それは、変わらない日常。
いつも通りの時を過ごして、みんなと共に同じ時間を満喫する。
それが当たり前になり、何一つ違和感を感じずに笑顔で笑い合う。
..........ハズだった。
いつもの様にショップエリアの階段付近に現れたあるふぃは、
いつもの様に集まる皆を見渡していた。
.............たった1人、違和感を感じた。
「.............なぁ、君は..........。」
動揺を隠せないあるふぃはその人物に話しかけた。
「.......はい?なんでしょうかあるふぃさん?」
あるふぃに話しかけられ返事をしたのはユウだった。
こちらに振り返り、あるふぃの顔を見つめる。
その行動が更にあるふぃの違和感を増幅させる。
「........その、本当に......ユウか?」
「えぇ。そうですけど.........どうしたんですか?」
「いや......どうしたもなにも........」
あるふぃはユウの全体を凝視する。
明らかに........女性の体をしていた。
顔も.......いつもより女性っぽかった。
「...........んんっ!失礼。...........なぁ、みんな。」
咳払いをしたあるふぃは他のみんなに声をかけた。
「..........ユウが女装しているのに、なぜ皆なんの反応もないんだ?」
あるふぃのその言葉に全員が疑問の表情を浮かべた。
「........女装?何を言ってるんですかあるふぃさん、ユウちゃんは女の子だよ?」
ろんがユウの両肩にポンと手を置いて答える。
「女の子.......だと.........!?」
衝撃の言葉にあるふぃの頭の中が大混乱した。
「あるふぃさんどうしたんですか?女装とか意味のわからない事を........ユウに失礼ですよ。」
手すりに腰を下ろして蝉時雨が淡々と答えた。
その冷たい視線にあるふぃの心は傷ついた。
ユウが女の子だと......?男のはずだろ?あれ?私の記憶がそもそも間違っていたのか?だが........あれ、そう言われれば元々女の子だったか.........?
...............いかん、冷静になれ。
.........そうだ!ミカエラがいた!実の姉に聞けばいいのだ!
ならば、さっそく.......。
「すまない、少しだけ失礼する。」
そそくさと皆に手を振り階段を下りて交換ショップのカウンターの影に隠れてアークスシップ2番艦ウルにいるミカエラに通信を入れた。
『.......はい、ミカエラです。久しぶりですね、あるふぃさん。』
「...........急に呼び出してすまない、君の弟のユウの事だが............」
あるふぃが事情を説明しようとした時、先程の言葉にミカエラが反応して話を中断させる。
『.....弟?あるふぃさん、私に弟はいませんよ?いるのは、妹です。』
「........は?」
『私には、"妹"の"ユウ"だけですよ。そっちに遊びに行ってるはずですけど.......今は一緒にいるんでしょう?』
ミカエラの言葉にあるふぃはクラっとする。
パンク寸前だったあるふぃの頭は既に限界を超えていた。
当然だ。
何も変わらない日常、突然男だったユウが女性というのだ。
そして皆がそれを当然のように思い、自分だけが混乱していて皆から頭がおかしくなったんじゃないかと言うような視線を浴びせられる。
「........そ、そうか.......悪かった。私の勘違いのようだ。...........それじゃ、通信切るから............また暇があったらミカエラもナウシズに来てくれ...........。」
『大丈夫ですか?顔面蒼白ですけど.........。』
........だろうな。急にこんな事がおきて状況が飲み込めないまま更なる追い打ちをくらって平常心を維持しろと言われるのが難しい。
「あぁ....大丈夫だ....」とミカエラに返事をしつつ通信を切り、みんなの元へ歩いていく。
階段を上がってきたあるふぃの表情を見たユウは、様子のおかしい事に気づいてあるふぃに近づいた。
「..........あるふぃさん?大丈夫ですか?」
ユウ.......身長が少し縮んだか?........そんな上目遣いで見つめないでくれ........。
..........はっ!?私は今何を...........、れ、冷静になれ.........いや、しかし..........
目が泳ぐあるふぃを見て、ユウの両手はあるふぃの頬に触れた。
「..........大丈夫?」
ユウ........ダメだぞ.........そんな目で見つめたら..........!
...............もう、何が何だか分からない!
くそっ!!
「っ!!?」
「ちょ、あるふぃさん!?」
気づけば私はユウを壁際へと連れて行き壁ドンをしていた。
.............はっ!!!?
気づけば私は自室のベッドにいた。
酷く汗をかいていた。
なんだか、とんでもない夢を見ていたような...........ん、夢?
もしやと思い、ユウに通信をする。
『........ふぁい.....なんですか........あるふぃさん..........。』
眠たそうに喋るユウ。その声は男の子だった。
目をショボショボと擦り、ボーッとしているが、見たら分かる。
男の子だ!
「......あ、すまない。ド深夜だったな.......いや、特に用事はない。ただ........あれだ、安否確認だ。安否確認。」
『...........はい....?............なんですかそれ..........まぁ、僕は大丈夫ですよ............あの、まだ眠いんで寝ていいですか..........』
『............ユウ君誰と通信してるの............』
「ん、ろんもそっちにいたのか。ちょうど良かった。」
通信の奥の方で寝起きのろんの声が聞こえた。
『.......あい........なんでしょ..........。』
「................。」
あるふぃは少し考えたあと、一呼吸置いて口を動かした。
「......その、ユウは........男の子だよな?」
『.............当たり前ですよ。』
呆れたように返事をしたのはろんではなくユウ本人だった。
その言葉でようやく確信できた。
さっきまでのは全部夢だった。夢だったのだ。
なんだ、焦った。すごく、ドッと疲れた。
.............疑問の表情を浮かべるユウとろんを画面越しで眺めつつ、あるふぃはニッコリと笑みを見せた。