ブラック鎮守府の整備士日記   作:小椋屋/りょくちゃ

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第十七話

医務室に入るなり、パタパタと雪風が駆け寄ってくる。

頭を撫でながら、話を聞く。

「しれぇ!」

「雪風さん、三人は?」

「ぐっすり眠っています!」

「それなら良かったです。朝潮さん、雪風さん、白雪さんと綾波さんの様子を見てきて貰えますか?」

「了解しました。」

「お任せ下さい!」

 

2人が医務室を出ていったタイミングを見計らって、声をかける。

 

「さて、睦月さん、起きていますよね」

睦月の体がビクッと震える。

「な、なんでわかった……にゃし……?」

「勘…ですかね?」

「ほんとにおかしいにゃしい………」

「さて、私は睦月さんとお話がしてみたいのです。怖かったらそのまま、こちらに背を向けたままで問題ないです。私は扉の前から、動きませんから。」

「………わかったにゃし………。」

「まず1つ目、睦月さん、寝れてないですよね?処方した睡眠薬も既に棄ててありますよね。」

「な、なんで………」

「朝潮さんからの報告、妖精さんからの報告、睦月さんの体調と行動、それら全てから総合的に判断しました。」

「ほんとに……規格外すぎるにゃし………。」

「褒め言葉として、受け取っておきますよ。」

「………その通りです。でも、睦月は寝る必要なんて、寝る資格なんてない。」

「なぜです?」

「睦月は……助けられなかった……。吹雪ちゃんだって白雪ちゃんだって、綾波ちゃん、望月ちゃん、水無月ちゃん、長月ちゃん、菊月ちゃん、三日月ちゃん、卯月ちゃん、敷波ちゃん、黒潮ちゃん、霞ちゃん、霰ちゃん、萩風ちゃん、舞風ちゃん、夕雲ちゃん、長波ちゃん、神風ちゃん、朝風ちゃん、夕立ちゃん、春雨ちゃん、五月雨ちゃん、涼風ちゃん、響ちゃん、暁ちゃん、雷ちゃん、電ちゃん、漣ちゃん、潮ちゃん、曙ちゃん、そして1人目に来てた皐月ちゃん、天津風ちゃん、島風ちゃん、神通さん、名取さん、長良さん、加古さん、妙高さん、衣笠さん。他にも………他にも………………」

「それはあなた1人が、助けられたのですか?」

「そんなことは……ない………。」

「ならなぜ、眠る資格なんてないと?」

「当然のこと。睦月はその人たちが犠牲になってくれたから、今ここにのうのうと生きてる。その人たちが生きる分だった命を、睦月が無駄に使ってる!睦月が誰かを庇って沈めば良かったんだ!睦月が誰かの身代わりになって砲撃を受ければよかったんだ!睦月が誰かの盾になって、雷撃を!爆撃を!受けて……そのまま沈めば……よかったんだ…………。」

「そんなことは」

「ある!睦月は誰の役にも立てない!睦月は何の役にも立たない!無能だ!無能だ!無能だ!無能だ!

役に立ちすらしない兵器など、いる必要がない!沈めばいい!誰かの、強いひとの!有能な人の!戦える人の!身代わりになって沈めばいい!睦月なんて……睦月なんて……………みんなを見捨てて裏切った………最低な艦娘よ…………………。」

「……………睦月さん、1度でいいです。立って、こちらを向いてくださいませんか。」

「………………わかった。………これでいい?」

「動かないで、くださいよ。」

 

恐る恐ると言った形でこちらを見て、立つ。初めてこの鎮守府の睦月さんと目が合う。それから黙って何も言わず、力を込めて抱き締める。

 

「なっ!?なァっ!?え、はぁっ!?」

直後、混乱した睦月さんの声が聞こえるが、そんなことに構う事なく、ぎゅっと抱きしめる。

「そんな悲しいこと、言わないでくださいよ。いつ誰が、あなたに役に立たないと言いましたか?いらないと言いましたか?」

「そ、そんな事、言われなくてもわかる……。」

「ならなんで雪風さんと時津風さんが、あなた達と遊びに行っていると?」

「それはあなたが……」

「私は確かに、体調等の様子を見てきてくれとは、お願いしました。ですが、睦月さん達と、仲良くしてとは、伝えていません。」

「だからってそれは……」

「いらないと思ってる相手と、かかわり合いをしようとしますか?」

「別にあれは、皐月ちゃんとか文月ちゃんとかのために……。」

「雪風さんと時津風さんは、毎回あなたも巻き込もうとしてたと思いますが?」

「そ、それは……別に…………ついでに決まってる…。」

「なら弥生さんは?皐月さんは?文月さんは?」

「っ……………」

「仮に誰かが、睦月さんにお前はいらないと言ったとします。でもそれ以上に、あなたが必要なんだと言う人がいることに、気づいてくれませんか?」

「………………そんなわけ……ない……。睦月なんて……睦月なんて………約立たずで、無能で…………どうせ、どうせ……都合のいい……嘘に…………」

「そんなことないっ!」

彼女の背後か、皐月さんが大声を張り上げる。自分がいるにもかからわず、だ。

「お姉ちゃんは、私たちにとってかけがえのない存在だよ〜。」

「居なくなられたら、すごく困る。」

皐月さんの大声に便乗するように、文月さん、続いて弥生さんも思いの丈を伝える。

「わかりましたか?睦月さん。あなたの事を不必要だと言う人は居ないし、誰もがいると言っていることに。今すぐ立ち直れとも言いません。ゆっくり時間をかければいい。だけど、悲しむようなことは、言わないでもらいたい。」

「ひぐっ……ううっ………睦月は……睦月は………まだ、ここにいても、いいのですか………?」

「もっちろん!」

「もちろんだよぉ〜!」

「睦月お姉ちゃんがいた方が、嬉しい……。」

「もちろんいいに決まっています。この鎮守府で、誰かがあなたを悪く言ったら、私が責任をもって、懲らしめに行きます。だから、大丈夫ですよ、睦月さん。」

 

そう言いながら、泣きじゃくる彼女を優しくこの手で、しっかりと抱きしめる。睦月型の3人と一緒に、そのままずっとずっと、泣き止むまで抱きしめていた……。




なんとなんと、我が小説の川原整備士が、他の方の作品にも登場しました!
私なんかの作品の設定を使っていただき感涙に耐えません。
是非とも皆さん、以下のリンクから読みに行ってあげてください!

https://syosetu.org/novel/258823/

また、総UAが17000をオーバーしました。ほんとに嬉しい限りです。これからもブラック鎮守府の整備士日記、ひいては川原整備士を、よろしくお願いします!

本文に関して

  • もっと説明文的な構成。
  • 今よりも説明的な文が欲しい。
  • 今よりもさらに会話文を増やす。
  • 本文構成は全て、作者に委ねる。
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