ホロライブラバーズ トロフィー「夢覚めぬ者」獲得RTA   作:うろ底のトースター

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今回はちょっとゴアです
苦手な人は注意してね



第2回バトルロワイヤル-3

振り下ろされる凶爪を、当たると痛そうだなぁとなどと呑気に思いながら、マリンは手に持った曲剣で受け流した。

 

「さすがにバトロワ上位常連は違いますねぇ、ミオ先輩」

 

「そう言うなら!そろそろ!当たってくれないかな!?」

 

そう言いながら、連撃を繰り出す大神ミオの額にはうっすらと汗が滲んでいる。

 

対するマリンは、いっそ清々しい程の笑顔。それどころか、今いる位置から()()()()()()()()

 

「いや、強いですよ?それこそ一撃喰らえばおしまいレベルで」

 

「それ!当たらなきゃ!意味!ないじゃん!」

 

1度距離を置いて呼吸を整える。

 

マリンは動かない。

 

「攻めて、来ないんだね」

 

「特に急ぐ理由もありませんし、疲れるも嫌なので」

 

「いいの?お連れさんが負けたら、2人同時に相手しなきゃいけなくなるよ?」

 

「そっくりそのままお返ししますよ?」

 

「フブキが、負けるって言いたいの?」

 

「玲香なら勝ちますよ。あっと、黒上さんも来ましたか。これはちょっと時間かかりそうかな?と、いうことで、もう少し船長と踊ってから逝きません?」

 

顔に浮かんだ笑みは、以前崩れないまま。

 

「・・・逝くのはそっちだよ!」

 

「それは無理ですねぇ、船長、腐っても狩りのお手伝いさんなので!」

 

悪夢の中で地獄を見た。正気を失った狩人が徘徊し、獣を狩り、狩り尽くしてはこちらに殺意を向けてくる。

 

酷く蕩けた瞳と目が合う度、背中を冷たい恐怖が走ったのを覚えている。それでも、戦わないと死ぬからと、戦って殺して、戦って殺して、戦い続けて、殺し続けた。

 

そしていつしか、生物が持つ恐怖という本能が、宝鐘マリンから消えていた。

 

あんな地獄を越えたのだ、そんな代償を払ったのだ、今更こんなところで負けてやれるものか。

 

絶対の自信と覚悟が、マリンの余裕を生み出した。

 

「よっ」

 

左手の曲剣を逆手に持ち、横凪に振るわれた爪を()()()

 

「なッ!?」

 

それは、地獄で得た、もう1つの[パリィ]。

 

「船長と対等に戦いたいなら、あと100回は死線を潜り抜けてきてくださいね〜」

 

ガラ空きになったミオの腹部に、右手の曲剣を突き刺した。

 

 

───────────────────────

 

 

叶不玲香の狩りは、単純である。

 

通常の獣であれば内臓を引き抜き、強大な怪異であれば、避け()()()攻める。

 

時に光すら置き去りにするステップが、それを可能にした。

 

この優位性は、多対一であっても変わらない。

 

「ちくしょう、こいつ、急に強く・・・!」

 

「当たらないし当たるし体は重いしあの子は怖いし、もうどうすればいいんですかぁ?」

 

致命傷はないものの、傷だらけのフブキと黒上。傷口に染みる玲香の血(猛毒)が、2人の体を蝕んでいる。

 

「はぁ、たまらない♡」

 

対して、恍惚とする無傷の玲香。飽くまでマリンに悟られないように、血を愉しんでいる。

 

このままジリジリと攻め続ければ、この1戦は玲香に軍配が挙がるだろう。

 

「あぁ、でも、そろそろ物足りなくなってきたわねぇ」

 

だが、そんな狩りを彼女は好まない。

 

「それじゃあまずは」

 

血を纏った刃が引き抜かれる。長いリーチ、速い連撃、そして猛毒。さんざん辛酸を舐めさせられたそれに、黒上の警戒レベルが最大限に引き上げられる。

 

「あなたからね」

 

玲香の視線が、黒上を射抜いた。

 

ゆらりと、その上体が倒れ込み、消え、

 

「えっ?」

 

「ふっ」

 

次の瞬間、()()()()()()()()()()()

 

「ざけんじゃねぇ!!??」

 

最速最高効率の反転、自身の捻り出せる最大の力をもって、玲香の背中を裂かんと爪を突き出した。

 

───このとき、黒上は気付くべきだった、既に血刃は解かれており、その左手に古式銃が握られていることを。

 

飛び込む黒上に、一瞥もくれずに銃口が向けられた。

 

「は?」

 

パリィ。

 

「ッ!?」

 

「かかったわね?」

 

反転し、[千景]を振りかぶる玲香。

 

「させないですよ!」

 

すぐさまフブキが斬りかかり、攻撃を妨害する。が、

 

「それを待ってたのよ」

 

血のように紅い瞳と目が合う。

 

銃口は、既に向いていた。

 

「───あ」

 

パリィ。

 

2対1で、相手の連携のために致命傷を与えられない。ならどうするか。答えは、2()()()()()()()()()()()()

 

「さてと、」

 

玲香は思考する。

 

パリィの行動不能は一時的である。故に、どちらかを倒すのに時間をかければ、もう一方が動き出す。悠長に斬りつけている時間はない。

 

「なら、仕方ないわよね?」

 

当初の予定通り、黒上に向かい合う。

 

「いただきます」

 

「ゴプッ!?」

 

内臓に腕を突き刺した。

 

「ゴハッ──ガァッ、クッソがぁ・・・!」

 

腕が引き抜かれ、血が辺りに撒き散らさせる。既に黒上の身体は、消滅を始めていた。

 

「なに、して、え、クロちゃん?」

 

半身に流れる血が、フブキの頬に跳ねた。

 

「逃げろ白上ィ!!」

 

なけなしの体力を掛けて、ありったけを叫ぶ。

 

「コイツはもう、ぶっ壊れてる!!」

 

それが最期の言葉になった。

 

対して、天を仰ぐ玲香。

 

「あぁ、あぁ、あぁ!本っ当に良い血!あの狂った狩人共よりも新鮮で、嘔吐(えず)きそうなくらい甘い!

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、ところで、

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、あなたは、どんな香りの血が通っているの?」

 

「い、やだ、嫌だ、来ないで!」

 

「来ないで?先に襲ってきたのはそっちでしょう?なら頑張りなさいよ、最後まで抗ってみなさいよ。つまらない狩りは嫌いなの。ほら、立ちなさい、速く、速く、速く!」

 

瞳孔が、蕩けていく。端正な顔立ちが狂喜に歪む。

 

得体の知れない恐怖に囚われたフブキに、もう戦意は残っていなかった。

 

「降参、します・・・」

 

小さく、そう呟いて、白上フブキは転送された。

 

「興覚めね」

 

そう言って、腕にこびれつく血を払った。





狂った女の子っていい、良くない?
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