ブラック鎮守府の整備士日記   作:小椋屋/りょくちゃ

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第二十四話

ついに特別監査が開始された。

諜報班の妖精さんから逐一状況が報告される。

あくまで"手筈通り"監査が進められていく。体裁を保つために、資源や資金などの帳簿は回収されるが、極秘裏に取引した帳簿は全て隠匿済である。そうこうしているうちに、監査員が続々と工廠へ立ち入って来る。その中に、例の青木憲兵副総監の姿もあった。

 

「備品、異常ありません!」

「装備、異常ありません!」

「装置、異常ありません!」

 

などとテンポ良く監査が進められていく。

チェックリストの類も押収され、厳正に工廠が稼働しているか検査される。もちろん、数字やチェックリストに関しては捏造されたものだが。

そんな調子で進んでいく監査を終始にこやかに見ていた青木副総監が、突然ズカズカと進み、隠匿していた書類の1部を発見する。

 

「おや?これはどういうことですかな?」

 

ゾッとするほどにこやかな顔でそう尋ねてくる。

 

「っ……!」

「こんな隠し方では……。仮に我々で無かったら大変なことになっていたかもしれませんねぇ、川原殿。」

「!?!?!!?」

「まぁここは我々の重要拠点ですので、見なかったことにしましょうか。皆さん、いいですね。」

「「「はっ!!!」」」

「工廠の点検はここまでですね。次に行きましょうか。」

「......。」

 

そういうと、青木は部下を引き連れ、別の場所へと向かっていった。

 

 

「大丈夫ですか?」

「えぇ...何とか...。二度とこんな思いはしたくありません...。」

 

椅子に座り込み大きく息を吸う。文字通り息の詰まる思いをしたがために、体にめぐる空気がおいしい。

そう一息ついたタイミングで

「整備士、川原。至急執務室へ出頭せよ」

そう呼び出しがかかる。

 

 

体が直後に硬直する。摘発することを計画していることが読まれたか?誰かが隠ぺいの失敗を私に擦り付けたか?などと様々な疑念が頭をよぎる。

 

「すいません、呼び出されたので行ってきますね。」

「えぇ、お気をつけて。」

 

あからさまに反応してしまったのが感づかれてしまったが、気を取り直して執務室へと足を運ぶ。

 

 

「貴様が川原だな。」

「えぇ、まちがいありません。」

「青木副総監殿がお待ちだ。入れ。」

 

執務室の前で立っていた憲兵が本人確認ののち、執務室へと通す。

 

「何の御用でしょうか青木副総監閣下。」

「そう畏まられても困るので、普通にしてくれませんかね。あくまで私用ですので。」

「わかりました。」

「時間も惜しいので早速本題に入りますよ。ここの隠蔽作業の案を出したのはあなたですね?」

 

いきなり踏み込んだ質問をされ、返答に詰まる。

 

「別にあなただろうと、誰だろうと、捕まえて豚箱送りにしようなんて考えちゃいないので、是非とも正直に教えていただきたいのですが。」

「...えぇ、その通りです。」

「やはりそうでしたか。では、工廠で三方あれは何です?あなたなら完璧に隠せたはずでは?」

「それは、僭越ながら、試させて頂いたと申し上げるしかありません。」

「ふっ、そういうことでしたか。...あなたの案に従わなかったのは、これらの人物で間違いありませんか?」

 

と、顔写真を見せつけられる。

そこには独自に動くと言った数名が漏れなく記載されていた。

 

「えぇ、まちがいありません。」

「そうですか、ありがとうございます。そこに書いてある人物は、我々が軍法会議にかけます。ここは重要拠点なのでね、これからも頼みましたよ?川原殿。決して、裏切りなどせぬように。」

「わかっていますよ、青木副総監閣下。」

 

満面に張り付けた笑みを浮かそう返答する。

 

「では下がってください。」

「失礼します。」

 

誰がそんなことをするかと、心の底で誓いながら。

 

 

 

 

 

「お疲れさまでした。一部始終、確認させてもらいましたよ。」

「あぁ、緊張で倒れるかと思った。」

 

工廠に戻ると、開口一番、明石にねぎらわれる。

 

「今日はもう休ませてもらうよ。いつになく疲れた。」

「えぇ、それがいいと思います。顔色も優れませんので。」

「すまないが、今日の業務は任せた。近いうちに、君にも落ち着いた休みを取ってもらうから、それで補填としてくれ。」

「えぇ、お任せください。」

 

そう伝え、私室で休もうとした矢先、扉がノックされる。もう何度目かわからない、不意の珍しい来客であった。

 

 




今日は金曜日ですが、キリがついたのでここで登校します。大幅に短いですが、復帰すぐですので、どうぞお許しください...

本文に関して

  • もっと説明文的な構成。
  • 今よりも説明的な文が欲しい。
  • 今よりもさらに会話文を増やす。
  • 本文構成は全て、作者に委ねる。

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