ブラック鎮守府の整備士日記   作:小椋屋/りょくちゃ

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第二十話

吹雪と睦月の二人の件にようやく一区切りがつきそうなタイミングで、提督(生ごみ)から放送でこの鎮守府に所属する憲兵までふくめた全員が招集させられた。どうやら集合までにどうやら時間が空くようなので(理由は想像したくもないが)、その間に諜報班の妖精さんを招集。知らないうちにまた増えていたようで、諜報班にも増員がかかっている。

 

「班長。」

「わかっています。この隙に情報収集、ですね。」

「くれぐれも、バレないようにお願いしますよ。」

「そこは問題無しです。既に何度も情報の抜き取りには成功しています。今回も間違いないでしょう。」

 

何も言わずともこちらの意思はわかっていたようだ。ミスなくことに当たって貰いたいと、心の底から願ったのであった。

 

 

 

会議室に入ると赤ら顔の整備員だった人間や、つい先程まで、ナニをしていたのかわかるような憲兵だった人間まで、つくづく吐き気を覚えた。

 

「さて今回来てもらったのは、大本営からの直接監査が入ることになった。」

 

突如として騒然となる会議室。大本営から直接監査が入ることなど、ごくごく稀である。直接監査ともなると、そのチェックはかなり厳しいものとなる。しかし、川原にとって、問題の本質はそこではなかった。大本営の直接監査の情報は、監査対象へ伝えられるのは、本来大本営付きの憲兵隊が、鎮守府に突入してから。すなわち、ここで集められているということは大本営にも、ここの内通者がいること、告発しても裏目に出る可能性が高いことを示唆していた。

 

「とにかく準備することに越したことはないが、どうしたものかね。」

 

ざわざわと会議室がざわめく。おそらく今までの定期監査は賄賂等でごまかしてきたのだろう。ここで告発するか否かを考えてみたが、上層部でもみ消され、せいぜいここの提督の更迭だけで終わってしまうだろう。

 

「やはりここは胡麻化すに限るでじょうな。」

「憲兵隊長だったはずの人間がそれを言うとは、世も末だな!」

 

緊張に包まれていた会議室がわっと沸く。

そのすきに少し班長とやり取りをする。概ね問題ないようだ。そしてここで、かねてから考えていた一石を投じる。

 

「それなら、工廠を使いませんか?」

 

タイミングを見計らい発言する。もちろん、笑みを張り付けながら。

 

「ほう、工廠か。」

「都合の悪いものを隠すなら工廠が最適でしょう。」

 

一斉にこちらに気持ち悪い顔が向くが、笑顔を貼り付けたまま。そのタイミングで、真っ青な顔のまま俯いている若い憲兵隊員がいることに気がついた。

 

「工廠であれば雑多なものが多く、多少存在して困るものがあっても、バレにくいでしょう。またどうしても処分しておきたいものがあれば建造用の釜に投げ込んでしまえばその熱で大抵のものは溶けてなくなりますし。」

 

胸元にいる諜報班の班長にぱこすこと殴られるがそんな気は毛頭ない。全て回収し、写しをとり、摘発のための証拠とする予定だ。青い顔の憲兵隊員はますます顔が青くなる。

 

「あぁもちろん、僕のことが信用ならないという方は、ご自由になさってくださいね。」

 

満面の笑みを貼り付け、心からの本音(心にも思っていない嘘)を吐きつける。

 

「ハハハ、何人もの駆逐艦娘を侍らすロリコン整備士は言うことが違いますなぁ。」

「全く、1番罪が重いのはわかっているから証拠隠滅に躍起ですな。」

「それなら俺ら3人はそうさせてもらおうか。バレてはならない書類もあるしな。」

 

気持ち悪い笑顔で大笑いする憲兵隊長と整備士長。提督もどうやらその気になってくれたらしい。

畳み掛けるなら今だとばかりにもう一言、発言する。

 

「あぁそれと、皆さんの艦娘を1度預けてくださいませんかね?」

「………なんのために?」

 

途端に周りから冷ややかな目を、裏切り者を睨みつけるような目を向けられるが、関係ない。笑顔で居られる方がよっぽど気持ち悪い。まぁ、その視線も気持ち悪いのだけど。

 

「傷をそのままにしてるとバレたら一大事でしょう。どうやら工廠の奥の方に簡易ドックがあるのを見つけていますので、お手を煩わせずに傷を治せますよ。」

「そう言って、我々の艦娘に手を出そうという魂胆では無いのかね。」

 

初老に入ったくらいに見える憲兵に睨みつけられる。同じような視線や、さらに値踏みするような視線がちらほら。

というよりも、我々の艦娘 とは一体どういう了見なのだろうか。憎しみを大きく押さえ込み、自嘲気味に煽る。

 

「忘れたんですか?私は駆逐艦娘にしか興味が無い小児愛玩者(ロリコン)ですよ?年増女なぞ。」

 

と鼻で笑いながら突き放す。

青い顔の憲兵隊員は、怒りに拳を握りしめているのがわかった。

 

「…………チッ。」

 

初老に入ったようなその男は椅子にどっかりと座り直し、思い切りこちらを睨みつけた後にその目を閉じる。

 

「まぁ、嫌だと言うのなら、お好きになさってください。」

 

最後にニコリと微笑んで、提督を見据える。

 

「……いいだろう。俺は預ける。さすがにデメリットが大きいからな。」

 

こうなると、とんとん拍子で話が進んでいく。

艦娘の受け入れや証拠隠滅品などの受け入れの話を聞いていく。

 

所属艦娘と受け入れ品をメモしリストアップし、諜報班の妖精さんに解析してもらう予定だ。

 

そして会議室から人の波が消えた後、青い顔のまま震えている若い憲兵に

 

「あなたですね?大本営に報告したのは。」

 

と声をかけたのだった。




本日から鬱パートというか、闇です。

作者のメンタルが持たなさそうな雰囲気。

毎週投稿は守りますが。

本文に関して

  • もっと説明文的な構成。
  • 今よりも説明的な文が欲しい。
  • 今よりもさらに会話文を増やす。
  • 本文構成は全て、作者に委ねる。
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