白黒狐の幻想録   作:謎の通行人 δ

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どうもただの謎存在です。

お気に入り登録をしてくれた方がこんなにいることに驚きです。評価をしていただいた方にも感謝です!
ですが、本命投稿があるのでこちらの投稿は遅いです。


では、本編どうぞ!


八雲紫の少女(?)時代

「いや、どういうことだぜ!?」

「え、紫!どういう…えぇ!?」

「…今私達何を見てたのかしら…?」

「え…そういえばお名前聞いてなかったですけどそれより!な、何が起こったんですか!?」

そこにいた全員が声を上げたが、

 

「あーもう!一度にバラバラのこと言わないでちょうだい!とりあえず!この異変を解決したら話はするからまずはこの異変の解決よ!」

全員が違うことを一斉に言うため、紫は一括で応えた。

 

「よし!やってやるわよ!早く説明してもらわないといけないんだから!5分で片付けるわよ!」

 

「よーし!行くぞー!」

先程までの眠気なんぞ、どこかに置いてきたように、霊夢、魔理沙、アリス、紫の四人は建物に入っていった。

 

「…鈴仙は止める役なんじゃないのか?」

 

「いや…そうなんですけど思考が追い付いてなくて…それに、話を聞きたいのは私もですし…」

鈴仙は職務を放棄していた。

 

 

 

因みにその後、この異変は史上最速の4分12秒で解決されたという。

 

 

 

「で?とりあえず、二人はどういう関係?」

 

「もちろん将来を誓い合っ「こら」むぐ」

狐に尻尾でがっちり拘束された。

 

「勝手に変なことを言うのは止めてくれ。…そうだね…特別どうというわけでもないけど…ま、僕からすれば紫は勝手についてくる近所の家の娘みたいな感覚だけどね。」

 

「ふーん…え、」

 

「うん?」

 

「娘?」

 

「うん。」

 

「この老いぼれが?」

 

「ちょっと霊夢!その言い方は無くない!?」

何とか抜け出せた紫が反論する。

 

「うーん…でも確実に僕の方が紫より年上だし…」

 

「え、嘘!?」

 

「…6000歳位だそうですよ。」

 

「は?」

 

「え?」

 

「…紫で大体どれぐらいよ?」

 

「私は永遠の17さ「うーん…大体1500歳超え位じゃ」ちょっと夜雪!」

 

「…うん?」

何やら聞きなれない単語が。

 

「?どうした?」

またもやハテナマーク。

 

「夜雪…?」

 

「ああ、僕の名前、言ってなかったね。夜雪(よせつ)。狐の妖怪だよ。」

 

「あー、自己紹介まだだったわね。何でか知ってるみたいだけど、博麗霊夢。博麗の巫女なんだけど…紫と知り合いなら博麗の巫女は知ってるわよね?」

 

「ああ。最後に会ったのは…5代目だった気もするけど。」

最初に会ったのは初代からだ。靈夢と言っていた気がする。その友人に魔梨沙って奴がいたな、と思っておく。

そういえば、靈夢と霊夢はかなり似ている。髪が紫か黒、あと巫女服が違う位で後は結構そっくりである。夜雪は靈夢には退治されかけたのだが。

 

「んで、私が霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ!」

 

「普通の…?」

 

「ああ!まだ捨食、捨虫の術を使ってないからな!」

人間の三大欲求の内の食欲と睡眠欲を捨てる術だ。

 

「なるほど。」

 

「それで、私がアリス・マーガトロイド。人形つかい兼魔法使いよ。」

 

「なるほど。アリスの周りに浮いてるのを操るのか。」

夜雪がアリスの周りに浮いている人形達を見ながら言うと、アリスは嬉々とした表情で、

 

「ええ。皆私の自信作なの!この子が上海で、この子が蓬莱で、この子が和蘭でこの子が…」

 

「あーっとアリス、そこら辺にしといてくれ。そろそろ紫と夜雪の関係を聞かなきゃいけないからな。」

 

「あ、そうだったわね。ごめんなさい。この話はまた今度ね。」

 

「(…なるほど、こういう子か。魔理沙、ナイスだ。)」

 

「へへ、そうだろ?」

 

「(なぜ考えが読めた?)」

 

「?魔理沙、何言ってるの?」

 

「、いいや、何でもないぜ。それより、紫が近所の娘感覚ってことは、紫と会ったのも子供の時なのか?」

 

「そうだね。確か…」

 

「あ、ちょっと待って夜雪その話は」

 

「ハイハイ紫はこっちで止めとくから話続けてー。」

霊夢が紫を羽交い締めにした。

 

「あーーー!わーーーーー!あーー「…うるさいよ。」うっ…」

その瞬間に、紫が気絶した。

 

「…え?」

本当に、え?である。何が起こったのか一同が混乱する中、

 

「えーと、どこから話そうか。」

何事もなかったかの様に話し始める夜雪。

 

「ちょ、ちょっと待って今あり得ないことが起こったんだけど。」

霊夢がまず聞く。

 

「?何か起こったか?」

まさか気付いていないわけではあるまい。

 

「いや、あなたこのスキマ妖怪に触れもせずに気絶させたわよね?能力?」

正確には、一瞬だけ紫の目の中に光を直接入れただけである。

 

「うーん…当たらずとも遠からずって感じかな…詳しく言えば能力の応用だね。…ま、そこはいいか。まあ、紫と会ったのは本当に紫が幼いときだったね。まだ100歳にもなってなかったんだと思うよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…さて、今日はどうしようかなぁ。」

夜雪はこの頃はまだ名前も持っていなかった。そもそもあまり名前を呼ばれるような相手もいなかったし、かなりの間人間の姿でいたのも大きい。ほぼ名前を呼ばれると言えば人間名がほとんどだったから、特に不自由なく暮らしていた。この日は適当に森の中を散歩中である。

 

「…お?」

その時、後ろに妖力を微かに感じた。が、後ろを振り返ってみても誰もいない。気のせいかと思って前を見ても、やっぱり誰かいる。そこで、少しトラップを仕掛けた。いや、トラップと言えるほどのものでもないが、後ろに向かって色を無くしていっただけである。つまり真っ白になっていく。影も映らないような、まるで真の銀世界。

すると、

 

「え、ええっ!?」

 

「おっと、」

引っ掛かった。そして後ろを見てみるとかなり小さい少女が空間が裂けたような物から顔を出して固まっている。

 

「さて、ちょっと出てきな。」

 

「う、うぅぇ…」

首元を掴んで引っ張り出す。そして、下ろしてから聞いた。

 

「…さて、何か用かな?」

 

「わ、私と勝負しろ!」

 

「………え?」

結構素の声が出た。急に勝負を持ちかけられたのだから焦る。

 

「妖怪なんでしょ?私と勝負しろぉ!」

どうやらばれていたらしい。まあ、そんなに本格的に隠していた訳でもない。森の中なら別に誰にも会わないだろうという考えゆえだったから、妖力も大して隠していないが、人間には感じ取れない程度だ。

 

「…まあ、いいけど…」

 

「ふふ、先に言う!私と勝負を決めた時点でお前の敗けだ!」

どこかの漫画に出てきそうな台詞を言う少女。

 

「…まあ、まず、君の名前は?」

 

「八雲紫!最強の妖怪だ!」

最強の、という辺りが何とも青い、と内心微笑ましく思いながら、そうか、と言う。

 

「じゃあ、始めようか。でも、流石に年齢差があるからね…何かハンデを付けようか?」

 

「ふん!そんなの要らないもん!ちゃんとした1対1勝負!」

 

「…分かった。でも、喧嘩を吹っ掛けてきたのはそっちだからね?負けても文句言わないように。」

 

「言わないもん!勝つから!勝ってお前の妖力も体に溜めれたらもっと強くなるもん!」

そう言って紫が消えた。すると、後ろから再び妖力。

 

「それっ!」

紫が光弾を放つが、簡単に避ける。

 

「お、よく避けれたね。」

 

「そりゃどうも。でも、残念ながら今は戦闘中だよ。」

 

「え?きゃっ!」

 

「はい。捕まえた。」

一瞬で紫の後ろに回り、抱き上げる。

 

「え、ええ!?いつの間に後ろに!?」

 

「さっき。」

 

「み、見えなかった…」

そりゃあ見えたら見えたで凄いけどな、と思いながら、夜雪はちょっと脅してみる。

 

「さて、妖怪が勝負で勝てば妖力を得られるのは知ってるよね。じゃあ、負けた方はどうなるか…」

 

「ぅ、ぅぇ…」

 

「言い出したのはそっちだからね。」

 

「ううぅぅぅぅー!」

じたばたして逃れようとするが、逃げられるわけもなく。

 

「じゃ、」

 

「うぅぅ…」

紫が涙目になった。

さて、そろそろ止めてやろう、と夜雪は紫を下ろし、

 

「はい。自分の力を過信して、もう無闇に戦いを挑まないこと。」

 

「うぅ…はい…」

その時、

クゥ

 

「…腹減ってるのか?」

紫のお腹がなった。

 

「うー…」

 

「はぁ…ほら、食べな。」

そう言って夜雪はおにぎりを懐から出し、差し出した。

 

「…ぇ、」

 

「うん?どうした?」

 

「…いいの?」

あり得ないものを見るような目で見られる。やはり心外である。

 

「ああ、いいとも。」

 

「……でも、罠かもしれないし…毒とか入ってるかもしれないし…」

じっと紫はぶつぶつ言っている。そんな紫に夜雪は少しため息をつき、言った。

 

「はぁ…紫は人を信用しないのか?…とは言ってもこんな所で会った狐を信用しろって方が無理あるかな。」

 

「……」

紫も、ある程度は分かっていた。この狐(夜雪)がそんなに悪い妖怪でもない事を。

 

「じゃあ、村に下りるか?そうすれば僕を疑わなくて済む。」

 

「駄目。もう何回か行った。……でも、妖怪ってバレて退治されかけた。…村には下りたくない。」

まあ、守り神がいたのが何より悪かっただけだが。

 

「…じゃあどうする?」

 

「むぅ…」

その時、

クゥ

また紫のお腹がなった。

 

「……本当に食べないのか?」

 

「………………」

本当は結構迷っていた。

お腹は死ぬほど減っている。何しろもう十日ほど何も食べていないのだ。

しかし、そこまで悪くはないだろうと言っても、この狐(夜雪)を信用していいのかも分からなかった。

そのため、

 

「…いらない。もう良いから。」

とりあえずこの狐(夜雪)を離そうとする。ここで甘えても後々こっちが困るだけだ、と自分に言い聞かせて、言った。

すると案外、

 

「…そうかい。じゃあ、頑張るんだよ。」

そう言って紫の頭を二回ポンポンし、 森の奥へと入っていった。

その十数秒後、

 

「グルルルルル…ガウッ!」

 

「…!」

狼の妖怪だ。

飛びかかってきたが、反応するのが一瞬遅れた。

やられる。脊髄反射で顔を隠し、目を閉じた。

その時、

 

「せいっ!」

ドシーン…

 

「え?」

見ると、先程の狐が狼を背負い投げしていた。

 

「はぁ…やあ、十数秒ぶりだね。」

 

「………いる。」

 

「え?」

 

「…おにぎり…ちょうだい。」

紫は、唐突すぎたか、嫌な顔をされるか、と思ったが、この狐は嫌な顔もせずに、

 

「ああ、はい。」

と言っておにぎりを差し出した。

まあ、特に毒等の変なものも入っておらず、思いの外梅干しが酸っぱかった事以外は何もなかった。ただただ夢中で食べていたのもある。

そして食べ終わった。

 

「…ありがと。」

 

「いやいや、どういたしまして。じゃあ、気を付けてね。」

 

「…うん。…あ、」

内心結構罪悪感に苛まれていた。こんなに優しい人を殺そうとしていたのか、と。まあ、彼なら倒されることもないだろうが。その時、まだ名前を聞いていなかったことに気がついた。

 

「あ、あの、名前…」

 

「うん?…ああ、僕、名前がないんだよね。偽名として人名はあるけど、本名がない。いや、あるんだろうけど知らないんだ。…良かったら付けてくれても良いよ。」

紫は名前がないとは思わなかったが、名前を付けてくれと言われるとはもっと思わなかった。

 

「うーん…じゃあ、白い尻尾に黒い耳があるから…夜雪っていうのはどう?」

 

「夜雪…か。良いね。そうさせてもらおう。…じゃあ、改めて。僕は夜雪。狐の妖怪だよ。」

夜雪はもう一度、柔らかく笑って言った。

 

「うん。じゃあ、またどっかで会おうね!」

 

「ああ。いつか、どこかでね。」

 

 

 

その後、しばらく会うことはなかった。というか、そもそも会える確率なんかものすごく少ない事ぐらい分かっていた。しかし、

 

「…おや、いつぞやの…」

あれから約500年程経った頃、夜雪がある村の中で歩いているのを紫は見つけたのだ。そして、人目につかない所らへんで夜雪の目の前にスキマを開いた瞬間の反応がこれであった。

 

「覚えてたの!?」

 

「まあね。…というか、大きくなったな。あの時は僕の腰辺りまでしかなかったのに。しゃべり方も若干変わってる。」

まあ、夜雪からしても名付け人(妖怪)となってくれた人(だから妖怪だって)を忘れるほど薄情でもない。

 

「私だって成長位するわよ。」

若干口を尖らせて言う。

 

「ッハハ、そうか。…さて、何か用か?」

 

「いや、見かけたから呼んだだけ。」

 

「ああ、なるほど。…というか、前に会ったときにも思ったけど、その…裂け目っていうのか?」

夜雪はスキマを指差して言う。

 

「ああ、スキマの事ね。」

 

「ああ、スキマって言うのか。そのスキマの中、悪趣味すぎないか?何でそんなに中に目があるんだ。」

 

「えっ…いやいやいや、かっこいいでしょ!?」

 

「いや…かなりどうかと思うけど。」

 

「嘘…」

そう言って紫は膝をついた。

 

「いやいや、そこまでの事か?」

 

「……………モウオウチカエリュ」

 

「待て待て待て待て、」

結構本気で紫は凹んでいた。

周りに青い人魂が3、4つ浮かばせて背中を曲げてスキマに潜り込もうとする紫を夜雪は一度止める。

 

「悪い悪い、まさかここまで落ち込まれるとは思ってなかった。」

そう言うと紫は若干夜雪の方を向き、

 

「スキマ、悪趣味じゃないわよね?」

聞く。

 

「あー…」

 

「悪趣味じゃないわよね?」

目力が強くなってきている。

 

「……………」

 

「ね?」

妖力が流れ出てきている。

 

で、

「………ああ。」

押しきられた。

そう夜雪が言った瞬間、

 

「良かった!そうよね!気味が悪いわけないわよね!」

子供のような機嫌の治り様である。

夜雪は、やっぱり見た目は成長しても頭の中身は変わってないのかなぁ、と考えておく。

 

「…ところでだけど、今も旅してるの?」

 

「?ああ。ずっと各地を放浪してるな。それがどうかしたか?」

 

「その旅、私も連れてってよ!」

 

「え?」

 

「久しぶりに会ったんだし、良いでしょ?私も特にすること無いんだし。」

 

「…あー…まあ良いかな。良いよ。」

ということで二人で色々な所に回るはめとなった。

 

 

 

「…あ、そういやあ紫のスキマってどうなってるんだ?」

 

「ああ、私の[境界を操る能力]で作ってるの!」

 

「境界を…ねえ。」

そこだけ言われると全く分からない能力である。

 

「夜雪も能力、あるんでしょ?」

 

「うーん…分からないんだよね…感覚で使ってるから名前なんか付けてないし。」

そのままである。というか、夜雪は化かすよりも能力を使う方が圧倒的に多いため、いちいち名前も必要ないか、と考えていたのだが。

 

「どんなの?」

 

「色をつけたり、抜いたり、光を扱ったり…まあ、そういう関連だね。」

 

「じゃあ[光と色を操る能力]ってところ?」

 

「いや、そこまで万能な訳でもないからね…」

正確には光を操ってるから色が操れるんだよ、とは言わなかった。言ったところで説明が面倒だからである。

 

「じゃあちょっと砕いて[光と色を操る()()()能力]って感じにする?」

 

「…程度の…か。程度かどうかは分からんがな。」

 

「良いじゃないの!私の能力も[境界を操る程度の能力]にするから!」

いや、それだけは絶対程度の、じゃない、と夜雪は思う。

そんなチート能力が程度になってしまったら普通の能力は何と呼べば良いのか。

 

「…まあ、良いか。名前位どうでも。…というか、境界を操るって死ぬほど強くないか?」

 

「あれ、そう?スキマ位しか使ってないけど。」

 

「は?」

まさか、と思う。

 

「え?」

 

「いやいや、そんなのだけじゃないからな?」

 

「え、そうなの!?」

今更か、と夜雪は思いながら言う。

 

「どんなものにも境界はあるんだ。例えば、水とお湯の境界、死と生の境界、自と他の境界…それを操るってことは実質森羅万象を司ってるようなものだよ。」

 

「えっ!そんなに強いの!?」

紫は理解していなかったらしい。

勿体ない。宝の持ち腐れだったんだな、と夜雪は思いながら説明する。

 

「…何なら、例えば特定の人の自我境界線とか生と死の境界を弄る事で簡単に人を殺す事も出来るし、自身、他人の人間と妖怪の境界を操れば完全な人間にも完全な妖怪にも出来る。…要は最強だよ。」

 

「え、えぇ…」

 

「乱用は禁忌だね。」

若干笑いながら言う。

 

「それは夜雪もでしょ。初めて会ったとき、周りから色が消え去ってほんとに焦ったんだから。そっちも乱用は禁止よ。」

 

「はは、心に留めておこう。」

確かに、夜雪の能力も中々チートである。まあ紫には敵わないと本人は思っているようだが。

 

 

 

そんなこんなから約百年、旅をした後、紫が言った。

 

「ねえ、私決めた!…昔から思ってた事もあったんだけど、妖怪と人間の共存できる世界を創る!」

 

「………………ほう。」

 

「…馬鹿馬鹿しいかな?」

紫は不安そうな顔で夜雪に聞く。

 

「いいや、紫なら出来るはずだ。応援するよ。」

 

「!!本当!?」

肯定した瞬間不安がどこかに弾き飛ばされたらしい。

やっぱり中身は変わってないな、と一人で苦笑して夜雪は応える。

 

「ああ。本当だとも。…ま、僕に出来ることなんかあんまりないけど、愚痴ぐらいは聞こう。」

 

「…うん。スキマで会いに行く。」

 

「ああ。完成の知らせ、楽しみにしてるよ。」

 

そこから紫は、妖怪の最後の楽園を創りながらちょくちょく夜雪に会いに行っていた。

 

 

「夜雪ー!」

 

「お、紫か。」

夜雪も紫のテンションと機嫌が分かってきていた。先程の時のようにテンションがやや高い時は、

 

「聞いて!思いの外、理想郷の土台がしっかりしてきたの!」

 

「お、進展してるね。」

とまあこんな感じ。

で、

 

 

「夜雪ー…」

 

「、久し振り。」

こんなテンションの時は、

 

「邪魔するやつが多すぎるの!何なのあいつ!人がせっかく頑張ってやってるってのにあの態度あり得る!? もうー!」

 

「紫、やけ酒は良くないよ。…大丈夫さ。そいつらも分かってくれる。」

とか、

 

「……もう駄目かもしれない…私にはこんな大層なこと出来ないのかも…。」

 

「…そうやって言っても、言い始めたのは紫だからね。止めるも進めるも紫に任せるよ。でもそんなに急がなくても、ゆっくりで良いから進めればいつかは出来るさ。」

とまあ、こんな感じだった。

 

そして、

 

「夜雪夜雪!聞いて!」

この日は満面の笑みで夜雪の目の前にスキマを開いてきた。危うくぶつかるところだった。

 

「どうした?」

 

「もうでき上がりそうなの!人も、鬼も、天狗も河童も神も、皆がいられる所が!やっと!」

 

「…お疲れ様。よく頑張ってきたね。」

夜雪はポンポン、と紫の頭を撫でる。すると紫は、

 

「それでね!最後、夜雪にも手伝って欲しいの!」

 

「?僕に?」

思いの外大役を任せてきた。

 

「ええ!理想郷を他と隔絶してる[博麗大結界]って言うのがあるんだけど、それを普通の人からは見えないように、隠して欲しいの。…忘れられた者だけが通ることのできる結界に!」

 

「…それは紫でも出来そうな気がするけど?」

 

「今まで手伝ってきてくれた人にやらせたいの!誰よりも一番助けてくれたどこかの狐さんに!」

 

「…僕は何もしてないよ。」

 

「支える側の人は支えられる側の人がどれだけ有り難がってるか分からないものかしら?」

 

「さあ?分からないね。僕も支えたつもりは無いし、愚痴を聞いてただけだよ。」

 

「そのお陰で出来たの!夜雪がいなかったら幻想郷は完成してなかったし、創ろうとも思わなかったかもだから!」

やはり顔が眩しい。

こういうのを破顔一笑と言うのだろうな、と夜雪は思いながら応える。

 

「…ああ分かった。参加させてもらおう。紫の最高傑作の仕上げに。」

 

「ええ!」

 

まあ、光と色を操る程度の能力持ちの夜雪からすれば簡単な仕事だった。周囲の風景、状況から光、色を抜き出し、コピーして博麗大結界に移植、おまけに博麗大結界の端に着くと反対側の端に飛ばされることにより、普通の者は通れないようにもしておいた。

 

「よしっ!完っ成ぃぃー!」

 

「ハハ、これで、やっと本当にお疲れ様だね。でも、ここからまた更に大変になるよ。」

そう。

ここがゴールじゃない。やっとスタートなのだ。一つの国をまとめる管理者としても問題は次から次へと出てくるはずなのだ。

 

「そうね。じゃあ、その都度また愚痴でも聞いてもらおうかしら?」

 

「はは、待ってるよ。…と言おうとしたけど、僕もしばらくこっちでも住んでみようかな。紫の傑作が如何程なものか、ね。」

夜雪は柔らかく笑い、片目を閉じて言う。

 

「ええ!招待するわ!」

そう言うと紫は幻想郷へのスキマを開き、夜雪を招き入れた。

 

「ようこそ!

 

 

 

  ()()()()()()()()()()()()()()へ!」




ゆかりんの過去です。
若干変な所があるかもしれませんが、気にしないで下さい。作者は3歳児です。

読んでいただき、ありがとうございました!
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