仮面ライダー鎧武vsGE2 ~神を喰らう者と禁断の果実~ 作:ジュンチェ
EP04 神に抗う者たちの世界 前編
「「…」」
ヴァジュラ撃破後…
ジュリウス率いる…いや、あのミコノという少女が率いる?…どっちでも良いや。とにかく、彼女らに拘束されるわ手錠はつけられるわで…極めつけに連行され独房にぶちこまれてしまった紘汰に戒斗…。勿論、戦極ドライバーは取り上げられロックシードも1つ残らず手元に無い。これでは、インベスを呼び出して脱出することも出来ない。
「くそ…!なんで俺達がこんな目に!!」
ダンッ!!
「うるさい。気が散るからやめろ。」
紘汰はこの展開の理不尽さに苛立ち壁に両手を叩きつけた。自分たちが何をした…?あの危険な巨大インベス(?)を倒すためにここまで来たのに…
人がいて、わざわざ敵意が無いと示したのにこんな扱い。酷いにも程がある。
「戒斗!お前があの時、大人しくしてれば…!」
「黙れ。一応訊くが、お前は奴等が普通の人間だと思っていたのか?」
「え?」
されど、考えれば戒斗も大人しくしていればと溜まるストレスを無意識に戒斗にぶつけようとする紘汰。だが、逆に戒斗に返された質問にフリーズ……。これに、戒斗は溜め息をやれやれとついて語りはじめた。
「お前は気がつかなかったのか?奴等の腕には同じような腕輪がつけてあり、あのやたらとデカい武器らしい物体…あのサイズの物を平然と生身の人間が持っていた。その時点で充分におかしいだろ…。」
「それは…!……まぁ………」
「それに、おそらくここはヘルヘイムの森を経由して来てしまったあのライダー戦国世界と同じ、恐らくはパラレルワールドだ…。今回はロックビークルがあったからあそこで逃げきれれば多分、今頃は元の世界にいただろうな?何処かの誰かが変身をすぐに解いたりしなければ……だがな…」
「お、俺のせいかよ!?」
現状、ふたりとも不毛な争いをするばかりで打開策は見当たらない。せめて、自分たちが本当にただの人間ということが証明できれば……
「おい、ふたりとも出てこい。レア博士とラケル博士がお呼びだ。」
「「!」」
そんなこんなしていると、紘汰と戒斗を呼ぶ青年の声。見れば、ドアの僅かな隙間の窓からあのジュリウスと呼ばれていた青年が視線を向けている。
「おい!俺達はただの人間なんだ!」
「貴方たちの処遇についても、これからお話になるはずだ。まずは、こちらの指示に従ってもらいたい。」
とにかく、人間であることを訴えた紘汰だったが対するジュリウスは動じることは無かった。どうやら、ここで訴え続けるよりはそのレア博士とラケル博士とやらに逢ってみるしかなさそうだ。
「戒斗……」
「……ああ」
その後、監禁を解かれ二人はジュリウスに従い、ある場所へ……
そこで、待ち受ける二人の博士について知る由もない…。
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ユクドラシル…
戦極凌馬の研究室……
「ふむ…実にこれは由々しき事態になった。」
薄暗い、機械やら何やらがごちゃごちゃとする研究室……。凌馬は自身のパソコンで囚われて連行される紘汰と戒斗の映像を椅子に座って見ていた。彼は溜め息をつくとふぅー…とのけ反って天井を仰ぐ。その横には険しい表情をするリンドウの姿もある。
「リンドウくん、これが君のお仲間…『ゴッドイーター』かい?ちょいと、乱暴すぎるんじゃないかな?」
「ああ……えぇ…まあ、そこは人それぞれってことで。いやぁただ、これは色々とマズイかもしれないっすねコレは………」
リンドウは映像の一部始終を見て厄介そうだと自分の顎を撫でる。理由は後々に語られるが、まずは口を開くのは凌馬。
「ねえ……ひとつ訊きたいんだけどさ、彼等は葛葉紘汰たちの生命はともかくとして…。僕の開発した戦極ドライバーやロックシードに手をつけるってことはあり得る?」
ここで、凌馬が気にしていたのは戦極ドライバーやロックシードについて。尋ねられたリンドウはうーん…と考えるとこう回答した。
「あり得ますね、充分…。神機どころか、オラクル細胞に由来しないアラガミに対抗できる力は世界の在り方を根底からくつがえしかねない。あのゴッドイーターの奴らが何処の所属はわかりませんが、恐らくはどうであれ…あの二人の力は波紋を及ぼすはず…」
「成る程。私も大体、同じ見解をしている。」
その答えは凌馬の考えと半ば同じだったらしい。
戦極ドライバーやロックシードはあの世界にとって特別かつ異端な存在。その力を渇望するものがいればまた、保身のために排除しようとするものがいるはず…。 何にせよ、戦極ドライバーやロックシードが解体・解析される事態は容易に想像しやすい。
「ふむ…。実に戦極ドライバーの破壊に解析だけはどうしても避けたいね。別の世界にせよ、情報漏洩にはかわりない…。貴虎もそうなったら、うるさいだろうしね………?そう思うだろ、シド?」
その会話の中で突然、物陰に話しかける凌馬。すると、そこからシルクハットを被った黒づくめの男…『シド』が出てくる。
「なんだ、プロフェッサー…気づいてたのか?」
「ああ、君がリンドウくんをつけてきているあたりから気がついてたよ?」
「けっ……最初からかよ。なら、その楽しそうな話に俺もすぐに混ぜてくれれば嬉しかったのによぉ…?」
随分とわざとらしい態度のシドだが、凌馬は気にすることは素振りは見せないでパソコンを操作。すると、紘汰に戒斗…凰蓮と城之内の顔が映し出される。
「さてさて、囚われの二人はいいけど…残りの二人は何処に行っちゃったんだろうねぇ。正直、これは中々の不祥事だ…。」
「うんじゃあ、うちの主任の弟くんを向かわせればどうだ?少なくとも、俺達が行くよりはマシだろ?」
「うん……確かに光実くんなら葛葉紘汰における信頼やいざという時の判断力に冷静さ…。どれをとっても素晴らしいし適任だが……問題は帰りだ。行きがあっても帰りが無い。あの世界に通じるクラックはこちら側に現れるクラックよりさらに不安定で、観測されるのも稀だ。それが一度、閉じてしまえば何時…何処に開くかは分からない。しかも、向こうの世界にいけば尚のことだろう。そこから来た住人を送り返す分は問題無いが……」
そして、リンドウに視線を移す凌馬。向けられた本人は困った表情……
「ま!今は突入できるクラックを彼に探してもらっているよ!」
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ヘルヘイムの森…
「紘汰さん!紘汰さん…!!」
赤い雨が降りしきり、辺りに散在するインベスの死骸を退けながら進む緑に中華風の鎧を纏うライダーが1人。彼…『仮面ライダー龍玄』こと『呉島光実』は紘汰を捜して必死に走りまわっていた。
(いったい、何処なんだ!紘汰さんの痕跡も異世界に繋がるクラックも見当たらない!!!これじゃ、埒があかない…。)
龍玄は焦っていた。凌馬から報告を受けて、声を枯らしながらずっと捜索活動をしているのだが目的の対象物がどちらも見つからない。幸い、赤い雨のおかげでインベスはほぼ死滅か衰弱しているが何分、視界が赤い雨の雫のおかげで悪い。目を凝らしては見るものの、これで神経をさらにすり減らすため心身共に消耗が激しい。
「はー…はー……少し休まないと……」
そろそろ、厳しくなってきた龍玄は何処かで変身解除して雨宿り出来る場所が無いかと首を回す。すると、遺跡の残骸らしい丁度良い場所が目に入ったので一旦そこへ向かうが……
【『アナタも……葛葉紘汰の運命を追おうとしているのね。』】
「っ!?舞さん……!?」
そこにはすでに、あの謎の少女がいた。彼女も雨宿りをしていたのかは分からないが、謎の少女は龍玄を見据えると手を彼に向け指す。
【『アナタが望むなら、その道は拓かれる。でも、忘れないで……使命を果たすまでアナタたちは帰ることは出来ない。』】
「…紘汰さんたちの居場所を知っているんですか!?舞さん!?」
彼女は龍玄の問いに答えることは無かった。そのかわりに遺跡からクラックが開き、ヘルヘイムの森の植物の蔦が伸び龍玄に絡みつく。そして、彼は蔦にひきずられる形でクラックの中に引き込まれていった…。
「こ、これは!?う、うわあああああああああ…!?」
また1人……神喰らう者の世界へ……
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フライア・局長室……
赤い絨毯に高そうな絵画…あとよく分からない勲章やらがいっぱいのいかにも成金貴族趣味の部屋に紘汰に戒斗は連れてこられた。
緑の警官のような服をした職員たちが後ろにスタンバイし、さらにジュリウスやあの戒斗の股関を蹴ったミコノ…あと獣耳(?)の少女、ナナの姿に……後は見慣れないニット帽を被った少年。ダブっとしたズボンにやたらとチャラチャラしてるように見えるが、顔を人懐こそうだ。
「(戒斗、見ろよ……やっぱり、アイツら同じ黒い腕輪をしてやがる。)」
「(ふん、そんなことはとっくに気がついている。問題はそこじゃない……)」
出きるだけ、目立たないように会話をこそこそしている二人。その目の前にはデスクに腰かける赤毛にロングヘアーのグラマラスな美女…恐らく纏う白衣からして博士だろう。もう1人は車椅子に座る金髪のこちらも美女……ただ、黒い衣装は洋風の喪服でヴェールまでしている。不思議な雰囲気の彼女は何者なのかは紘汰には分からない。
そんな彼等に最初に話かけたのは赤毛の美女の方だった…。
「はじめまして…。私は『レア・クラウディウス』…。このフライアで博士として研究を行っているわ。言葉は通じるわよね?なら、自己紹介…してくれる?」
「あ、はい…。俺は葛葉紘汰。こっちは戒斗。」
「ふん……」
赤毛の美女……レアは愛想よく振る舞い、紘汰は笑顔で答えたが…逆の戒斗は機嫌が悪そうに鼻を鳴らす。これでは、会話は一苦労しそうなので舵取りは紘汰が持つ。
「あ、あの…俺達は……」
「うん……そうねぇ…。精密検査の結果はアナタたちからはオラクルの反応は出なかったし、結果的にみればアナタたちは普通の人間であることは理解したわ。問題はね、これ……」
そう言って、彼女がデスクに置いたのは戦極ドライバーにロックシード…。柄をと種類から紘汰の鎧武の物だ。
「これは何かしら?そして、これを使うアナタたちは何者……?」
率直な質問。まさに、レアたちにとっては戦極ドライバーやロックシードは奇怪そのものだった。対する紘汰はどうしたものかと表情をこわばらせると…
「それは俺達のものだ。それと、もう1つのドライバーに全ての錠前を含めて返してもらいたいがな。」
戒斗がレアに強気に出た。こっちも率直に戦極ドライバーとロックシードの返還を要求。ただ、レアもここで退かない。
「それは、アナタたちの反応次第。残念だけど、大型種のアラガミを撃破出来るような武装を所持しているフェンリル以外の人間をこちらとしても、放置するわけにもいかないの。」
「…アラガミ?…フェンリル?」
「…?」
そんな時、『アラガミ』『フェンリル』という謎めいた単語に疑問符を浮かべる紘汰。またそのリアクションに戸惑いをみせたレア。これを好機と戒斗はさらに質問をする…。
「そのアラガミとやらは知らんが、アンタらが所属している組織はフェンリルで良いんだな?」
「え、ええ………」
「ならば、そのフェンリルは泥棒の組織だな。人の物を勝手に取り上げてこの仕打ちとは……組織の質もたかが知れたものだ。」
『おまけに……』とそこに、付け加え彼はミコノの前へ歩いていき一言…
「こんな、女ゴリラまで飼っているとはな……」
「なっ!?なんですってー!?」
挑発。どうやら、周りを適度に挑発してこの場の空気を持ってくるつもりらしい。
だが、それは今後があまり良くないと踏んだ紘汰は再びレアに問う。
「あの……アラガミに、フェンリルとか……いったい何なんですか!?」
「………それ、本気で言ってる?」
「え?」
この時、全員がフリーズしたという。何でそんなことも知らないの?常識でしょう?みたいな視線が一気に紘汰に集中する……
「(え……あれ、マジでいってんの?)」
「(静かに……まだ、様子を見よう。)」
ミコノとジュリウスもこそこそと話していることからして、よっぽど普通にこの世界で知られていることのようだ。ここまでのリアクションをされると不安どころか、逆に恥ずかしくなってくる。
そんな様を見かねたように車椅子の女性が動きだし、紘汰に向かい合う。
「今のお話を伺って、大体のことは把握しました。まずアナタたちについて言えることはまず1つ……」
「アナタたちは、この世界の人間ではありませんね?」
To be continued……
いかがでしたでしょうか?
次回は戦闘はいります。