白黒狐の幻想録   作:謎の通行人 δ

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どうもただの謎存在です。

紅い館と言えばあそこしかありませんね。はい。


では、本編どうぞ!


例の紅い館

夜雪がまず人里に行こうか、と思って飛んでいた時だった。

 

「…あぁ、」

ある湖の上を飛んでいるとき、霧の間から見えた建物を見て、思わず苦笑いをした。この幻想郷で一度、夜雪が少々キレかけた事件、吸血鬼異変のあった紅い館、紅魔館である。

 

「…ま、今の当主は()()()とは違うだろうから良いんだけど。」

そう呟いて紅魔館の近くに着地する。

 

「………………」

が、その前に。

何だこの門番は。

 

「スピー…クカー…」

いや、気持ち良さそうに寝ているが、それはおかしい。門番が寝ていては話にならないのだ。が、それより、

 

「………紅魔館で確定か…この門番もあの時から変わってないのか。」

 

「………」パコッ

 

「あ痛あぁぁぁ!すみませんごめんなさい咲夜さん寝てないですほらちょっと長めのまばたきとか瞑想とかあるじゃないですかだから寝てませんからナイフはやめてくださいぃぃ!」

 

「……あー、」

突然早口言葉スイッチが入った門番に戸惑い、一回声をかける。

 

「大丈夫かー?」

 

「すみまえ?あ、お、お客さんですか?ゴホン、私は門番の紅美鈴です。何の用ですか?」

 

「ああ、いや、見かけたから立ち寄っただけだよ。紅魔館の今の当主は誰なんだい?」

 

「今の…?まあ、今はレミリアお嬢様ですが。」

 

「レミリア・スカーレットか。…じゃああいつの娘か…」

 

「!もしや、スカーレット郷の事を知っているんですか!?」

 

「ああ。今じゃスカーレット郷なんて呼ばれてるのか。…何ならお前とも会ったことはあるんだが。」

 

「?…あー…すみません、どなたでしょうか?」

 

「覚えてないならいい。あんまり良い会い方じゃなかったし、下手に敵対されても困るんだよ。」

 

「…敵対されるような者なのですか?」

一気に雰囲気が変わる。

否、彼女の能力上、気の流れが変わる、といった方が良いかもしれない。が、夜雪は警戒もせずに、

 

「ふむ…そちらから見れば、だね。こっちからすれば正当防衛だったんだけど。」

 

「…全く覚えがありませんね…」

 

「まあ、そりゃあそうだろう。あのときはこんな姿じゃなかったし。」

 

「?」

 

「さて、そろそろお暇「失礼。」ん?」

そこにはさっきまでいなかった銀髪のメイド服を着た人が。

 

「お嬢様がお呼びです。「あの狐を連れてこい」、と。」

 

「狐……まさかっ!」

美鈴の目が見開かれる。

 

「おっと…レミリアとやらには気付かれたのかい。…呼ばれたなら行くしかないね。」

 

「………」

 

「…入るよ。」

そう言ってやけに大きい扉を開いた。

キイィィ…

 

「………ほう。主直々に出迎えかい。」

入ると、かなり大きい階段の前に一人の吸血鬼の少女。

 

「こうして面と向かって会うのは初めてね。…夜雪、と言ってたかしら?私はレミリア・スカーレット。紅魔館の主よ。」

 

「ほう…僕の名前はお前の父親から聞いたのか?」

 

「ええ。スカーレット家の名を汚したものとして有名よ?」

レミリアは夜雪を睨み付ける。

 

「そりゃ不名誉な有名さだな。…にしても、汚した覚えは全くないんだけど。そもそもあれはそちらが勝手にやって、勝手に負けたんだろう?汚すもなにもあったものじゃない。…というか、一度会ってるからな?」

あれ、というのは当然のごとく吸血鬼異変の事である。

 

「あら、そう。私は忘れてるから私からすれば会ってないのと同じよ。…確かにお前の言い分もそうね。でも、この世には敵討ち、という素晴らしい言葉があるのよ。」

 

「完全に言いがかりだけどね。…さて、じゃあ今ここで僕を殺すのかい?」

 

「まさか。家に入ってきた大きめの虫を家の中で潰すような真似はしないわよ。」

 

「招き入れておいてその言いぐさは心外だが。」

そう言って夜雪は少しため息をついた。

 

「……まあいいわ。じゃあ…」

レミリアの手の中に赤い槍が現れる。

 

「ほう。確かにあいつもそれを使ってたな。たしか神槍スピアザグングニルだったかな?」

 

「ふーん。よく知ってるわ…ね!」

ブン!

ドガァン…

そうレミリアが言った瞬間、グングニルを二本ぶん投げてきた。

 

「ほら、どうせ避けたんでしょう?とっとと姿を現しなさいな。」

 

「いいや、避けてなんかないよ。」

床にも夜雪にも傷はついていない。が、レミリアの目が更に見開かれたのはそこではなく、

 

「!」

夜雪の片手には二本の赤い槍があった。

そこで、夜雪が一言、言い放った。

 

「奪いはしたけどね。」

 

「っ…!」ギリッ

 

「残念ながら格が違うよ。」

そう言って夜雪はグングニルを壊す。

 

「…はぁ…分かったわ。で、何のつもりでここに来たのかしら?」

 

「うーん、元々は見えたから立ち寄っただけなんだけど…もし友好的なら館を見せてもらえると良いかな、と思ったけど。」

 

「あら、そんなことで良いのね。じゃあ、地下室から見せましょうか。下から上に、ね。」

若干笑った。明らかに何か企んでいるようだったが、夜雪は気にせず、

 

「残念ながら掃除は上から下に、だよ。」

冗談感覚で返した。

 

「掃除じゃないから別に良いわよ。咲夜、彼を地下室に案内してあげて。」

 

「え……」

いや、咲夜自身も薄々は勘づいていた。多分案内しろ、と言われるであろう事ぐらいは。

 

「?何を詰まる理由があるのよ?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

違う。

地下には()()()がいる。

もし地下に行ってしまえば最後、()()()()終わってしまう。生き残ることはできないだろう。

しかし、主の命令には逆らえず、咲夜は、

 

「…分かり…ました…」

 

「ええ。じゃあ、咲夜についていけば分かるわよ。多分驚くと思うわよ。」

 

「ほう?それは楽しみだ。」

夜雪も夜雪で話に乗っている。

 

「じゃあ、案内頼むよ。」

 

「…はい。」

 

 

 

 

「…この先です。」

二重の石と鉄の扉を開け、長い廊下が続いている。

 

「ほー…長いね…こんなに空間があるとは思えなかったんだけどねぇ…。」

 

「…私の能力の応用です。」

 

「ああ、時間を止めれるんだったかい?確か推測の答えをもらってなかった気がするけど。」

 

「…正確には時間を操る程度の能力です。その応用で空間も操れるんです。」

 

「…なるほどね。外で言う相対性理論か。」

 

「?そう…たい?」

 

「ああいや、こっちの話だよ。」

ここの住人にアインシュタインなんていう人を知っているのが何人いるか分からないし、そもそも幻想郷で「理論」なんていうものを出す方がナンセンスである。まあ、夜雪自身も相対性理論などの方面にはそんなに思わしくもない。

 

「…………」

それよりも、先程から咲夜がずっと下を向いて、若干目を閉じている。どこか、何かを我慢しているようにも見える。

 

「…?何か、元気が無いようだけど…大丈夫かい?」

夜雪は少し咲夜の顔を覗き込むような感じで聞く。

 

「…夜雪様…と申しましたよね?」

 

「ああ。」

咲夜はゆっくりと目を開き、夜雪の方を向いた。

 

「…気付いてらっしゃるんですよね?…この先が危険だってことに。」

ピクッ、と夜雪の耳が動いた。同時に、はぁーー、と少し長めのため息をつき、今度は夜雪の方が若干うつむいて言った。

 

「………当たり前だよ。あの目は完全にこっちを殺しにかかってる。そういう意味では驚かされるんだろうけどね。」

 

「冗談を言っている状況では「でも」……」

少し声の大きくなった咲夜の話を遮った。

 

「…青いんだよ。」

 

「はい?」

その言葉の意味は咲夜には理解できなかった。

 

「…黒い中に…薄く、青い物があるんだよ。」

 

「…それは…どういう…?」

 

「…人や動物には、感情がある。その時に、特有のオーラみたいなものが出る。その大きさ、色、形で何を感じているかはある程度分かるんだ。」

夜雪が持つ能力のお陰か、そういうことができるのだ。顔に出る、出ないも関係なく、心の中で思うことが出る。普通は何か、壁で阻まれるとほとんど見えなくなるのだが…

 

「あの鉄の扉の向こうには…恐ろしく大きい…言うなれば、狂気の持ち主がいるんだろう。扉を挟んでもここまで見えるほどね。…でも、その中に目を凝らせば、薄く寂しさや、恐怖が混じってる。」

 

「…寂しさと…恐怖…ですか…」

 

「…一人でいる事への寂しさと…自分自身への恐怖…だろうね。詳しくは会ってみないと分からないけれど。」

 

「確かに…彼女は…そうなのかも、しれませんね…」

咲夜も下を向いたまま言った。

 

「…まだ僕の年齢の1割も行ってないであろう子がこんな負の感情を抱えてると思うと…どうもやるせなくてね…救ってあげたいんだよ、自己満足でも。」

 

「…死なないでくださいよね?…私の仕事が増えてしまいますから。」

咲夜はそういった。しかし、確かに前半は本音だが、後半は完全に適当な理由である。

 

「…ああ。ま、いざとなれば奥の手もあるから心配は要らないよ。お気遣い感謝する。…じゃあ、行ってくるよ。」

 

「…ええ。」

 

タッ

 

「…妹様を…どうか、よろしくお願いします…!」

夜雪が扉の中に入ったのを見て、咲夜はそう呟いた。心からの願いだったのだろう。

 

 

 

 

 

「…ほう?」

夜雪が入った所は、思いの外に女の子らしいような部屋だった。

違和感と言えば部屋の片隅にバラバラになった人形が固められていることだろうか。

その時、

 

「?だあれ?」

 

「うん?」

空から声がした。上を向いてみると、

 

「?…人間…?咲夜以外じゃ初めて見るなぁ…私はフラン。フランドール・スカーレット。貴方は?」

金髪に赤いドレス、七色の宝石のような物の付いた羽のようなものを持った少女がいた。

 

「、僕は夜雪。人間じゃあないんだよなぁ…」

 

「?美鈴みたいな感じかな?」

首をかしげてフランが呟く。

 

「いいや、狐だよ。」

そう言って夜雪は尻尾と獣耳を出す。

するとフランは目を輝かせて、

 

「わあ!おっきい!触っていーい?」

 

「ああ。良いよ。」

 

「もふー!」

そう叫びながら、フランは尻尾に飛んでいき、もふもふし始めた。

はて、何をしにここに来たんだったか。

狂気の少女などどこにもいない。さては何らかの方法で狂気が漏れ出ているような錯覚を起こさせてビビらせておいてから、実は何もないから「驚かす」なのだろうか、と夜雪が思った瞬間、だった。

 

「…!あ、う、うぐうぅっ…」

突然、フランが頭を抱えて苦しみだした。

 

「!どうした!」

すぐに尻尾を伸ばしてフランに言う。すると…

 

「……れ……逃げ……」

 

「何て言った?」

聞き取れない。若干ノイズが入ったように聞こえている。

 

「離…れて…逃げて…!」

 

「え?」

理解するまで一瞬かかった、その瞬間、

 

「うっ…うああああああぁぁぁぁぁ!」

黒い靄のようなものがフランの身体中から出て、彼女の胸に吸い込まれていった。

 

「おい、フラン!」

 

「…はぁー…はぁー…はぁ…」

 

「! !」

外見は変わっていない。が、明らかに変わった。()()はゆっくり立ち上がり、笑った。

 

「アハハ…新シイ…オモチャ…アハハハハハ!」

 

「っ!」

目に光がない。赤く塗り潰されている。

オーラは全て黒。青も黄も赤もない。言うなればあるのは漆黒のみ。

 

「狂気かっ!」

 

「ソウヨ!」

 

BGM[最終鬼畜妹フランドールS]

 

「アハハハ!サアサア、一緒ニ踊ッテ遊ビマショ?[禁忌]レーヴァテイン!」

そう宣言すると、フランの手の中に赤い時計の針をねじ曲げたようなものを出現させ、そこから炎が上がり、剣の形になる。

 

「!」

 

「エーイ!」

そう言ってフランは振り回す。

その剣の軌道にも赤い弾幕が展開される。

 

「うおっ!」

夜雪も何とか躱す。

 

「ソーレ![禁弾]スターボウブレイク!」

上から七色の線が大量に降ってくる。

 

「くっ…はぁぁっ!」

夜雪は蹴りや肘打ちで弾幕を相殺していく。が、威力が強すぎた。

 

「!…っと…いてて…流石に無理があるか…」

 

「ウフフ、[禁弾]カタディオプトリック!」

 

「くっ!」

夜雪も見よう見まねで弾幕を撃ってみるが、やったことがない。それに、この密度には対応しきれない。

 

「ちっ…ちょっと我慢してくれよ…!」

そう言って夜雪は尻尾を九本に増やし、同時に尻尾の先に火を灯す。狐火。どちらかと言うと静電気の類いに近いのだが、それどころでないのでそれで火を灯す。

 

「はっ!」

狐火を放射型に撃ち、とりあえず弾幕を打ち消す。

 

「(…さて…どうしたものか…)」

夜雪の能力も戦いに向いた能力ではない。どちらかと言えば、せいぜい狐として人を驚かしたり、日常生活でちょっと便利になったりする程度だ。確かに、応用すれば攻撃になりうる使い方もあるが、無用な傷をつけてしまいかねない、もしくは威力が足りなさすぎる。それに、夜雪自身もあまり戦闘が好きでない&得意でないのだ。

 

「ソレソレー!」

夜雪が考えている間にもフランは手を止めずに弾幕を放ち続けている。

 

「く…」

尻尾で弾いたり、狐火で打ち消したりしながら夜雪は躱す。

 

「[禁忌]クランベリートラップ!」

夜雪の回りに魔法陣が現れ、移動しながら弾幕を撃ってくる。

 

「……ここだ!」

その時、夜雪も前に付き出している手の中に赤い魔法陣を展開した。すると、

 

「エッ?」

クランベリートラップの魔法陣が全て消えたのだ。

 

「ふぅ…魔法陣の逆算を覚えておいて良かった…」

逆算。

魔法そのものの仕組み等を弄り、魔法陣の使用権を奪ったり消失させたりする術。それなりに力も使うが、やむを得ない状況下に置かれた場合、ためらいなく使う。

 

「ヘェー…狐サンハ戦イトカ苦手ッテ聞イテタカラ期待シテナカッタケド…」

フランの目が赤く光りだした。

結構ヤバい予感がしている。先程から徐々にフランの狂気の力が強くなってきているのだ。だが、それより……

 

 

「モット面白クナリソウネ!」

 

 

ヤッべー、と夜雪は思う。下手に応戦したばっかりにスイッチを入れてしまったようだ。

 

「[禁忌]フォーオブアカインド!」

フランが四人に分裂する。

 

「うおっ!そんなのありかっ!」

 

「アリダヨ![禁忌]…」

 

「「「「レーヴァテイン!」」」」

四人が一斉に同じスペルカードを発動する。

 

「ち…」

流石にこれはただ躱すだけでもかなりきつい。何せ大きさもフランの体長の3倍ほどあり、夜雪の1.5倍ほどある。そもそもよく持ててるな、あれ。

そう思いながら夜雪は、手を横に突きだし、何かを掴むように指を動かした。すると、

 

「…妖刀…」

黒い柄に赤い刀身の刀が一本現れた。

 

「…黒閃(こくせん)。」

 

「ソレ!」

フランは四人がかりで夜雪に斬りつける。

弾幕も飛んでくるのが厄介だが、夜雪は、

 

「………」

ガァン,ドドーン…ギギィン,ザッ!

全て刀で受け、弾幕も切り裂いていく。

 

「…はっ!」

次は斬撃を飛ばす。とはいっても本体は攻撃しない。フォーオブアカインドによって別れた三つは後ろに魔法陣がついている。つまり、魔法陣がついているやつは攻撃すれば消えるだろう、と考えたのだ。。

 

「!!」

夜雪の予想通り、斬撃に当たった魔法陣付きのフランは消えた。しかし、同時に夜雪はかなり焦っていた。

 

「(…まずい、黒い感情が濃くなってきてる…このままだとフランが狂気に飲み込まれるのも時間の問題…一か八か…!)フラン!」

 

「?ナアニ?」

 

「…お前じゃない。お前の()()()()…さっきまでここにいたフランだ。…今助けてやる。歯を食いしばって耐えろ!」

そう言って夜雪は能力、妖力をフル解放する。

元来より、狂気もその者の感情や、個性の一つ。人の感情やら個性やらを消失させるのは並みじゃできないし、そもそも論して良いわけがない。だが、それが本人に悪影響を及ぼし、あろうことか体を乗っ取ろうなんていうのはもっての他だろう。

だから、全力で相手をする。そう決断し、夜雪は白い十三尾を顕現させ、妖力を解放する。

 

「はあぁっ!」

フランを十三種類の魔法陣が囲う。

 

「!きゅっとして…」

フランが夜雪に向かって手を出した。

そして、その手を握り始めた。

 

「!」

その瞬間、体の回りから透明な壁が迫ってくる感覚。押し潰されそうな感覚が襲った。

しかし、夜雪はまずは術に集中する。もしあの手が握りしめられれば夜雪は死ぬだろう。その前に…

 

「はぁっ!」

ドドーーン…

魔法陣から術を解放する。部屋に結界を張り、内が爆発のような光に包まれた。

そして、夜雪の回りの透明な壁も消えた。

しかし、術の発動が一瞬遅かったようで、右腕が爆発してしまったようだ。しかし、夜雪は意に介さないように腕の回復に専念しはじめ、呟く。

 

 

 

「…さて、ここからが大変だぞ…」

 

 

 

光が収まったとき、夜雪の前にはフランと、真っ黒いフラン…彼女の()()()()()が対峙していた。

 

「…………」

 

「チ…分離サレタカ…ナラ…マタ戻レバイイ!」

 

「させない!」

ボオゥ

フランがレーヴァテインで狂気を斬った。だが、狂気はすぐに立て直し、

 

「フフ…」

同じようにレーヴァテインを取り出した。

否、正確にはレーヴァテインの()と言った方がいいのかもしれない。真っ黒に塗りつぶされた狂気の持つレーヴァテインも同じように真っ黒に塗りつぶされていたからだ。

 

「ソレ!」

 

「はあっ!」

ガキィン

夜雪は、今は何もしない。もし、本当にやばくなったら手を貸すが、それ以外は手を貸してはいけないと思っている。そもそもあまり動かない方がいい状態だ。

 

「[禁弾]スターボウブレイク!」

 

「フフ、甘イ甘イ!貴女ノ使ッタ弾幕ハ全テ分カッテルノヨ!」

狂気は軽々躱す。

 

「うっ…[禁忌]カゴメカゴメ!」

升目のように小さい緑の弾幕を置き、上から大きな弾幕で升目を崩しながら放つ。

 

「アハハ!無駄無駄無駄無駄!意味ナイノヨ![秘弾]そして誰もいなくなるか!?」

黒いフランが消え、黒縁の紺に近い弾幕に変わる。そのままフランに向かって追尾していく。フランも何とか躱す。どうやらこれは耐久の弾幕らしく、そのまま二分ほど経った。

 

「はぁ…はぁ…」

何とかフランは避けきった。だが、かなり疲労しているようだ。

 

「アラ、モウ限界カシラ?」

それに対して狂気の方は息一つ上がっていない。

 

「ぅ…まだ…」

 

「ふふ、頑張るのね。」

 

「(…でも、どうしたら?…どうやったら勝てるの…?…怖い…怖いよ…)」

一度怖い、と思ってしまえば、身体中に伝染する。小刻みに体が震え、うまく動かない。

 

「アラ、体ガ震エテルワヨ?」

 

「うるさい!」

どうしよう、どうしようどうしようどうしよう!

そう思っていたときだった。

バン!

 

「フラン!」

声のした方には…紫の髪に自分と同じ紅い目の吸血鬼…フランの姉、レミリア・スカーレットがいた。




BGMがU.N.オーエンでないのは、戦っているのがフランの《狂気》の部分だからです。いや、別に最終鬼畜が狂気のBGMって訳ではないんですが、なんとなくそんな気がしたからです。

では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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