白黒狐の幻想録   作:謎の通行人 δ

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どうもただの謎存在です。

残念ながら吸血鬼異変につきましては、ほぼほぼ妄想となっております。なにしろ情報が少ないんです。
ご了承ください。



では、本編どうぞ!


吸血鬼異変 序盤

その頃、博麗大結界により、外と隔絶された幻想郷内では妖怪と人間のバランスを保つため、人間は妖怪を不必要に倒してはいけないし、妖怪も人間を無闇に襲ってはいけなかった。

そのため、人を襲う各地の妖怪達は気力を失っていた。

そして、その問題を解決しようと、いつものように八雲紫が机の上で唸っていると、

「紫様!」

 

「あら、藍。どうしたの?」

部屋に忙しく彼女…八雲紫の式、八雲藍が入ってくる。

 

「西端の集落と、中部の小集落が…西洋の妖怪の襲撃を受けました!」

急な報告だった。

 

「…西洋の…妖怪…?」

 

「俗に、吸血鬼と呼ばれる者が。どちらもかなりの被害が出ております。」

吸血鬼。既に西洋を統治した妖怪である。かなり力が強く、魔術や呪いを使う者もいるらしい。

相当な妖力を持ってはいるが、太陽光に弱く、当たると体が焼けると聞いたことがあった。

 

「吸血鬼…ね。集落はどうなったかしら?」

 

「…かなりの被害を被りました。恐らく西端の集落は住人の半数程が亡くなったと。もう一つは…全滅でした。私が行った時には…既に。」

想像以上の被害だ。

 

「片方が全滅…もう片方も半分…ね。」

 

()()()が急いで駆けつけて頂きましたので、半数で済んだと。」

 

「なるほど…あの人がね…」

ふと()の顔を思い出していた。本気で戦われれば紫ですらも倒してしまうかもしれない…否、確実に相手にならないだろう。紫の師匠みたいなポジションの実力者でもある。

 

「はい。しかし、頼りすぎるわけには。」

 

「わかっているわ。私も行ってくるわ。」

椅子に座っていた紫は立ち上がり、スキマを開いた。

 

「私もお供します。」

藍はそう声をかけたが、

 

「…いえ、藍は主に人里から片っ端に死角結界を張っていって頂戴。簡素でもいいわ。とりあえず見つかりにくくしておいて。」

主人から仕事を命じられればその仕事をするのが式である。

 

「御意。…お気をつけて。」

 

「ええ。」

ヴォン

 

 

 

西端の集落にて

「…お前…何者だ…こいつらは我が軍勢の下っ端とは言えど、全員が精鋭レベルだ。ましてや、お前は狐だろう?…それにも関わらず一度も攻撃を受けてすらいない。」

そこにいるのは倒れている数十もの吸血鬼と何とか立っている一人の吸血鬼、そして、黒い獣耳に白い尻尾を持った妖狐…夜雪であった。

 

「はは、そりゃどうも。残念ながらここは友人が創った場所でね。そう簡単に壊させられないんだよ。」

夜雪は余裕そうに笑いながら答える。

 

「…そうか。だが、我らが王、ガルシア・スカーレット様には敵うまい…!」

 

「…ほう、そうか。有益な情報と忠告、感謝する。…じゃあ、一度君にも眠っていてもらおう。…そういえば、君、名前は?」

 

「…グラウス・バーミリオン。この第三軍の操作官だ。」

 

「そうか。グラウス・バーミリオン。」

 

「ぐっ!?」

一瞬体が絞られたような感覚に襲われた。

 

「『()()()()()()()』」

その後、言葉そのものが重みを持った。そして次の瞬間、

 

「っつ…!?……」

ドサッ

突然グラウスの視界が赤と黄色に点滅し始め、倒れた。

 

 

「…ふう…これで最後か。」

そう独り言のように呟いた。すると、

 

「…流石ね。」

突然、後ろから声がした。が、夜雪は動揺も見せず、

 

「途中から気づいてたよ。スキマで覗き見とは、中々性の悪いことをするね。」

少しどこか抜けているようなしゃべり方と優しい声。

 

「失礼な。…でも、ここを守ってくれたことには感謝するわ。」

 

「いや…守れてないさ。ここに着くまでに半数近くの住人を死なせてしまった。」

若干夜雪の様子が暗くなる。

 

「それでも、もう半数を救ってくれたわ。…これから幻想郷内の賢者、統治者を集めて会議をするから、貴方も出てちょうだい。…その前に、これの黒幕と一度戦ってくるわ。」

 

「大丈夫なのか?」

 

「ええ。もしやばかったらスキマで帰るから、心配しないで。」

 

「ああ。待っておこう。まさか紫が死ぬようなことは無いだろう?」

夜雪はまた、いつもの少しの柔らかい笑みを浮かべて言った。

 

「ええ。じゃ、後で。」

ヴォン

 

 

そうして、紫はスキマの中を一人、飛んでいると明らかに妖力のおかしい、紅いフードを被った者を見つけた。そいつの前にスキマを開く。

「貴女がこの襲撃の主犯かしら?思ったより幼いようだけど。」

 

「…そうだ。お前がここの賢者とやらか?」

相手もあまり動じずに答える。そこら辺の妖怪たちとは明らかに妖力は桁違いであった。

 

「まあ、そうね。賢者は私だけじゃないけれど。一応ここ、幻想郷の創設者、八雲紫ですわ。」

 

「そうか、私はガルシア・スカーレット。…我々の目的はここの支配だ。私にここの支配権を渡せ。」

ガルシアは紫に赤い槍を突き付け、言った。

 

「あらあら、中々血の気が多いようで。…でも、もし、その誘いを断ったら?」

 

「断る気なのか。ならば…死ね!」

急にとてつもない数の光弾を紫に対して高速で打ち出す。

が、紫もそれを躱し、

 

「ふふ、この程度なら躱せるわよ。」

扇で口を隠しながら言う。

 

「この地の妖怪は気力を失い、弱くなっている。こんなものを妖怪と呼ぶことすら反吐が出る。我の思想に逆らうものは必要ない!」

 

「あら、西洋の天下を取ったとは聞いたけど、ここでも通用するかは分からないわよ?」

 

「ふん、どうだか。お前達も、弱くはないんだろうが、あまり自惚れていると痛い目に遭うぞ?精々日本という所の中で威張っている妖怪だしな。」

 

「ふふ、ご忠告どうも。ですが、貴女方をここにいさせる訳にはいきませんの。何せ、私の創った大切な幻想郷を壊そうとしているのだから…!」

そう言って紫は妖力を解放する。

ドドドドォォン

 

「おっと…中々強力な妖力だ…。が、戦闘は実力だ!」

 

ドドォーン!

ガルシアは紅い槍を出し、紫に対して振りかかる。紫はスキマから大量の光弾を発射し、目をくらませる。

ガルシアは更に魔法陣を紫の周囲に展開し、レーザーを照射する。紫はそれを避け、ガルシアの周りに球形に黄と緑の弾幕を二重に展開し、包囲発射する。が、ガルシアはまたもや避ける。

ガルシアは槍を振り回し、時には光弾を撃ち込む。紫はスキマや扇で躱し、受け、反撃する。

 

ガァン…ギギガィン…ヴォン…ドドォーン…

 

そんな戦闘が5分ほど続いたとき、

 

「はぁ…はぁ…やるな…」

 

「…ふぅ…そちらもですよ…。中々な実力者のようではなくて?」

 

「そうだ…な!」

いきなりガルシアが槍を投げてきた。紫は咄嗟に避けたが、少し掠ってしまった。若干傷がついたが、ここは別にいい。すぐに治るのだ。しかし、当たった瞬間から、紫の動作が遅くなった。治癒速度も同じく、血が出ている。

 

「なっ…」

 

「ふふ、隙ありだ!」

 

「っ!まずいっ!」

ヴォン

ドドドドドドドドオオォォォォン…

ガルシアが大量の光弾やレーザーを放った瞬間、紫は咄嗟にスキマを開き、飛び込んだ。

 

「…ち、逃げられたか…まあいい。…それにしても、傷を付けられたのは久し振りだな。」

そう言ってガルシアは腕に付けられた肩までの傷を見て、すぐに隠し、紅いフードを被って飛んで本拠地まで帰っていった。

 

 

 

ー吸血鬼異変本拠地、紅魔館ー

「ガルシア様、どうでしたか?こちらの妖怪は。」

本拠地まで帰ってきたガルシアに、羽の白い吸血鬼が聞く。

 

「…中々強いのがいたな。久し振りに傷をつけられた。…だが、恐らくあれより強いのはいないだろう。」

 

「そうですか。治癒は要りますか?」

その吸血鬼が聞くが、ガルシアは、

 

「いや、いい。すぐに治るだろう。それに、例の呪いが良い効果を発揮してくれるだろう。」

片手を振って、表情も変えずに言う。

例の呪いと言うのは、この吸血鬼の軍勢の中にいる高位呪術師が軍団員全員にかけた、その者によって傷を付けられた者は()()()()()()()()()()()、いわゆる、()()()()()の呪いである。

解呪もかなり大変で、ガルシアの知っているなかでも解けるのはその呪術師とガルシア自身だけだった。

 

「それは良かったです。彼女に伝えておきます。」

 

「ああ。ところで…他の集落はまだ見つからないのか?ここには10近い集落があると聞いていたが、まだ二つしか襲撃出来てないだろう?それに、一つは確かに殲滅できたが、もう一方はたかが狐一匹にやられたらしいじゃないか。わざわざご丁寧に誰も殺さず。」

ガルシアがそう言うと、その吸血鬼は、申し訳なさそうに足元を見て、

 

「…まだ他が見つかっておりません。地図にあった場所に行っても見つからないのです。」

 

「…恐らくあの賢者とかいう奴等だろうな。ちっ、面倒な…」

ガルシアは舌打ちをし、目を光らせて犬歯を出した。が、その吸血鬼は、一つ、報告をした。

 

「ですが、先日襲撃した村の捕虜に、解放を条件に情報を喋らせました。」

 

「ほう。」

その言葉にガルシアは吸血鬼の方を向き、目の発光を消す。

 

「それによりますと、《今、集落にはそれぞれ、存在を隠す結界が賢者によって張られているだろう。それがあるかぎり見つかることはないはずだ》とのことです。その後、その者に他の集落に連絡し、こちらに降伏するように伝えることを約束させて、解放しました。」

 

「なるほど。命令していないことまでやってくれたか。…だが、その方が確かに手間が省ける。よくやった。」

 

「ありがとうございます。」

吸血鬼はペコリ、と頭を90°下げた。それを見てから、

周りにいた吸血鬼達にガルシアは声を上げた。

 

「すぐに結界破壊師を招集しろ!少なくとも10人だ!」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

ースキマ内ー

そこには扉付きの椅子に座った絶対秘神…摩多羅隠岐奈、体の大きさに合っていない黒い翼を持った天魔…梵、管のようなものに繋がれた第三の目(サードアイ)を持ったさとりに、二本角の鬼の鬼子母神…祇姫、死人装束を纏った亡霊…西行寺幽々子、白髪に白い羽が6枚ついている魔界の創始者…神綺、そして、怪我を負った八雲紫に、夜雪がいた。

 

「いたたた…中々手強かったわ。咄嗟にスキマに入れたけど二、三当たっちゃったし…それにこの傷の治りの遅さ…だけじゃないわね、色々鈍化がかかってるわ。」

 

「…かなり厄介な呪いがかかってるね…。…能力鈍化の最上位魔法…いや、正確には呪いか。…まぁ、解けないわけじゃないから……ふっ、と!」

夜雪は手の中に魔法陣を展開し、それを紫の腕に当てて読唱をした。すると、

 

「…凄い。呪いが解けてる…よし、治ってきてるわね。」

 

「…さて、紫。どうなってるんだ?」

ふと隠岐奈が聞いた。

 

「ええ。それに、ここの人は分かるけど、私や地底の主は何で呼ばれたのかしら?」

幽々子も同じように聞く。

 

「そうですね。特に、さとりさんは地底の主ですから分かりますが、なぜ私が?」

祇姫も、少しさとりを見ながら聞く。

 

「…というか何で私も?」

神綺は状況を飲み込めていない。

 

紫は、まず隠岐奈の方を向いて、

「地底や冥界、魔界も幻想郷の内と捉えられるかもしれないわ。あいつらが攻めてこないとも限らない。…まず、隠岐奈。今藍が集落に片っ端から敵の死角に入るようにする結界を張って回らせているわ。簡易物だから、とりあえずそれを強固に、精度も高めておいてちょうだい。」

 

「分かった。」

 

次に梵。

「梵。」

 

「ああ。」

 

「天狗と河童を出来るだけ保護してちょうだい。下手に戦わせると危険だわ。」

 

「了解。」

 

そして、祇姫とさとり。

「祇姫、さとり。」

 

「はい。」

「ええ。」

 

「地底からこの混乱に乗じて地上に出るような奴がいないようにしてちょうだい。さとりは怨霊等、鬼子母神は鬼達よ。それと…手が空けば手助けしてほしいわ。」

 

「分かりました。」

「承知しました。」

 

更に幽々子。

「幽々子。」

 

「ええ。」

 

「…妖忌も幽霊の統治はある程度出来たわよね?」

 

「ええ。ある程度はね。」

 

「…少し危ないようなら冥界で幽霊の管理をして、充分なようなら参戦してちょうだい。」

 

「分かったわ。」

 

そして神綺。

「神綺。」

 

「ええ。」

 

「魔界の中の守護はあなたに任せるわ。あと、出来ればでいいけど、魅魔をこっちによこしてちょうだい。」

 

「魅魔を?」

 

「ええ。あいつもかなりの実力者のはずよ。」

 

「分かったわ。掛け合ってみる。」

 

そして、最後に…

「夜雪。」

 

「ああ。」

 

「…貴方があまり戦いを好む性格じゃないのは分かっているわ。けど…戦力が必要なの。…お願い。」

 

「…分かってるさ。力を貸すよ。」

夜雪はいつも通り少し優しい笑みを浮かべながら言った。

紫は一つ、ふぅ、と息をついて、続けた。

 

「…皆、ありがとう。…これは幻想郷の維持に重篤な障害を与えかねない問題よ。博麗の巫女も守護対象。相手にそういう者がいることを察されても駄目。…頼んだわよ。」

 

「ああ。」

「うむ。」

「はい。」

「ええ。」

「うん。」

「…ああ。」

 

「では…開始!」

パチン ヒュッ!

紫が扇を閉じ、横に振るとそれぞれがそれぞれの場所へと散っていき、ここには紫と夜雪しかいなくなった。

 

「…勝率はどう考えてるんだ?」

 

「…駄目ね、ここまでやってくれててこういうのを言うのもどうかと思うけど…いって半数…下手をすれば2割程かもしれないわ。」

紫は少し頭を押さえて答えた。

 

「…そうか。…それでも頑張らないとな。」

 

「ええ。」

 

「僕も久し振りに戦おうか。…紫に傷をつけられる奴なんかそういないだろう?…力になれるかはおいておいて。」

特に意味もなく、夜雪は尻尾を二本にしてみたり全部隠してみたりしてみる。

 

「…どうやっても貴方の力は必要よ。…お願い。多分貴方がいないとかなり大変なことになりそうな予感がするわ。…ま、貴方の事だから誰も殺さないんでしょうけど。あの集落の襲撃だって、誰も相手は死んでないんでしょう?」

 

「…ああ。全くだ…守るべき者を守れずにいても敵を殺すことは出来なかった…」

そっと尻尾の増減を止め、夜雪は言う。やはりどこか暗い。

 

「…それは貴方の個性よ。」

 

「…ありがとう。さて、そろそろ行くよ。…幻想郷に光あれ。」

 

「ふふ、貴方が言うとどこか安心するところがあるわね。能力の関係上かしらね?」

 

「さあ?」

また、少し笑った。

 

「……まあ、どうにせよ、頼んだわよ、夜雪。半分は貴方にかかってるようなものなのよ。」

 

「おっと、そりゃあ責任重大だ。」

夜雪は相変わらず少し笑って言った。




ガルシア・スカーレットはレミリアとフランの父親設定です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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