ブラック鎮守府の整備士日記   作:小椋屋/りょくちゃ

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第十五話

薬を貰ったその日、皐月や文月よりも早く、それこそ気絶するように眠る睦月の姿があった。

「睦月おねーちゃん、やっと寝たね。」

「お薬の、おかげなのかな……。」

「何はともあれ、休んでくれるだけでも嬉しいよぉ〜。」

「ふぁ〜あ………。ボク達も、寝よっか。」

「そう…だね……。」

「じゃあ、おやすみぃ〜…。」

電気を消し、暗い部屋の中で4人が並んで眠る。

睦月の表情が苦悶の色に染まっていることに気付かぬまま……。

 

 

 

 

暗い………。

 

司令……官………?

 

嫌っ!嫌だっ!離して!痛いのは嫌だ!辞めて!辞めて!如月ちゃん!皆!見てないで助けてよっ!

 

「睦月ちゃんだけ助かった罰よぉ…」

「私たちは見殺しにして、自分だけ助かろうって、最低だね。」

 

違う!睦月はそんなんじゃ!

 

「へっ、何が違うって言うんだい?」

「私のことすら、助けてくれなかったのに…。」

 

違う!私は…私は……!

 

「自分だけは助かりたかったんでしょ?」

 

違っ……そんなつもりじゃ……………

 

「それ相応の罰を受けるべきだよねー。」

 

嫌っ!いやぁっ!来ないで!嫌だ!嫌だ!

 

「抵抗しちゃだめよぉ?睦月ちゃん…。」

 

いやっ!離して!離して!

 

「私たちが味わった辛さを、睦月ももっと味わえばいい。」

 

痛いのは嫌だよ!睦月だって知ってるから!ねぇっ!みてないでたすけてよぉっ!痛いっ!痛いっ!いやぁっ!やめて!助けて…助けてよ……………。

 

 

 

「はぁっ…………はぁっ………………。」

 

夢……………か。もう…眠るのも……嫌だ…………。薬の………せいか………。今のうちに……捨てちゃおう………。私は、睦月は、もう逃げたりしちゃだめなんだから………。吹雪ちゃんとか、みんなのために、助けられなかった子達の分まで、死ぬまで頑張らなきゃなのに……………。

 

 

 

「あっ、睦月おねーちゃん、おはよっ!」

「おぉ〜、皐月ちゃん、おはようにゃし。早起きにゃしねぇ〜。」

皐月の頭を撫でながら、そう答える。

「へっへーん!明日は睦月おねーちゃんよりも早起きしちゃうもんねー!」

「おぉ?言ったにゃしね?起きれなかったら、くすぐりの刑にゃし〜!」

その姿は、誰もがよく知る睦月型一番艦睦月の姿に変わりなかった。

 

 

 

 

その日、睦月は吹雪に呼び出されることとなった。

「ねぇ、睦月ちゃん…。」

「な、何…?吹雪ちゃん………。」

「なんで、雪風ちゃんとか時津風ちゃんとかが、来てるの?」

虚ろな目で睨みつけながらそう詰め寄る。

「な、なんのこと…かな………。」

「誤魔化さないでよ。ねぇ。誤魔化さないでよっ!」

「ひっ…」

「私のことを、騙し通せるとでも?」

「あの子たちは、悪い子じゃないから…!」

「から…?」

「大丈夫……。」

「なんで?あの2人も、あの男に洗脳されてるんだよ?」

「そ、そんなことないよ!」

「なんでわかるの?また騙されてるに決まってる!また酷い目にあって思い知ればいい!」

「で、でも……!」

「何?私は睦月ちゃん達と、妹達を守るためにこうしてるんだよ!なんでわかってくれないの!?」

「それはわかってるけど…!」

「ならなんで従ってくれないの!?」

「そ、それは…睦月にも考えが……」

「なんで!?ねぇなんで!?関わらないようにするのが1番に決まってるのに!なんでわかってくれないの!?」

そう言いながら、踵を返し、帰ろうとする。

「ま、待って吹雪ちゃん…」

「来ないで!」

「いやでも…」

睦月が吹雪の手をつかみ、立ち止まらせようとする。

「来るなって言ってるの!」

それに抵抗して振り返り、睦月の手を振り払うと、思い切り手をふりかぶる。

「あっ……あぁっ…………いや………いやっ…いやっ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

その吹雪の姿が睦月のトラウマを抉る。

「あ、む、睦月ちゃん!」

「いやぁっ!嫌だっ!来ないで!近寄らないで!触らないで!痛いのは嫌っ!許して!許して!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

思い切り悲鳴をあげる。そしてその悲鳴が呼び水となり、

「睦月、おねーちゃん……?おねーちゃん?おねーちゃん!?ねぇ、どこなの!?おねーちゃん!おねーちゃん!睦月おねーちゃん!!」

「いや、いや、帰ってきてよ、睦月ちゃん……いやだ嫌だよ………。」

皐月と弥生のトラウマも呼び起こされる。

「皐月ちゃん!弥生ちゃん!しっかり……!」

「ゆ、雪風、しれぇを呼んできます!」

 

そしてことの発端となった吹雪は、呆然自失としていた………。




来週投稿できないかもと言いましたが、無事投稿出来ました。

来週もよろしくお願いします。

本文に関して

  • もっと説明文的な構成。
  • 今よりも説明的な文が欲しい。
  • 今よりもさらに会話文を増やす。
  • 本文構成は全て、作者に委ねる。
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