩く。

 

「むー…今回はバレないと思ったのに…」

 

「ほい、早く行ってこいよ、彼女達に待たれてるぞ。話は後でするから。」

 

「分かった!じゃあまた後で!」

紫はそう言って手を降り、三人の少女達の元へ行き…

 

「…ってことで。」

 

「「「「いやいやいやいやいや!?」」」」

そこにいた全員(鈴仙含め)が手を横に振った。




言い忘れていましたが、永夜沙始まりですが、メンバーで今回出てくるのは鈴仙だけです。何でって?
…ストーリーの関係上です。多分その内出します。

では、また次もお会いしましょう。ありがとうございました。
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