ブラック鎮守府の整備士日記   作:小椋屋/りょくちゃ

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少し軽めかな


第二十一話

「あなたですね?大本営に報告したのは。」

 

そう話しかけると、意気消沈していたのが噓のようにガバッと立ち上がりこちらの胸ぐらをつかむ。

胸元に隠れている妖精さんが心配になるが、おちおち話していられるような状況ではない。

 

「お前は艦娘を一体何だと思っているんだ!!」

 

今にも殴り掛からんと語気を荒げ怒鳴りつけてくる。

 

「命の恩人にして人間なんかよりもずっと素晴らしい存在ですが?」

「は?」

「は? ではなく。もしかして、私があんな奴らの同類だとでも?」

 

勘違いさせるように仕向けたのはこちらだ。しかしそれを開き直り、あえて挑発するようににらみかえす。あっけにとられている相手は、口をポカンと開けたままこちらを眺めていた。

 

「鈴木利久、22歳なるほど。」

「なぜ俺の名前を!?」

「妖精さんが教えてくれましたので。」

 

胸倉をつかまれる寸前、脱出した諜報班の班長さんは、即座にこの若い憲兵隊員のデータを検索。割り出して報告しただけの話だった。

自分の肩の上へと戻ってきた班長さんが礼儀正しくお辞儀をした。

 

「諜報班班長であります。川原整備士は嘘をついてないですよ。」

「誰が聞き耳を立てているかわからないこんなところで立ち話をするくらいなら工廠に向かいませんか。駆逐の娘たちが大丈夫なら、ですが。」

「は、はぁ...。」

「それじゃ、行きましょうか。班長さん、明石さんに連絡を。」

「了解です。」

「工廠が使えなければ、工廠の裏ででも。」

「…………。」

 

想像通り、彼はこちら側の人間のようだ。もちろん、後で妖精さんたちに鑑定させた方がいいだろうが。

 

 

 

予め連絡したからか、駆逐艦娘達は部屋へと戻っているようだった。

 

 

「…誰ですか?この方は。」

「鈴木憲兵少尉です。聞いていると思いますが、例の大本営からの監査を呼び起こした張本人です。」

「………なるほど。」

「明石?この鎮守府にはいないはずでは……?」

「やっぱり私は、完全に忘れ去られてたみたいですね、この感じは。」

 

明石が物憂げに呟いたタイミングで、1枚の紙をペラペラさせながら諜報班の班長がやってくる。

 

「データ照会完了しました。この人は問題ないですよ。我々の感覚にも何ら反応は無いです。」

「先程の妖精さん?………何を?」

「あなたが不正に関わってないか調べさせてもらったんですよ。どうやら問題ないみたいですがね。」

「当たり前だろう!どうして俺があんな奴らに手を貸さねばならん!」

「もしかして、例の資金も受け取り拒否したんですか?」

「当たり前だろう!!…まさか、貴様受け取ってるのか!?」

「使えるものを使わないでどうしろと。その資金がなければ彼女達の食事を用意することもできませんし。」

「あぁ……貴様は駆逐艦にすら手を出してるんだったな……」

「すみませんが、誰の話ですか?」

「明石、知らないのか?」

「知らないも何も、私は明石さんも含め艦娘には手を出していませんから。」

「ならあれは…」

「演技ですよ演技。っと、誰か来ましたね。いいですか、アドリブですが話を合わせてくださいよ。いいですね。」

 

タイミングがいいのか悪いのか、話し込んでいるタイミングで誰かが工廠に近づいてきているのがわかった。

 

「えっはっ!?」

「いいから。」

 

やってきたのは先程こちらを睨みつけてきていた初老に入った憲兵だった。

 

「おや、お心変わりですか?」

「なわけあるか。私の艦娘を年増呼ばわりするようなやつに艦娘を預けるわけがないだろうたわけが。……だが悔しいことに証拠隠滅はお前に頼った方が早そうだ。………頼んだぞ。」

 

憎らしげな表現でこちらを見ているが、不正の証拠品や証拠となりうる物品と共に2桁程の枚数の札束を握らされる。

 

「これらのものは、全て処分でよろしいのでしょうか?」

「終わったあとに買い込めるものばかりだ。やってくれ。」

「わかりました、お受け致しましょう。」

 

札束を受け取り、心底にこやかな表情で、請けあう。隣と背後から疑懼の視線を向けられるが、あくまでも演技だ。即座に解析に回すつもりである。

 

「……………。」

 

こちらをキッと睨みつけると同時に、彼は去っていった。

演技がさらに上達した自分に吐き気を覚えたのはここだけの話だ。

 

「妖精さん。」

「任せてください。親分の意のままに。」

「任せましたよ。」

「お、おい!?ほんとに処分するのか!?」

「えぇ、しますよ?もちろん、全てデータを回収してからですが。処分方法は建造用の釜じゃなくて、射撃の的にするくらいでしょうが。」

「……………。」

「明石さん、手伝いをお願いしますね。さすがに満潮さんの負担も増えると思うので。」

「わかりました。カウンセリングの付き添いは、どうしますか?」

「朝潮さんたちに頼もうかと。」

「わかりました。お任せ下さい。」

 

事務的な話をトントン拍子で済ませ、証拠物品を諜報班などで解析し記録してもらう。

 

「さて、鈴木少尉。これからあなたはどうしますか?おそらく告発者は目に見えていると思いますが。」

「………………………………………。」

「情報守秘の観点から、大本営からこちらへ何かしてくることは無いと思いますが。」

「俺はこのクソみたいな鎮守府を…変えるんだ!!」

「なら、手伝ってください。何かあったら私があなたの事を庇うので。監査が終わったら、艦娘を身請けすること、資金を受け取ること、このふたつが条件ですが。」

「そんなこと出来るわけないだろう!?」

 

またも掴みかからんとするがそれを手で静止する。

 

「ならここから救うことを諦めるんですか?1人でも多く、少しでも早いうちに保護した方が得策だと思いますが。」

「くっ…………………。」

「世の中なんて、所詮そのようなものですよ。」

 

自分は怒りにうち震える彼を、冷然と眺めるのだった。

 




今後鈴木少尉のキャラがブレにブレると思いますが、お許しください。

本文に関して

  • もっと説明文的な構成。
  • 今よりも説明的な文が欲しい。
  • 今よりもさらに会話文を増やす。
  • 本文構成は全て、作者に委ねる。
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