ボーダー探究部   作:粗茶Returnees

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仁礼光②

「流川~。光さんが来てやったぞー!」

 

「こたつから出るなんて珍しい」

 

「カタツムリじゃねーんだから」

 

「もしくはタコか」

 

「アタシはヤドカリ派だな」

 

「最初にカタツムリ出したくせに!?」

 

「塩巻いたら消えんじゃん。除霊だな!」

 

「虐待だー」

 

 何しに来たんだろ。邪魔をしに来たのだろうか。今は新作の試作トリガー開発に忙しいというのに。これ俺以外に試してくれる人いるのかな。いてくれる方がありがたいんだけどな。

 

「おー? なんか難しそうなことしてんなー」

 

「新作トリガーいじり。いろいろと調整が難しいのなんの」

 

「へ~。こーいうのって1人でやんのな。てっきり大人数でやると思ってた」

 

「1人ではやらんよ。人手は足りてないから大人数でもできん。数人のチーム組んでやる感じ。その時々で手が空いてる人がいたら人数変わる」

 

「けど流川1人じゃん」

 

「それはあれ、トリガーってちっこいから」

 

「あ~、そーいう」

 

 宿題を持ち帰ってやるってイメージかな。一個のトリガーにみんなで群がってそれぞれ担当の箇所を調整していくってパターンもあるけど、手探りな状態だとそれは逆に効率が悪い。

 まず企画案が出されて、チームができる。企画者から完成イメージを聞いて、チームの人がそれぞれ自己流で調整。期日に持ち合わせて報告。イメージに一番近くて実用的なのが出てきたら、それをみんなで細かく調整。エンジニアもそれぞれ得意分野あるからね。基本的にどのトリガーも合作になる。

 

「それに既存トリガーの改善作業もあるからな。シールドの強度とか」

 

「そういや、孤月とかレイガストって軽量化しねーの?」

 

「孤月は今のが丁度いいんだよ。強度と重さは比例するから」

 

「ヒレーか」

 

「わかってないな?」 

 

「いやいやこれは分かるぞ! 重いのは硬いってことだろ!」

 

「まぁだいたい合ってる。んで、レイガストの方は知らん。俺担当じゃねぇし」

 

「なるほどなー。ま、アタシの隊はレイガスト使いいねぇから何でもいいけど!」

 

 雷蔵さんが聞いたら渋い顔するだろうな。たぶん自虐的に捻くれたこと言うよ。

 

「それで仁礼は何しに来たわけ?」

 

「どうせ適当な飯食ってんだろうなって思って、光さんが弁当を用意してやったぞ! 喜べ!」

 

「まじか、ありがとう。でも今ちょっと手を離せない状況」

 

「だろうなー。だから食わしてやるよ。食いながら手を動かすぐらいできんだろ」

 

「それくらいならな」

 

 ここの調整が難しいな。Aを弄るとBに影響が出る。バランスを整えた上でこれを性能を伸ばしていくってのが難しい。

 

「ほら、口開けろ」

 

 でも今回のコンセプトを考えると、ここが踏ん張りどころなんだよな。

 卵焼きが美味しい。

 

「味わって食えよ~。光さんお手製弁当なんて他に作らねぇから貴重だぞ」

 

 全員で仕上げる時用に回してもいいんだけど、この箇所だけ投げやりにするのはプライドが許さない。

 米はこれふりかけ乗ってるな。のりたまだ。

 

「ちゃんと噛め。弁当は逃げねぇよ」

 

 どう調整したものか。こういう時は一旦頭を休ませるのも大事だよな。ちょうど昼なんだし、昼休憩に入るか。

 

「……仁礼に餌付けされてる?」

 

「今さら何言ってんだ」

 

「仁礼パイセン。自分で食えるっす」

 

「恥ずかしがるなよ~。アタシと流川の仲だろ?」

 

「どんな仲のつもりで言ってる!?」

 

「友達じゃねぇか」

 

「友達に餌付けってやっぱ嫌じゃね!?」

 

「気にすんなって!」

 

 楽しんでやがる……! ならばこっちだって同じことしてやんよ! 仁礼に弁当を食わさせてやんよ!

 

「あ? 食わさしてくれんの? んじゃあーん」

 

「なんで躊躇ないんだ……」

 

「意識する方が負けだなー」

 

 あらやだイケメン。仁礼絶対モテるだろ。友達として。

 

「どうした? 難しい顔して」

 

「いや、仁礼の手製料理を最初に食べてしまって、未来の彼氏に申し訳ないなと」

 

「安心しろ。練習段階でゾエに食わせた」

 

「ならよかった」

 

 いろんな意味で!

 

「んで?」

 

「ん? ……あぁ、美味しい仁礼。作ってくれてありがとう」

 

「ん。流川はアタシが食わせねぇと食事偏るからな!」

 

 簡単に済ませようとしてな。

 実際、仁礼が用意してくれた弁当は栄養を気にしたやつになってる。学校の勉強なんてろくにしないのに。

 

「これからどんどん腕上げてやるからな! 楽しみにしてろ!」

 

「そのうち凝りだして料理に時間かけ……ないな。仁礼だし」

 

「食わせてもらってるくせになにおう!」

 

 これは失敬。仁礼の弁当、味付けも結構凝ってるし食えなくなるのはちょいと寂しい。是非とも今後も作ってほしいな。

 

「あ、そうだ。トリオン体ってリアル体からずらすのもできたよな? 小南とかそうだし」

 

「できるな。喜多川とか特にそれやってるし。仁礼も変えたいの?」

 

 胸か。

 

「んや。ユズルって女装似合いそうだって話にこの前なったからさ」

「なにそれ面白そう絶対やる!」

「そうこなくっちゃな!」

 

 この後に仁礼と2人で絵馬を追っかけたら、俺だけカゲにスコピで切られた。解せぬ。

 

 

 




 昼食がカロリーメイトから弁当にランクアップ(時々)。
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