天才たる俺でも、さすがに頭が上がらない人間はいる。鬼怒田さんは当然として、上層部の人たちがそうだし、ボーダーの初期メンバーとかもそうだったりする。
その最たる例だと、東春秋さん。この人は数多くの弟子を持つ人で、初めてスナイパーというポジションを築いた偉人だ。生ける伝説とも言う。
「最近は結構外に出てるそうじゃないか」
「引っ張り出されてるんですよ。押しかけられるパターンもできました」
「周囲の人間との交流は大事だぞ。そうしてくれる人を大切にな」
「もちろんです」
「それポン」
むっ、諏訪さんがダブ東か。
「流川を外に連れ出すってなかなかだな」
「引き籠もりみたいに言わんでくださいよ。俺は趣味に奔走してるだけですよ」
「そうですよ諏訪さん。流川の仕事の速さに助けられたじゃないですか」
ショットガンとかな。
「だからこそだろ。こいつは時期が経つにつれて仕事が増えてた。息抜きのために連れ出すのも難しいほどにな。そこを連れ出せる奴って希少価値高いぞ」
「そうだな。嵐山も安心していたぞ」
「嵐山さんは人のこと言えないぐらい多忙な気がしますけどね」
「なら、気苦労を減らしてやれ」
「ぐうの音も出ない」
そしてノーテンだ。点数減った。
「そういや最近アニメも見るようになったんですよ」
「見る余裕があったのか」
「作業しながら流してます」
「それBGMじゃねぇか!」
「聞きながら、気になるシーンになると画面を見るんです。意外とエンジニアってそういう人多いですよ? アニメから着想を得るんです」
「理屈はわかるけど、実際参考にできたトリガーってあるのか?」
「良い質問ですね堤さん。旋空とか変化弾とか。わりと身近なものが多いですよ。エンジニアの人もアニメ好き多いですから」
「そうなんだ」
おっ、一向聴になった。
「んで、今見てるやつで流川は何か着想を得たのか?」
「メガバズ作りてぇなって」
「誰だこいつにZ見せたやつ! 見せちゃいけねぇ奴にとんでもねぇの見せてんな!」
「いやロマン砲ですよ!? 男なら作りたくなるでしょ! 撃ちたくなるでしょ! 作れたら諏訪さん撃ってみます?」
「どこに向けて撃つ気だよ! 街守るどころか街滅ぶわ!」
「やっぱだめかー。リーチ」
「悪いな。それロンだ」
「なぬ!?」
東さんダマだったか。怖いなぁ。満貫ってのも痛い。
「諏訪さん、クレイ・バズーカはどうです? ショットガンの炸裂のタイミングを任意にしませんか?」
「さてはゲームの動画も見たな?」
「まさかそっちに流れるとは思いませんでしたね」
「こいつに見せたのお前か堤!」
「まぁ、なんだ。それが完成したら強いと思うぞ。ショットガンの射程が伸びるわけだからな」
「わかってくれますか東さん!」
「問題はそのショットガンをB級で許されるか、だけどな」
「……諏訪さんはよA級になって」
「無茶言うな!」
なんだよなってくれよ~。諏訪さんと堤さんにぴったりだと思ったのに。てか堤さんも、暗にこれを作ってくれってことで教えてくれたんじゃないのかな。単純に趣味ですか。そうですか。
「……お前、頭の方は大丈夫なのか?」
「天才ですから」
「バカだったな。ってそうじゃねぇよ」
「分かってますよ。それの答えなんて
「まぁ、そうだわな」
むっ、今回は手が悪い。進みも遅かったら降りに徹するか。
「明確な限界は誰にも分からないんで。理論上、人の記憶の容量は150TBに相当するらしいですよ」
「イメージしにくいな」
「これを知ってる人は少ないんだったか」
「ボーダー設立時にいたメンバーと、あとはここの2人くらいですかね。勝手に話が広まってたら知りません」
「それは誓ってない。元うちのメンバーにも話してはいないよ」
「俺らもだな」
「辻とか遥にも話してないんで、やっぱ知ってる人は限られてますね」
「綾辻にも話してなかったのか」
「不明瞭なことを話してもね?」
変な気遣いしてきそうだし。
「……どう選択しようと、俺たちは流川を支える。その事も頭に入れておいてくれ」
「ははっ。ありがとうございます」
そういう人だって知ってる。分かってる。
でもやっぱ、明確に言葉にされると嬉しい。
っと、いい感じに手が進んでる。
「諏訪さん」
「どうした?」
「飛んだ人が奢りでしたよね?」
「そうだな」
満貫以上縛りでその設定。昼前から思いつきで始めてることだし、早く終わらせようと思ったらそのルールにもなる。
「俺は焼き肉がいいです。ロン」
「は?」
「国士無双。諏訪さんごちです!!」