色々大変です。
相変わらず吸血鬼異変についてはほぼ手がかりがないため、妄想です。では、
本編どうぞ!
あるところで、一人の青年が2体の吸血鬼に尋問をされていた。
「………」
「ふむ、何も喋らぬわけか。」
紅いフードを被った吸血鬼が言う。
「…当たり前だ…そんな簡単に…味方を売るわけが…ガハッ…ないだろう…」
「そうか、ならいい。シャイン、殺せ。」
「はい。」
シャインと呼ばれた吸血鬼は手を硬化させて青年の首に付け…
ズシャァッ…
「…昨日の夜、一つ結界が破られたわ。」
「まだ私が強化しに行けていないところだったな…申し訳ない。」
「…で、紫、どうするつもり?」
幽々子が、いつものポワポワした雰囲気を捨て去ったような表情で聞く。
「藍が調べてくれた物や、私が調べた物等を合わせると、こうなるわ。
・相手は3000を超える軍勢
・目的はここ、幻想郷の支配。
・現在三つの集落が襲撃を受けた。一つは壊滅、一つは半数、そして、もう一つは、全住民が恐らく捕虜、拷問を受けている。
・リーダー格はガルシア・スカーレットと呼ばれる吸血鬼。
・幹部は全部で20余りで、副リーダーが4人いる。また、幹部もそれぞれ各地で勢力を持っていた吸血鬼で、各々の手下が数十から数百いる。
で、これが特にリーダー、副リーダー、幹部辺りの奴らの情報よ。」
紫は20枚を越える紙の束をパサリと置く。
「よく調べたな。性格やら写真まで。」
梵がその中の一枚を取って呟く。
「夜雪が調べてくれたわ。自身を周りから見えなくする位は出来るから、って。」
「あれ、そういえば夜雪さんはどこにいるんですか?」
さとりがキョロキョロと周りを見る。
「今は各結界に光の仕掛けを入れてくれているわ。より見つかりにくくするために。心配性な所もあるみたい。」
「…なるほどな…この幹部たちも中々じゃが…このリーダー。こいつ、恐らく周りとは別次元じゃろうな。」
梵が顔をしかめた。確かに、このガルシアだけは別格と言っていいほどの妖力と経験値を持ち合わせている。
「ええ。恐らく私との戦いの時も多分全力じゃなかったんだと思うわ。」
若干余裕が見えたのだという。
「…ちと無茶がありはせんか。こやつら、殺す気で襲ってくるじゃろう?こちらとしても戦えるのはここにおる奴らと夜雪位のもんじゃろうに。」
「うーん、僕はある程度大丈夫だと思うけど?というか、天魔が引け腰でどうする。」
どこからともなく夜雪が出てくる。いや、正確には梵の後ろから。
「うお、夜雪。急に人の後ろから出てこんでくれんかのう。」
「細工、し終わったよ。途中で二、三体吸血鬼に襲われたけど返り討ちにした。」
思いっきり梵を無視して話を続ける。
「相変わらずね。」
「まあね。…それより、かなり厄介なことになった。」
急に夜雪の雰囲気が変わる。
「うん?」
「おそらく、相手が結界破壊をするつもりだ。」
「おっと…」
その意味はここにいる全員が理解していた。
「思っていたより早かったわね…それ、確実かしら?」
「ああ、間違いない。明らかにおかしい奴らがいた。恐らく一流の結界破壊者だ。」
「…いつあたりからすると思うのかしら?」
幽々子も聞く。
「遅くても三日後だろう。早ければ…明日にも。」
「…まずいわね…仮にも全ての結界が破られたらどうしようもないわ。」
「おかしな気配は約15個。一つに二人以上つくはずだから…隠岐奈が張った結界もそう持たないと思う。それに、もしかすれば博麗大結界も破る可能性すらある。」
夜雪は、奴らならやりかねない、とも言った。あくまでも相手の目的は
「…それまでに何とかしないと…ね。」
「…冥界の方は妖忌がかなり出来てたから私も参戦できるわ。」
「私は、怨霊の操作はお燐がやってくれるそうなので、大丈夫です。ただ、鬼子母神様は鬼達の事や、今回の騒動で多く出てしまった怨霊の制御で来れないそうです。」
「天狗と河童はそれぞれ文達が頑張ってくれるらしいから儂も行ける。」
「…神綺に促されて来た。勿論、頼まれれば行けるけど…」
「…そう。…橙にはこの戦闘は早いでしょうから…こっちは私と藍位かしら。」
「…後は僕だね。…7人か…」
「…私忘れられてないかい。」
隠岐奈である。
「いや、一人ぐらいは結界の管理者が必要だと思ってね…どさくさに紛れて壊されても困るし。」
「ああ、なるほど。」
「…7対3000越えね…勝算はどれぐらいあると思うの?紫。」
「…全くもって分からないわね。…何しろ、経験がないわ。ただ、ざっと見の推測で言ってしまえば、勝率はいっても3、4割程度かしら…」
「……そうね。かなり大変な事になっているわ。」
相手は確かに大半、と言うかほぼほぼがここにいる、又は応戦する者よりは格下だろう。だが、一人一人がそれなりの上級妖怪程度の力を持っていると思われるため、束で襲いかかられるとかなり不利となる。おまけに相手の大将のガルシア・スカーレット。かなり強い。そんな短く言えるものではない気もするが、ただただ強い。紫達が持ってきた資料では数百の戦争をしてきて尚、負けなし。戦力差が数千大きくかけ離れた状況でもそこをひっくり返せる程の実力。
「倒せなくても、何とか脅しをかけて外に強制的に叩き出すとかの方法も無いわけではないけど…あまり現実的じゃあないか。」
隠岐奈も顎に手を添えて唸る。その時、夜雪が一つ、思い付いた。
「…うん、」
「どうしたの?夜雪。」
「…皆、一回目を閉じて。」
「?何で?」
「良いから。」
「え、ええ。」
そう言って全員が目を閉じた時、
柔らかい白い光が全員を包み込んだ。
同時に全員の妖力が底上げされた。
「えっ!?なっ、何これ?」
「?…力がみなぎるというか…」
その時、全員の視界が元に戻り、目を開けたとき、夜雪は顎に指を当てて考える格好をしていた。
「…そうか…これなら…」
「ちょっと夜雪!何したの!?」
「少し能力を使わせてもらっただけだよ。
「え?」
「…なるほど。光の中でも妖怪に対して力の源となる月光を体に奔流させて妖力を底上げしたってことですか。」
さとりが心を読んで理解する。
「そう。流石さとりだ。それで、これを応用すれば、日光も操れると思う。向こうがこっちに勝負を仕掛けてくるなら夜に仕掛けてくるはずだから、その時にはこういうのも使えるかもしれないと思ってね。」
「なるほど。確かに、戦力の底上げは必須と言ってもいいかもしれないわね。」
「まずあいつらは結界の正確な場所を見つけるためにここの奴等に宣戦布告するはずだ。正確な場所が分からなければ結界破壊も出来ないからね。…まあ、多分結界を解くように言ってくると思うけど…最終、場所が分かれば結界を破壊するつもりなんだろう。」
「…そうね。」
「…まあ、でも恐らく、結界破壊にリーダーは駆り出さないだろう。いっても幹部辺りで止まるはず。」
「そうね。明日以降、加えて結界周辺の警戒をしてもらうわ。」
「「「了解!」」」
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「…さて、ここからならここの最大の人里の結界が見えるか。」
夜雪には結界が若干見えている。
長く生きすぎた弊害故なのか、または化かすのが本分の狐だからなのか、はたまた別の理由があるのかは分からないが、他からの隠密の効果か薄いのだ。しかし、それでもかなり目を凝らさないと見えないほど、結界の隠密は強い。
「…さすがは藍と隠岐奈だなぁ。」
その時、
「ふん!」
「!」
ドゴォォォン…
赤い槍が飛んできた。
咄嗟に体を捻って躱す。
「おっと…不意討ちとは中々卑怯なことをするねぇ。」
視線の先には紅いフードを顔が隠れるまで被った、背中にコウモリのような羽を生やした一人の吸血鬼。
「ふん。外したか……お前が私達の第三軍を1匹で壊滅させた狐か?」
「あー、確か、グラウス…グラウス何とかって奴が言ってたか。…となると、お前がガルシアか。」
紅いフードで顔はほとんど見えない。が、妖力の濃さはこの状態の夜雪にも全く引けをとらない。
「私を呼び捨てにするとは…いい度胸だ!」
そうガルシアが言うと、後ろから数百の吸血鬼が現れ、夜雪に向かって飛んでくる。
「さあ!その実力見せてみろ!」
「…自分は戦わず、後ろで見てるだけかい?」
少しあきれた感じで夜雪は言った。
「これも戦い方の内だ。」
「…そうか。」
ドン!
夜雪が握っていた手から力を抜き、開いた瞬間、圧倒的な妖力波が吸血鬼達を襲った。前に進むことすら出来なくなっていた。否、正確には、全力で前に飛び続けていないと即座に後ろに吹き飛ばされるような威力だった。
そんな竜巻のような妖力の中心で、夜雪は静かに呟いた。
「…僕には到底理解できないね。」
あらゆるものを弾き飛ばしそうな真っ白な光の妖力と、何もかも飲み込んでしまいそうな真っ黒な妖力が分離しながら膨張し、暴れまわる。
まるで暴龍、光の龍と闇の龍が一人の狐から沸き上がってきているような感覚だ。
「ま、そもそも、妖狐という立場上、戦いはそんなに得意なわけでもないから、戦いかたとかそういうのに口出しはできたものじゃないけど…」
夜雪は尻尾を一本だけ増やす。
「…
「っつ…!」
今夜雪が出している尻尾は2本。たった2本で数百の吸血鬼の襲撃を押さえている。
「あり得ない…!どこからそんな妖力がっ…!」
「…ま、歳ばっかりは食ってるしね。」
そこまで言ったとき、
「夜雪!」
スキマが開き、紫が飛び出てくる。
「、紫か。」
「お久しぶりです。」
その後ろから九尾の狐が。
「お、藍もか。」
「…あぁ、もう状況は理解したわ。…流石ね。」
「そりゃどうも。」
「…あの時の妖怪とその式か…」
ガルシアが呟いた。
「あら、お久しぶりですわね。と言っても、昨日ぶりですか。」
その時、
「紫!夜雪!」
「加勢に来ましたー!」
「って…」
「これ、加勢いるかい?」
梵、さとり、幽々子、魅魔が到着した。
「…ちっ、人数が増えたか…」
「さて、そっちの軍勢は何人だ?」
「ざっと2000はいってるな。さて、そちらは…8人か。なら…全体!妖力解放!」
ズオァッ!
相手の吸血鬼の数が更に増え、全員の妖力の圧力が上がった。
「っ…と…こう見ると迫力あるなぁ…」
「迫力あるなぁ、じゃないわよ…かなりヤバイわ。殆ど力入れてなかったのは余興のためかしら?」
かなり焦った様子で紫が言う。
「いや、恐らく最初は僕だけ相手するつもりだったんだろう。後から色々出てきたから本気を出した…ってところじゃないかな?…まあ、一人づつ殺そうとするのは確かに賢いのかもね。」
夜雪はクックッ、と笑って言う。
「く…どうするの?相手も一人一人は私たちには敵わなくても、あの数よ。」
何しろ2000越えだと言っている。まともに相手をして勝てるわけでもあるまいし、ましてや主将は相当なやり手だ。が、夜雪は一言、
「…一つ、お願いがある。」
「?何?」
「あいつ…ガルシアの相手は僕に任せてくれないか?」
中々無茶なお願いをしてきたものだ。
「え、いや、無茶よ!流石にリスクが大きすぎるわ!」
「…悪い。だが、
そう言ってゆっくり、更に妖力を開放していく。
「…ちょっと虫の居所が悪くなってね。」
「っ…!」
明らかに雰囲気が違う。優しい
パチン、と指を鳴らせば、
ドオオォォォン…
「カハッ…!?」
一気に妖力が弾け、轟音と共に前線の吸血鬼達が吹き飛んでいった。
紫達も何とか立っている状況だ。
「…まずは九尾。」
そう呟いた。
宣言通り純白の尻尾が九本、光っていた。
「…今夜は満月だ。まだまだこの夜は続くわけだし、ゆっくりしようじゃないか。」
そう言った夜雪の顔はやはり柔らかく、しかし鋭く笑っていた。
さあ、色々大変なことになってきました。
次回!吸血鬼異変終結!デュエルスタンバイ!