無職転生二次創作SS   作:早崎いるか

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Web版本編259話「戦いの終わり」と蛇足編の間の話です。
ビヘイリル戦後の日常回です。
ルディがビヘイルから帰ってきて2~3週間後くらいのお話です。
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シルフィと話がしたい(259.2話)

解禁のルーデウスになってから数週間後のことである。

オルステッドと各地への根回しに勤しみつつも、家族と過ごす時間はそれなりに取れていた。

解禁した日は激甘な生活を送ったが、毎日ああいう生活を送るわけにはいかない。

 

普段はドロドロな夜の生活は続けつつも、昼はしっかり働く。

たまに、まる一日お休みを頂く時はゆっくり過ごすといった感じだ。

 

休みの日は昼でもハッスルしてしまうことはあるが、まあ仕方ないだろう。

彼女らへの愛と俺の性欲は収まるところを知らないのだ。

 

さて、今日はそんなまる一日休みの日。

兼ねてより計画していたことを実行に移そうと思う。

ロキシーとエリス、リーリャ、ゼニス、ノルン、アイシャには既に今日することについては話してある。

子供も多く、これを実行するには協力者が必要なのだ。

 

子供達には悪いが、今日はシルフィを独占させてもらおう。

 

---

 

時は遡ること数ヶ月前。

シルフィをマジギレさせてしまった件で、ナナホシに相談しに行った時のことだ。

 

「それはルーデウスが悪いわよ」

「はい、それはそうだと思います」

「でも、仲直りできたんでしょ?何が聞きたいのよ?」

 

ルーシーのおかげで仲直りは出来た。

何が悪かったのかも分かる。

すでに怒ってる時に、あんな風に笑ってしまったら、そりゃキレるだろう。

 

だが、今までまる一日口を聞かないなんてことはなかったのだ。

今までのことが爆発したのだろう。

ずっと前からシルフィは我慢しているように思う。

最近はまた仲良く過ごしているが、またいつか我慢の末に怒らせてしまうかもしれない。

最後には愛想を尽かされるかもしれない。

そんなのは嫌だ。

わがままかもしれないけど、俺は一生シルフィの隣に居たいんだ。

 

「知らないうちに我慢させていつかまた怒られて、それを繰り返していくうちに愛想を尽かされるのが怖いんだ」

「シルフィがルーデウスのこと嫌いになるなんて私には想像つかないけど」

 

そんなことないやい。

彼女だって嫌なことが溜まったら、ごめんもう疲れたよとか言って出ていってしまうかもしれないんだ。

現に日記では出ていかれて最悪の結末を迎えていたんだし。

 

「ルーデウス、あの日記読んでからシルフィに対して臆病になりすぎじゃない?」

「実際にあったことなんだ。臆病にもなるだろ」

「そんなに怖いんなら、知らないうちに爆発する前に愚痴でも聞いてあげたら?」

 

ああ、そうか。俺から愚痴を聞いてあげればいいんだ。

なんでこんな当たり前のこと分からなかったんだろ。

 

「そっか、そりゃそうだよな。ありがとうナナホシ」

「どういたしまして」

 

---

 

言い訳でしかないが、あの後、ギースとの戦いがあったり色々忙しかった。

その間にジークのことで失望させてしまったりもした。

 

だが、ようやっとギースと決着をつけることが出来たし、平穏な日々を送れている間にシルフィの愚痴を聞こうと思ったわけだ。

 

これはシルフィの不満を吐き出させるだけが目的ではない。

 

俺とシルフィは若い頃に結婚した。

パウロやゼニスの時よりも断然若かったと思う。

結婚した時に、お互いに求めるものをはっきりさせたつもりだったが、やはり一緒に生活していく上で、シルフィも俺も相手に言えないことが増えてしまったように思う。

 

パックスの一件で俺はシルフィ達に頼ってもいいんだと気づかされた。

俺の抱えていた問題はもうほとんど家族に伝えている。

 

では、シルフィはどうだろう。

彼女は俺に迷惑をかけまいと、俺に好いてもらおうと我慢している部分があるように思う。

俺の抱えていた問題が大きかったからかもしれない。

自分の問題なんて些細なことだと思っているのかもしれない。

だが、問題の大小なんて関係ない。

シルフィは悩んでいる。

であれば、俺はその悩みを聞いてあげたい。

解決したい。

 

難しい話ではない。

とても単純なことだ。

俺もシルフィのことをもっと知りたいんだ。

 

さて、事は単純だ。

シルフィが起きてきたら、すぐに真向かいの愛の巣へと連れ込む。

別に朝からエロいことをしようというのではないが、あの部屋がわりと話しやすいのだ。

もし話しにくいようならお酒も用意してある。

勢いが大事なのだ。

朝からお酒なんてパパとママがすることではないかもしれないが、解毒魔術さえ掛ければ問題はない。

 

準備は終わった。

いざ行かん!

 

---シルフィエット視点ーーー

 

「うぅーん」

 

いい朝だね。

天気はいいし、洗濯物もよく乾きそうだ。

寝ぼけた頭で今日の予定を少し頭の中で整理する。

 

今日はルディが一日家にいる。

ルディは子供たちと触れ合える時間は本当に楽しそうだ。

ルディが楽しそうならボクも嬉しい。

 

それに今夜はルディと過ごせる。

久しぶりという訳でもないけど、いつもちょっと待ち遠しくなってしまう。

ルディとの最近の夜の生活は今までにも増して満足感がある。

ルディが禁欲生活を送っている間、当然だけど、ボクらも禁欲生活を送っていたのだ。

おそらくその反動なのだろう。

恥ずかしい話だけど、愛の巣に入る頃にはもう身体は準備万端になってしまっている。

 

ルディはそのことに興奮しつつも、優しくキスをして、ゆっくりと焦らしだすんだ。

ボクが声を上げる度、ルディはにやける。

興奮してくれているルディを見て、ボクも嬉しくなってもっと興奮する。

そして……

 

ってダメだダメだ。

朝からこんなこと思い出してると、昼間ルディに触れられた時に我慢できなくなってしまう。

昼間っからそんな乱れた生活を送るわけにはいかない。

最近はたまに昼間に応じてしまうこともあるけど、やはりあまり良くない。

むくれたルーシーに、お昼はママとパパ何してたのって聞かれることもあったし。

あの時はルディ共々冷や汗をかいてしまった。

ルディがどうしてもって時は応じちゃうかもしれないけど、そういうのは極力夜にしなければならない。

 

最近はルーシーも自ら色んなものを学ぶようになってきた。

どんなものにも興味津々で、ことある毎にボクやロキシーに聞いてくる。

ボクらもそれは嬉しいし、昔のボクとルディのやり取りを思い出してなんかこそばゆく感じる。

そんな彼女にも今興味を持たせていいことと悪いことがある。

まだまだ幼いあの子にそんなことを教えるわけにはいかない。

興味を持ってしまえば、同年代の子と試そうとする可能性もある。

それはさすがにまずい。

 

ルディもボクがしっかり断れば嫌な顔することなく、受け入れてくれる。

だから、ちゃんと夜まで我慢しよう。

 

そう決め、自室のドアを開けた。

 

---ルーデウス視点ーーー

 

シルフィがドアを開けて出てきた瞬間に、お姫様抱っこをし、即座に愛の巣へと駆け込んだ。

 

シルフィは、呆気に取られていたが、愛の巣に連れ込まれた瞬間、抗議の目を向けてきた。

当然だろう。

極力昼間は我慢しよう。

と前に約束したところなのだ。

 

だが、今回は昼間から致すわけではない。

朝だから昼間じゃないとかそういう話でもない。

ただ、シルフィとお話がしたいんだ。

と正直に伝えると、何となく真剣な雰囲気を察してくれたのかベッドに腰掛けてくれた。

寝巻きではない普段着のシルフィがベッドに腰かけているのを見ると少しそそられるものもあるが、我慢が必要だ。

そういうプレイがしたければ夜にすればいい。

 

「さて、シルフィエットさん」

「なぁに、ルーデウスさん?」

「ええ、今日拐ったのは他でもない愛しい愛しいあなた様のお話を聞きたいからです」

「律儀な誘拐犯さんだね。ルディが話したいって言うならボクは全然構わないし、嬉しいけど」

 

少し顔を赤らめてシルフィはそう言った。

 

「そう言って貰えて嬉しいよ」

「でも急にどうしたの?」

 

当然の疑問だろう。

特に最近は喧嘩らしい喧嘩はしていない。

仲が良すぎるくらいだ。

でも、だからこそ今話しておきたい。

 

「シルフィ。俺は君を愛してます」

「ボクもルディのこと愛してるよ?」

「はい。知っています。シルフィの気持ちはいつも感じとっています」

「うん」

「単刀直入に聞きましょう。シルフィ、我慢してることない?」

 

なんて切り出せばいいか分からない時はストレートに限る。

 

「別にそんなこと無いけど」

「最近のことだけじゃなくて、結婚してから今までの。いや、なんなら結婚する前の話でもいい」

「うーん」

 

本当に心当たりがないのかもしれない。

だが、たまに本音のようなものが見え隠れする時があるし、明らかに我慢していると分かる時がある。

あまり意識せず我慢してしまっているのだろう。

 

「いつだったかシルフィ。ボクだけを見てって言ってたよね」

「……うん」

 

「ルーシーがお腹にいるのに、俺がベガリット大陸に行った時寂しかったよね」

「……うん」

 

「ロキシーと結婚するって言った時、不安だったよね」

「……うん」

 

「オルステッドに戦いを挑む時何か言いかけてたよね」

「……うん」

 

数十秒ほど沈黙があった。

 

「……言ってもいいの?」

 

上目遣いで少し不安そうに聞いてきた。

 

「そのために今日の機会を用意したんだ。話してくれなきゃ困る。それに俺はどんなシルフィだって愛してるよ」

 

俺がシルフィに愛想を尽かされることはあるかもしれない。

でも、俺がシルフィを愛さなくなることは絶対にない。

じゃあと言ってシルフィは口を開く。

 

「ボクだけを見て欲しいよ!」

「うん」

「ボクだけのルディで居て欲しいよ!」

「うん」

「もっとルディと一緒にいたいよ!」

「うん」

 

涙目になってそう言ってくれた。

俺にはそういう素振りを見せなかったが、やはり我慢してくれていたのだろう。

そりゃ、シルフィだってロキシーやエリスのことを悪く思っているわけではないだろう。ララやアルスにだって心の底から愛情を注いでくれていると思う。

だが、好きな相手を独占したいと思うのは自然なことだ。

理屈ではないのだ。

 

俺は今、シルフィの本音を聞いた。

どうにかする術はないが、彼女の気持ちとは向き合っていかなければならない。

それが夫の役目なのだから。

 

俯く彼女の涙を拭おうと顔に手を伸ばす。

気配に気づいたのかシルフィは顔をこちらに向ける。

 

その顏には涙などなかった。

 

「なんてね」

「え?」

 

少し茶目っ気のある顔でシルフィはそう言った。

 

「そんな風に思ってないよ。そりゃもちろん今でもルディを独占したい気持ちはあるけど」

「じゃあ」

「それでもルディがボクのこといつも想ってくれていることは分かってるつもりだよ?ボクのことで色々悩んで、ボクのために色んなことをしてくれてさ。それだけで十分幸せだもん」

「……うん」

「そりゃ他の娘とも結婚するって言われたときはちょっと複雑な気分だったし、我慢もしたかもしれないけど。今はルディのためにそうあろうとしてるわけじゃないよ。ロキシーとエリスと一緒にルディを支えられるのが本当に嬉しいんだ」

「そうなの?」

「うん。だから、ボクは全然我慢してないよ」

「そっか……」

 

本当になんでもないよ、我慢なんてしてないよ、という顔だった。

 

「じゃあ、さっきの涙は?」

「んふふ、なんでしょう?」

 

そう言って、シルフィは水魔術を指先からちょろっと出して見せた。

 

「……なるほどな」

 

ウソ泣きの常套手段だ。

無詠唱ができる人間にとってのだが。

俺もいつだったかやったことがある。

 

「……でも、オルステッドに戦いを挑みに行った時はちょっと我慢したかな。それに納得もできなかった」

 

まあそうだろう。

きっと色々我慢して送り出してくれたに違いない。

あの時は俺に他の手段はなかったけど、我慢させたのは事実だ。

 

「ボク、ルディのことが大好きなんだ」

「うん」

「ルディがボクを大切にしてくれてることは知ってるし、ボクだってそれはとても嬉しいよ?でも、ボクもルディのことが大切だから、ボクらを守ろうとしてルディが苦しんだりするのは嫌なんだ」

 

俺がシルフィの立場だったら、俺だってそう思うだろう。

止めたいのに、止められなくて、もしかしたら自分の前から居なくなってしまうかもしれなくて……

 

「ルディがボクらを守ろうとして戦いに行く時、胸が張り裂けそうになるくらい苦しかったんだ」

「うん」

「ルディはえっちなことで誤魔化そうとしたけど、そういうのも嫌だよ?」

「はい」

「あの時、エリスがボクらの元に来なかったら、ルディは死んでいたかもしれない」

「……」

「そんなことになっていたら、ルディが誤魔化したこと一生恨むよ」

 

あの時シルフィに泣かれた。

後悔したと。

生きてて良かったと。

 

「だから、ああいうことがまたあるんなら、正直にちゃんと教えてね?」

「はい」

 

力強く頷く。

あれ以来そういうのはちゃんと話し合うようにしたつもりだが、やはり口に出して約束するのは重要だ。

 

「あと、ボクが我慢してるってルディが思った理由は何となく分かったけど、半分正しくて、半分間違いって感じかな」

「と言うと?」

「その時々で我慢することもあるけど、さっき言ったみたいに自分で解決することもあるし、それにルディがすぐにボクのことを気にしてくれて話を聞いてくれるもん」

「そうだっけ」

 

俺はそんなにしっかりしていただろうか。

 

「そうだよ。だから、その時にちゃんと我慢せずにルディに伝えたいことは言ってるつもりだよ?」

 

そうなのか。

いや、確かに思い返してみるとそうだった気もする。

ロキシーと結婚した時も、ジークのことで失望させてしまった時も何だかんだ心のうちを吐露してくれていた。

あんまり多くは語ってくれないから、我慢させていると思っていたけど、あれで気持ちの整理はつけられていたのかもしれない。

もし、本当にそうであるなら、今の彼女は特に何も我慢していないのだろう。

これからも俺が彼女を想って行動しているうちは、彼女が我慢し続けることもないのかもしれない。

 

なんか色々根回ししたけど、空回りしたような気分だ。

 

だが、ここで一つ疑問が残った。

 

「でも、じゃあなんであの時、一日中口聞いてくれなかったんだ?」

「あの時?」

「ほら、ルーシーがママとレオも髪の毛白だって言って俺がちょっと笑ってしまった時のこと」

「……理由分からないの?」

 

シルフィは少し頬を膨らませて眉を寄せていた。

あ、まずい。

地雷を踏んでしまったのかもしれない。

 

「いえ、分かります。分かるけど、その、まる一日口聞かないなんて今までなかったから」

 

咄嗟に出た言葉はひどく言い訳臭くなってしまった。

 

「あのね、ルディ。何度も言うようだけど、ボクはルディのことが好きなんだ」

「はい、存じております」

「ルディがボクの髪の毛に顔をうずめて柔らかいとかいい匂いだとか言ってくれるのも、ちょっと恥ずかしいけど嬉しいんだ」

「はい……」

「好きな人にそう言われるなら、ちゃんとブラシ使って毎日髪の毛整えようとするのは普通のことだと思うんだ」

「……そうだと思います」

「毛だらけにされた時、ボクちょっと悲しくなって、まあでも新しく買えばいいよねとか思ってたんだよ?でも、ルーシーが変な冗談言って、ルディがそれに笑ってさ。そりゃ怒髪天もつくよ。別に、ルディのためにやってるのに、とか言わないけどさ」

「……」

「前からちょっと思ってたけど、ルディ、時々デリカシーないよね」

「……すみません」

 

怒られた。

分かってたつもりだったが、分かってなかった。

シルフィが我慢してるとかそういう話じゃなかった。

ただただ俺が悪いだけだった。

本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

こんなに愛してくれている彼女を怒らせて、きっと日頃我慢して爆発したに違いないとか見当違いなこと思って。

最低だ。

 

「もう。そんなに落ち込まなくていいのに」

「でも」

「怒ったけど、ボク、ルディのこと嫌いになったりなんかしないよ」

「ほんとに?」

「ブエナ村にいた頃から今までずーっとルディのことが好きで、一度も嫌いになったことなんてないよ」

「うん」

「デリカシーが無くてもボクはそういう所も好きだよ。たまに運悪く不機嫌で、怒っちゃうかもしれないけど、それでも嫌いになったりしない。一生、ルディのことを愛してるよ」

「うう、俺のこと愛してくれてありがとうシルフィ」

 

よしよしと頭を撫でられながら、俺はシルフィに抱きついていた。

 

これから長い時間をシルフィと過ごすだろう。

またいつか怒らせてしまうかもしれない。

けど、もう愛想を尽かされるなんて思わないでおこう。

彼女の俺への愛を軽んじるのはもうやめなきゃならない。

その上で、しっかり何が悪かったか考え、シルフィにごめんって謝るのだ。

 

シルフィの柔らかい身体を抱きしめながら、そう強く決意した。

 

ーーー

 

追伸:

 

その後、せっかくお酒を用意したので、お酒を飲みながら2人で想いを何度も伝えあい、酔っ払った可愛いシルフィにむらむらしてエロいことしまくったら、酔いが覚めた時めちゃくちゃ怒られました。

 

今の語彙力で表すには困難なほどシルフィがエロ可愛かったので、文才に目覚めたらその時のことを記そうと思います。

 

ルーデウス・グレイラット

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