先日の尋問から早いもので3日が過ぎた。私、吹雪は、睦月ちゃん達に、全く話しかけに行くことの出来ない日々が続いていた。
「さて、おはようございます、吹雪さん。」
朝食後、あの整備士の人の部屋へと向かう。4日目ともなれば、慣れてしまった。
「...おはようございます...。」
「今日も、約束通りに来てくれてありがたい限りです。」
「.........。」
「さて、今日もこれから定例会議なので行きましょうか。」
「...了解しました。」
「おはようございます。朝潮さん、明石さん。」
「はい!おはようございます!」
「おはようごあいます。」
「.......おはよう、ございます..。」
「では、報告をお願いしてもいいですか?」
「はい、燃料:104432、弾薬:127123、鋼材:121651、ボーキサイト:95962、各種資材も変動ありませんでした。その他も特には。」
「ありがとうございます。明石さん、何か報告はありますか?」
「満潮さんより、今のところ、すべて順調、との報告が来ています。」
「わかりました。満潮さんに、引き続き、頑張ってくださいと、伝えてください。」
「了解しました。」
「妖精長、各隊の様子は?」
「情報部隊は、満潮さんのバックアップと情報収集。資源班の遠征作業は順調。現段階で各資材12000は確保しました。戦闘班の訓練は上々。上記の鎮守府であればすぐにでも制圧可能です。整備班、こちらも異常なし。収集してきた物資を使い、艤装の保全補修、新型兵装の開発試作、戦闘班への武器提供、計画通りであります。」
「わかりました、ありがとうございます。それでは、今日の定例会議を終わります。明石さん、朝潮さん、今日は白露型のお2人とカウンセリングをしてみたいと思いますので、お願い出来ますか?」
「はい、わかりました!」
「了解です。色々と準備をしておきますね。」
「他には─」
私を置いてけぼりにして、色々な話が進んでいく。私がここにいる意味は、果たしてあるのだろうか…。
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会議が終わり、会議室を出ると、扉の前で綾波ちゃんが待機していた。
「吹雪ちゃん!会議、どうだった?」
「あ、綾波ちゃん………」
彼女と白雪にも、合わせる顔がない。背を向け、そそくさと立ち去ろうとする。
「待ってよ、吹雪ちゃん。」
「私は……みんなと仲良くする権利なんて…お姉ちゃんでいられる権利なんて……ないんだから………。」
自分に言い聞かせるようにそう言い放つ。
「…吹雪ちゃん………」
「私なんか……………」
俯きがちに歩き出し、その場を離れようとしたタイミングで朗らかな、元気のいい声が響く。
「あ、吹雪ちゃん!」
「ゆ、雪風ちゃん?それに…あぁっ………」
その後ろには、睦月型3番艦の弥生もいた。
顔を合わせないようにしながら通り過ぎようとしたタイミングで、声をかけられる。
「待って……吹雪ちゃん………………」
「私は、私は、弥生ちゃん達にだって酷いことを、したんだよ……?なんで、なんで………」
「………?雪風は、吹雪ちゃんは、悪くないと思います!だって、綾波ちゃんや弥生ちゃんのためを思って行動したんですよ!すごいと思います!」
「でも……でも……………」
「吹雪ちゃんは…悪く、ないよ…。全部、全部、ここの司令官が悪いんだから…………。」
「でも、だからって……!」
「だったらなんで………謝らないの…?」
思い切り正論をぶつけられる。謝れない理由なんて、彼に見破られている通り、許されてしまうのが、怖いからだ。
「!?そっ、それは……………」
「悪いことをしたって思うなら……謝らないと、ダメだよ……?」
「雪風も、そう思います!」
「ごめん、なさい……私なんかが……私のせいで……ごめんなさい……ごめんなさい……………」
一瞬の逡巡の後、ごめんなさいと言葉を発する。載せた思いは本物だが、心から言った謝罪の言葉でないことは、自分でも痛いほど分かりきっていた。
「それじゃあこれで、おしまい。弥生は、吹雪ちゃんが悪いことをしたって、思ってないから……。」
「そんな!」
「………なんで?吹雪ちゃんは、悪いことをしたなんて、弥生は思ってないし……吹雪ちゃんが、自分は悪いことをしたって思うんなら…今、謝ったから、おしまい…でしょ?」
「そ、そんな……………」
「それと、睦月ちゃんが……会いたがってたよ…。」
「っ…………。」
彼女の名前が出る度に、ドキンと1つ、胸が鳴る。
「それじゃあ…皐月と文月が呼んでるから…。行こ?雪風ちゃん。」
「はい、弥生ちゃん!」
「……………ごめんなさい…。」
今度はなぜか、心の底から、その過ぎ去っていく背中に、口をつくようにごめんなさいと言うことが出来た…。
綾波に、彼女の居る場所を教えてもらい、数分悩んだ後に、扉をノックし、声をかける。
「睦月ちゃん……居る?」
「吹雪ちゃん?どうぞ?」
「その……睦月ちゃん……?」
謝罪の言葉を、発しようとしたその刹那、彼女口から予想もしていない言葉が飛び出した。
「吹雪ちゃん、ごめんなさいっ!睦月のせいで、尋問とか受けたって……。ほんとに、ごめんなさいっ!」
「睦月ちゃん!?なんで!?私の方こそ謝らなきゃなんだよ!?」
「うぅん、いいの。吹雪ちゃんが、睦月達のことを思って、色々とやってくれたのは、わかってるから。」
「でも、それは……」
「悪気があって、やりたくてやった訳じゃ……ないんでしょ?」
「………………うん…。」
「それなら大丈夫。ほんとに、ごめんね?吹雪ちゃん。」
「うぅ……私なんかのせいで……ごめんなさい、ごめんなさいぃ……」
彼女の、睦月ちゃんの真っ直ぐな言葉のせいで、後から後から涙が止まらなかった。
「吹雪ちゃん!?な、泣かないで!」
「ごめんなさい、ごめんなさい……。私が……あんなことしなきゃ……」
「大丈夫、大丈夫だよ。」
抱きしめられる温もりが、とても、とても、心地よかった。
「睦月ちゃん……ほんとに………ごめんなさい…ごめんなさい…」
「吹雪ちゃん、私も、ごめんなさい。…ね?これでおあいこ。」
「睦月ちゃん………」
「よしよし〜。吹雪ちゃんは、ちゃんとごめんなさいできるいい子なんだから、もう謝らなくてもいいにゃしぃ。」
私は何を躊躇っていたのだろうか。謝っても謝っても、謝罪し足りないのはこちらの方だ。それを許してもらえる仲間がいるというのは、どんなに嬉しいことなのだろうか……。
「はい……ありがとう……ありがとう………睦月ちゃん…。」
私の居場所は…ちゃんとここにあったんだから………。
艦娘カウンセリング編、ここまでで粗方終了となります。
ここからは、情報戦と、ドロドロパートがメインになりそう…
作者の筆も…重くなる…………。
本文に関して
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もっと説明文的な構成。
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今よりも説明的な文が欲しい。
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今よりもさらに会話文を増やす。
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本文構成は全て、作者に委ねる。