仮面ライダー鎧武vsGE2 ~神を喰らう者と禁断の果実~ 作:ジュンチェ
駄目だなぁ…2の記憶が薄くなりつつある。
では、どうぞ!
「ねぇ、ギル……わかってるよね。」
廃墟の壁に寄りかかりながら、彼女は問う。向かい合うギルは泣きじゃくっていた…。そんな彼を眼鏡からの優しい瞳が………ごめんねと、微笑みかけるように映していた。解ってる、これは誰も望んでいない…だけど、仕方ないのだ。このままではもっと望まない結果になる。
だから……
「私を……」
「……私を殺して。」
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「!」
「あら。目が覚めた?」
ミコノが目を覚ましたのはフライアの小綺麗な病室だった。意識的が覚醒する時の独特な一瞬、ブラックアウトする脳内と身体に走る激痛に嫌悪感を覚えたがまあ良い。隣には看病をしてくれたのかレア博士が隣に…そういえば、自分はギルを庇って気絶したんだっけ?
「レア…博士……?私…」
「無理しないほうが良いわ。でも、意識もしっかりしてるし…外傷も大したことないみたいだからすぐに復帰できそうね。良かった……」
レア博士は安定しているミコノの容態に安堵すると、座っていた椅子から立ち上がり部屋を後にしようとする。そうだ、彼女なら……と不意に思い至ったミコノは呼びとめていた。
「あの……博士!」
「…何かしら?」
「いや……あの、その……」
そう………レア博士なら…
何を訊こうと思ったのだろう自分は?
ミコノ自身解らない突然な思い立ちにどんな問いを問おうかすら定まっていなかった。すると、直前の紅いアラガミや尋常ならざるギルの様相が浮かび…やっと頭の整理がついた。
「……ギルとあの紅いアラガミの関係って何かあるんですか?」
「…」
知りたいと思っていたのはギルとあの紅いアラガミとの関連。そう、普段は本気で激昂することのない彼の豹変しようはあのアラガミに何かしら因縁があるとしか考えられない。ならば、ブラッドの上官である彼女なら恐らくは人選にも関わり、情報を持っているはず……
そんな予測は確かに当たっているのは俯いたレア博士の様子からして間違いない。ただ、語るにはあまりにも辛そうな顔をしていた。
「……知りたい?どうしても?」
……ミコノは頷く。そして、彼女は去り際に…静かに告げる。
「『フラッキング・ギル』…私から言えることはそれだけ。他人の人生に踏み込むことは容易なことではないわ。しっかり、考えてから行動をしなさい。」
あまり聴き心地の良い響きではない……フラッキング・ギルとは一体、どんな由来なのか?彼女はただキーワードだけ残していっただけ。標はひとつ…でも、歩きまわるには時間がかかりそうだ。自分でターミナルで調べれれば良いのだが……
「おや?思ったより元気そうですね?」
「あ……サツキさん…」
そんな時……ふらりと現れたのはサツキ。あんまり想いが声に入っていない気がするのはまず良い。ユノのマネージャーがてらに顔を出してくれただけでも感謝しなくては…
「ユノの代わりに、あくまでしょうがなくですけど…お見舞いに来てあげましたよ副隊長さん。」
…相変わらず、刺があるけど彼女らしい。正直、痛んだ身体では耐えれてもげんなりしてしまうが……
「冗談ですよ、半分。今、ユノはサテライトで混乱している人達をクレイドルの人達と励ましにいってますから、マネージャーとして彼女の分も兼ねてですよ。そう凹まないで下さい。」
「あぅ……」
根は悪い人じゃない。根は悪い人じゃない。頭の中で念じて良心で精神を保つミコノ。
そういえば、右手が暖かいような……レア博士が握っていてくれたのか?
「ああ、そういえばさっき、ギルバートさんとスレ違いましたよ。マスコミ嫌いとはきいていましたが、どうも私は彼から避けられてるようで……」
マスコミ……ジャーナリスト?先刻を思い返せば確かに彼女はそう自称していた。なら……
「さ、サツキさん!サツキさんは『フラッキング・ギル』って聴いたことありませんか!?」
「フラッキング・ギル…?突然、何を……待って、何処かで聞き覚えが………」
首を傾げる彼女…数秒、顎に手をあて考えると『あっ』と何かを察した顔をする。険しい形相からして良いことではないだろう。つまり、彼女は『フラッキング・ギル』の意味を知って……
「…フラッキング・ギル、上官殺しのギルさ。」
その時、新たな来訪者がふらりと現れた。あれ…見覚えはある……確か、あのアラガミを追い払ってくれたアーマードライダーに変身していた人。ハルオミで隊長だとか何とか……
右腕の赤い腕輪からしてゴッドイーターなのは間違いないはずだから、極東支部の部隊のいずれかを統べる人物と思われる。だとしたら、彼がどんな理由で異界の技術であるゲネシスドライバーを持っているかが気になる。いや、それよりも大事なのは……
「ギルのこと…知ってるんですか?」
「ああ、勿論。なんたってアイツとは古い仲だ…。おっと、紹介が遅れたな?極東支部第四部隊隊長・真壁ハルオミだ。昔、グラスゴーにいた頃はギルの上官だった。」
彼はベッドに腰かけると憂鬱そうに天井を見上げた…。ミコノは感じる…このハルオミという男は目の前にいるが…目線は現在を見ていない。いや、正確には自分を透して何かを見ているような懐かしさを懐くような目。優しいけど、哀しい目……
そんな彼の雰囲気がギルに関連しているのだと直感するのだと……。
「あー。やっぱり、似てるなアンタ……ケイトと…」
「え?」
「いや。そうだな……病み上がりの副隊長には悪いんだけど…ちょっと暗い話になるんだが…。俺とギルの過去に何があったのか…?あのアラガミが何の因縁があるのか?」
派手な格好をして軽薄そうに一見思えるが、彼の眼差しは本気…真摯な心を窺わせる。恐らく、語られるのはギルの暗い真実……彼が何を背負っているのか?ハルオミは意を決して自分に全てを語ろうとしている。
「…いや、別に後でも……面白い話じゃ…」
「俺もその話を訊きたい。」
「…紘汰さん!?」
更に、そこへ現れた紘汰。彼もまた、ギルの過去へと目を向けようとする者。
「…アイツは俺に言った。『残された者は死んだ奴の命を背負うことになる』…なら、ギルは背負ってるはずだろ?誰かの命を!俺はそれを知りたい…そして、アイツにちゃんと向き合いたいんだ!!」
「…」
ハルオミは暫し、考える…。さて、ミコノのみに話すつもりだったが…紘汰の瞳に何か感じるものがあったのか、溜め息をつくと……
「オーケー、話してやるよ。多分、アイツを今でも縛ってる過去……グラスゴーでの話をな……」
……彼はゆっくりと…もう届かない日々に想いを馳せて、語りだした…。
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…あの紅い龍のアラガミ『ルフス・カリギュラ』とのはじめての邂逅は数年前に遡る……
当時、グラスゴー支部は極東支部などとは違いアラガミの被害が比較的に場所であり人員も最小限しか配置されていなかった。神機使いはギルとハルオミ……そして、ハルオミの妻である『ケイト・クロウリー』。長い髪にメガネがチャームポイントと本人の談……優しく包容力ある人格者で皆から好かれていた。無論、ハルオミとも仲が良くギルのよき理解者であった。しかし、神機使いとしてあまりにも長期に渡って活動していたためにその肉体は限界が近づいていたのである…。
……ギルはこれを危惧し、グラスゴー支部の支部長に新たな人員を配属するように提言したがそれを聴き届けられることはなく……
その矢先にある事件が起きた。
「……はぁ、はぁ!」
ハルオミは走っていた…。ガラにもなく、息をきらし…土だらけの荒野を走っていた…。車やら建物やら食い潰された時代の遺物が未だに残り、いつもなら気にしないが今日ばかりは立ちはだかる全てに苛立ちを感じる…。
「ギル…!ケイト…!」
急がねば…間に合わなくなる。このままでは取り返しのつかないことになる。今まで入っていた通信がそれを予感させていた……。
「!」
その時、紅い影が頭上をよぎる……それが、ルフス・カリギュラと呼ばれていない頃のアラガミだとまだ知る由も無い。この異形の背に、妻の愛剣が突き刺さっているのを見え……去り行く姿に予感が的中したと確信させるのは充分だった。
速く……速く……
もっと、急がなければ………
「…ケイトさん!!」
斬!!
……今のは…何の音だ?
……今のギルの叫び声は?
……何故、妻は槍が突き立てられている?
「ギル……」
「……ハル…さん……」
ケイト・クロウリー…彼女の身体が黒き霞として消えていく…。そこには、涙を流すギルに…主を失った赤い腕輪が転がっていた。
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「…俺ら、神機使いは腕輪が無くちゃ体内のオラクル細胞を制御できない。ケイトはルフス・カリギュラに腕輪をやられて……やむなくアイツを処分しなくちゃならなかった。」
…神機使いとしてその行動は正しかった。腕輪を無くした神機使いの末路は体内のオラクル細胞に喰われ、アラガミ化してしまい堕落者〈フォールマン〉とされる。アラガミに堕ちればもう人の理性は壊滅し、仲間だろうと食欲のまま襲う。ケイトはそれを恐れ、生き残れるかもしれない僅かな可能性すら捨てた。別に後ろ指を刺されるようなことではない……むしろ、慰められても構わないくらいだとミコノたちは感じた。
だが……
「誰もアイツを責められない……だけど、そう割り切れる奴ばかりじゃなかったのさ。実際は…」
ハルオミは未だに遠い目……でも、こちらは悔やんでいるようだった。すると、サツキが今度は口を開く。
「…心ない人間たちは彼に汚名を張った。『上官殺しのギル』『フラッキング・ギル』と……。傷ついたギルさんは更に傷口を抉られてそれで査問会に…そして多くの人間が根も葉も無い噂で彼を食い物にした……!」
「「…!」」
ギルを襲ったのは不幸な偶然だけではなかった。誹謗中傷、根も歯も無い噂…そして、適切な判断にも関わらず上官殺しというレッテルのおかげで査問会にまでかけられた。思い返してみれば、ギルのはじめて出逢った時の態度からして、こちらをわざと突き放すようで…今の馴れ合う仲になってから振り返ってみれば奇妙に思える。あの時は不器用なだけかもしれないと思っていたが、真実は違う…痛々しい過去の傷に彼はもがいていたのである。
「ギルに…そんな過去があったのか………。」
「なに、お前さん方が気を揉んだって仕方ない。あれは、俺達が決着をつけるべき問題なんだ。だから、アイツを支えてやってほしい…ああ見えて、繊細な奴だからな。」
やがて、ハルオミはその場を『悪い、暗い話をしてな。』っと後にする。その後、病室は重い空気になり誰もが口を閉ざしてしまった…。
(そうか…だから…。でも、放っては…おけないよね………)
でも、すべきことは見えてきている。とにかく、ギルにあわなければ…彼はきっと遠い所、手の届かない場所へと行ってしまうような気がするのだ…。幸い、骨は折れていないから身体はなんとか動く。行かねば……行かねば……
「副隊長さん!?」
その時、シエルが血相をかえて駆け込んでくる。様子からしてただ事ではない………何事だろう?
「し、シエル?」
「はあ……はあ………クレイドルのジープが足りなくて、それで…ギルがアナグラにもサテライトにもいないって連絡が入ったから…!ここにもいないんですか!?」
「え…?」
…嫌な予感がした。ギルは確かまだ神機を手元に持っている。そして、彼がジープを奪ったとなれば……
((まさか……))
…ルフス・カリギュラ。
単独での仇討ち…
「嫌な予感がします。あの紅いアラガミが現れた時、ギルは明らかに普通の状態ではなかった…。感情的なままで単独行動は非常に危険です!早く、彼を見つけないと……!」
「シエル、ブラッドの車も出してもらって!出来るだけはやく…!」
「俺もバイクならある!行くぜ!」
もしそうだとしたら、危険極まりない。敵は今までの中で感応種に匹敵する力を持つと思われる…単騎での突撃など自殺行為に他ならない。ミコノたちは急いで彼の後を追う道へと入った………
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ジープの車体にガタガタと揺られる無線機。サテライト拠点のクレイドルメンバーから連絡が入ると、傷んだステレオからザラザラとノイズ混じりの音声を届ける…。
【アリサか?あの紅いカリギュラだが、愚者の空母のほうに行ったみたいだ。後で俺も向かうから、ミッションの正式発行の手続きを頼む。】
相手はアリサが運転を担っていると思い、喋っていたが………
「………愚者の空母だな?」
【!?…おい、お前誰だ!?】
無線機を手に取ったのはハンドルを握るギル。彼は戸惑いと追及がくる前に、無線のスイッチを切り愚者の空母と呼ばれる場所へと車体を向けた。そこに、仇がいる………待ちに待った念願の仇。この時がくるならばとどれほど思ったことか。
(ケイトさん、ハルさん………待っててくれよ…!)
さながら、彼は自分が義勇軍のような勢いであることなど自覚していなかった。すでに周りは見えていない…。猛る復讐者を止める者など誰も………
「そこまでだ。」
「…!」
いない………はずと思われた。急に割り込んできたバイクに進路を遮られ、ギルは我にかえり慌てハンドルをきってかわした。誰だ!?一体、邪魔をする無粋な輩は…!?
「危ねぇだろ!何、考えてんだ!?」
「頭に血がのぼった復讐者気取りの青二才よりかはマシだ。」
バイクに乗っていたのは昭和の香りを仄かに漂わすソフト帽の男。歳はハルオミと同じくらいだろう………その白さと夕暮れ時の風と光がハードボイルドさを演出させる。
「俺は『鳴海宗吉』…探偵だ。ある奴から、お前の面倒を見ろと依頼を受けた。」
「何?」
探偵?何を言ってるんだ、コイツは…?今はそれどころじゃない、先を急がねば。ギアを入れ直し、アクセルを踏み込もうとしたギル…しかし、宗吉は彼を掴むと力任せに運転席から放りだす。
「何しやがる!?」
「言っただろ?面倒を見ろと依頼を受けたってな。今のお前を行かせるわけにはいかんぞ。」
「…オッサン、ふざけるのも大概にしとけよ!」
もう、我慢ならない。ギルは殴りかかるが、軽くヒョイヒョイとかわされて拳を掴まれるや簡単に足をはらわれて転倒してしまう。その様子は無様そのもので、宗吉は溜め息をつく。
「…ふざけているのはどっちだ?そんなザマで何を為すことが出来る?」
「黙れ!」
それでも、ギルは立ち上がりいなされながらも宗吉にくってかかる!我を忘れて怒り狂う猪のような勢いだが、愚者を見透かすような目で宗吉は見据えるとメモリスロットがついた紅いアイテム『ロストドライバー』を腹部に装着。それから、頭蓋が刻印された『スカルガイアメモリ』を取り出した…。
「そんなに、行きたければ俺を倒していけ。まあ、今のままじゃ万にひとつも無理だろうがな。」
【スカル!!】
「…変身。」
【スカル!!】
それをロストドライバーにスロットして倒すと乾いた木枯しが吹き荒れる。宗吉が自分の帽子を取ると、ボディは風が固体となり鎧を足許から形成していくように変身して黒の骸骨の戦士へと姿を変えた…。真っ黒なボディに亀裂が走る銀色の骸骨…反射でギルは近しいと思われる存在を口に出していた。
「アーマードライダー!?」
「違う。俺はスカル…仮面ライダースカル。さあ、お前の罪を数えろ!」
アーマードライダー…ではなく、仮面ライダーと名乗る宗吉。否、スカル。黒いボロきれのようなスカーフをなびかせて、帽子を被りなおすと問答無用に彼はギルへと拳を突き出した。咄嗟にギルはかわし、反撃しようと機会を窺うがすぐに腕を掴まれて組みつかれてしまう。
「お前がゴッドイーターになった意味はなんだ?」
「あァ!?」
「そして、お前が背負っている罪はなんだ?」
「そんなもん、お前に関係は無い!」
なんとか、振りほどき拳を構えるもスカルの余裕ありな態度は崩れない。ゴッドイーターといえど、神機が無くては仮面ライダーと同等に渡り合うのは不可能に近い…。されど、立ち塞がる骸骨の男を倒さなくては仇への道は拓けることは無いだろう。
「…俺が!俺が、決着をつけないといけないんだ!!」
「確かにそうだ。お前は決着をつけるべきだ…己自身に。」
そんなアドバンテージがあろうと、スカルは容赦なくギルを突き放す。殴りとばされた彼に指差すと一言…
「お前はまだ、自分の罪を数えきっていない。それが、終わるまで暫く寝てろ。」
罪…解っている。恩師を救えなかった…彼女を愛した人に深い悲しみを与えてしまった。償うために今、自分は立っている。それがギルの心……それが、駆り立てる駆動力。
全てが察しえたからこそ、スカルは容赦などしない。『とうっ!』と飛び上がると右足を突きだしてライダーキックの姿勢へ……。タイミングが悪く、今のギルではかわせない。その時だった……
「ギル!!」
不意に死角からスカルの斜線へサクラハリケーンが跳躍して割り込んできたきたのだ。スカルのキックはサクラハリケーンの車体に当たり、ギルの目の前にはハンドルを握る鎧武が着地する。
「葛葉…!なんでお前が!?」
「ギル……」
……過去を知り、追いついた男と…
… 過去に決着をつけるため駆け出した男……
一体、彼等は何を話すのだろうか…?
To be continued……
次回、EP29『さあ、テメェの罪を数えろ!』
ギル編ラストです。感想お待ちしてます。
あと、番外編みたいなもんですが『無銘~Another number~』も読んでみてください!ではでは!